(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                       メール・ニュース vo.17(10) 発行:2005年2月17日
                           登録者数:370人
                             http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html 

 7日のメキキ・ネット主催シンポジウムは大変な盛況となり、時間が足りない
のが惜しまれる充実した内容でした。しかし、時間以外に何かが足りないと思わ
れたかもしれません。──それは、現在のNHK内部からの声です。

 会場にNHK関係者がいなかったわけではありません。事実、シンポジウム
後、今回許可を得てご紹介するメールがメキキ・事務局に寄せられました。当日
発言していただく機会がなかったことは残念ですが、貴重な提言が含まれますの
で、ぜひお読みになってください。

■もくじ■

 1.NHKの内部浄化と受信料支払い停止運動
         ──7日シンポジウムに参加したNHK職員からのメール

 2.長井暁プロデューサーの窮状

 記者会見後、長井さんがどのような窮地に立たされているか。「日刊ベリタ」
から記事の一部を紹介します。

 2.イベント情報
     ──放送フォーラム/市民・視聴者の手でNHKをどう変えるか
     ──NHK番組への政治家介入・報道、表現の自由を考える市民集会


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 1.NHKの内部浄化と受信料支払い停止運動
         ──7日シンポジウムに参加したNHK職員からのメール
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 昨夜の緊急シンポジウム、7時過ぎ、ちょうど坂上さんの発言の終わりごろに
入場しました。

 二部のシンポジウムは、時間が短くて、壇上の方が最初と終わりに発言された
だけなのが残念だったのと、やはり、違う立場の人(自民党関係者でも、NHK
関係者でも)がお一人でもいらしたらと思いました。

 幸いというべきか、残念ながらというべきか、私に発言の機会はありませんで
したが、あの場で指名されたら、2点申し上げたかったと思います。

 一点目は、

 「政治家が影響力のあるメディアに介入しようとするのは9.11以降のアメ
リカを見るまでもなく、世界どこでも当然のこと、問題は、その圧力を現場に及
ぼさない仕組みを作ることです。今回一度も話題に上っていませんが、NHKで
は、1981年に起きたロッキード事件報道で三木元首相のインタビューが報道
局長の指示でカットされた事件以降、労使で議論し、1989年に『放送活性化
会議』という、上司の命令で内的自由が侵された場合、申し立てがあれば、調査
をし、現場に報告する機関が設置されました。日本のメディアでは唯一の機関で
す。しかし、内部でもあまり知られておらず、長井CPもこれを活用することな
く、コンプライアンス委員会による内部告発通報制度ができるまで、申し立てま
せんでした。この会議は、座長が放送総局長ですが、今回のように、放送総局長
そのものが内的自由を侵したと推察される場合、仮に申し立てがあったとして
も、当然機能しないでしょう。だとすれば、どういう仕組みがいいのか、内部だ
けでなく、視聴者とともに議論すべきテーマだと思います。」

 二点目は、

 「東大の教授の皆さんが中心になって、受信料支払い停止の会を結成されたこ
とについてです。受信料の支払い留保・停止という手段は、今回、海老沢会長が
退陣に追い込まれたように、視聴者が唯一意思表示できる手段として、基本的に
私も個人的には認めています。経営委員会もあまり機能しておらず、民間企業の
取締役会や株主総会にあたるものも、正確な意味では存在しない以上、経営の失
敗を追及する手段として、一般市民が抗議の意味を込めて支払い拒否をすること
は、罰則がないという制度であることも考え合わせれば、正当な手段であると思
います。しかし、現在、受信料を支払わなくてもよいという風潮が広がり、不祥
事以降の経営の対応や政治との距離という問題は別として、理由も言わず、払わ
なくなっている人が激増しています。これは表には出ていませんが、その数は、
公表されている不祥事による支払い拒否の40万件をはるかに上回り、NHKは
今、財政的に重大なピンチにたたされています。このままいけば、減収額はおそ
らく数百億円、受信料総収入の1割に迫るのも時間の問題だと個人的には感じて
います。

 支払いの留保により、経営の姿勢が変わる前に、番組制作費が削られ、現場の
職員の賃金が下がるだけならまだしも、受信料を収納する地域スタッフの生活が
立ち行かなくなるなど、NHKの仕事に携わる職員以外の弱者を直撃する事態が
迫っています。ちょうど、北朝鮮へ経済制裁をしても、党幹部は打撃を受けず、
市民がさらに困窮することが想像されるのと同じ構図です。大学の教授の皆さん
がまとまって受信料の支払い停止をする影響は計り知れません。明確な抗議の意
図がなくても、受信料は払わなくてもいいという風潮を後押し、結果として、公
共放送が消滅することにつながることを危惧します。(私は、これも個人的な意
見ですが、公共放送=NHKとは思っていないので、現在のNHKが崩壊しても
仕方がないと思いますが、ヨーロッパだけでなく、韓国やアメリカにも存在し、
一定の役割を果たしている公共放送というシステムが消えることは、おそらく日
本の社会にプラスにならないと思っています)むしろ、受信料を払い続ける宣言
をしていただいた上で、その代わり、支払い者としての当然の権利を要求する、
例えば、『ETV2001』の再放送を求めることや検証番組を作ることもそう
でしょうし、経営委員会の委員を選挙制にし、その投票の権利を支払い者に求め
るよう運動を起こしたり、経営委員会に直接いろんな働きかけをすること、それ
をNHKにとがめられたら、支払い者の当然の権利として、支払い続ける意思表
示をしていることを武器に戦う、そんなあり方もあってもいいのではないかと思
います。

