(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                       メール・ニュース  vo.17(8) 発行:2005年2月9日
                           登録者数:366人
                             http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html 

 7日に行われたメキキ・ネット主催シンポジウムは、大盛況のうちに行われま
した。その模様をお知らせいたします。シンポジウムでは、具体的な行動案がい
くつか提示されましたが、まずは明日10日に、NHK会長宛の申入書を提出し
ます。

■もくじ■

 1.緊急シンポジウム『NHK番組改変・政治介入事件の原点を徹底検証』─報告
                    村山徹郎(メキキ・ネット事務局)

 2.明日10日・NHKに申入書を提出
    ──真相解明、オリジナル番組放映など5項目を要求

 3.イベント情報
  「人権擁護法案」に反対する!──緊急記者会見・集会


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 1.緊急シンポジウム『NHK番組改変・政治介入事件の原点を徹底検証』
                    村山徹郎(メキキ・ネット事務局)
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  2001年1月 NHK教育テレビで4夜連続して放送されたシリーズ「戦争をど
う裁くか」。その第2夜「問われる戦時性暴力」が異常としか表現不可能な大幅
改変をされ、その直後から私共メキキ・ネットは、その事実解明とそこに描かれ
た『女性国際戦犯法廷』主催の「バウネット・ジャパン」並びに出演者に対する
正式な謝罪を求めてきました。

 そうした一連の運動に連動し、朝日新聞のスクープと当該番組でデスクを務め
たNHK社員の勇気ある内部告発によって「NHK番組改変」の根底に明らかとなった
「NHKへの政治介入」を問うべく青山にある東京ウィメンズ・プラザで開催され
た当集会。

 同じテーマの元、先の5日に東京大学で開かれたVAWW-NETジャパン・
NHK問題を考える東京大学教員の会の共催による緊急集会では、その目玉と期
待された第2夜放送の番組ビデオを駆使した企画『すべて見せます』が、右翼の
暗躍とNHKによる著作権侵害との抗議に阻まれて急遽取りやめざるを得なくなり
ました。

 その余波を被って、当集会でも正に「NHK番組改変」現場に当事者として深く
拘わった現映像ジャーナリストの坂本香さんの講演から、当初予定されていた件
の番組ビデオ再生を断念せざるを得なくなりました。ビデオを使うことによっ
て、分かり易く『あのときその現場で何が起こった』かを明らかにしようとした
試みでしたが、そんなことにさえ横槍を入れてくるNHKに、私達は憤りを禁じ得
ません。

 ですが、そこは何時までも引きずられる訳にはいきません。「災い転じて福と
なす」そうした諺を地でいくように、韓国のTV放送局MBCも取材に来たほど当集
会は大いに盛り上がりを見せ無事閉会いたしました。

 第一部『番組検証「あのとき何がおこったのか−映像から振り返る」』では、
冒頭メキキ・ネットを代表して北原、板垣が、分かり易い、と評判を博したパ
ワーポイントを駆使しながら丁寧に改変への筋道と事実検証をなし、それは次い
で登場した坂上さんにバトンタッチされたことによって、臨場感溢れる現場実態
を会場に押し掛けた約200人の誰しもが味わう体験に繋げました。

 間髪を入れずに第二部『ディスカッション「政治とジャーナリズム−メディア
操作と自主規制の時代に抗して」』が始まり、司会を担当して下さったアジアプ
レス・インターナショナル代表の野中章弘さんの、その落ち着いた進行テンポに
よって、パネリストの皆さん、また会場にお越しの大学教員・新聞記者・市民運
動家・元NHK職員等から意義深い発言が多く上げられ、会場一杯の参加者もその
内容に充分実があったと覚え拍手が鳴りやみませんでした。

 最後に『問題提起』がパネリスト一人一人によって上げられ、鵜飼哲一橋大学
教授からは「メディアの中でいかにメディア批判が出来るかが大切」との意見
が、ジャーナリストの齋藤貴男さんからは「上の言うことを聞くか反抗するか、
人としての生き方に尽きる」との見解が、また、吉見俊哉東京大学教授からは
「NHKは利権があるから自民党と癒着。情報の私物化である」と指摘し、VAWW-
NETジャパン共同代表の西野瑠美子さんは「放送での法廷中傷は何度も流し続け
るのか」と訴え、更に坂上香さんからは「ジャーナリストは実は強くない、弱い
人間。弱い者同士のジャーナリストが手を繋ぎ声を上げることが大切。おかしい
ことがあったら『おかしい』と声を上げる」と呼び掛けるなど、印象的な発言に
恵まれました。

 締めくくりとして司会の野中さんが「沈黙の人々が問題。ジャーナリストや市
民、社会全体が拘わっている。沈黙は権力の最大の協力者」と結んで、ほぼ2時
間半に渡りながらも矢の如く過ぎ去ったシンポジウムを名残惜しむかのように、
会場に詰めかけた人々は夜の青山に消えていきました。


