(創刊:2001年8月18日) ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓ ★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛ メール・ニュース vol.17(3) 発行:2004年9月8日 登録者数:385人 http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html 今度は「受信料使い込み事件」。どこへ行くのか、NHK。 本号は、VAWW-NET JAPANのNHK裁判報告続報を、裁判原告弁護団への手紙仕立 てでお送りします。この裁判の発端となった改竄事件の原点は、本当の「被害」 はなんだったのか、もう一度見つめ直します。 また、メルマガ読者の北健一さんより、「武富士残酷物語」訴訟判決の傍聴 と、報告シンポジウムのお誘いの投稿をいただきました。こちらもメディアに対 する損害賠償裁判で、NHK裁判とはまったく逆の立場(被告)からの報告になり ます。しかし、問題は同じ。いずれも真実を伝え、権力を撃つメディアの役割が 問われる事件です。 ■もくじ■ 1.NHK裁判報告続報〜前略 NHK裁判原告弁護団のみなさま 鈴木香織(メキキ・ネット事務局) 2.読者投稿〜「武富士残酷物語」訴訟判決シンポジウムのお誘い 北健一(フリージャーナリスト) ********************************************************************** 1.前略 NHK裁判原告弁護団のみなさま 鈴木香織(メキキ・ネット事務局) いよいよ控訴審が始まり、第1回口頭弁論は満員御礼、原告側の意見陳述が認 められ、一審(地裁)判決の不当性を訴えたと聞いております。故松井やよりさ んを引き継いで原告となった、VAWW-NETジャパン共同代表の西野瑠美子さんから は、松井さんの被害が不当に軽視されたことへの不服が。同じく共同代表の東海 林路得子さんからは、「女性国際戦犯法廷」を傍聴した歴史学者として番組でコ メントした秦郁彦氏が、実は判決日しか傍聴していなかったという衝撃の事実が。 でも1回目の最大の収穫は、控訴審が一回で終わらなかったことってのは本当 っすか? 裁判長は早くも「すべて出尽くした」という見方で、あとは判決の枠 組みだけが問題であるかのよう。被告側はといえば、サッカーでいうなら、フォ ワード(取材を担当した孫受け会社で、唯一責任を問われたDJことドキュメンタ リージャパン)が駆けずり回る中、ゴールを固めるはずのNHKやNEP(エヌエイチ ケイエンタープライズ二十一。NHKの子会社)はベンチに引き上げ、高みの見物 だとか。それでも一回で終わらなかったのだから、世の中何が起こるかわからな いものです。 かといって、期待ばかりもしてられない以上、主張するところはバリバリ主張 しないと。弁護団のみなさんが心血注いだであろう控訴理由書ですが、拝読した 私は何か欠けているような気がしてしかたがありません。何故なら「女性国際戦 犯法廷」が受けた被害の大きさが、この理由書からは伝わってこないのです。 その何かとは、松井さんが生前、繰り返し言っていたこと;取材申し入れ時に は「和解の“わ”の字も無かった」こと、です。無かったからこそ取材を承諾し たのだということを明確にしないと、そもそも放送された番組のどこが問題なの か、把握しきれないのではないでしょうか。 放送直前に、昭和天皇の戦争責任、日本の国家責任が削除されてしまったこと で番組は、いわゆる「慰安婦」問題に対する日本政府の見解を映し出すものにな りました。VAWW-NETの抗議に対する回答の中でNHKの吉岡民夫教養番組部長は、 「日本とアジア諸国の和解への道を探ることの意味を考えるという番組のねらい から、『法廷』の『判決』内容については触れませんでした。」と答え、和解と 判決が相容れないものであるという見解を示しています。これは日本政府が加害 責任を不問にしたまま、アジア女性基金のような団体によって、被害者の懐柔を 目論むのと、同じ理屈です。 しかし実際には、日本政府が責任を回避し続けることが和解への道を閉ざして いるのです。加害責任を明確にし、責任者を処罰し、被害者に謝罪し補償して初 めて、被害者も和解の可能性を探ってみるかもしれません。