(創刊:2001年8月18日)
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛
                       メール・ニュース vol.17(5) 発行:2004年11月29日
                           登録者数:380人
                              http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html
 みなさま、ご無沙汰しております。今号では、前号のメルマガで予告しまし
た、NHK裁判控訴審第二回口頭弁論の結果を報告いたします。詳しくは本文にゆ
ずりますが、原告被告とも証人申請が棄却され、このままでは次回をもって結審
という可能性も出てきました。

 また、イベント情報では二つのシンポジウムを紹介します。本メキキ・ネット
の事務局員でもある板垣竜太さんが、VAWW-NETジャパンの西野瑠美子さんと対談
するシンポジウム。そして当代きっての良心的ジャーナリストによるシンポジウ
ム。いずれも注目のイベントですので、参加してみてはいかがでしょうか。

■もくじ■
1.帰ってきた「東京裁判」──NHK裁判第二回口頭弁論報告
                     鈴木香織(メキキ・ネット事務局)
2.注目のイベント情報
  <1> シンポジウム
     「検証!女性国際戦犯法廷番組改ざん事件
         ――NHK裁判ってご存じですか?──」(12月12日・京都)
  <2> シンポジウム「マスメディアの戦争責任」(12月3日・東京)

**********************************************************************
1.帰ってきた「東京裁判」
                     鈴木香織(メキキ・ネット事務局)

 番組改ざんをめぐってNHKなどが訴えられた裁判で、制作に関わった三社の
なかでは孫請けに過ぎないドキュメンタリー・ジャパン社(以下、DJ)だけが
敗訴。これに不服のDJと原告VAWW−NETジャパンらが控訴してから8ヶ
月が経ちました。被告側三社(NHK、NHKエンタープライズ21、DJ)が
共同で不法行為をはたらいたと主張する原告。立場上いっさいの責任は無かった
と反論するDJ。ともに原判決(一審の判決)を不服としながら、両者は真っ向
から対立しています。まるで、主犯格NHKの責任から目を背けるように。

 改ざんされたのは、いわゆる「従軍慰安婦」制度を人道に対する罪として裁い
た民衆法廷を、取材して作られた番組でした。この「女性国際戦犯法廷」(以
下、「法廷」)が昭和天皇を「有罪」と判断したことなど基本的事実は伝えられ
ず、「法廷」への批判が目立つ番組でした。取材に協力した「法廷」主催者は、
裏切られたと感じました。でも、放送直前にNHK上層部の介入により、番組が
作り変えられていたことが発覚しました。それなのにNHKは責任無しでDJだ
けが裁かれるのは、あの東京裁判のようだと思いませんか?昭和天皇を免責し
た、あの東京裁判です。

 もちろん、結果として責任を立証できないのと、最初から免責するのとでは違
います。でも、NHKの責任を問うこと無しにこの裁判を終わらせるのは、「法
廷」の意義に背くことです。加害を処罰しないと加害は繰り返されるという真理
は、放送の世界をも貫いているはずですから。「法廷」はまた、加害の歴史を記
録し、記憶するための様々な装置の必要性を勧告しました。NHKが番組から
「法廷」の基本的事実を消し去ったことは、この勧告に反する行為でもあるので
す。

 ところが、去る10月27日の第二回口頭弁論では、原告・被告双方の証人申請が
ことごとく棄却され、原判決を覆すような証言の可能性が無くなってしまいまし
た。次回口頭弁論(1月17日)で結審するのは確実と見られ、判決は来年2月か
3月になりそうです。結審するまでは意見陳述等を文書にして出せますが、それ
もあと2ヶ月足らず。原告の努力に期待しましょう!

