┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛
                        メール・ニュース vol.2(1) 発行:2001年9月28日
                           http://www.jca.apc.org/~lee/mekiki/index.html

 みなさん、こんにちは。前回のニュース送信以降、世界はニューヨーク、ワシ
ントンのテロ事件とその余波によって大きく揺れ動きました。それはまた、メデ
ィアの「危機」が剥き出しの形でわたしたちを取り巻きつつあるということを実
感させています。今こそ、情報の氾濫の中から真実と虚偽を見分ける「目利き」
の力が試される時です。
 今回お送りするメキキ・ネット通信では、テロ事件とメディアの問題に関して
アメリカから中野敏男さんに寄稿していただきました(次回送信予定)。また、
今回送信分では10月3日の討論会のご案内をいたします。


《もくじ》
〈今回送信分〉

1.10日3日メキキ・ネット主催
 「NHK第1回裁判報告会+討論会:『表現の自由』は誰のもの?」のお知らせ
    VAWW-NET ジャパンの裁判第一回公判の報告会にあわせて、討論会を行
    います。VAWW-NET ジャパンは何を訴える?この「事件」と公判が「訴
    えかける」ものは?共に語り合い、考えましょう。

2.署名事務局NHKとの直接対決(第二ラウンド)
    去る9月13日、ETV2001の改竄問題に対する署名事務局と署名者は、
    NHKに乗り込んでさらなる談判をしました。その、「はがゆい」報告
    を吉田俊実さんにしていただきました。

3.情報欄
    BRCが「法廷」の国際実行委員会の申立を棄却しました。


〈次回送信予定〉

4.社会情報研究所文化研究プログラム+メキキ・ネット共催ワークショップ
  「徹底検証:ETV2001改竄問題とメディアの現在」の報告
    あふれかえる熱気、飛び交う言葉たち・・・去る9月13日に行われた
    ワークショップの報告を、北原恵さんにしていただきます。

5.テロ事件とマスメディアの危機  中野敏男(在ニューヨーク州イサカ)
    現在、「報復」に向けてナショナリズムの高まっているアメリカから、
    中野敏男さんのリポートが届きました。

────────────────────────────────────

【1.メキキ・ネット主催「NHK第1回裁判報告会+討論会:
                『表現の自由』は誰のもの?」のお知らせ】

 NHK教育テレビで去る1月30日に放送されたETV2001「シリーズ 戦争を
どう裁くか」の第二回「問われる戦時性暴力」が放送直前に改変された問題で、
この番組の中心となった(なるはずだった)女性国際戦犯法廷(昨年12月開催)
の主催団体であるVAWW-NET ジャパン(代表:松井やより)が、番組改ざんの事
実を公共の場で明るみに出し、番組改変のプロセスで働いた検閲の構造の不当性
を明確にするために、NHK、NHKエンタープライズ21(NEP21)、ドキュメ
ンタリー・ジャパン(DJ)を相手取り、「信頼(期待)利益の侵害」「説明義務違
反」を問う訴訟を7月24日に東京地裁に提訴しました。その第一回公判を受け
た裁判の報告会と、討論会を企画しました。討論会では、特にNHK側がこの事件
で編集過程を明らかにできない根拠として持ち出してきた「編集権」や「表現の
自由」といった概念は何なのか、ジャーナリストの「表現の自由」はどうなるの
か、視聴者の「知る権利」との関係はどうなのかなど、この裁判を通じて提起さ
れる問題を手がかりにして、日本のメディアの現状について考えたいと思いま
す。ふるってご参加下さい。

 □────────────────────────────────□

  プログラム

   第一部 裁判報告会
        飯田正剛さんほか(訴訟弁護団)
        松井やよりさん(VAWW-NETジャパン代表)
        西野瑠美子さん(VAWW-NETジャパン副代表)

   第二部 討論会 「表現の自由」は誰のもの?
        問題提起:野原仁さん
          城西国際大学専任講師。早稲田大学卒業、名古屋テレビ 
          放送(株)報道局勤務後、同志社大学大学院、現在にい
          たる。専門分野はマスメディア市民参加論、ジャーナリ 
          ズム論、放送政策論。
          著書:『メディア用語を学ぶ人のために』世界思想社、 
          1999年(共著)。『叢書 現代のメディアとジャーナリ 
          ズム 第3巻』(共著)ミネルヴァ書房、2002年春 
          刊行予定。
        質疑応答・討論
                        資料代 500円