加害者を許すかどう かは被害者が判断することです。加害者から言い出すことではありません。 日本の市民がその可能性に目を開くチャンスを、あの番組が奪ったことが悔や まれます。日本の市民こそが日本政府を動かせるのですから。 ********************************************************************** 2.9月16日 調査報道シンポジウムのお誘い メキキネットのメルマガ、いつも愛読しています。以前、NHK松山の「えひめ 丸事故1年」特番の自己規制問題で投稿させていただいたフリージャーナリスト の北と申します。 友人ジャーナリストの三宅勝久さんが『週刊金曜日』に書いた記事が一流企業 の名誉を毀損して許せんということで、1億1000万円払えという訴訟を武富 士から起こされた((株)金曜日も被告)ため、「明日はわが身」と考え、この名 誉毀損訴訟(三宅さんの記事のタイトルから「武富士残酷物語訴訟」と呼んでい ます)を支援する会をフリーライターを中心にやっています。 9月16日に判決を迎えますが、当日、判決の報告とともに、「調査報道の大 切さとおもしろさ」をテーマにしたシンポジウムを開きます。 個人情報保護法などの権力的規制に加え、疑惑企業・政治家による名誉毀損訴 訟の乱発、報道現場での行き過ぎた経費削減と人減らしなど、手間隙はかかるけ ど不正を暴く報道への逆風が強まるなか、「だからこそ調査報道は大切だし、お もしろいぞ」という取材経験を交えたホットな討論をします。フリー、社員問わ ず記者必聴! 報道のあり方に関心を持つ方々にも興味深い場になると思います。 パネラーは以下の方々です。 *鎌田慧さん 弱者に寄り添い権力を撃つルポライター。著書に『自動車絶望工場』(講談社文 庫)、『六ヶ所村の記録』(同)ほか。近著『狭山事件』(草思社)など裁判の あり方を問う作品も多い。 *山田厚史さん 徹底した取材にもとづいて、朝日新聞と『AERA』で辛口の健筆をふるう経済 部記者。著書に『日本経済診断』(岩波ブックレット)ほか。田原総一朗氏との 共著に『日本再敗北』(文藝春秋)。 *北村肇さん(コーディネーター兼) 毎日新聞社会部、サンデー毎日編集長などを経て週刊金曜日編集長に。新聞労連 委員長時代には「新聞記者の良心宣言」をまとめる。著書に『新聞記事が「わか る技術」』(講談社現代新書)、編著に『新聞記者をやめたくなったときの本』 (現代人文社) ◆9月16日午後6時30分〜 残酷物語訴訟判決報告&調査報道シンポジウム 会場=シニアワーク東京(JR飯田橋駅徒歩8分、ホテル・エドモント隣) http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/ibento/jigyo/tekishoku/map_sw.htm 本メルマガ読者のみなさま、ぜひお越しください。なお、当日午後1時10分 〜、三宅さんと金曜日が訴えられた名誉毀損訴訟(武富士残酷物語訴訟)の判決 言い渡しが「東京地裁611号法廷」であります。どなたでも傍聴できますので、 お時間があるかたはこちらもどうぞ(直接法廷にお越しください)。 ◆問合せ先 北健一 090−4138−2737 Eメール k-kita@h7.dion.ne.jp 週刊金曜日編集部 03−3221−8521 ********************************************************************** ★ご意見、ご感想、ご投稿をお待ちしております。 800字にまとめて、タイトルを添えてお送りください。 匿名希望、字数については、ご相談ください。 宛先 mekikinet-owner@yahoogroups.jp (17号編集担当・河野真太郎) ◇─────────────────────────────────◇ │発行= 2004年9月8日 │ │発行所=メキキ・ネット事務局 │ │ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html │ │ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp │ │ FAX: 020-4666-7325 │ ◇─────────────────────────────────◇ |