国内及び国際情勢

2007年7月25日

「事業主が講ずべき外国人労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針(案)(仮称)について」にたいするパブリック・コメント


移住労働者と連帯する全国ネットワーク
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基本的な見解

 本指針案は、「雇用対策法及び地域雇用開発促進法」(以下、同法と略)第8・9条にもとづき、雇用している外国人の職業への適用を容易にし、また当該外国人の雇用管理を改善することを目的として、事業主が講ずべき措置を定めるものであるが、特に「第5 外国人労働者の雇用状況の届出」について以下の問題点があり、この目的が達成されないものとなっている。また、労働者の権利保護及び健全な労使関係の確立という、労働行政本来の目的にも反するものとなっている。

(1)外国人労働者の雇用状況の届出において、当該外国人の氏名や在留資格のみならず国籍を事業主が確認し、厚生労働大臣に届け出ることが、当該外国人の職業への適用や雇用管理改善に具体的にどのようにつながるかはまったく明らかではない。むしろ届出義務によって、事業主が外国人労働者の個人情報を広汎に確認・保持することが可能となり、外国人労働者を事業主にたいして従属的地位につかせる危険性がある。同時に、行政が不必要な個人情報を集めることも許されるべきではない。特に、就労を目的として日本に在留しているわけではない永住者や定住者の個人情報を事業主や行政が把握する必要性はない。以上から、同法には明記されていない「国籍」まで指針で求める必要性は認められないため、届出の項目から少なくとも「国籍」を削除すべきである。

(2)指針案では、雇用状況の確認・届出を行う場合を、「通常の注意力をもって、当該者が外国人であると判断できる場合」、すなわち「特別な調査等を伴うものではなく、氏名や言葉などから、当該者が外国人であることが一般的に判断できる場合」としているが、氏名や言葉などによって日本国籍保持者であるかどうかを判断することは不可能である。というのも氏名や言葉あるいは外見など、いわゆる文化、民族、人種的な差異と国籍は同じではないからである。たとえば、札幌地裁平成14年11月11日小樽入浴拒否事件判決では、外見で「外国人」かどうかを判断することは、人種差別撤廃条約のいう人種差別、すなわち「人種、皮膚の色、門地又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、除外、制約又は優先」にあたることが明記されている。こうした状況において、文化、民族、人種的な差異にもとづき雇用状況の確認・届出を求めることは、これらの差異にもとづく差別や偏見を助長するものであり、外国人労働者の雇用状況の改善につながるものではない。それどころか、この指針案は、国が人種差別を行うことを禁じた人種差別撤廃条約に抵触する疑いがある。

(3)同法における外国人労働者にのみ課せられた「雇用状況の届出」義務の規定自体が、外国人に対する差別や偏見を助長するものである。よって、同法28条第1項並びに第29条の削除と関連条項の修正を強く要請する。
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