**********************************************************************
2.注目のイベント情報
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

<1>シンポジウム
   「検証!女性国際戦犯法廷番組改ざん事件
                ――NHK裁判ってご存じですか?――」
       ≪西野瑠美子さん・板垣竜太さん対談≫

   ★2004年12月12日(日)午後1時より4時まで
   ★京都大学文学部東館第一講義室
   http://www.kyoto-u.ac.jp/access/kmap/map1f.htm
   ★主催:NHK裁判を知って広げる会 
    連絡先: tn380227@mbox.kyoto-inet.or.jp 
   (★京都社会フォーラムの分科会企画として行ないます)
    *京都社会フォーラムについてはこちら
     http://kattac.talktank.net/ksf/
     http://kyoto.socialforum.jp/ 
   ★タイムテーブル
    13:00〜14:10 ビデオ「沈黙の歴史をやぶって
                〜女性国際戦犯法廷の記録」(64分)上映
    14:10〜15:00 西野瑠美子さん講演
    15:00〜15:30 板垣竜太さん講演
    15:30〜16:00 質疑応答

★西野さんからのメッセージ
 次回の裁判で結審の見通しが強くなっています。昨今、NHKの腐敗体質が次々
に露呈していますが、海老沢独裁体制を含めてこのような腐敗から生まれたのが
番組改ざん事件です。加害の歴史を無化し、「愛国心」を強化する日本の流れに
あって、この事件は「報道の自由」「表現の自由」に関わる深刻な問題をもはら
んでいます。裁判では、DJ(ドキュメンタリー・ジャパン、今回の番組を制作し
た会社)から上層部の「業務命令だった」という証言も飛び出し、覆い隠されて
いたベールが少しずつ剥がされてきました。
 裁判を通して何が明らかになったのか、なぜ、裁判を闘うのか、そして今、メ
ディアに何が起こっているのか、皆さんと共に考えたいと思います。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
<2>シンポジウム「マスメディアの戦争責任」

   パネリスト 本田雅和さん (朝日新聞社会部記者)
         明珍美紀さん(毎日新聞記者・前新聞労連委員長)
   とき      12月3日 (金曜日)18:00開場 18:30〜20:30
   ところ     幼きイエス会ニコラ・バレ修道院 9階集会室
         (電話)03-3261-0825
         JR四ツ谷駅麹町口下車ロータリー前(徒歩30秒)
         地下鉄丸の内線/南北線四谷駅下車  (徒歩2分)
   参加費    500円
   主催       カトリック東京教区正義と平和委員会
   連絡先     03-3991-2101(大倉一美)  03-5385-1247(清水靖子)

 私たちを取り巻くマスメディアは、戦争と憲法改悪を容認し、政治権力と癒着
し、刻々と私たちを戦争体制に向けて押し流しています。私たちは、そうしたマ
スメディアの実態に目覚め、情報操作に流されない抵抗する力を養いたい、その
願いを込めてこの集会を企画しました。パネラーの本田雅和記者は「戦争に反対
するために記者になった」と自らを語り、反戦の市民の声、戦場の民衆の姿を報
道し、また政府や多国籍企業の不正を明るみに出す記事を書き続けてこられまし
た。毎日新聞の明珍美紀記者は、「かつて戦争に駆り立てたジャーナリズムが、
市民とアジアの戦争被害者への謝罪を行なわないまま現在に至っている。そこに
ジャーナリズムの脆弱さがある」として、マスメディアの戦争責任、戦後補償問
題・慰安婦問題、イラク戦争の核心に迫る記事と発言を届けてこられました。多
忙を縫ってこの集会に駆けつけ、たっぷりと語ってくださる渾身のお二人の記者
に耳を傾け、私たちも共に抵抗する力を養うことができますように。またとない
この貴重な機会に、皆様お誘いあわせのうえ、ぜひご参加ください。

**********************************************************************
★ご意見、ご感想、ご投稿をお待ちしております。
  800字にまとめて、タイトルを添えてお送りください。
  匿名希望、字数については、ご相談ください。
 宛先 mekikinet-owner@yahoogroups.jp
                    (17号編集担当・河野真太郎)

◇─────────────────────────────────◇
│発行= 2004年11月29日                                             │
│発行所=メキキ・ネット事務局                                      │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
│ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp                      │
│ FAX: 020-4666-7325                                          │
◇─────────────────────────────────◇