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調査から見えたこと今回調査した結果、まちの情報は、以下の3点に分類できます。(1) 利用者の利便性を高めるもの(写真1) (2) 禁止・警告するもの(写真2) (3) 差別的表現のあるもの(写真3) 「利用者の利便性を高めるもの」と「禁止・警告するもの」を比較すると、基本的な情報をのぞくと、禁止・警告の方が多言語されている傾向にありました。また、「差別的表現のあるもの」では、直接的な差別表現を含むもの(「不良外国人」という表現が使われている、または、ひったくりの加害者が外国人で被害者が日本人を表しているイラストなど)と外国人であるということだけを理由として入店や入居が断られるものがありました。 「差別的表現のあるもの」は、東京の特定の地域に集中している傾向にありました。また、横浜・埼玉・大阪と比較すると東京では、「利用者の利便性を高めるもの」で多言語になっているものが多くありましたが、同時に、「禁止・警告するもの」も多言語になっているものが多くみうけられました。 施設・地域により格差はありますが、大まかに以下のように分析できます。 まず、駅ですが、ほとんどの駅では、利用に必要な最低限の情報は英語表記がされており、一部の駅では、英語に加えて、中国語・韓国語の表記がありました。また、駅周辺案内の地図では英語表記もあり、避難場所については中国語・韓国語でも表記されていました。普段、日本語を話したり読んだりする人でも、緊急時のパニック状態のときには、その人の第1言語での情報というものは欠かせません。これがきちんと多言語になっていることは、災害時の教訓が活かされているのでしょう。 しかし、それ以上の付加サービス、たとえば、お得な情報や利便性をより高めるものに関しては、大久保、三河島など外国人の多く暮らしている地域や、外国人観光客を多くあてにしている一部の鉄道会社以外には、ほとんど見られませんでした。他方で、「防犯カメラ作動中」「特別警戒中」「危険物持ち込み禁止」などの禁止・警告を表すものについては、サービスに関する情報以上に英語表記になっており、さらには、多言語に翻訳され掲示される傾向が強いことが明らかになりました。 繁華街・商店街では、一部の公共機関を除いては、ほとんどが日本語のみでした。駅同様に、「防犯カメラ作動中」「警察官立ち寄り所」「万引き防止装置作動中」などの警告は、日・英以外の言語(中国語、韓国語、ペルシャ語など)でも表記されていました。また、特に、金融機関では、防犯を呼びかける掲示物に差別的な表現が使われたものがありました。また、不動産屋での物件紹介では「日本人のみ」というもの、歌舞伎町のホテルでは「外国人お断り」というものもありました。 調査実施前には、基本的な情報も日本語のみではないだろうかと推測していましたが、実際に調べて見ると、予想以上に日本語以外の表記もあることが分かりました。しかし、必要最低限の情報を越えて多言語化されているものは、圧倒的に警告ものが多いことも浮き彫りになりました。 多言語の禁止・警告表示をみるとき、「翻訳されているからいいではないか」と感じる人もいるかもしれません。しかし、「多文化共生」を考えるときに、相手に最初に伝えたいことは禁止や警告なのでしょうか。「外国人犯罪が多いから仕方がない」と言う人がいるかもしれません。しかし、実際に「来日外国人犯罪」といわれるものは、日本全体の刑法犯のほんの2%強にすぎず、日本の治安を脅かすような数字ではありません。多言語による警告や「不審な外国人に注意」というような表現は、その言語を話す人や外国人全体への差別と偏見を助長していくものであり、許されないものだと思います。 「多文化共生」が叫ばれるようになって久しいですが、このような掲示物がまちの様々なところにあるという実態をここでは問題提起しています。日本の社会が外国籍市民への差別と偏見をなくし、本当の意味で違いを尊重し合う多文化共生への道へ進んでいこうとするのかが、いま、問われているのです。 |
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