(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                    メール・ニュース vol.23(2) 発行:2006年11月2日
                           登録者数:327人
                             http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html


 暑いさなかの「靖国詣で」からは二ヶ月以上が経ちました。前回のメルマガに
掲載の宮田さんの「太陽」論にかんして「反響」をいただいております。機会を
改めましてご紹介いたしましょう。

 2001年1月30日に放映されたETVシリーズ「戦争をどう裁くのか」の第
2夜「問われる戦時性暴力」の取材協力要請を受けたVAWW-NETジャパンが、その
さいに受けた説明とはほど遠い番組内容だったとして、番組制作にかかわった
NHKとドキュメンタリー・ジャパン、NHKエンタープライズ21を提訴したことは
ご存知のとおりです。(くわしく事件についてお知りになりたい方は、メキキ事
務局編・一葉社発行の『番組はなぜ改ざんされたかー「NHK/ETV事件」の
深層』をぜひご覧ください!)

 その結審がさる10月11日に東京高裁で行われました。メキキ事務局はメル
マガを通じて裁判の報告をしてまいりましたが、残念ながら、事務局メンバーの
都合がまったくつかず、ご報告できないままにおりました。今回は、10月30
日に毎日新聞で組まれた特集記事「NHK特番問題:「圧力」あったのか 幹部
と現場の証言対立―控訴審結審」のURLから結審の内容をご紹介いたします。
(毎日新聞に感謝です!)また、裁判後に開かれたVAWW-NETジャパン主催の「報
告集会」の報告を一葉社の大道さんからいただいておりますので、あわせてご紹
介いたします。

 11月4日に「NHK受信料支払い停止運動の会」主催のシンポジウムが渋谷で
開かれます。先日、管総務大臣が拉致問題放送をNHKに命じる旨を電波管理審議
会に諮問する意向を記者会見で表明したばかりですが、「大本営発表」体制に近
づきつつあるのが現実。この問題も議論されることでしょう。危機的な状況のメ
ディアに対して、今、何かできるのか、ご一緒に考えたいですね。


 ■もくじ■

 1. 結審にかんして


 2.裁判報告集会


 3.「NHK受信料支払い停止運動の会」主催のシンポジウムのご案内
 
          あなたは受信料義務化に賛成ですか?
             〜それでもNHKを信じたい〜


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1.結審にかんして

  恐れ入りますが、下記をクリックしてください。

 NHK特番問題:「圧力」あったのか 幹部と現場の証言対立−−控訴審結審
(Mainichi INTERACTIVE)
http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/tv/NHK/news/20061030ddm012040002000c.html


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2.「NHK裁判10.11報告集会」の報告       
                     大道万里子(一葉社・編集者)

 去る10月11日、「NHK番組改ざん事件」控訴審第13回口頭弁論が行われた。
結審となり、判決は来年1月29日と決まる。奇しくも、NHKの松尾と野島らが
安倍晋三に面会した日。

 わたしは裁判を傍聴できなかったので、夕方からの報告集会に参加した。結審
だったためか、早稲田奉仕園You-Iホール(旧50人ホール)は満席で、メディア
関係者も多く出席していた模様。以下、ざっとその日の様子を紹介していこう。

 冒頭、松井やよりさんのビデオが20分ほど流れた。亡くなる2週間前から撮影
したビデオの一部分だそうだ。松井さんは、画面では思ったより顔色がよく、お
元気そうに見えた。しかし、撮影が終わるとぐったりなさっていたそうだ。
 撮影者からは、「お化粧、お気に入りのブレザー、赤いセーターは、松井さん
の“戦闘服”でした。これだけは伝えておきたい、という一念だったと思います」
と説明があった。
 松井さんの「番組を見た最初の印象は、中止になったのかと思いました。それ
ほど、思いもつかない番組になっていました」という言葉が印象に残る。ここで
語っている多くの言葉は、最後の陳述書として裁判所に提出されているという。
 なお、ビデオは『松井やより 全力疾走』というタイトルで販売されていると
のこと。

 次に、弁護団からの報告が続いた。
 弁護団長の飯田弁護士からは、「何を守るのか、という生き方が問われた裁
判。さらに歴史的事件にするために、いい判決が出るよう願っている」と。

 緑川弁護士は、最終準備書面提出のいきさつ(全部で177頁に及び、夜を徹し
てメールでやり取りなど)について触れた後、内容についておおまかな説明が
あった。「大きく、三つ主張しています。一つは、期待権(信頼利益)の侵害に
よる不法行為、二つ目は、説明義務違反、三つ目は新たに加わった視点で、一審
被告らの説明義務違反による不法行為責任です」
 最後に、「裁判所が正面からきちんと対処してくれれば、前進できると確信し
ています。どういう判決が出るのか、法律家として興味と期待を抱いています」
と結んだ。

