(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                            メール・ニュース 号外  発行:2005年1月17日
                                                         登録者数:382人
                                http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html 

 VAWW-NETジャパン(以下、VAWW)のNHK裁判は、予想通り、結審が延期されまし
た。以下、裁判速報と、メキキネット声明、そして明日(18日)の集会の詳細を配
信します。

■もくじ■

1.VAWW-NETジャパンNHK裁判速報
	結審は先送りに!次回は4月25日!

2.メキキネット声明
	遅ればせながら、控訴審に合わせて声明を出しました。

3.NHK問題に関する緊急記者会見と討論の会
	前回お知らせしたイベントの詳細情報です。

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                    1.VAWW-NETジャパンNHK裁判速報
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 本日(1月17日)、東京高裁812号法廷で、NHK控訴審・第3回口頭弁論が開かれま
した。法廷は定員30人程度に対し、傍聴希望者6-70人が集まり、入場は抽選とな
りました。その後、弁護士会館で開かれた傍聴者向け報告にも4-50人程度が集ま
り、今回の口頭弁論の注目度を示しています。

 今回は、「政治介入」報道により新たな事実が判明したため、VAWWも被告側三
者もいずれも意見書等を提出しました。VAWWは、信頼権侵害と説明義務違反とい
うこれまでの2つの主張とも深く関係する事実が明らかになったこと、そしてこ
れまで趣旨変更がなかった、編集の自由の範囲内だと述べてきたNHKの主張が崩
れた点などを主張したとのことです。一方、NHK側は今回の報道はこの裁判に影
響ないといった旨の主張をし、DJやNEPもそれぞれの主張をしました。詳細は後
日お知らせする予定です。また、VAWWは、安倍晋三・中川昭一の両議員と、海老
沢勝二(会長)、松尾武(当時放送総局長)、野島直樹(当時、総合企画室局長)、
そして長井暁CP(当時)の6名を証人申請しました。

 それに対し、秋山寿延・裁判長は、「報道された事実とこれまでの主張との関
係、結論の影響などについてさらに主張が必要。その上で、事実解明の必要があ
るかを判断したい」などと述べ、結審の延期を決定しました。

 次回控訴審口頭弁論は、4月25日(月)午前11時からとなりました。

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          2.NHKへの「政治介入」についてのメキキネット声明
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 1月12日付の朝日新聞の記事以来、4年前のETV2001番組改ざん事件をめぐって、
新たな事実が明らかになりました。個々の事実をめぐってはまだはっきりしてい
ない部分もありますが、これまで「疑惑」として噂されていた番組への政治介入
が浮き彫りにされたことは間違いありません。この事件を「メディアの危機」と
して問題視してきた私たちにとっては、これまでクエスチョンマークがついてい
た所に、重要なパズル片がはまったことになり、あらためて事態の重大性を認識
しています。

 番組放映前日の2001年1月29日におこなわれた「異例の局長試写」の背景に、
政治家の影があることは当初から言われてきました。事実関係は錯綜しています
が、以下の点においては一致しています。まず、番組放映前日に安倍晋三氏(当
時、官房副長官)らがNHK幹部と面談し、その場で当該番組について事情を聞き、
公正中立に報道しろなどと指摘したこと。その背景として、番組放映前にどのよ
うな番組がつくられているのかについての情報が既に自民党内で流れており、複
数の政治家が「偏向」した番組がつくられていると認識していたこと。そして、
安倍氏ら自民党代議士と面談したNHK幹部が、その晩に「異例の試写」をおこな
い、既にほぼ完成していた番組について、女性国際戦犯法廷における昭和天皇の
有罪判決のシーンをはじめ、日本の責任に関わるような部分を系統的にカットし
たこと。その結果、番組は当初の企画から著しく変更されてしまったことです。

