平成13年(ワ)第15454号 損害賠償請求事件
原 告  「戦争と女性への暴力」日本ネットワークほか1名
被 告  日本放送協会

第 1 準 備 書 面

平成13年11月28日

東京地方裁判所民事第5部合議係B 御中

〔上記被告訴訟代理人名簿13名分省略〕

第1 原告第1準備書面第1「被告日本放送協会の主張に対する反論」について

 原告らは、「本件取材過程や編集過程、放送内容の具体的事実を取り上げて、これを要件事実として主張している」旨述べ、被告NHKが編集過程について認否不要とする態度を批判している。しかし、原告らのこの批判は、全く妥当ではない。
 訴状での請求原因たる事実とは、原告らの権利発生を基礎付ける具体的事実をいうものであるところ、被告NHKが認否不要とした部分は、原告らに関連する事実は主張されていない部分である。同部分は、被告ら内部の作業について言及した部分または被告らと第三者との間でのやりとり|こついて言及した部分である。即ち、同部分は、原告らになんらの関係がないとともに原告らの権利発生とも全く関連するものではない。
 被告NHKは、本件での事実問題の審理は、平成12年10月24日時点における被告DJによる取材時の説明内容、なんらかの約束の内容とその有無、放送内容との齟齬が発生したか等であり、番組の制作過程・編集過程等ば審理の対象にすべき問題ではないと思料している。
 なお、原告らは、第1の2の(2)において「被告NHKの主張の趣旨が明確ではない」旨反論するが、同所で記載した被告NHKの主張の趣旨は答弁書における認否によって明らかである。

第2 同第2「求釈明に対する原告らの答弁」について

 番組提案票(甲1号証)が、被告DJと被告NEPが被告NHKに提案していたものであるとの点は認める。
 次に、原告らは被告DJから番組提案票(甲1号証)を示されて、本件番組の企画内容の説明を受けたものであると述べているが、他方、ここから飛躍して、「原告に対する本件番組の企画内容の説明は、被告DJの行為であるとともに、被告NHK及び被告NEPの代行行為の面を有する」と述べている。この後段は否認する。
 原告らも理解され、主張されたとおり、甲1号証は「本件番組の内容を提案した体裁のもの」であり、取材に対応して順次変化していくうちの一過程であったものである。本件のごときドキュメンタリー番組の構成は、比較的構成が固定されているドラマ等の番組とは異なり、きわめて流動的なものであり、番組提案票が番組構成を最後まで規定・拘束するものではないのである。

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