■生活Q&A  −法律−
Q1:オーバーステイの知人が摘発され、入管に収容されてしまいました。すぐに本国に帰らなければならないのでしょうか。
A1:入管法違反の容疑有りと入管が認めると、収容令書を提示され、収容されます。もしくは収容されてすぐに提示されます(この収容令書による身柄の拘束は30日間、延長して更に30日間が最長期間です)。そして48時間以内に入国審査官の元へ身柄が引き渡され、退去強制の手続きが開始されます。入国審査官の違反審査の中で帰国に異議が無ければ、直ちに退去強制令書が発布されます(ちなみにこの退去強制令書による身柄の拘束期間は無期限です)。もし異議があると主張すると、特別審理官の元へまわされ、口頭審理を経て、更に異議があると、法務大臣による採決を仰ぐことができ、それにより特別に在留を認める事情があると認められると、在留特別許可を受けることができます。ですから、賃金未払い、労働災害などで雇用主と係争中の者、裁判中の者、日本人又は正規の在留資格のある者との婚姻手続き中など、何らかの事情で日本に引き続き在留する必要性のある者は、この時までにその旨を主張して下さい。

 収容の最中には大使館へ連絡をする権利、弁護士を呼ぶ権利、知人など外部の人と連絡を取る権利があります。また、本国へ持って帰りたいものがある時、日本での何らかの争い事などがある時などは、この権利をしっかりと主張して下さい。

 なお、送還費用は原則として国費送還、もしくは船舶の所有者、運送業者が支払うと規定されていますが、現実にはほとんどが自費による帰国となっており、帰国費用が無い者は長期にわたって収容されてしまいます。長期にわたって収容されているときは、手紙や電話で外部と何とかして連絡を取って下さい。国費による送還が行われる可能性、本国の大使館が保護してくれる可能性もあるかもしれません。

Q2:友だちがオーバーステイで捕まり起訴されたのですが、警察に面会に行っても「本人が日本語がわからないから」と会わせてくれません。国選弁護人に電話しましたが、話も聞かずに電話を切られてしまいます。彼女は精神的に不安定なところがあり、普段から睡眠薬を常用していたので、健康状態がとても心配です。警察も内心困っている様子がこちらにも伝わります。
A2:日本の刑事裁判では、被告に必ず弁護人が付きます。被告が弁護人を雇うことができないと、国が弁護人を付けてくれます。これが国選弁護人で、一度決まると、途中で変えること、つまり他の弁護士に国選弁護人になってもらうことはできません。他の弁護士に弁護を引き受けてもらうには、改めて私撰弁護人として自分のお金を払って選任する以外に方法はありません。

 「警察も内心困っている」のが具体的にどういうことかはわかりませんが、精神的に問題があって特別なケアが必要であれば、留置場係に直接相談してみて下さい。担当捜査官や担当検察官に直接当たる方法もあります。

 弁護人は公判前に一度は面会に行くことになっています。一度も面会に行っていないようなら、弁護士会に相談してみて下さい。その他、弁護士の対応に問題があれば、弁護士会に口頭又は文書で相談しましょう。

Q3:日本人女性です。超過滞在中のイラン人男性と知り合い、彼が警察に逮捕された後、懲役2年、執行猶予3年の刑で2年前に強制送還されました。翌年、私がイランに行き、結婚、私だけが帰国して日本でも区役所に届けを出しました。来年で執行猶予期間が過ぎますが、彼をどのようにして日本に呼び寄せることができるでしょうか。
A3:超過滞在で強制送還された外国人の場合、日本に再入国するのはほとんど不可能です。入国のために再審査を申請することは可能ですが、認められることがきわめて少ないと言われています。

 もし、イランで日本へのツアーなどで航空券が入手できるなら、それでとにかく日本に来て、空港で上陸許可を申請することも可能です。その上で、短期滞在ビザから、日本人の配偶者ビザへ切り替える道も開かれます。

 再審査請求あるいは上陸許可を申請するにしても、市民団体や弁護士に相談することをお勧めします。どのような書類を揃えたらいいのか、どのように書類を作成したらいいのか、これらの点に通ずるためにも、専門
家への相談が有効です。

