■生活Q&A −結婚・離婚・ドメスティックバイオレンス−
Q1:日本人と結婚しました。母国に残してきた子どもを呼び寄せたいのですが、どうしたらいいですか?(フィリピン、女、32歳)
A1:母国に残してきた子どもを呼び寄せる場合、外国人親が日本人の配偶者等の在留資格を有しているのであれば、未成年の子どもには定住者の在留資格を取得させることができると思われます。これで、とりあえず日本において同居することは可能となります。

 さらに日本人夫の理解が得られれば、夫と子どもが養子縁組することも考えられます。養子縁組は、市役所などに届出をすることで成立します。ただ、養子の母国の法律で、第三者の同意や裁判所での許可等が条件とされているときは、これも得なければなりません。フィリピンの場合、裁判所の決定が要件とされているので、フィリピンの裁判所に対し、養子縁組の決定の申し立てをすることになります。もっとも、上記の決定は必ずしもフィリピンの裁判所のものである必要はなく、日本の家庭裁判所の許可をもって代えられるものとされています。これは、日本の家庭裁判所の決定も養子の保護のための制度であり、その養子縁組が子どもの不利益にならないか否かという点から判断されるもので、フィリピンの制度と趣旨を同じくするからです。ですから、日本で手続きを進めるためには、日本の家庭裁判所に養子縁組の許可を申し立てるのが便利と思われます。

 もっとも、本当に大変なのは子どもが来日してからかも知れません。もちろん日本人の夫と実子同然の関係になるのですから、法的な保護は万全です。しかし、日本での暮らしになじめるのか、学校でとまどうことはないのかといった心配もあります。とくに、未成年とはいえ、子どもが十代に達している場合など、進学や就職が直ちに深刻な問題になる可能性があります。

 ※夫の理解が得られれば、日本の家庭裁判所で養子縁組の許可をもらい、定住者ビザを申請しましょう。

Q2:日本人との結婚を考えています。しかし、他人名義のパスポートを使用し、短期滞在の在留資格で入国しました。日本での本名による結婚、在留特別許可申請に際して、他人名義のパスポートで日本に入国している事実は妨げになるでしょうか。改定入管法上でなにか問題があるでしょうか。(フィリピン人、女、28歳)
A2:偽名パスポートでの入国が、婚姻と在留特別資格の手続きをすすめる上で、運用上特に問題にされることはありません。

 婚姻の手続きは、本国から本名の出生証明(Authenticated Birth Certificate)、バランガイ独立証明(Single Certification from Barangay)などを取り寄せ、在日フィリピン大使館で、本名での婚姻要件具備証明書(Certificate of Legal Capacity to Contract Marriage)を出してもらうこと、フィリピン大使館は超過滞在者に対してパスポートの更新・再発行を行いませんので、パスポートに代わる身分証明書として、トラベルアフィダビット(Travel Affidavit)を本名で発行してもらうことがポイントでしょう。

 それから、フィリピン大使館での婚姻要件具備証明書の発行ですが、 以前は、子どもがいるカップル(妊娠中も含む)には例外的に発行されていましたが、「オーバーステイの人に発行しない」という原則があったようです。そのため、婚姻記録不在証明書(国家統計局発行)や、宣誓供述書(本国役所発行)を本国から取り寄せ、具備証明書の代わりとして日本の役所に受理してもらっていたわけですが、最近は、子どものいないカップルの婚姻のケースでも、書類がそろえば問題なく婚姻要件具備証明書を発行するようになっています。

 入管法改定後の不法在留罪の影響ですが、国会の審議の中で、不法入国後3年以上経って日本人と家族を形成する外国人が在留特別資格を申請するケースということでは、再三、議員による問題点の指摘、質問があり、法務大臣や入管局長から「家族的結合等の実情を十分配慮し、適切に措置する」という答弁がありました。

[結婚・在留特別資格申請までの流れ]
1.フィリピンから必要書類を取り寄せ、日フィリピン大使館、領事館で「婚姻要件具備証明書」を発行してもらう。
2.最寄りの市区町村役場で「婚姻届」を出す。
3.入国管理局で「在留特別許可(在特)」を申請する。

※フィリピン大使館での手続きには、たびたび変更があります。各自お問い合わせください。
フィリピン大使館(東京):東京都港区六本木5-15-5 電話03-5562-1600〜02
フィリピン領事館(大阪):大阪府大阪市中央区内淡路町2-3-7 アバンドシティ101  
電話:06-910-7881〜83

Q3:私は偽造パスポートで入国し、偽名のまま知り合った日本人と結婚しました。母国に里帰りした時、親戚からパスポートの名前を指摘されます。今度娘が小学校に入るので、この機会に私の本当の名前に変更したいのですが、どうしたらいいでしょうか。(C国、女、30歳)
A3:このケースは家庭裁判所で戸籍訂正の申し立てを行わなければならないようです。
 現在は違う氏名、生年月日で日本人配偶者の戸籍に記載されているわけですから、その記載を正しい氏名、生年月日に訂正するための申し立てです。

