(創刊:2001年8月18日) ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓ ★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛ メール・ニュース vol.15(3)発行:2003年 9月 7日 登録者数:389人 http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html 「6カ国協議」がきな臭さだけを残して終わる一方、テレビのチャンネルを回 してみれば、そこには歪曲・針小棒大を絵に描いたような「北朝鮮報道」合戦。 そこに、事実に真摯に向き合おうというジャーナリストの姿はほとんどかいまみ られず、なんという時代に生まれてきたのだろうとの思いを抱きます。今回ご紹 介する鈴木香織さんの記事も、そのような現状をくっきりと浮かびあがらせるよ うな一例です。 また、9月10日に迫ったNHK裁判・証人尋問最終回はもちろん、注目すべきイ ヴェント情報を二つご紹介します。 <もくじ> 【1】知ってるつもり? 北朝鮮食糧援助のゆくえ メキキ・ネット事務局 鈴木香織 【2】9月10日・裁判傍聴の呼びかけ 【3】イヴェント情報 (1)朝鮮−日本 絡まり合った歴史と現在を考える集い (2)第14回「放送を語るつどい」─戦争報道を問う ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 【1】知ってるつもり? 北朝鮮食糧援助のゆくえ メキキ・ネット事務局 鈴木香織 良いニュース:世界食糧計画(国連の食糧援助機関、略称WFP)によると、 北朝鮮への食糧援助はちゃんと北朝鮮の市民に届いています。悪いニュース:日 本のマス・メディアはその事実をめったに報道しません。 私は二つのニュースを同じ日に知りました。5月30日の朝、良いニュースを ジャパン・タイムスで、悪いニュースは朝日新聞で。それぞれのタイトル、ジャ パン・タイムスの記事の要約、朝日の記事全文は次のとおりです。 ┏――――――――――――――――――――――――――――――――――┓ 専門家コメント「北朝鮮は食糧援助を誤用していない」 (Pyongyang not misusing food aid: expert) [the Japan Times] ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 北朝鮮事情にくわしく、現地で援助活動を指揮した経験もあるイギリス 人専門家、へーゼル・スミス氏が、29日に外国人特派員協会で、北朝鮮 にまつわる「メディア神話」について講演した。スミス氏によれば;報道 されるような北朝鮮軍の軍事力、餓死者や難民数には誇張があり、援助食 糧の軍への流用を裏付ける証拠は何も無い;海外援助は17才以下の子ど もたちに支給され、子ども達の栄養状態が改善していることを示すユニセ フの調査が、それを証明している;大人たちは国内生産に頼っているから、 海外援助を受け取っていないと言う;韓国や中国の援助を優先的に受け、 金も持っている軍人やエリートが、援助食糧に手を出すことは考えられな い。 ┗――――――――――――――――――――――――――――――――――┛ ┏――――――――――――――――――――――――――――――――――┓ 北朝鮮 「援助食糧が軍人向けに」 WFP元職員証言 [朝日新聞 朝刊 国際面] ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 北朝鮮で98年から01年まで計18ヶ月間、世界食糧計画(WFP)の職員 として食糧援助に当たったへーゼル・スミス氏が29日、東京の外国人特派 員協会で、幼児や妊婦などを主な対象にした世界からの食糧が軍人向けに 転用されている実態の一端を明かにした。 スミスさんがつかんだ証拠は、96年に韓国の東海岸沖で座礁した北朝鮮 の潜水艦の中から見つかった1個のイワシの缶詰。「USA」のラベルが 決め手となり、米国から送った数百万個のうちの一つとわかったという。 ┗――――――――――――――――――――――――――――――――――┛ 同じ日に同じ場所で同じ人物が、援助のゆくえについて全く逆のコメントをし たことになります。他紙では該当する記事がみつかりません。そこで、WFP日 本事務所に問い合わせたところ、広報官の寺嶋秀之さんから次のようなお返事を いただきました。 ◇ ヘーゼル・スミス氏(現職は国連大学学術審議官)の講演には私も同席し、 講演の全部をビデオで収録しています。北朝鮮への援助食糧が軍部へ流用 されていないというのが、スミス氏とWFPの統一見解です。スミス氏は 講演の中で次のようにコメントしました。 「北朝鮮における援助食糧の軍部への横流しは、ただの一例を除いては、 確認されたことがなく、北朝鮮内に入っている国連機関、およびNGOなど の国際機関の誰もがその痕跡を確認していない。栄養調査を見ても、あれ だけの改善が見られたということは、支援食糧がちゃんと行き渡っている 証拠である。ただの一例とは、韓国で座礁した潜水艦内から支援食糧の缶 がただ一缶発見されたということだった」 「軍部やエリートクラスは、国内で収穫された食糧や政府間で行っている 二カ国間援助食糧に、優先的にアクセスしている。その中には、米やその 他比較的良い食料がそろっており、WFPが支援のために持ち込んでいる、 小麦粉、トウモロコシの粉、混合食糧(大豆、トウモロコシ、ミルク等) などには、よほど好まない限り、手をつけないと思っている」 発見された缶詰がなぜそこにあったか、スミス氏はコメントを避けていま した。我々も解り得ないことを臆測でコメントすると、それがまた臆測を 呼び、事実が歪曲されかねないからです。ワイドショーなどの証拠も裏づ けもない心無い報道には、散々迷惑を受けてきました。 軍の使用する潜水艇から缶詰が一缶見つかったからといって、軍隊が組織 的に援助食糧の流用や配給後の回収に関わっているとは断言できません。 年間4,000回から5,000回に亘るモニタリングで、大規模な援助食糧の流用 は確認されておらず、タダでさえ食料が不足している国で、そのような規 模のカモフラージュは難しいとWFPは見ております。 朝日の記事は、話の一部を針小棒大に報道したもので、このような報道で 支援が遠ざかり、何十万人、何百万人の人々が飢えに苦しむと思うと、心 痛みます。 ◇ もし私が朝日の記事しか見なかったら、「ああ、やっぱり」と思って、援助を 控えることに心の痛みさえ感じなかったと思います。目から鱗が落ちた私は、朝 日新聞社に抗議の電話をかけました。 電話に出た広報のオオムラさんに用件を述べると、「WFPは、追跡調査でき ないところには援助物資を送らないはずです」とおっしゃいます。それが世間の 常識になっていないことが問題で、それは朝日新聞が書かないからというのが、 抗議の主旨。オオムラさんは、抗議があったこととその内容を文書にして、担当 (この場合、外報部)に送ると約束してくれました。済まなさそうに説明してく れたところによると、彼にできるのはそこまでで、後は現場の調査に委ねること になっているそうです。朝日もWFPと同じくらい熱意を持って、追跡調査して ほしいものです。 拉致問題の解決には経済援助というカードを使わないことに決めている日本政 府にとって、援助団体の存在は目障りなものでしょう。圧力外交の強化を求める 「救う会」などは、経済制裁を求めるデモを仕掛けているそうです。朝日は彼ら に媚びたのだと、私は理解しています。 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 【2】《いよいよ最後の証人尋問!》裁判傍聴の呼びかけ メールニュースでこれまでご報告して来ました、NHK裁判は、次回をもってい よいよ最後の証人尋問となります。これが終われば、あとは最終弁論と判決。判 決は来年の2月あるいは3月ごろになるのではないかと予想されています。来週 の証人尋問は、当時NHK教養番組部部長であった吉岡民夫氏。どのような事実が 法廷で明らかにされるのか、注目されます。みなさん、ぜひ法廷を一杯にしま しょう! ┌《次回裁判》────────────────────────┐ │ 日時:9月10日 午後1時30分から 東京地方裁判所103号法廷 │ │ 証人: 吉岡民夫さん(当時、NHK教養番組部部長) │ └──────────────────────────────┘ また、同日夕刻より、VAWW-NET主催の報告集会が予定されております。 ┌《報告集会 「NHK番組教養部長(当時)は法廷で何を証言したか」》─┐ │ │ │ 日時:2003年9月10日(水)午後18時30分より │ │ 会場・早稲田大学国際会議場第7共同研究室 参加費700円 │ │(JR高田馬場駅下車、早大正門前行きバス西早稲田下車徒歩4分・ │ │ 地下鉄東西線早稲 田駅下車徒歩10分) │ │ │ │ ※プログラム │ │ ●原告報告 │ │ ● 第14回・証人尋問報告−被告側証人尋問の報告と分析 │ │ ・・・・・・NHK裁判弁護団 緑川由香弁護士 │ │ ●質疑応答 │ └────────────────────────────────┘ ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 【3】イヴェント情報 *********************************(1)********************************* ■───────────────────■ │ 朝鮮−日本 │ │ 絡まり合った歴史と現在を考える集い │ ■───────────────────■ 第1期公開学習会テーマ ── 日本の朝鮮植民地支配をめぐって ── 第2回 「日韓交渉と植民地支配の責任」 発題者 太田 修さん 日時:9月13日(土)14時〜17時 共通会場: 大阪経済法科大学 東京麻布台セミナーハウス 2階 大教室 住所:港区麻布台1−11−5 会場電話:03-3582-2922 ( 地下鉄神谷町駅下車徒歩5分ほどです) ※ 昨年9月17日の平壌宣言は、「両国及びその国民のすべての財産及び請求権 を相互に放棄する」ことをうたいました。請求権の問題は日韓交渉の過程でも焦 点となり、紆余曲折を経て、「経済協力方式」として帰結しましたが、それが今 日再び「モデル」として持ち出されています。そこで第2回学習会では、日韓交 渉の過程で植民地支配の責任の問題がどのように提起され、最終的に日韓条約 (1965)のようなかたちになっていったのか、積み残された問題は何だったのかに ついて、『日韓交渉ー請求権問題の研究』(2003年3月、クレイン)の著者・太 田修氏を招き、お話をうかがいます。日韓交渉の過程を具体的に明らかにすると ともに、日朝交渉過程の議論も踏まえて、日朝国交正常化についても議論できた らと思います。 《今後の予定》 第3回 「日本の戦後処理と請求権・賠償問題」 :田中 宏さん/内海愛子さん(10月4日) 第4回 「世界史に見る植民地支配」:鵜飼 哲さん ほか(11月下旬予定) (第1回は、姜徳相さん、木元茂夫さんの発題により、「朝鮮植民地支配の責任 とは何か?」という主題での学習会を開きました。それぞれの回は関連してはい ますが、内容的には独立していますので、途中からの参加者も大歓迎です。) ※ いずれも同じ時間帯におこないます。会場は4回共通の予定ですが、場合に よっては変更もあり得ます。 ◎ 朝鮮−日本 絡まり合った歴史と現在を考える集い <連絡先> Tel : 080-3272-6727 E-mail : raik@abox5.so-net.ne.jp (さとう) ●呼びかけ人 新谷ちか子 板垣竜太 内海愛子 木元茂夫 佐藤信行 杉山優子 田中宏 内藤寿子 中村利也 新美隆 東澤靖 松原良子 宮本正明 梁澄子 渡辺健樹 ●呼びかけ 2002年9月17日の日朝首脳会談以降、朝鮮半島と日本をめぐる状況は急速に展 開しました。日本の敗戦=朝鮮の解放から、もうすぐ60年がたとうとしていま す。その間、さまざまな矛盾や葛藤をはらみながらも広く議論され、それなりに 進展してきた問題、ずっと留保されてきた問題、口にすらされず闇に消え去って いった問題、そういったさまざまな問題が噴出し、そして一気に押し流されるか のように、情勢が目まぐるしく動いています。 このような状況だからこそ、私たちは、イデオロギー的に対応するのではな く、あらためて歴史と現在を正面からみつめる必要があります。朝鮮民主主義人 民共和国による深刻な人権侵害や核兵器開発問題によって、過去に日本がおこ なった植民地支配や侵略戦争の責任が少しでも薄まるわけではありません。と同 時に、日本の植民地支配による問題が解決していないからといって、朝鮮民主主 義人民共和国のさまざまな暴力や人権侵害が免罪されるわけではありません。こ の基本認識は私たちにとって重要な出発点です。 ふりかえってみれば、「戦後」という時代は、朝鮮の脱植民地化、日本の脱帝 国化が不十分なまま、急速に冷戦−分断体制へと突入していったという意味で、 植民地主義と冷戦とが折り重なるようにして形成されてきました。そして今日、 そこへさらにグローバル化の波が折り重なってきています。