 私たちは、これらの事実だけをもってしても、NHKへの政治介入があったと判
断するに十分だと考えます。そもそも、自民党総務部会や国会においてNHKの予
算審議をひかえていたこの時期に、NHK幹部が与党の議員をまわって、予算説明
だけでなく、まだ放映されてもいない番組について政治家に釈明するということ
自体、メディアの公共性を著しく損なう行為だといわざるを得ません。これは既
に「不祥事」といって済まされる問題ではなく、NHKと政治をめぐる構造的な問
題に他なりません。番組放映前には右翼団体がNHKなどに押し寄せていましたが、
今回明らかになったことと合わせて、私たちは言論が政治家の権力や右翼の暴力
に左右される暗い時代の到来を告げているように予感せざるを得ません。

 私たちは、放映直前の番組大改変の結果、視聴者の知る権利、出演者や取材協
力者の人格権および期待権が侵されたと考えています。実際、出演者の一人であ
る米山リサ氏については、放送と人権等権利に関する委員会(BRC)が、「人格権
に対する配慮」を欠いた放送倫理違反だったと判断しています。これまでのNHK
の対応は、そうした事態の重大性に比べて、極めて不充分なものだった考えてい
ます。

 と同時に、私たちは、4年前の番組改変が、組織としての放送局によって制作
現場の表現の自由が抑圧された事件だとも考えてきました。その意味で、今回の
事実発覚が、当時現場で制作に携わっていた長井暁氏の勇気ある内部告発に端を
発していたことには、かすかな希望を感じます。こうした実践こそが、「暗い時
代」を生きるのに必要な可能性を開くものだと考えています。

 以上の点から、私たちは、NHKに対して、一日も早く番組改変の全容を究明
し、責任の所在を明らかにし、詳細な経緯の説明をもって視聴者の疑念に正面か
ら答えることを改めて要求します。
                                                           2005年1月17日

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      3.イベント情報「NHK問題に関する緊急記者会見と討論の会」
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 NHKへの「政治介入」の問題など、テレビ・メディアの再生とジャーナリズ
ムの覚醒に向けた緊急の記者会見と討論の会を1月18日(火)に下記の要領で
開催します。メディアで活躍する10数名のジャーナリストや関係者がアピールを
行います。

 ※一般の方も入場できます。(入場無料 予約不要 先着順に受付)。
 ただし、会議室が満員になった場合は入場をお断りすることもございます。あ
らかじめご了承ください。

●会見出席予定者(50音順)
魚住昭(ジャーナリスト)、岡本厚(「世界」編集長)、桂敬一(立正大学教員
・日本ジャーナリスト会議会員)、北村肇(「週刊金曜日」編集長)、斎藤貴男
(ジャーナリスト)、坂上香(映像ジャーナリスト)、坂本衛(放送ジャーナリ
スト)、篠田博之(「創」編集長)、下村健一(市民メディア・アドバイザー)、
高橋哲哉(東京大学教員)、土江真紀子(TVディレクター)、服部孝章(立教
大学教員)、広河隆一(ジャーナリスト・「DAYS JAPAN」編集長)、
森達也(映画監督)、綿井健陽(ビデオ・ジャーナリスト)
※上記の方々以外にも参加を呼びかけています。
※出席者は事情により変更する場合があります。あらかじめご了承ください。

●コーディネーター/呼びかけ人代表  野中章弘(ジャーナリスト)

●日時 1月18日(火)午後1時30分〜3時30分 (開場1時10分)
※1時から受付を開始し、1時30分には会見を始めますので、スムーズに準備
できるようご協力をお願いします。

●会場 参議院議員会館第一会議室 電話03-3581-3111
     (地下鉄「永田町」「国会議事堂前」駅下車5分)
※国会にアピールする意味を込めて議員会館にて会見を行うことにしました。
※議員会館へ入館する際に通行証が必要です。会館入り口の階段脇にてスタッフ
がお待ちしますので、通行証を受け取って入館して下さい。

●問い合せ先  
アジアプレス東京事務所内  担当・綿井健陽
電話03-5465−6605 FAX 03−5465−6606

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  800字にまとめて、タイトルを添えてお送りください。
  匿名希望、字数については、ご相談ください。
 宛先 mekikinet-owner@yahoogroups.jp 
                            (号外編集担当・板垣竜太)

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│発行= 2004年1月17日                                              │
│ 発行所=メキキ・ネット事務局                                    │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
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