(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                          メール・ニュース vol.14(2)発行:2003年 5月 5日
                                                         登録者数:359人
                                http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html


〔今回は鈴木香織さんが紙面をつくってくれました。 −板垣〕

                     「ジャーナリストは敗北した。」

 「戦争を止めることができなかったし、戦争が起きてからも、Bushの論調を止
めることができなかったから」と、アジアプレスの野中章弘さん。どうしたらい
いのか?この戦争に正当性があったのかどうか、きちんと検証する必要があると
野中さんは言います。「イラク国民を解放した戦争」として歴史に刻まれること
がないように。
 これまで、メキキ・ネットは、イラク戦争報道を取り上げることができません
でした。あまりにも問題が大きくて、事務局メンバー(実はメディアの専門家は
一人もいない)の手に負えないできごとだったからです。「いつか来た道」を進
んでいることはわかっていたのに、こんな所まで来ていたとは..。野中さんの言
うとおり、戦争が始まるときは、マスメディアが真っ先にそれを認めてしまうん
ですね。そんなお話を聞きっぱなしにするにはもったいないので、メルマガをつ
くりました。ジャーナリスト報告会のお知らせもありますよ。
                                                                (鈴木)

                       【前回送信分=Vol.14(1)】

(1) 第11回NHK裁判(第2回証人尋問)報告
(2)「北朝鮮」「拉致」報道を批判的に読み解くために−検証記事目録Ver.1.0

                       【今回送信分=Vol.14(2)】

(3)戦争とメディアを考える集まりの案内2つ
 1.「イラク・爆撃下で何が起こったのか                  5/8@お茶の水
        ――現場を目撃したジャーナリストたちの報告――」
 2.「記者と語る戦争とメディア報道」                       5/10@渋谷

(4)抄録「イラク戦争の真実と情報操作・報道統制」

	反グローバリゼーションメーデー/Human Meeting 2003でアジアプレス
	代表の野中章弘さんがお話したものを鈴木がまとめました。

                         【次回Vol.14(3)予告】

 次回は、20年前の「反国労キャンペーン」の検証などの内容を盛り込みます!


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                                 【3】
                 戦争とメディアを考える集まりの案内2つ

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                    イラク・爆撃下で何が起こったのか
             ――現場を目撃したジャーナリストたちの報告――
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

3月20日から3週間にわたって連日、米英軍の砲爆撃にされされ多数の市民が
殺傷されたバクダットなどイラクの主要都市。日本の大手メディアは攻撃する側
に社員を派遣し、攻撃される側の取材はもっぱらフリーランスが行った。JVJ
Aの5人のジャーナリストたちはバグダッドを中心に、取材を続けた。攻撃する
米英軍の従軍ではなく、攻撃され殺傷されていく市民の側から見た、このイラク
攻撃と占領とは何だったのか。写真と映像をまじえ報告する。

(報告者)
・ 森住 卓(フォト・ジャーナリスト)
・ 豊田直巳(フォト・ジャーナリスト)
・ 綿井健陽(ビデオ・ジャーナリスト)
・ 広河隆一(フォト・ジャーナリスト)

■5月8日(木曜日)午後6時半から
■中央大学駿河台記念館370号室
《最寄駅》
●JR「お茶の水駅」徒歩3分 ●千代田線「新お茶の水駅」B1・B3徒歩5分
●丸の内線「御茶の水駅」徒歩6分 ●都営新宿線「小川町駅」B5徒歩5分
〒101−8324 東京都千代田区神田駿河台3−11−5
電話 03−3292−3111
 http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/kinenkan_hp/map.htm

■会費 1000円

主催:JVJA(日本ビジュアル・ジャーナリスト協会)
電話:090−6101−6113
URL: http://www.hiropress.net/jvja/
E-mail: jvja@hiropress.net

協賛:パレスチナ子どもキャンペーン


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   □■ 「記者と語る戦争とメディア報道」 5/10(土)@渋谷 ■□
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〔イラクに'3年3月10日〜19日滞在、またアフガンには'01年に3か月滞在して取
材された本田雅和さん(朝日新聞記者)をお招きした集会のお知らせです。〕

 9・11、アフガン、そして今回のイラク攻撃をめぐって、さまざまな映像・
記事が流れました。そこでは、何が報道され、何が報道されなかったのでしょう
か。 それはなぜ? どういうメディアが、どのような文脈で? その影響は?