Q4:日本人と結婚しているフィリピン人女性です。フィリピンには前夫(フィリピン人男性)との間の子を残してきていますが、日本に呼び寄せて日本の学校に行かせたいと思っています。また、フィリピンには年老いた母親(父親は死亡)がいます。日本に引き取って一緒に暮らしたいと思います。このようなことは可能でしょうか。
A4:「子ども(認知・養子・教育)」のQ6と重複する部分もありますが、在留資格の定住者の規定には、『日本人または日本人の配偶者等の在留資格を持って在留する者の扶養を受け付けて生活する未成年で未婚の実子』に該当する者は定住者の在留資格を取得することができる旨があります。

 したがってあなたが現在『日本人の配偶者等』の在留資格を取得しており、あなたの子が未成年で未婚の実子であり、日本であなたの扶養を受ける条件を満たしていれば、『定住者』として『在留資格認定証明書』を申請することが出来ます。

 扶養という点では、学費・生活費その他、居住の問題などが考えられますので、あなたの現在の夫(日本人)の協力が不可欠になるでしょう。

 次に、あなたの母親を日本に呼び寄せることができるかどうかの質問ですが、現在の日本の法律にはこれに該当する在留資格がないため、きわめて難しいと思われます。

 あなたの母親が、本国で天涯孤独で誰にも頼ることが出来ない状態であるとか、どうしても日本で暮らさなければならない特別の事情があり人道上の問題がある場合など、法務大臣が個々の外国人について特別な理由を考慮して居住を認める場合に定住者の在留資格が認められる場合があります。

Q5:友人が超過滞在で近くの警察に逮捕されてしまいました。留置中の彼の様子をつかんだり、その権利を少しでも守る手だてがあるでしょうか。弁護士を雇うのは費用の点で迷っているのですが。
A5:日本では犯罪被疑者のために国選弁護人を選択する制度がありますが、これは被疑者が起訴されてからでないと利用できません。このため、刑事事件で逮捕、拘留されると、被疑者は孤立無援の状況に置かれかねません。このような場合のために、全国の弁護士会が当番弁護士制度を設けています。

 被疑者やその家族、友人などが弁護人を頼みたいと申し出れば、その時当番になっている弁護士が警察にかけつけ、とりあえず被疑者の権利擁護のために動くことになっています。通訳が必要な場合には、その旨を申し出てください。当番弁護士と会うことができれば、刑事事件の基本的知識や流れを知り、さらには疑問や不安を質問することも可能です。

 弁護士を選任するのが、経済的に困難な人は法律扶助協会の弁護士費用扶助制度がありますし、また起訴後には先の国選弁護人制度があります。近くの弁護士会外国人法律相談窓口や外国人支援市民団体へ相談してください。

 以下へは日本語での連絡が原則です。
 当番弁護士連絡先:
                       (東京)電話03-3580-0082
         (千葉)電話043-221-7330
         (埼玉)電話048-866-9845
         (横浜)電話045-212-0010
 法律相談センター 電話03-3581-1511(月〜金、午後1時〜4時)

関連サイト:
当番弁護士制度を支援する市民の会・東京
日本弁護士連合会
(財)法律扶助協会

Q6:日本人の夫が亡くなりました。私にはフィリピンから連れてきた前夫との間の子どもと、亡くなった夫との間の子どもがいます。夫には以前日本人の妻がいて、その間にも子どもが一人います。夫にどれだけの財産があるか分かりませんが、私たち親子にも遺産を相続する法的権利があるのでしょうか。
A6:あなた方ご夫婦の婚姻が法律上正式なものであれば、あなたにも、亡くなった夫との間の子どもにも、当然法定相続権が認められています。ただし、亡くなったご主人と血族関係のないあなたの連れ子には相続権はありません。なお、ご主人には前の結婚による子どもがいますので、その子にも相続権があります。

 被相続人、すなわちあなたの亡くなった夫は日本人ですので、相続人の国籍にかかわらず日本民法が適用されます。したがって、あなたは相続財産の2分の1を相続し、あなたの子どもは、前婚の子どもと共に残りの2分の1を均等に相続することになります。