 大沼弁護士は、三つ目として新たに加わった視点は能見善久東大教授の意見書
を元にしていること、『VAWW-NET Japan ニュース』(7・8月号合併号)に掲載
されていると説明。
 この『ニュース』では、能見教授の意見書について東海林路得子さん(VAWW-
NETジャパン共同代表)が、「この意見書が私たちの最終準備書面の支柱となっ
ています」として概略を紹介している。
 その中から、三つ目の視点の参考となる主な部分を抜粋しておこう。「原告に
は、取材への協力の有無、協力の仕方・程度についての自己決定権がある。本件
について言えば、原告はDJからの申し出が自分たちの意図に合うと判断して協
力を決めた。しかし、NHKによって原告の協力の決定の前提になっていたのと
異なる番組が制作された。このような場合には、原告には協力の撤回、番組の放
映の中止を申し出る機会が与えられてしかるべきだが、本件ではそのような機会
がNHKから与えられなかった。したがって、自己決定権がNHKから侵害され
たと考えられる。
(中略)
 このように原告が信頼して協力した番組が大きく変更されたにもかかわらず、
被告側から原告に何らの説明もされず、原告が取材協力を撤回するかどうかの判
断や機会を奪われたという自己決定権の侵害が、原告の法的利益の侵害である。
被告側の過失または法的利益の侵害は、NHK側が原告の信頼ないし期待に背く
方向で番組を改編し放映した点にこそある」
 また、大沼弁護士はNHK側の書面に対して、「こじつけや言い訳が多く、同
じ弁護士として苦しい主張だと思う。ある意味、腹を括っている」と感想を話した。

 その後、西野瑠美子さん(VAWW-NETジャパン共同代表)からは、「裁判官が公
正な判決をする勇気となるよう、1月29日までに、市民、メディア、学者それぞ
れの立場で世論を盛り上げてほしい」との切なる要望があった。

 この報告集会には、前述の東海林さんは体調を崩して参加されなかった。しか
し、資料に東海林さんがこの日、裁判所に提出した「陳述書」が入っていて、胸
に響く言葉で締められていたので、最後にその部分を紹介したい。

「私は小学校時代NHKのラジオ放送を聞き『日本の勝利』を信じこまされ、勉
強の代わりに勤労奉仕をさせられて育った世代です。再びそのような時代がくる
のだろうかという恐怖感を持たざるを得ません。NHKは市民に真実を知らせる
放送局であってほしいと切に願っています。この裁判がそのきっかけになるよう
にと心から期待します。」
 ――2007年1月29日、この国にも一縷の希望があることを!


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3. シンポジウムのご案内 

          あなたは受信料義務化に賛成ですか?
             〜それでもNHKを信じたい〜

  日   時 : 11月4日(土)18:00〜
  場   所 : 渋谷区勤労福祉会館 2階 洋室
          電話:03(3462)2511  
          地図:下記
            http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/sogo.html
            渋谷駅 下車 徒歩 約10分
            (地図にある「公園通り」に沿って進むと向かって右
             手に見えてきます。)
  プログラム : 前半 ゲストによる討論会
             ゲスト 吉岡忍(デジタル時代のNHK懇談会委員)
                 田島泰彦(上智大学文学部教授)
                 成澤 浩(全受労書記長)
                 今井 潤(放送を語る会代表)
             司 会 醍醐 聰(NHK受信料支払い停止運動の会
                      共同代表)
          後半 ゲストを交えた参加者の討論
            前半のゲストによる討論を受けて、参加者の皆様相
            互の意見交換、参加者とゲストの間の意見交換を行
            います。
   
        ゲストの方々の討論では、まずシジウムの主題である受信料
        の義務化、また、それを先取りするような民事督促に関して
        議論を交わしていただきます。その後、ETV番組の改ざんや命
        令による国際放送に見られるようなNHKと政治の関係、視聴者
        に開かれたNHKへどう改革していくのかなどを熱く語り合って
        いただく予定です。
        
  主   催   NHK受信料支払い停止運動の会
  協   賛   放送を語る会
  問い合わせ   電話&FAX 048(873)3520
          (NHK受信料支払い停止運動の会事務局)
          mail:shiharaiteishi@yahoo.co.jp
                   HP:http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/


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 裁判が始まってから5年の月日が流れていることに驚いています。その間に提
訴を決意した松井やよりさんが亡くなり、長井暁さんの告発があり・・・いろい
ろなことがありました。メキキ事務局メンバーは裁判報告を書き続けて参りまし
たがメンバーの生活にもさまざまな変化があり、結審には誰も傍聴できないとい
う事態になってしまい、メルマガ購読者のみなさまにはご迷惑をおかけし申し訳
なく思っております。
 いっぽうで、メキキ事務局ではこの5年間に4人の事務局メンバーが5人の新
しい命を授かるという、「小子化」現象に歯止めがかかるかと思わせるようなオ
メデタ続きだったこともご報告させてください。今年の新しい「メキキ二世」は
なんと双子ちゃん!でした。にわかパパは忙しのなんのって(^^);;
 この子どもたちに残したいメディアをしっかり守り育てて行くことが私たちの
務めだとも思っています。みなさま、ますますのご支援をよろしくお願いいたし
ます!


                   (22・23号編集担当・吉田俊実)


★ご意見、ご感想、ご投稿をお待ちしております。
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 匿名希望、字数については、ご相談ください。
  宛先 mekikinet-owner@yahoogroups.jp
                        
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 │発行= 2006年11月2日                                              │
 │発行所=メキキ・ネット事務局                                      │
  │ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
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