 家裁といっても、本籍地のある地域で行わなければならないので、本籍地が遠方の方は申し立ての前に本籍を現住所に移してからのほうが良いかと思います。

 本人を証明する書類ですが、本国から出生証明や身分証明書などを取り寄せ、入国時の偽造パスポートや新しいパスポート(発行されていれば。出生証明などを日本にある自国の大使館へ持って行けば容易に発行される国もあります)などを持参し、説明するしかないのではないでしょうか。

 そのほか、参考資料として卒業証明書や人物証明などを取り寄せ、それを説得材料にするという方法も考えられます。

 以前関わったケースでは、A国の男性と日本人女性のカップルで、同様に、男性のパスポートの名前と年齢が違っていた(架空の名前と年齢でパスポートを取得し、入国)ため、家裁で戸籍訂正の申し立てを行いましたが、その際も新旧のパスポート、出生証明、宣誓供述書(父親が日本の○○に住む××は間違いなくうちの息子であるということを宣誓したもの)などを提出し、さほどの苦労もなく、1度の呼び出し(裁判)で訂正ができました。
 戸籍の訂正後、外国人登録証の訂正、入管への訂正もお忘れなく。

Q4:私は日本人男性とフィリピンで結婚しましたが、彼は帰国後、別の日本人女性と婚姻届を提出してしまいました。私達の結婚はどうなるのでしょうか?
A4:日本人が外国人と結婚する、いわゆる国際結婚では、婚姻の挙行地の法律ではまたは相手国の方式で、結婚でき、3ヶ月以内に挙行地または相手国の公的機関が交付した婚姻証明書を、在外日本大使館または日本の市町村に提出することになっています(法例第13条、戸籍法第14条)。したがって、日本人男性がフィリピンにおいて同国の方式で結婚し、帰国後、市町村に届出をしない段階では婚姻の事実は戸籍に記載されていないので、容易に重ねて婚姻(重婚)ができます。

 日本の民法では、重婚すなわち配偶者のあるものが重ねて結婚した場合、その婚姻は取り消すことができると定められています(民法第732条および同法第744条)。
ご質問のようなケースで、仮にその日本人男性が別のフィリピン女性と結婚した場合は、フィリピン国法との関係でその婚姻は無効となります。『取り消す』と『無効』は異なりますので注意が必要です。

 さて、あなたの場合、日本への婚姻証明書の提出は報告的な届であり、日本式の婚姻届が提出されていなくとも、フィリピンでフィリピン方式により婚姻したときに婚姻は成立していることに変わりなく、その後の彼と日本人女性との婚姻の取り消しを求めることができます。具体的には、家庭裁判所に婚姻取り消しの調停を申し立て、調停が不調のときは、民事訴訟手続法によって婚姻取り消しの訴えを提起することができます。あなたが手続きが出来ない場合は、弁護士に相談してください。

Q5:日本人夫の暴力で悩んでいます。子どもを連れて家を出たいのですが、どこか逃げる所がありますか。また、ビザの有効期限がもう少しで終わるのですが、家を出たらどうなりますか。夫は離婚に応じないと思いますがどうすればいいでしょうか。(タイ人女性、32歳)
A5:逃げる場所についてですが、全国に公立の婦人相談所があります。夫、恋人からの暴力が社会的な問題として取り上げられてきている中、多くの県でこの施設がシェルターとして機能しており、お金がなくても利用できます。事前に外国人登録をしている役所の福祉事務所で相談してみて下さい。

 電話で相談する時は明細書などに番号が残ることがあるので公衆電話などを使ったほうがいいでしょう。福祉事務所には女性、家族の問題に詳しい婦人相談員、母子相談員がいます。家を出た後の生活、住む所についても相談にのってくれます。友人などにこれから行く場所については話さないほうがいいでしょう。

 夫が離婚に応じたとしても、離婚届にある親権欄等の記載事項を確認したほうがいいので、すぐにサインをせず、信頼のおける人に見せたほうがいいでしょう。夫が子どもを引き取りたいために親権者を父親にして妻のサインを偽造し離婚届を出してしまうこともあります。心配な場合は、役所で「離婚届の不受理申出書」を出しておきます。

 夫が離婚に応じない場合は、調停、裁判をする必要があります。調停は弁護士がいなくてもできますが、言葉の面で心配がある場合は最初から頼んだほうが手続きなどが順調に進むと思います。もし弁護士費用がない場合でも、費用の立替制度があり、弁護士をつけることができます。全国にある法律扶助協会に相談して下さい。

