創刊:2001年8月18日
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                      メール・ニュース vol.10(2) 発行:2002年 12月15日
                            登録者数:320人
                              http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html

        ▲▲▲メディアのどこかに希望はあるの?▲▲▲
▼▼▼ジャーナリスト・研究者・市民による 12・21緊急車座討論集会▼▼▼
               ▼▼▼直前特集号 その1▼▼▼

 みなさん 本年最後を飾る(?)企画「メディアのどこかに希望はあるの?
12.21緊急車座討論集会」を準備していますが、すでに参加の日程をお立て
でしょうか。現在のところ少しずつ反響が広がって、さまざまな場所から大切な
方々に参加していただける見込みとなり、メキキ事務局として大いに期待が膨ら
んでいるところです。そこで、その緊急直前特集号として二回にわたり、メルマ
ガ「特集 車座討論集会」をお送りいたします。はじめは、この集会に向けてぜ
ひアピールしたいと申し出られた和田悌二さんが、差し迫る「死刑執行」の阻止
を求めて書いてくださった一文です。臨時国会終了直後にも、その執行がなされ
かねないという緊急性を考えて、まずこれを紹介することにしました。みなさん
も、車座討論集会に向けていろいろお考えのことがありましょうが、これもその
一助にしていただけたら幸いです。 −−メキキ事務局

■もくじ■

〈今回送信分〉

1.メディアよ、死刑執行の阻止を     ― 和田悌二

2.車座討論集会リマインダー

3.最近の出来事・イベント情報

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1.メディアよ、死刑執行の阻止を!         ― 和田悌二

 すでに新聞等でご存じかとも思いますが、超党派の国会議員でつくる「死刑廃
止を推進する議員連盟」(会長・亀井静香代議士)は、来年の通常国会に、死刑
制度に関しての臨時調査会(死刑臨調)を設置するための法案を提出する予定で
す。詳細は省きますが、報じるところでは、「臨調で審議する間は死刑執行を停
止する刑法改正案も併せて提出する考え」(『朝日新聞』11月22日夕刊)とのこ
と。また、それに歩調を合わせて日弁連も、「現行の死刑制度が改善されるまで
の一定期間、死刑執行を一律に停止する『死刑執行停止法』の制定を柱とした提
言をまとめ……立法化を目指す」(『東京新聞』11月23日)とのことです。

 その中身についてはともあれ、死刑執行を停止すること自体は大歓迎です。た
だし、これはあくまでも来年の通常国会開催後の話。ということは、法務省当局
は、この臨時国会終了の12月13日前後(通常、国会開催中は死刑反対議員の追及
等を忌避して行なわれないが、2000年にはその慣例を破って臨時国会閉会の前
日・11月30日に3人執行)から、仕事納めの日までの間(昨年は仕事納めの前
日・12月27日に2人執行)に、これが「最後のチャンス」とばかり「滞貨一掃」
の死刑執行を何人か(多人数もあり得る)に行なうおそれが大、ということでも
あります。

 死刑は、いうまでもなく「国家」による個人の抹殺です。どう取り繕おうと、
「国家」なるものが現実に行なっている、具体的な、はっきりとした殺人行為で
す。それも、私たちの税金で執り行なっているわけですから、死刑が行なわれる
かぎり、私たちはより直接的な形で、人殺しに手を貸している(縊られた人間の
足を引っ張っている)ことにもなります。「殺す」ことも、「殺される」こと
も、そして「殺させる」ことも断固拒否したい私は、頑として死刑を拒絶します。