1.相続する者の順位
 法定相続人は血族相続人と配偶者相続人の二つに大別されます。血族相続人の相続順位は、第1に「子」及びその代襲相続人、第2に「直系尊属」、第3に「兄弟姉妹」及びその代襲相続人、とされています。血族相続人は、先順位の相続人がいない場合に初めて相続人となります。配偶者は、これら第1、第2、第3順位の血族相続人と並んで、常に相続人となります。この場合の配偶者は、被相続人の死亡時点での配偶者となりますから、前妻には相続権はありません。

a. 配偶者(民法890条)
b. 血族相続人
(1)被相続人の子(実子・養子)(民法887条)
 胎児も既に生まれているものとみなされます。(民法886条)
(2)被相続人の父母(被相続人に子がない場合)(民法889条)
(3)祖父母((1)(2)がいない場合)
(4)兄弟姉妹((1)(2)がいない場合)

2.法定相続分(民法900条)
 a. 配偶者の相続分
(1)子と共同相続する場合は2分の1
(2)被相続人の直系尊属と共同相続する場合は3分の2
(3)被相続人の兄弟姉妹と共同相続する場合は4分の3
  なお、配偶者が単独で相続する場合は相続財産の全てを相続します。
 b. 子の相続分
 子が数人いる場合のそれぞれの相続分は均等です。子が結婚していたり、他人の養子になっていても(特別養子を除く)被相続人の子であることに変わりはなく、相続分に変更はありません。また、先妻の子と再婚によって生まれた子の間でも相続分は均等です。しかし、非嫡出子、婚外子の相続分は嫡出子の2分の1となっています。(注)
 c. 直系尊属間の相続分は均等相続です。
 d. 兄弟姉妹間の相続分は均等相続です(ただし半血兄弟は全血兄弟の2分の1)。

(注)民法900条4号ただし書は、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1と定めています。この規定について東京高裁は平成6年に違憲判決を下していましたが(平成6年11月30日東京高裁判決)、最高裁判所はこれを覆す合憲判決を下しました(平成7年7月5日最高裁大法廷決定)。

 備考:時々、歳の離れた日本人男性と結婚した外国人女性から、このような質問を受けることがあります。他国の夫に嫁いで、頼りの夫に先立たれた不安はどれほどかと想像します。
 相続というような法律問題が絡んでくる事態になったときに、相談することすら思いつかずに泣き寝入りしてしまうケースもあるようです。また、日本人の両親や兄弟が全てを牛耳ってしまい、外国人である妻を早く帰国させようとしていると思われるケースもあります。外国人であるからといって不当に扱われることはない、という当たり前のことをまず伝えることが、本人の安心感につながります。
 「日本人の配偶者等」としての在留資格が出ている間は、夫が死亡したからといって必ずしもすぐに帰国することはありません。当然後始末のために時間が必要ですし、法定な知識を持って悔いのない対処をしてほしいものです。

Q7:「永住者」資格申請について
A7:最近、外国籍の方々から「永住者」資格申請についての相談が増えています。
「永住者」の在留資格が許可されると在留期間の更新手続きが必要なくなる、在留活動に制限がなくなる、などのメリットがあります。特に離婚などによって在留の目的が変わる場合、「永住者」資格を取得しておくメリットは大きいと言えるでしょう。
「永住者」資格が許可されるためには一定の要件を満たし、かつ審査を受けなくてはなりません。特に在留年数に関しては、一般原則として10年以上継続して日本に在留していること、とされています。しかしこの原則は緩和される傾向にあるようです。

    例えば1998年の入管の公表によると、「日本人、永住者、特別永住者の配偶者または実子あるいは特別養子」の場合、配偶者は婚姻後3年以上日本に在留していること、としています。ただし海外において婚姻、同居歴のある場合は、婚姻後3年が経過し、かつ日本で1年以上在留していれば足る、とされています。なお配偶者に関しては婚姻の実態が伴い、申請時点で「日本人の配偶者等」の在留資格を有していなければなりません。

    また「定住者の在留資格を持つ人」の場合、「定住者」の在留資格をもって日本に5年以上在留していること、とされています。「難民の認定を受けている人」の場合、引き続き日本に5年以上在留していること、とされています。「留学、就学の在留資格で入国し、学業終了後に就職している人」に関しては、就労資格に変更後5年以上の在留歴があればいいようです。