 調停の時に夫に待ち伏せされたり後をつけられる怖れもあるので、申し立ての段階で調停時間や場所をずらしてもらうようにお願いしたほうがいいでしょう。

 在留期間は調停、裁判中は別居していても延長が可能です。調停の受付カードなどを持って入管へ行き、事情を説明して延長手続きをします。

 裁判所や入管での手続きに共通していることですが、現住所を夫に教えないようによく説明することが大切です。また、裁判中は外国人登録地や子どもの住民票を変更しないほうがいいでしょう。子どもの学校も住民票を移さずに引越し先の学校に通うことができますので、管轄の教育委員会で事情を話し相談してみて下さい。一人で行くのが心配な場合は、婦人相談員、近隣のNGOなどに同行をお願いするといいでしょう。(女性の家HELPスタッフ)

Q6:私は日本人男性と結婚しているタイ人女性です。最近、夫から離婚を迫られているのですが、家族の問題で一時帰国することになりました。不在中、自分の知らないうちに離婚されるのではと不安です。どうしたらいいでしょうか。
A6:自分の知らない間に離婚届を提出されるのを防ぐには、「離婚届の不受理申出書」を提出しておく方法があります。これはあなたの夫の本籍地の市町村役場に、たとえ離婚届けが提出されても、受理しないでほしい旨を書面で申し出ておくものです。提出後、6ヶ月間は離婚届の受理を阻止できます。

 また、この「離婚届の不受理申出書」は、いったん離婚に同意して離婚届けに署名した後も、相手から離婚届が提出される前であれば、同様の効果があります。

 この申し出の有効期間は6ヶ月ですので、その後の不安が続くようであれば、再度「離婚届け不受理申し出」を提出する必要があります。その前に、夫婦で十分に話し合い、離婚の要素を取り除くことも大事かと思われます。

Q7:私の妻は外国人で、ともに日本に住んでいますが、日本で離婚するにはどのような手続きによるのでしょうか。相手の国では裁判をしなくては離婚できないときでも、日本では協議離婚をすることができますか。協議離婚ができないときはどうでしょうか。
A7:日本で協議離婚ができます。
[日本の法律]
 あなたの妻は外国人ですが、あなたは日本人ですから、あなたが日本に常居所を持つ限り、日本の法律によって離婚することができます(法令16条但書)。役所ではあなたが住民登録をしていれば、日本に常居所があると認めます。

[協議離婚の手続き]
 日本の法律によることになれば、協議離婚をすることができます。実務によれば、日本人配偶者について住民票の添付があれば、住民登録をしているものとして協議離婚の届出が受け付けられます。協議離婚の届出は、あなたの本籍地の役所、住民票がある役所、または単に居住しているにすぎない場所(居所と同じ)の役所で行うことができます(戸籍法第25条)。ただし、本籍地以外の役所に届け出る場合には、あなたの戸籍謄本が必要になります。外国人である妻の国では裁判をしなければ離婚できない制度になっていても、あなた方夫婦の場合は日本法が準拠法になりますので、日本で協議離婚をすることができます。

[裁判所への離婚の申し立て]
 妻が協議離婚に応じないときは、日本の法律により、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることができます。そうすると、家庭裁判所では離婚の調停または審判を行います。これによって離婚が認められれば、調停による離婚または審判による離婚が成立します。それでも相手方が離婚に応じないときは、地方裁判所に離婚の訴訟(裁判)を起こすこともできます。

Q8:私は日本人の夫と別れたフィリピン女性ですが、日本人の夫との間に1歳の子どもがいます。子どもをフィリピンの親元で預かってもらい、日本で働いて養育費などを稼ぎたいと思っていますが、大丈夫でしょうか。
A8:夫との離婚・死別によって、あなたの「日本人の配偶者等」の在留資格は更新できなくなります。これまでは、「定住者」への在留資格変更は容易ではありませんでしたが、1996年7月30日の法務省通達が出され、離別・死別した外国人の親が子どもを養っている場合は「定住者」への変更が一般的に許可されるようになりました。

 ただし、この在留資格変更の許可は、「実際に子どもを養っている」ことが条件になるため、ご質問のように、フィリピンの親元での養育費や、養護施設などの機関に預けるような場合の許可は難しいと思われます。

 あなたが、子どもと共に日本で暮らすことを望むのであれば、何としても自分で子どもを養育していく決意が必要です。

 経済的な問題があるのならば、離婚の場合は、そのいきさつにもよりますが、慰謝料や養育費の問題もしっかり確認しておくことが大切です。また、死別の場合、夫が厚生年金や国民年金に一定期間加入していれば、遺族基礎年金を受け取ることが出来ます。
いずれにしても、ご質問のように、子どもをフィリピンの親元に預けての日本在留は、他に法的に該当する在留資格(あなたに特別な技能や技術があるなど)がない場合、実現は難しいといえましょう。
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