 □────────────────────────────────□

  とき・ところ 

   10月3日(水)午後7時(開場6時半)
    会場:東京ウィメンズプラザ、視聴覚室 
       位置:東京都渋谷区神宮前5−53−67
        JR山手線・東急東横線・京王井の頭線:渋谷駅下車徒歩12分
        営団地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線:表参道下車徒歩7分
        都バス(茶81系統・渋88系統):
          渋谷駅からバス4分 「青山学院前」バス停下車徒歩2分
            ホームページ: 
                  http://www.tokyo-womens-plaza.or.jp/womens/trafic.htm


  裁判の時間・場所は下記のとおりです。
    日時:10月3日(水)10時30分開始 
    場所:東京地方裁判所721号法廷
       千代田区霞が関1-1-4 
       交通:地下鉄丸ノ内線・日比谷線「霞が関駅」徒歩2分 
          有楽町線「桜田門駅」徒歩3分
 
────────────────────────────────────

【2.NHKとの直接対決】

 去る9月13日、「NHK教育テレビETV2001「シリーズ 戦争をどう裁く
か」第二回「問われる戦時性暴力」(2001年1月30日放映)に関するわたしたち
の見解と要望」署名事務局は、呼びかけに応えてくださった署名者と共に、NH
Kとの二度目の面談に臨みました。以下、参加された吉田俊実さんからの報告で
す。


「9・13NHKへの抗議」についての参加者報告(つぶやき含む)
                               吉田俊実

 11:30、NHK正面入り口前に着くと(この日の参加者10名ほど)、すで
に出迎えるかのように数名の職員が並んでいた。歓迎されているわけではないの
は十分承知。二回目とは言え、いささか緊張しながら別室へ案内される。対面式
に机が置かれた10畳ほどの部屋でレイアウト通り向かい合って座り、NHK側の
自己紹介から面談が始まった。中心に視聴者ふれあいセンター長の鈴木さん(繰
り返しの鈴木さん、外で見かけたら素敵な初老紳士)、その左側に久保田さん、
宮川さん(前回の印象―すぐ興奮する)。右側に女性が座る。その奥には二人の
男性(ちょっと目つきが悪い、にらみを利かせているつもり?)が陣取り、鈴木
さんが右側の女性から「三人が広報の者です」と紹介。
 
 署名者側は自己紹介なし、すぐ本題に入る。岩崎さんが二回のNHK回答はとて
も承服できるものではない、今回も責任者を含む現場の方々との面談を要求して
いるはずだがと言うと、鈴木さんは「それには応じられないし、応じる必要もな
い。すでに2回にわたり、番組制作局長出田幸彦が回答した内容がすべてであ
る」の1点ばり。以後、このセリフがこちら側のすべての質問に対して繰り返さ
れる。

 HNKがHPに掲げている放送の倫理性にかんする文章を、李さんが読み上げ、今
のNHKはみずからこの倫理性に背いているのではないかと、こちら側からの鋭い
突っ込みを開始。制作に協力したヴァウ、法廷に出廷した性暴力の被害者たち、
協力した出演者たち、さらに視聴者に向かって、この「改竄」をどう説明するつ
もりなのか、という問いに対しては、「ヴァウとの見解の相違は、係争の場で明
らかにしたい。出演者に対しては2回の制作局長の回答においてすでに説明し
た」。

 視聴者がこの倫理性と今回の件について説明を求めたらどうするのか、と尋ね
たら、ガゼン、宮川さんを中心に興奮度が高まった。「あなたたちは裁判支援を
しているので、一般視聴者の立場とは異なる。係争になっているのだから、裁判
を支援している視聴者には説明できない」と奇妙な論理を一気に展開(やっぱ
り、興奮しちゃった宮川さん)。ヴァウの立場を支持すると表明しただけで、
「一般視聴者のカテゴリー」から除外された私たち。(「一般視聴者」ってだれ
のこと?どこにいるの?)