そのなかで、過去の 問題は自然に解決されるというよりは、むしろ問題として残り続け、複雑に絡ま り合ってきました。 そうであるならば、私たちにとっていま必要なのは、日朝首脳会談とその後の 状況をうけて、戦前−戦後−今日と続く時間をあらためて問い直し、絡まり合っ た歴史と現在を冷静に解きほぐしていく作業ではないでしょうか。 そのようなことを共に考え、悩み、真の和解へ向けての道筋を探るために、私 たちは公開学習会を企画しました。講演を拝聴する会というよりは、一定の主題 をめぐって発題者が素材提示・論点整理・問題提起をおこない、それをベースに 語り合うことを重視したいと思います。ふるってご参加ください。 *********************************(2)********************************* ■───────────────────■ │ 第14回「放送を語るつどい」 │ │ テーマ ”戦争報道を問う” │ ■───────────────────■ テレビによる「イラク戦争」の報道は戦争の真実に迫ることができたのか。 国の進路について、国民の判断を左右する戦争報道。 アフガンからイラクへ・・・ 一連の報道を視聴者の視点で検証するととも に、戦争そのものへメディアを動員する有事法制の危険性を考える。 日時: 2003年10月4日(土)13時30分〜18時 5日(日)10時〜15時30分 場所: 東京・代々木オリンピック青少年センター センター棟402号室 (小田急線参宮橋駅下車7分 地下鉄千代田線代々木公園駅下車10分 京王バス(新宿駅西口〜渋谷駅)代々木5 丁目下車) ※広大な構内なので、案内掲示をみて会場を 探し当てるまで時間がかかります。少し早めに お出で下さい。 主催: 放送を語る会 協賛: 日本ジャーナリスト会議 メディア総合研究所 【日程】 10月4日・第1日 13:30〜基調講演 「イラク戦争から日本の戦争報道を考える」 アジアプレス・インターナショナル代表 野中章弘氏 15:45〜報告 「テレビはイラク戦争をどう伝えたか」 〜ニュース3番組を検証〜 「放送を語る会」番組分析チーム ※イラク攻撃開始後、約10日間の NHK「ニュース10」 テレビ朝日「ニュースステーション」 TBS「NEWS23」 の3番組を選び、報道要素ごとの時間量や キャスターコメントなどを比較したデータを 報告します。 18:00 終了 18:30〜20:30 懇親会 (国際棟レセプションセンター) 10月5日・第2日 10:00〜講演「有事法制とマスメディア」 関東学院大学教授 丸山重威氏 11:00〜徹底討論「有事法制とNHK・民放」 発言・メディア総研所長 須藤春夫氏ほか 視聴者、放送関係者、研究者による討論 13:30〜討論「視聴者運動の課題」 〜「放送を語る会」の今後のために〜 15:30終了予定 【参加費など・・・当日頂きます】 参加費 1000円(2日通し・1日参加も同額) 懇親会費 4000円 宿泊費 2500円 青少年センターにシングル8室しか確保 できませんでした。申込み者が多い場合は 地方参加者優先で調整します。ご希望に そえない場合もありますのでご承知下さい。 【参加申込み】 Eメール tiger-imai@nifty.com または FAX 0463−32−9015 (放送を語る会代表・今井潤) あてに、下記の内容をお知らせ下さい。 1、お名前 2、所属など 3、ご住所・連絡先など 4、懇親会、宿泊希望の有無 ※事前申込みが無くても参加できますが、資料の準備 等の事務のため、ぜひ事前申込みにご協力下さい。 懇親会参加、宿泊希望の方は事前に申込みが必要 です。 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ ■みなさんからのご意見・ご感想、なにより投稿をお待ちしています! (メキキ・ネット事務局一同) ◇─────────────────────────────────◇ │発行= 2003年 9月 7日 │ │ 発行所=メキキ・ネット事務局 │ │ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html │ │ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp │ │ FAX: 020-4666-7325 │ ◇─────────────────────────────────◇ |