(2000年9月30日)


多数の住民が様々な自覚症状を訴える
 東海臨界被曝事故から1年、これまで隠され続けてきた被曝被害の実態が明らかになりはじめています。地元「被害者の会」と阪南中央病院「被曝線量・健康実態調査委員会」の連帯した力によって実現した予備調査の結果、想像を超える深刻な健康被害の実態の一端が明らかとなりました。
 調査対象となった住民のうち、半数以上もの人々が、倦怠感や、体調の異変、のどの痛み、頭痛、息苦しさなど、様々な自覚症状を訴えています。急性的症状とでもいうべき、深刻な被曝被害を強く示唆するものです。また、今後数年から10年、20年後に現れるであろうガン・白血病、遺伝的影響など、さまざまな後遺症に対する心配、不安が広く存在することが明らかとなりました。政府・科技庁の「3人以外に被害なし」との主張は、事実でもって覆されています。
 さらに、綿密な行動調査の結果、推定被曝線量は予想以上に高く、多くの人が非常に高い線量を浴びていたという事実が明らかとなりました。最高は、ほぼ200ミリシーベルトに達する被曝。100ミリシーベルトを超えた人は3人。5人が50ミリシーベルトを超える被曝を受けました。科技庁の評価線量の平均7.6倍もの被曝線量となります。科技庁の過小評価は明らかです。また、線量と被害の相関も傾向として明らかで、線量の高い人ほど被害が深刻だという事実が明らかとなりました。JCOの労働者以外では、25ミリシーベルトを超える人はいないといった科技庁の主張は明らかに偽りです。

政府・科技庁によるデータ隠し疑惑と被曝線量過小評価
 5月26日の対科技庁交渉以降、5回の質問書を通じて、私たちは、科技庁による被曝隠しと被曝線量の過小評価を追及してきました。その過程で、データ隠し疑惑が浮上し、線量の過小評価を示す事実が明らかになってきました。
 まず第一に、旧動燃が実施した本米崎小学校での定点連続測定データのピーク(政府線量評価の約9倍のガンマ線量)を政府・科技庁がこれまで隠し続けていたこと。さらに、約10分間隔の規則的な測定であるにもかかわらず、1時間25分間もの空白時間が存在し、さらなるデータ隠しの重大疑惑が浮かび上がってきました。
 第二に、政府・科技庁の被曝線量評価式の基礎データとなった、本米崎小学校での測定値は低地での測定のため、地形による遮蔽で、およそ3分の1の過小評価となること。そのため、本米崎小学校の生徒をはじめ、周辺住民・労働者の被曝量が過小評価されているという事実が明確になってきました。

深刻な被害の実態と被曝隠しの具体的事実で政府・科技庁を追及しよう
 東海臨界被曝事故から1年、政府・科技庁は「原子力政策が失速するかどうかの瀬戸際」という強い危機感の下、事故の幕引きのため、必死になって被害の切り捨てをはかってきました。「放射線による被害であることは、被害者自身が証明しなければ認められない」として、健康被害への補償を一切拒否した上で、アリバイ的な健康診断によって、事故の幕引きを完了させようとしています。
 阪南中央病院の実態調査によって、明らかになりはじめた被害の実態と、線量過小評価を示す諸事実をもって、政府・科技庁を厳しく追及していきましょう。科技庁との交渉を準備していきましょう。
 10月15日の集会では、阪南調査の特別報告をはじめとして、この間明らかとなってきた事実についての報告をおこないます。みなさん是非ご参加ください。                          


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