(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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             メール・ニュースvol.22(2) 発行:2006年4月15日
                           登録者数:351人
                http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html 

 三寒四温といいますが、自然界ではたしかな春の足取りが芽吹く木々に見出
されるこのごろです。しかしいっぽうで、人間界では、冬の時代に逆戻りして
いるのかと思わせるような、時代錯誤的<現象>に驚くこともしばしばです。
 そのひとつが、3月30日の参議院総務委員会での山本順三議員とNHK橋本会
長・原田放送総局長とのあいだの質疑応答でした。
 「放送の公共性の<いま>を考える全国連絡協議会(放公協)」には、メキキ
を含む約10団体が参加しておりますが、この質疑応答は憲法上の三権分立にも触
れる大変な事態との認識で一致しました。早速、各団体でNHK宛、あるいは山本
議員宛の質問書などを用意。NHK・山本議員への面会を求め、記者会見を4月13日
に開いて、この「暴挙」を世論に訴えました。書面を渡すための面会をNHK側か
ら事実上拒否されましたので、メキキはNHK橋本会長と原田放送総局長宛の抗議
声明を郵送にて送付いたしました。
 ちなみに、山本順三議員は「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の
メンバーであるそうな・・・。


 ■もくじ■

1 NHK裁判控訴審第11回口頭弁論(第4回証人尋問)
               および報告集会(4月17日)のお知らせ
                         「VAWW-NETジャパン」

2 「放送の公共性の<いま>を考える全国連絡協議会(放公協)」参加団体 
  による緊急記者会見!(4月13日 参議院議員会館にて)
    ―メキキはNHK橋本会長・原田放送総局長宛に抗議声明を郵送―


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1 NHK裁判控訴審第11回口頭弁論(第4回証人尋問)
                および報告集会(4月17日)のお知らせ
                        「VAWW-NETジャパン」

■NHK裁判控訴審第11回口頭弁論(第4回証人尋問)

 日時:4月17日(月) 午後1:10から(傍聴席抽選締めきり午後0時40分)
 証人:野島直樹NHK総合企画室・国会担当局長(当時)
 法廷:東京高裁101号法廷(東京メトロ霞ヶ関駅A1出口)
   (傍聴券の抽選が行われます。裁判所には抽選締切の午後0時40分より
    前にお越し下さい)

■NHK裁判控訴審第11回口頭弁論報告集会

 日時:同日 午後6時30分(開場6:00)
 場所:東京芸術劇場・5階中会議室(池袋駅西口出て徒歩2分)
 参加費:700円
  ◆プログラム◆
  ○原告報告
  ○弁護団報告……NHK裁判弁護団
  ○講演
  「NHK番組改変問題が問うもの--現代のメディア状況とも関わらせて」
   ……田島泰彦さん(上智大学文学部新聞学科教授・
            放送と人権等権利に関する委員会(BRC)・前委員)
  ○質疑応答


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2 4月13日「放公協」参加団体の緊急記者会見!
     ―メキキはNHK橋本会長・原田放送総局長宛に抗議声明を郵送―

 以下がメキキがNHK橋本会長・原田放送総局長宛に郵送した抗議声明です。

                抗議声明

 2001年1月30日に放映されたNHK教育テレビの番組ETV2001「シリーズ戦争をど
う裁くのか」第二回「問われる戦時性暴力」の改変問題にかんして、わたしたち
「メディアの危機を訴える市民ネットワーク」は、市民・視聴者の立場から大き
な関心を寄せ、再三にわたって、その真相の解明と再発防止をNHKに求めてきま
した。
 さる3月30日、参議院総務委員会で、山本順三議員が、この番組改変問題をめ
ぐって3月22日に開かれた東京高裁での審理にかんして、橋本会長を含むNHK幹
部に質問をしました。山本議員は、法廷で証言した永田浩三氏(番組放映当時
チーフプロデューサー)を名指しにして、「安倍議員に呼び出されたのではな
く、事業計画の事前説明のために出向いた」というNHKの公式見解を覆す証言を
したとして、NHKとしての「けじめ」を求めました。それに対して橋本会長は、
「人事上の扱いについては、適切に対処したいという風に考えております」と答
えました。この質疑応答に対し、わたしたちは大きな驚きと落胆を感じました。
 まずもって、国会議員がNHKの一職員を名指しにして、ただ協会側の公式見解
と違う見解を示したという理由だけで、国会の場でその処分を求めるとも取れる
発言をしたということ自体、NHKに対する異常な政治介入です。橋本会長は、国
会議員の番組制作現場への不当な介入に対して、職員を守るために毅然と対応
し、政治家とNHKとの距離を公の場で示すべきでした。にもかかわらず、むしろ
迎合するような応答に終始し、制作現場を守るどころか、むしろ直接的な圧力に
さらしてしまいました。この国会でのやりとりは、5年前の番組改変事件の構図
そのものを繰り返しています。これは、わたしたちにとってもきわめて憂慮すべ
きことで、山本議員およびNHK会長・放送総局長に強く抗議します。
 今回の裁判では、2005年1月12日に出された朝日新聞の記事を受けて、1月14日
に番組放映当時のNHK幹部が集まって、「〔放映前日の〕1月29日は安倍氏に呼
びつけられたのではなく、こちらから説明に行ったというふうに話してほしい」
「よく覚えていないという解答ではどうだろうか」といった口裏合わせらしきこ
とがあったことが示唆されました。これは、永田氏が吉岡民夫氏(放映当時の教
養番組部長)から聞いたこととして証言したものです。しかし重要なのは、これ
は永田氏だけが証言しているのではなく、今回原告側が証拠として提出したNHK
の内部資料(表題がないため、証拠番号にしたがって「甲175」と略称しておく)
に記されているという事実です。
 「甲175」は、永田氏によれば「NHKの番組を最前線で支えている人たちが、
この一連の事態に対して心を痛め、わがことのように受けとめて、ぜひその真相
の究明を、外からやるのではなくて自分たちの力で真実に一歩でも近づいて認識
を共有する」ことを目的とした勉強会で作成された資料です。このようなNHK内
部の自浄努力は、裁判以外の場ではまったくその姿を現わさないので、わたした
ちは、裁判によってはじめてその一端を知ることができました。遅きに失した感
があるとはいえ、NHK内部に真相を究明しようという動きがあること、当事者か
らの聴取にもとづいて協会側とは異なる見解を提示していることを、わたしたち
は重要視したいと思います。と同時に、そのような疑惑を一蹴するだけで済ませ
ようとする協会側の態度に強い不信感を覚えます。
 わたしたちは、何よりもこの事件の真相究明を求めています。憲法21条で保障
された報道の自由と表現の自由をみずから守るのか、あるいは捨て去るのか。そ
れは橋本会長をはじめとするNHK内部、ひとりひとりのジャーナリストの問題で
あり、そのひとりひとりのジャーナリストの声の抹消は、NHKという巨大な像を
ゆっくりと死にいたらしめることだということを申し添えます。

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 総務委員会での山本議員発言とその発言への応答にかんして、詳細をお知りに
なりたい方は、参議院のHPのビデオライブラリーでご覧いただけます。下記の
ページから山本順三発言をクリックしてください。
 http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/result_consider.php 

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                       (22号編集担当・吉田俊実)

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│発行= 2006年4月15日                        │
│発行所=メキキ・ネット事務局                    │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
│ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp                      │
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