 ----だれのために、だれと向き合い、だれの立場で、書くのかを、ずっと考え
てきた。それは人間として忘れてはならない問いだと思うから----というジャー
ナリスト・本田雅和さん(朝日新聞記者)が、現場を取材しながら、この間、何
を見、何を考えてきたかを聞きます。

 いま私たちは、いつでも戦争の加害者に、また被害者になりうる状況に入って
います。日常生活に、ソフトに侵入しつつある有事化=軍事化を見通し、その動
きをはね返して、各地・各国の弱者/女性/市民と連帯した平和を、どのように
して築けるでしょうか。

 「鳥に翼があるように、人には言葉がある」(チョムスキー)のであれば、言
葉を使って自由にはばたき、他者と交流し、対話を重ね、平和な関係も結べるは
ずです。

 政府への批判力を失いつつあるマス・メディア、その中で働く記者の思いに耳
傾け、参加者どうし対話しながら、戦争や暴力のない社会への展望と具体的な方
法を探りたいと考えています。ぜひご参加ください。

◆講 師 :本田雅和さん(朝日新聞社会部記者)
◆日 時 :5月10日(土)夜7:00〜9:00

◆場 所 :「喫茶室ルノアール渋谷パルコ横店マイ・スペース」第1会議室
      tel.3463-9681
渋谷区宇田川町4-3 興和ビルB1 渋谷駅ハチ公口から歩約5分
(公園通り「勤労福祉会館」信号を左折し、スターバックスの向かい、カフェ・
ニューヨーカーズの地下  http://www.mapion.co.jp/c/f )
◆会 費 :500円(別途飲み物料)
◆予約受付:先着40名
◆連絡先 :市民とメディア研究会/篠木

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    【記者と語る戦争とメディア報道】参加申し込み

氏  名 :
職業・所属:
 e-mail :


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        □■ 抄録「イラク戦争の真実と情報操作・報道統制」 ■□
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 アル・ジャジーラ、アブダビ・テレビ、ロイターのジャーナリストたちが米軍
に殺されたとき、攻撃される側で報道していた日本のジャーナリストといえばフ
リーだけだった。アジアプレスの綿井健陽さんもその一人。マスメディアは開戦
前にイラクから記者たちを退去させ、一ヶ月後の4月11日まで戻らなかった。
米軍の庇護の下にいる従軍記者たちは別として。

 フリーとマスメディアとでは、ジャーナリストの命の重さが違うのだろうか。
野中さんが、どちらも命が大切なことは同じだとしながら指摘したのは、もう一
つの視点――現場に居なければ伝えられないことがあるかもしれない――が日本
のマスメディアに欠けていたことだ。BBCも英国国民と世界の市民に戦争を伝
えるためにイラクに残った。戦争報道の基本は戦場の取材、戦場取材のリスクは、
ジャーナリストという職業に伴うリスクだと野中さんは考えている。

 「そこに居ることに意味がある現場ならどこへでも行く、という取材方針に沿
ってアジアプレスはイラクを選んだのであって、もしマスメディアがそこに居れ
ば、アジアプレスがイラクに行く必要はなかったし、マスメディアの従軍取材と
の差別化が必要だったから、空爆を受ける人々を取材した。しかし、一発屋でも
戦争ジャーナリストでもないし、引き揚げの判断はアジアプレス独自で行なう。
あえて危険をおかして戦争ジャーナリズムを気取る気はありません」。ジャーナ
リストが殺されたときは、「米軍に従軍している記者たちの取材拒否があっても
いいんじゃないか」と思ったそうだ。野中さんのお話を聞いていると、だれの命
であっても大事にすることが、ジャーナリストの基本じゃないかと思えてきた。

 数多くの戦場取材を経験した野中さんからみれば、そもそも「戦争」ではない。
兵士に限って比べても、米軍の死者百数十名に対して、イラク側は6000とも
10000とも言われ本当のことはわかっていない。たとえ「1対60(米兵一
人が死ぬのに対して60人のイラク兵が死ぬ)」としても、通常兵器の破壊力で
は説明できない。バグダッド市民は、開戦してから2〜3日で2000人も死亡
した。大量破壊兵器を使った一方的な殺戮というのがイラク戦争の正体だ。兵士
の周りの民間人を殺すことを承知で爆撃したのが誤爆の正体だ。侵略が「進撃」
「解放」と記され、このままでは「結局、犠牲者が少なくて良かったじゃないか」
ということになるかもしれない。だから、亡くなった人たちのことを記録してお
かなければならない。どんなふうに生きて、誰と暮らして、どんなふうに死んだ
のか。すべて記録することは難しいだろうが、亡くなった一人一人の命の重さに
思いを馳せていくことが必要なのだ。

 最後に。講演の労をねぎらう司会者が、アジアプレスは信実を伝える稀有なメ
ディアだと言いかけたら、再びマイクを取った野中さんが「信実は一つではない」
と断言した。百人いれば百の信実があり、人はその思想に拠って信実を選ぶもの
なのだと。アジアプレスは偏向しているだの、綿井は反米だのと「2チャンネル」
ではボロクソに叩かれている。でも「偏向してるんじゃない?と言われたら、は
い!偏向してます、と答えます」とオチがついたところで、講演は終わった。

 アジアプレスはメールによる質問を受け付けている。時間はかかるかもしれな
いが、必ず返事をくれるそうだ。宛先は tokyo@asiapress.org

                                  文責 鈴木香織/メキキ・ネット事務局)

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■みなさんからのご意見・ご感想、なにより投稿をお待ちしています!

                     (メキキ・ネット事務局一同)

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│発行= 2003年 5月5日                                              │
│ 発行所=メキキ・ネット事務局                                    │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
│ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp                      │
│ FAX: 020-4666-7325                                          │
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