 今回、執行を防げれば、法案の行方にもよりますが、当分死刑は行ない難くな
るでしょう。うまくすれば、そのまま死刑廃止、ということになるかもしれませ
ん。そこで、なんとしてでも今回の死刑執行を食い止めたいのです。
 ところが、今の情勢は、死刑執行を食い止めるには最悪の状況です。それは、
マスメディアが煽り立てる、この「拉致騒動」です。これを機に、肥大し、偏っ
た「被害感情」が多くの人びとの間に蔓延し、共有されて、「ラチズム」とでも
呼びたい異様なナショナリズムが形成されつつあります。この空気によって、加
害者全般に対しての敵意や嫌悪がふつふつと醸成されており、「健全な国民」の
極北に位置する凶悪な犯罪者=死刑囚の生命や人権には全く関心が払われなく
なっています。国会においても、これまで最も死刑廃止運動に熱心で運動の先陣
をきっていた社民党は、この「ラチズム」でいっさいの発言を封じられたも同然
の体をなしています。当局側が、この千載一遇のチャンスを見逃すはずがありま
せん。その意味でも、死刑執行の確率はかなり高く、要注意なのです。

 そもそも「死刑」と今回の「拉致騒動」には、似た構図があります。それは一
言で言えば、どちらも、主に被害者やその家族の被害感情を興味本意で過剰なま
でにマスメディアがとりあげ、鼓吹・増幅し、それをいわゆる「国民感情」なる
ものとして「国家」がすくいあげ、そしてなんらかの「国家意思」の体現に利用
しつくす、という構図です。
 これは、実は「拉致騒動」だけではなく、何かインパクトのある事件(例えば
「オウム真理教事件」等)が起きたときには、常に繰り返されている構図なので
すが、マスメディアは「ニーズにこたえているだけ」などと能天気な弁明で、そ
の重大な犯罪性や危険性に目をつぶり、意識的にせよ無意識的にせよ、結果的に
「国家」の露払いを行っている、というのが実状です。「死刑事件」は、マスメ
ディアの諸々の姿勢を問う「リトマス試験紙」でもあるのです。

 いずれにしても、死刑執行はなんとしてでも阻止しなければなりません。そし
て、わたしたちができるそのための最も有効な方法は、あらゆる媒体手段を使っ
て騒ぎ立てることです。「死刑」は「人を殺すこと」ですので、実は当局側も多
少の後ろめたさを抱いています。それが、極端な秘密主義の一因にもなっていま
す。ですから、前もって多くの人々が「死刑」の現実に着目し、事実を注視して
声を挙げれば、当局側にとってはこれ以上やりにくいことはありません。

 ここで「後ろめたさ」と書きましたが、厳密に言えば多少語弊があるかもしれ
ません。「殺すときは殺す」という断固とした決意を持っていることも事実です
ので。ただ、例えば前回の死刑が、今年の「9月18日」、つまり小泉首相のあの
朝鮮民主主義人民共和国訪問の翌日、さらに言えばすべてのメディアがその記事
一色になる日、に行なわれているという事実です。これは、決して偶然ではな
く、意図的なものでしょう(ちなみに法務大臣が押印してから5日以内に死刑は
執行されます)。ここに、どさくさにまぎれて、そっとやってしまおうという、
いわば「後ろめたさ」のようなものが現われています。そこで、逆に言えば、だ
から注視し、声を挙げて、「大いに関心を抱いて、視ているぞ」という意思表示
をメディア等を使って賑やかに行なうことが、私たちができる死刑阻止の効果的
な方法なのです。

 最後に、今回の「拉致騒動」と「死刑」に関しての「もう一つ」の重大な危惧
について触れておきます。

 ご存じとは思いますが、「死刑廃止」には二つあります。一つは、「全面的な
死刑廃止」。そしてもう一つは、今年EU(欧州連合)加盟のためやむなく死刑
を廃止したトルコのように、「通常犯罪についてのみの死刑廃止」――つまり戦時
(=有事)状況下や軍法による犯罪等の「例外的な犯罪」については死刑が存続
する場合です。

 実は、日本がここに来て「死刑執行停止」を織り込みながら、国会で論議しよ
うとするのは、例によって外圧(国連のいわゆる「死刑廃止条約」をもとにした
勧告と、欧州評議会からの「オブザーバー資格剥奪」という罰を設けた「死刑廃
止要求決議案」による強い勧告)が大きく影響しています。トルコと同様に、そ
れでやむなく、というのが実情でしょう。

 しかし、だからといって「全面的な死刑廃止」には持っていきたくない、「執
行停止」から万一「廃止」となるにしても、最低限なんとか「通常犯罪について
のみの死刑廃止」という線でまとめたい、と当局は企図するはずです。

