BNFLの社長が、来週から15日間の日程で、日本を訪れます。来年1月か2月までに関電・日本の電力会社と新規のMOX契約を結ぶためです。日本での契約が取れなければ、英国政府の許可は得られず、BNFLの新MOX工場(SMP)は稼働できません。関電の新契約を阻止することが、緊急の課題です。
「BNFLとMOX新契約を結ぶな!」の声を関電に集中しよう。

関西・福井の七団体で緊急申入行動 「新MOX契約を結ぶな」
 9月25日、BNFLの幹部約10名(技術担当、労組代表等)が、社長来日の前に、新規契約に向けた段取りをつける目的で関電を訪れました。関西の市民グループ6団体と「小浜市民の会」のメンバー約15名は、25日、BNFLと関電の会合の前に、緊急抗議行動を行いました。各団体がそれぞれの要望書・申入書を手渡し、「SMP工場での新規契約を結ぶな」と関電に申し入れました。
 関電広報グループ・大森課長は、BNFLとの会合は、「再発防止対策の進捗を聞くだけ」と述べました。しかし、「BNFLは、英国核施設検査局(NII)からの改善勧告に対し、いまだすべての回答もできていないではないか」と追及されると、「全てに回答出来ていません」と認めながらも「状況を聞くだけ」を繰り返すばかりです。これは、7月11日に、早々とBNFL指名停止を解除した姿勢と同じです。
 また、「今後の契約は白紙」と答えながら、賠償金約64億円の半分を、現金で受け取るのか、新たなMOX燃料代金にあてるのかについては、「決まっていない」「MOX燃料代金の可能性も残している」と、新契約の可能性を否定しませんでした。
 最後に「小浜市民の会」から、福井でも公開討論会を開くよう要求しましたが、今になっても「開くかどうかを含めて検討」と無責任に答えるだけです。

関電との契約がなければ稼働できない新MOX工場
 BNFLは今年3月の会計決算で、3億3700万ポンド(約500億円)にものぼる史上最悪の赤字に陥りました。赤字額の4分の3は、MOXスキャンダルによる損失です。また、データ不正を行ったMDF工場では、今後、商業生産をやめると発表しました。BNFLは、4億ポンド(約600億円)かけて完成した新MOX工場SMPをなんとしても稼働して、MOX燃料製造を続け、経営危機を立て直そうとしています。しかし、SMP工場の契約は、現在数%しかありません。かなりの契約がなければ英国政府の許可がおりません。欧米諸国はプルトニウム利用から既に撤退し、契約を期待できるのは関電・日本だけとなっています。BNFLの社長は、9月14日の赤字発表の際、「来年1月か2月までに日本側を説得できなければ、計画を断念せざるをえない」と述べています。

まだまだ続くBNFLスキャンダル 日本だけがBNFLの救世主?!
 高浜原発MOXデータ不正事件以降も、危険な事故や事件がBNFLで頻発しています。バルブから噴き出した硝酸で3人が負傷した事故や、放射性物質密閉容器の紛失等、今年に入って安全違反で2度もNIIに告訴されています。低レベル放射性廃棄物を輸送していた貨物列車の脱線事故。夜勤の従業員が「管理区域」に銃を持ちこみ、射撃練習を行ったり等々。
 アイルランド政府が委託した調査では、セラフィールド核施設周辺に住む乳児が脳腫瘍にかかる割合は、通常の4倍も高いと報告されています。6月のオスパー会議では、英・仏再処理工場が北東大西洋の海洋汚染の元凶だとして、再処理中止が決議されました。
 国際的にBNFL批判が高まる中で、関電・日本だけが、BNFLに救済の手を差しのべようとしています。データ不正・安全無視・放射能汚染の元凶BNFLとは、きっぱり手を切らせる以外にありません。


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