 ただし、私は現状の受信料制度をそのまま守るべしと思っているわけではあり
ませんし、今のNHKが皆さんから進んで受信料を払ってもらえるような状態に
ないこともよく承知をしています。現行の受信料制度は、崇高な理念とは裏腹に
制度疲労も多いし、制度理解の周知方法も含め、メディア環境の変容にまったく
即していません。NPO化、有料スクランブル化、広告放送の導入など様々な選
択肢との組み合わせも含め、一度原点に帰って議論し、メリットとデメリットを
整理したうえで、市民の皆さんが納得できる制度にあらためることは、喫緊の課
題だと思います」

という二点です。

 二点目は、反論も多いでしょうが、今や不払いは、制裁の意味を超え、民放で
はできなかった番組(今回のパネリストの野中さんや坂上さんのような良心的な
制作者に門戸を開いてきたことも含めて)を守ってきた公共放送を追い落とすと
ころまで来ています。今のままでは、数年先ではなく、今年中にも、雪崩を打っ
て、NHKは崩壊するでしょう。もちろん、そうならないために、内部の者が根
本的な改革案を示さなくてはならないのですが、まだまだ改革が着々と進んでい
るという状況ではありません。今回シンポジウムに集まった皆さんのように、公
共放送のありようを真剣に考えてくださる方々と、内部にいる良心的なジャーナ
リストが連携できる道筋を見出さなければならないと思います。
                          (NHK職員・匿名)


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 2.長井暁プロデューサーの窮状
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 内部告発会見以降「有給休暇中の身(週刊新潮2/10号)」といわれる長井さん
の消息を、インターネット新聞『日刊ベリタ』から。有料記事のため全文転載は
不可とのことです。

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  *  告発の長井氏、自宅に帰れず 公安の尾行受けながらホテル住まい   *
  *  第2の内部告発者も準備中か                                     *
  *                                                                 *
  *  東京24日=稲元洋】NHKの従軍慰安婦問題番組をめぐり、       *
  *  1月13日に内部告発会見に踏み切ったNHKの長井暁             *
  * (ながい・さとる)チーフプロデューサーは、自宅に帰ることも      *
  *  ままならず、都内のホテルに身を潜める生活を送っている。         *
  *  NKH関係者が明らかにした。...                                *
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 くわしくは、以下のサイトへ。(リンク可)

 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200501240559521 


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 3.イベント情報
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            第16回放送フォーラム

         市民・視聴者の手でNHKをどう変えるか

   1月25日NHK海老沢会長辞任がメディアで大きく報じられました。
  連続した不祥事による受信料支払い拒否が45〜50万件など視聴者の
  強い反発による辞任でしたが、NHKと政治の問題は何ら解明されて
  いません。これからのNHKをどうするのか? 「放送を語る会」が
  発足以来追求してきたテーマで討論します。

   日時:2005年2月18日(金) 19:00〜

   会場:渋谷勤労福祉会館
      (JR渋谷駅ハチ公口出て、公園通りNHK方向へ、
       渋谷パルコPart2筋向かい。駅から徒歩5分)

   問題提起
    「放送レポート」編集長 岩崎 貞明 さん
     (「放送レポート」編集委員会が緊急アンケートした
      「私が考えるNHK改革」を基に報告)

    放送批評懇談会発行「GALAC」編集長 小田桐 誠 さん
     (近著・文春新書「テレビのからくり」、4月にNHK・民放含む
      放送界のしくみ・法制度への提言を準備中)

   参加費1000円
   フォーラム後、懇親会あり(2000円)

   主催 放送を語る会
   協賛 JCJ放送部会・メディア総研

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   NHK番組への政治家介入・報道、表現の自由を考える市民集会

	日時:2月21日(月) 午後6時より8時30分まで
	
	会場:弁護士会館5階 東京弁護士会 502号会議室
	地下鉄丸の内線 霞ヶ関駅下車 B1(日比谷公園)出口下車0分

	パネラー
	 服部孝章氏 (立教大学教授 放送法制論)
	 斉藤貴男氏 (ジャーナリスト)
	 中山武敏  (弁護士)
	 杉浦ひとみ (弁護士)

	コーデイネーター 梓澤和幸 (弁護士)

	進行:	パネルデイスカッション
	 	 フロアからの質問、発言

	放送番組への政治家介入についてメデイア同士の対立とか、取材倫理
    や記者の傾向の問題などにすり替えようとする動きがあります。
    しかし放送内容の政治家への事前説明は放置できず、弁護士有志は
    報道表現の自由の危機とみて声明を発表しました。
    この問題について意見を交換し今後の方向をさぐる集いをもちます。
        みなさまぜひご参加ください。

	入場無料
	主催:報道表現の危機を考える弁護士の会

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★ご意見、ご感想、ご投稿をお待ちしております。
  800字にまとめて、タイトルを添えてお送りください。
  匿名希望、字数については、ご相談ください。
 宛先 mekikinet-owner@yahoogroups.jp 
                       (17号編集担当・河野真太郎)

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│発行= 2005年2月17日                                              │
│発行所=メキキ・ネット事務局                                      │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
│ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp                      │
│ FAX: 020-4666-7325                                          │
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