 それは、ここでは触れませんが一つには天皇制護持のため、そしてもう一つ
は、やはり確固とした「有事体制」作りのため、もっと言えば「有事体制下」の
脅し、そしてジョーカーとしての役割のためです。なるほど、今すぐには「有事
立法」に「死刑」の刑罰がいきなり入り込むことはないでしょう。しかし、「通
常犯罪についてのみの死刑廃止」と限定することにより、例えば「有事下」での
「反国家的行為」や「非国民的行為」、あるいは自衛隊法(軍法)での「反軍行
為」(命令拒否や敵前逃亡等)には、いつでも死刑を適用できる(命を奪う)と
いう圧力と切り札を「国家」は保持できることになります。その意味では、「死
刑」は文字どおり「国民化計画の最終兵器」です。

 そして、当局側は、今回の「拉致騒動」から生まれ、拡がった偏頗なナショナ
リズム(ラチズム)を、「有事下等での死刑存続」のために最大限利用するだろ
うというのは、容易に想像できることです。

 「殺人」に直接手を染めないためにも、「有事体制」に根本的に反対するうえで
も、そして「国民」としてではなくあるがままの個としての「人権」を守り手放
さないためにも、どうか「死刑」に目を向けてください。

 もしも幸いにして、12月21日までに執行が行なわれていないならば、「車座集
会」に参加しているすべての方がたは、たとえどのような形でもけっこうですの
で、所属の組織や媒体で「死刑」をにぎにぎしく取り上げてくださることを切望
いたします。

 また、万一、不幸にして執行が行なわれたとしたならば、来たる通常国会での
「死刑臨調」に大きな関心を抱いて、「死刑廃止」の方向へ向かうよう働きかけ
ていただくことはもちろん、同じ「死刑廃止」でも「全面的な死刑廃止」となる
よう、それぞれの場で、それぞれのやり方でアピールしてくださるよう願ってお
ります。たとえどのような者であろうとも、たとえどんな理由があろうとも、
「国家」に「個」を殺す権利を与えてはならないのですから。

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2.車座討論集会リマインダー

         年末ですが、メキキ・ネットは車座討論集会を開催します!
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   メディアのどこかに希望はあるの?
       ――ジャーナリスト・研究者・市民による緊急車座討論集会――

 期日 2002年12月21日(土曜日)
 時間 午後1時から午後6時まで (5時間たっぷり)
 話題   (1)「日朝」問題
      (2)「イラク」と「有事」
        (3)「教育改革」と「心のノート」

 会場 東京外国語大学本郷サテライト 4階セミナールーム
 会場案内URL http://www.tufs.ac.jp/common/is/hongo_satellite.html

 最寄駅 JR・御茶ノ水駅から徒歩約10分。
     地下鉄丸ノ内線・本郷三丁目駅から徒歩約5分。

  パネラー/フロアの区別もなく、話題に沿いながら、車座になって自由な
 形式で意見をぶつけ合います。最大参加人数は50人です。参加される方は、
 電子メールまたはファックス(下記)にて、お名前、ご所属等の肩書き、連
 絡先(電子メール、電話番号等)、一言メッセージをお送り下さい。追って、
 詳しいご案内をさしあげます。

 みなさん是非ご参加ください。

 主催・お問合せ メキキネット事務局
    電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp
        FAX: 020-4666-7325

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[最近の出来事・イベント情報]

◆アメリカ大使館抗議行動へ!
◆◆イラク攻撃が開始された場合、その日の18:30に大使館前へ
◆◆攻撃開始が18:30以降だった場合は、翌日の18:30に大使館前へ
呼びかけ:新しい反安保実VII(電話:03-5275-5989/FAX:03-3234-4118)

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■みなさんからの御意見・御感想、なにより投稿をお待ちしています!

                     (メキキ・ネット事務局一同)

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│発行= 2002年 12月15日                                            │
│ 発行所=メキキ・ネット事務局                                    │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
│ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp                      │
│ FAX: 020-4666-7325                                          │
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