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 2.メキキ・ネット申入書提出行動
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 メキキ・ネット事務局は、明日10日にNHKにおもむき、7日のシンポジウム
でお配りした申入書を提出します。申入書には、以下5点の要求項目が記してあ
ります。

(1) NHKは、視聴者の「知る権利」にも関わる今回の事態を決して曖昧にし
てしまうのではなく、一日も早く番組改変の真相を究明し、責任の所在を明らか
にし、詳細な経緯の説明をもって視聴者の疑念に正面から答え、そのことについ
ての態度を明らかにすること。

(2) NHKは、今回のことで損なわれた「女性国際戦犯法廷」の名誉を回復
し、また、取材に応じた法廷関係者や制作に協力した出演者の損なわれた権利を
回復するために、必要な謝罪を行い、必要な回復の措置を実行すること。ととも
に、公共放送として、報道や番組制作に関係することになった人々、協力した人
々の権利をどのように守ってゆこうとするのか、その一般的な指針を示すこと。

(3) NHKは、ETV2001「シリーズ 戦争をどう裁くか」を、直前の大
改変によって損なわれてしまった第二回の内容を大改変前の原状に復した上で、
四回全体としてあらためて放送し直すこと。

(4) NHKは、いかなる政治介入や暴力的な圧力にも決して屈せず、公正な放
送を貫く旨をあらためて表明し、それを疑わせている今回の事態について、経緯
を包み隠さず明らかにして、正すべき方途を具体的に示すこと。

(5) 以上のことについて、それを具体化する方途を検討し、それが間違いなく
履行されることを確認するために、わたしたちとの話し合いの機会をもつこと。

 これらの項目の多くは、メキキ・ネットがその発足時からNHKに要求してきた
ものですが、未だに実現されていないものです。NHKは、こういった視聴者から
の要望に誠実に対応してこなかったがゆえに、現在のような窮状にあるともいえ
ます。今度こそ、誠意ある対応があることを願ってやみません。

 なお、当日の提出行動に参加されたい方、取材をされたいメディア関係者の方
は、人数制限・取材制限がありますのでメキキ・ネットの代表メールまでご連絡
ください。


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 2.イベント情報
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                   「人権擁護法案」に反対する!
               ──緊急記者会見・集会のお知らせ──

 政府によるメディア規制の動きが強まる中、人権団体や報道機関などの批判を
受けて2年前に廃案となった「人権擁護法案」が今国会で再提出されます。
 この法案では人権委員会を法務省の外局として設置することが提案されてお
り、さらにメディア規制の規定は当面凍結するものの、削除されないこととにな
りました。
 人権委員会は行政から独立したものでなければならず、法務大臣の所轄に属す
るという今回の法案には大きな問題があります。受刑者の処遇不満の申し立てに
もほとんど対応せず、国連が難民と認定したクルド人を強制送還(1月18日)す
るという法務省に人権救済の意志があるとは思えません。またメディア規制の項
目の凍結はいつ解除されるかわからず、これはメディアによる取材、報道に対し
て政府の介入を招き、表現の自由や国民の知る権利を侵すものと言わなければな
りません。
 私たちはこのような人権擁護法案を認めるわけにはいきません。この法案の持
つ問題点や危険性を広く訴え、国会への上程に反対するものです。

      日 時  2005年2月10日(木) 12:15〜13:30
      場 所  衆議院議員 第2議員会館 第4会議室
          (会館入り口で通行証をお渡しします)

呼びかけ人・団体 (五十音順)
 魚住 昭(ジャーナリスト)※ 岡本 厚(「世界」編集長)※ 
 海渡 雄一(監獄人権センター事務局長・弁護士)※ 
 桂 敬一(立正大学教員・日本ジャーナリスト会議会員)
 小町谷 育子(自由人権協会事務局長・弁護士)
 斎藤 貴男(ジャーナリスト)※ 田島 泰彦(上智大学教授)※
 魚住昭(ジャーナリスト) 岡本厚(「世界」編集長)
 海渡 雄一(監獄人権センター事務局長・弁護士)
 桂敬一(立正大学教員・日本ジャーナリスト会議会員)
 斎藤貴男(ジャーナリスト) 田島泰彦(上智大学教授)
  寺中 誠(アムネスティ・インターナショナル日本事務局長)※
 入管問題調査会 野中 章弘(ジャーナリスト・APN編集長)※
 服部 孝章(立教大学教授) 原 寿雄(ジャーナリスト)※
 吉岡 忍(作家)※  ほか
(※は発言予定者。事情により変更する可能性もあります。ご了承ください)

 問い合わせ先:アジアプレス・ネットワーク(APN)
        TEL: 03-3467-8991

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★ご意見、ご感想、ご投稿をお待ちしております。
  800字にまとめて、タイトルを添えてお送りください。
  匿名希望、字数については、ご相談ください。
 宛先 mekikinet-owner@yahoogroups.jp 
                       (17号編集担当・河野真太郎)

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│発行= 2005年2月9日                                               │
│発行所=メキキ・ネット事務局                                      │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
│ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp                      │
│ FAX: 020-4666-7325                                          │
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