    いずれの在留資格に関しても、申請時にはその在留資格に与えられる最長の期間が付与されていることが必要です。

 申請に際しては、最低限、以上のような要件を満たし、また申請者の身分関係や職業、所得を証明する資料、また保証人に関する資料などが必要とされています。申請者個々人の在留状況を総合的に審査し、許否が決定されるため個人差がありますが、申請してから結果が出されるまで6ヵ月ほどかかるようです。

 詳しいことは、近くにある外国人相談窓口や各地の外国人在留総合インフォメーションセンターで相談しましょう。通訳者がいるため、日本語が話せなくても相談することができます。

Q8:私は、『技術』の在留資格で3年在留していますが、今回の更新申請で『単純労働』とみられるので更新は認められず、出国準備のため『短期滞在』の在留資格に変更するように言われました。どうしたらよいでしょうか。
A8:ご承知のとおり、「定住者(日系人を含む)」「日本人の配偶者等」などの一定の在留資格をもつ外国人以外は、日本の法律はいわゆる『単純労働』を認めていません。入国管理局は、在留期間の更新許可申請の拒否を決める際に、入管法第21条第3項に基づき、申請者の提出した書面に基づいて検討することになりますが、事実関係を含む実態調査をすることもあります。したがって、更新申請の際にも、在留資格に該当することを示す十分な資料を提出することが必要です。

 ご相談の場合、入国管理局はあなたの就労を『単純労働』に近いものという心証をもっているため不許可の決定を下したとのことですが、あなたの就労内容が『技術』の在留資格に該当する専門性の高い職務内容であるならば、あなたの職務内容の明細(タイムスケジュール、作業行程、写真など)や技術の証明として大学の卒業証書、資格証明書およびその訳文、雇用者の証明などを添付して再申請されることをおすすめします。出国準備の「短期滞在」に在留資格を変更してからの申請は難しいと思われますので、早急に十分な立証資料を準備して再度、更新申請をしてみたらいかがでしょう。

Q9: 日本の国籍法を知っていますか?
A9:「日本人」とは何でしょうか。日本に生まれた人ですか?両親が日本人の子ですか?コニシキやラモスは「日本人」ではないですか?国籍は民族ではありません。国籍は、それぞれの国の法律(国籍法)で決められ、国と人との法的な関係です。人はたいていある国に属しています。一方、民族というのは共通の文化や言語、宗教、歴史などを持つ人々の集団です。

 では日本の場合、どんなときに日本国籍を取得するのでしょうか。日本の国籍は、次のような場合に日本国籍があるとされます。

(1)出生のときに父または母が日本国民であるとき。
(2)出生前に死亡した父が、死亡した時に日本国民であったとき。
※(1)(2)の場合、両親が結婚していない婚外子は出生前に父からの認知が必要です。また、外国で生まれた時は、出生後3ヶ月以内に出生届とともに「国籍留保届」を在外日本大使館または日本の市町村役場に出さなければ日本国籍が無くなります。ただし、20歳までに日本に住むようになると、失った日本国籍を再取得できます。
(3)日本で生まれた場合、父母がともに分からない、または国籍を有しないとき。
(4)両親が婚姻届をしていない婚外子は、その両親が婚姻して子どもを認知したとき、20歳までに届け出をすれば国籍を取得できます。
(5)引き続き日本に5年以上住んでいる20歳以上の外国人は、法務大臣の許可を得るために帰化申請できます。しかし未成年者を持つ家族の場合、一緒に帰化しなければなりません。日本人の配偶者は3年以上日本に住んでいることが条件です。

 上記のような条件で日本国籍を取得しても、同時に他の国籍がある場合(重国籍)は、国籍選択の義務が生じます。日本国籍を維持したい場合は、各市区町村の役所の戸籍係に「日本国籍選択届」を提出しなければなりません。提出期間は、20歳までに重国籍になった人は22歳になるまでに、20歳以上で重国籍になった場合はそれから2年の間となっています。「日本国籍選択届」は、もう一つの国籍を放棄することを求めていますが、これは努力義務であって必ずしも放棄しなければならないとは限りません。もう一つの国籍が無くなるかどうかは、国によって扱いが異なります。
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