2005年12月号
 話し合うことが罪になる共謀罪を廃案にしよう!

  角田 富夫 (盗聴法に反対する市民連絡会)

 二度も廃案になった共謀罪新設法案は、昨年の特別国会に上程されましたが野党、市民、法律家、表現者の強い反対、マスコミの危惧などのため成立どころか、衆議院法務委員会で採決をすることもできず、継続審議となりました。今通常国会が文字通り共謀罪を廃案にできるかどうかの天王山になりました。政府・与党は、今国会で共謀罪を成立させることができなければ、本当に廃案になりかねないと、危機感を強めています。話し合うことが罪になる共謀罪の廃案を実現するために、頑張りましょう。

 言論・表現の自由を侵害し、刑法の原則を踏みにじる共謀罪は、法律で4年以上の刑が科せられている行為を実行することに「合意」すれば、実際に行動をおこさなくても人を処罰できるという法律です。憲法は、思想の自由、言論・表現の自由を保障しています。人は何を考え、何を言おうが、また、どういう思想をもとおが自由であり、そのことで処罰されません。人が処罰されるのは、法律で違反とされる行為を実際におこなった場合です。新設されようとしている共謀罪は、犯罪の実行を処罰するという刑法の原則を踏みにじり、思想の自由、言論・表現の自由を侵害するものものにほかなりません。刑法は犯罪の実現である既遂犯の処罰を原則としながら、例外的に犯罪に着手したが実現できなかった未遂、ごく例外的に予備、陰謀を処罰しています。予備行為は実行の着手にはいたらない準備行為のことであり、陰謀とは犯罪の「合意」のことです。予備罪の対象となっているのは内乱罪、外患罪、放火罪、殺人罪、強盗罪などの重大な犯罪に限られています。観念的には予備より更に前の段階である陰謀罪の対象は内乱罪、外患罪などにしぼられています。この陰謀罪と新設されようとしている共謀罪との関係ですが、法務省は基本的に同じ意味であると説明しています。2003年の刑法犯の犯罪統計をみると、既遂犯は約280万件、未遂犯は約16万件、予備は約130件、陰謀は0件です。これは犯罪の実行を処罰するという日本の刑法の考え方を反映しているものといえます。内乱罪、外患罪などの罪に限定されていた陰謀罪は筆者の知る限り二件しか適用されたことがありません。

対象犯罪は約620種類

 共謀罪の新設は、思想は処罰しない、犯罪が実際におこなわれ、被害が生じた時に、実行者を処罰するという日本の刑法の原則を根本から踏みにじるものです。共謀罪の対象となる犯罪は、約620種類にのぼります。この中には殺人や強盗などの重大犯罪といわれるものでけでなく、公職選挙法、道路交通法、水道法、消費税法など市民の日常生活にかかわる法律も数多く含まれています。同罪が新設されると、いままで日本の法律では内乱罪や外患罪などにしぼられていた共謀罪の対象が一挙に約620数種類の犯罪にまで拡大されることになります。これは、いままで重大な犯罪に限定されてきた陰謀・共謀罪を一挙に一般犯罪にまで拡大するものであり、日本の刑法体系を根本からガラリと変えるものです。

共謀罪に中止はない

 共謀罪は話し合い、犯罪の「合意」をすれば、処罰できるという法律です。犯罪の「合意」があれば、たとえその「合意」を数日後やめたとしても、共謀罪は成立します。いやそれだけではありません。例えば、市民団体が会議をして、その会議のなかでやむにやまれず違法とされる行為を行おうと一端「合意」した後、その同じ会議のなかでやめようとなっても、ケースによって共謀罪は成立するというのです。それは、共謀罪は犯罪の「合意」の時点で成立するからです。しかも、その犯罪の「合意」もキチンと議論をし、言葉で確認した「合意」でなくても、暴力団などのような団体の場合、目くばせによる「合意」でも成り立つというのです。これほど危険極まりない法律はありません。これでは、私たちはうっかり議論も、相談もできなくなってしまいます。

共謀罪は市民活動取締法

 政府・法務省は、共謀罪が組織的犯罪集団を対象とするものであり、市民団体、労働団体などを規制するものではないといっています。しかし、政府・法務省が共謀罪の対象団体の定義を「共同の目的を有する多人数の継続的結合体」とし、その団体が「団体の活動として、当該罪に当たる行為を実行するための組織」により行ったときはとしている以上、会社組織、市民団体、労働組合など全ての団体が共謀罪の対象となっていることは疑いありません。というのは、全ての団体が「共同の目的を有する多人数の継続的結合体」であり、活動は「団体の活動として」、支部や支社などの「組織」により行っているからです。恐らくほとんどの政党も含む団体が共謀罪の対象犯罪で取り締まられる可能性があるといっても過言ではないでしょう。それは、共謀罪の対象犯罪が620種類と広範だからです。 

共謀罪は危険極まりない、違憲の悪法です。なんとしても廃案に追い込みましょう

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