(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                       メール・ニュース vol.17(2) 発行:2004年8月17日
                           登録者数:381人
                             http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html

 「不祥事」続きのNHK、そこにかいま見える隠蔽体質は、ETV番組改竄事件にも
通じるものを感じます。今回は、その改竄事件裁判・控訴審の速報と、先日BRC
が出した少々問題含みの判断についてお送りします。

  また、横領を隠し通した3年間は、NHKのやらせをスクープした月刊誌『現代』
をNHKが訴えた、言論つぶし裁判とも重なります。くわしくはメキキ・ネットHP
http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html の「過去のメールニュース」欄で
vol.6(3)、vol.7(1)、vol.8(1)に連載した浅野健一さんの報告をご覧ください。

■もくじ■

1.NHK裁判控訴審・第一回口頭弁論速報
                       鈴木香織(メキキ・ネット事務局)

2.BRCの「?」な判断──山下幸夫弁護士に聞く

おまけ──ざわわ、ざわわ、ざわわ・・・

★メキキ速報★********************************************************

悪夢が現実に。米軍ヘリが民間施設に墜落炎上。大学キャンパスが米軍に占領?
メキキのおすすめは「きよこさん」のページ。新聞やテレビでは見られない写真
満載です。

http://www.ne.jp/asahi/cyura/kiyoko/albumpage/heri040813.htm


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1.「女性法廷」番組改ざんの責任を問うNHK裁判、控訴審スタート!
                        鈴木香織(メキキ・ネット事務局)

 この裁判でVAWW-NETジャパンら原告が主張してきた、「編集権といえども絶対
的なものではなく、人権に優先しないことは明らか」という考え方は、人権侵害
が横行するメディア労働環境を前に足踏みしているかのようだ。第一審判決で
は、被告3社のうち最も弱い立場にある制作会社、ドキュメンタリー・ジャパン
(DJ)のみが責任を負わされた。つまり、取材に協力するなかで原告が、放送さ
れる番組の内容に信頼を抱いたとしても、それがどのように編集されるかわから
ない段階で信頼することじたい無理なのだから、編集・放送したNHKにはなんの
関係もないことで、信頼させたDJが悪いという理屈。編集権がNHK会長の占有す
る権力である限り、編集権と取材協力者の信頼利益は幾らでも両立可能ってこと
か。DJは、逆転無罪を狙って証人申請するようだが、取材者が取材対象に説明す
ることなど何ら特別なことではなく、信頼を与えた責任を問われるスジアイは無
いと証言させる、つまり、「初期段階」の説明には自ずと限界があることをVAWW
が知るべきだったという内容になりそうな気配。だって編集権なんて無いんだも
ん!と開き直り作戦。7月28日の第一回口頭弁論で意見陳述を許された原告だ
が、控訴審は決して長くは続かない。主張すべきは早めに。

 くわしくは次号の裁判報告をご覧ください。

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2.BRCの「TVタックル」関連判断
                             ──公人の「名誉権」の過剰な保護?

  6月4日、BRCは自民党の藤井孝男議員の申し立てについて、名誉権侵害を認め
る勧告を出しました。その内容が、「<拉致問題>について消極的態度をとって
いる印象」を与えるような編集だった、ということもさることながら、政治家と
いう公人の「名誉権」がどこまで保護されるべきかという問題を投げかける判断
となっています。

  メキキ・ネットでは、この判断について、BRCへの申し立てについて詳しく、
「ETV2001」改竄問題では米山リサさんの代理人をつとめられた、山下幸夫弁護
士にコメントをいただきました。

★        ★        ★        ★        ★        ★        ★

 放送と人権等権利に関する委員会(BRC)は、テレビ朝日が2003年9月15日に放
送した「ビートたけしのTVタックル」において、自民党の藤井孝男議員が、北
朝鮮による拉致問題について、全く関係のない映像を切り貼り編集して、不規則
発言をしたと視聴者に認識される放送を行い、その結果、藤井議員が北朝鮮に対
する拉致問題では極めて消極的な態度をとっているとの印象を一般視聴者に与
え、藤井議員の名誉を著しく毀損したとして申し立てたられていた案件につき、
2004年6月4日、名誉権侵害があると認めて、テレビ朝日に対して、名誉回復措置
をとるように勧告した。

 今回、政治家という公人がBRCに対して申し立てをした初めてのケースであ
り、その帰趨が注目されていた。しかも、テレビ朝日は、別の番組で藤井議員の
意見表明の機会を与えたり、当該番組でお詫び放送をするなど、度重なる謝罪や
名誉回復措置をとっていた。それにもかかわらず、BRCは、結論として、見解で
はなく勧告という強い救済を認めたのである。

 この点については、従来、BRCが扱ってきた私人が申し立てたケースと比較し
ても、破格に手厚いのではないかという批判もあるところであり、私も全く同感
である。

 そもそも、公人の公的・政治的な言動については、国民や報道機関による報道
をもっとも甘受すべき立場にあり、それについて多少の行き過ぎがあったとして
も、人格攻撃にならない限り、「公正な論評」として許容されるべきものであ
る。今回のケースについて、テレビ朝日にも落ち度はあるものの、藤井議員の名
誉権の侵害を認めた点については、藤井議員のこのような公人としての立場と、
そのような者に対する表現の自由についての配慮に欠けるものと言わなければな
らない。その意味において、今回のBRC決定は、BRCのあり方に対して疑問を投げ
かけるものとなったと言わなければならない。
                                                   (弁護士 山下幸夫)

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おまけ 〜 風が通り抜けるだけ・・・で、済めばいいですね、の替え歌です。


♪ざわわ...ざわわ...ざわわ...いらくバージョン♪
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     原案・歌  ザ・ニュースペーパー、谷本賢一郎(フォークシンガー)
     採録・脚色 鈴木香織(ムジャヒディン・オブ・メキキスタン)

            サマワ サマワ サマワ 広いイラクの中で
            サマワ サマワ サマワ 「自衛隊」が居るところ

            サマワ サマワ サマワ アラブの砂漠の中で
            サマワ サマワ サマワ 風が通り抜けるだけ

            はるか東の海を越えて
            君たちはやって来た
            戦闘つづく 占領下のイラク

            サマワ サマワ サマワ いつまで非戦闘地域?
            サマワ サマワ サマワ 多国籍軍の居るところ

            サマワ サマワ サマワ アラブの砂漠の中で
            サマワ サマワ サマワ 風が通り抜けるだけ

★「ザ・ニュースペーパー(www.dop.co.jp)」第65回公演で谷本さん扮する自衛隊
員が口ずさんだ替え歌を、記憶をたよりに再構成しました。(鈴木香織)

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                    (17号編集担当・河野真太郎)

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│発行= 2004年8月17日                                              │
│発行所=メキキ・ネット事務局                                      │
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