 右翼新聞『国民新聞』が「自分たちの抗議でNHKが番組を改竄した」と誇らし
げに書いている。これに対して抗議はしないのか、という質問に対しては、「そ
の事実は知らない」との返事。最後に岩崎さんが、『国民新聞』に対してNHKが
正式に抗議をすることを要求します、と新たな要求をつきつけて抗議を次へとつ
ないだ。

 出口で広報の女性がなんとも言えない表情(共感を込めて─と確かに感じられ
た!)で笑いかけ、「ご苦労さまでした」と言ってくれたのが印象的だった…
(彼女も結構苦労しているかも)。

────────────────────────────────────

【3.情報欄】

8月21日 
 第55回「放送と人権等権利に関する委員会」(BRC)が開かれ、女性国際戦犯法
廷の国際実行委員会からの申し立てを審理の対象とするかどうかが討議されまし
た。しかし、今回は結論が出ず、次回9月18日の定例委員会で決定することにな
りました。

8月25日 
 この日付の『東京新聞』朝刊14面に、「“メディアの危機”に対抗 市民が
「メキキ・ネット」」という見出しで、メキキ・ネットが紹介されました。

9月13日 
 7月31日署名事務局宛に届いたNHKの回答が大変不十分であったので、直接番組
制作責任者との面談を求めて署名者がNHKへ行きましたが、NHK側は視聴者ふれあ
いセンターのみが応対し、「全て書面で回答した」と繰り返すだけでした。 ビ
デオ上映会および、東京大学社会情報研究所文化研究プログラムと共催でワーク
ショップ:「徹底検証:ETV2001改竄問題とメディアの現在」を開催しました。
                                
9月18日 
 女性国際戦犯法廷(以下、「法廷」)の国際実行委員会が、NHKによる名誉
権の侵害などを「放送と人権等権利に関する委員会」(以下、BRC)へ申し立て
ていた件で、BRCは9月18日に開いた委員会でこの申立を却下しました。いずれ申
立代理人である弁護団に却下理由の説明が書面でなされるものとみられますが、
基本的にBRCは裁判で係争中の案件であると判断して却下しました。

 同じ番組をめぐる問題ではあるものの、裁判では原告がVAWW-NETジャパンおよ
び松井やより氏個人であり、NHK・NEP21・DJが信頼(期待)利益を裏切り、説明義
務を怠ったことに対して損害賠償を求めているのに対し、BRCへの申立では「法
廷」の国際実行委員会が申立人となり、NHKの番組に名誉権の侵害および放送倫
理違反(正確に報道する義務違反、公平原則違反、説明義務違反)があったとし
て、NHK会長名による謝罪文を作成・放送した上で、「法廷」を正確に伝える番
組の制作・放送することを求めていました。8月21日に開かれたBRCでは、「申立
てと裁判の内容はほぼ同一」とする意見が多く出されていましたが、その場での
結論は出さず、弁護団が申立と裁判提訴との関係を説明するために用意していた
「意見書」の提出を待って、次の委員会で審理に入るかどうかを決定することに
なっていました。


《編集後記》
○ すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、メールニュースは毎号編
集担当が替わります。 よろしくお願いします。
○ 事務局宛にいただいたメッセージは、メキキ・ネットへの期待の大きさや多
様性をうかがうことができ、ありがたく読ませていただいています。ただ、事務
局の情報発信能力には限界があり、メール・ニュースでそうした思いに十分応え
ることができるかは心もとないものがあります。そこで事務局からお願いがあり
ます。
・)原稿を募集します!メキキ・ネットへの投稿、お待ちしています。分量は本
号を目安にしていただければと思いますが、融通はききます。長い場合は分割配
信も可能です。原稿料のようなものはございませんので、悪しからず..。
・)まだまだ情報のアンテナがたりません。関連した情報を教えてください。
・)ホームページの充実にもご協力ください。アイデア、情報等をお待ちしてお
ります。関連したリンク先も教えてください。
                        (第二号編集担当=河野)


◇──────────────────────────────────◇
│発行= 2001年9月28日                         │
│発行所=メキキ・ネット事務局                    │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/~lee/mekiki/index.html    │
│ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp             │
│ FAX: 020-4666-7325                      │
◇──────────────────────────────────◇