第56回議事録

日時 2001(平成13)年9月18日(火) 午後3時〜5時50分

1. 「女性国際戦犯法廷報道」について

 初めに委員長から、同事案に関する前回の委員会での検討結果について、「大方の委員は、申立てと裁判の内容が重複し“係争中の案件”とみる意見であった。また、一部の委員からは、できるだけ切り離して議論することが可能であれば、問題点を整理して審理に入ることも考えられるのではないか、との意見が示された。しかし、この点については、申立人が用意している『意見書』を提出してもらったうえで、次回の委員会でさらに検討し、審理に入るかどうかの結論を出すこととしていた」との確認がなされ、事務局から、その後の経緯、および、提出された資料について説明と報告を行った。

 続いて委員長から、「審理する/審理に入らない、いずれに決定するとしても、その理由・根拠を明示する説明責任がBRCにはあると考えている。その後に提出された資料を含めて、改めて委員各位の意見をお聞かせ願いたい」との発言があり、検討に入った。委員から出された意見は概要、次のとおり。

▽ 選択肢としては、「審理する/しない」という結論のほかに、「凍結する」あるいは「延期する」ということも考えられるのではないか。つまり、BRC運営規則では裁判のほうを優先させて考えるわけだから、裁判の結果を待って審理する、あるいは、申立人が提訴を取り下げてBRCに一本化してくる、というニュアンスを残した選択肢も念頭に入れて検討する必要もあろう。

▽ 申立人が提訴を取り下げる可能性があるというならば“凍結”もあると思う。しかし、判決が出るまで凍結するのは、判決内容にBRCの審理が左右されること、また、かなり時間が経過してしまうという問題がある。

▽ 裁判で係争中のものをどうしてBRCで審理する必要があるのか。裁判では放送倫理違反について判断しないので、そこに重点を置くというのであればBRCで取り上げてもいいが、申立てと裁判が同時進行することによって訴訟・審理の進行に影響を与える。したがって、訴訟と並行して取り上げるべきでないと思う。

▽ BRCは法的な権利侵害だけでなく放送倫理違反を審理する機関なので、被申立人(放送局)は裁判所に対するものよりも幅広い資料を提出しながら答弁することになる。そうした資料が裁判に利用されることも考えられる。したがって、事態が変わってBRC申立てに一本化されればいつでも取り上げる用意はある、という意味を含めた判断であろう。

▽ BRO規約とBRC運営規則に照らして「審理入りしない」と、正面から毅然と断るべき。

▽ 裁判と同じ問題を審理することはできない。BRCとして理由を示しつつ、「受理はするが審理には入らない」という対応があってもいいと思う。

▽ 裁判所の判決とBRCの審理決定とは制度・目的が異なると割り切らざるを得ないと思う。ある程度、門戸を広げて、放送倫理に関わる重要な問題点に限定した申立てであれば、その部分に限定して受けつけ、審理できるのではないか。特に“説明義務”の問題は、裁判では損害賠償に導く根拠の一つにすぎないが、BRC審理では中心テーマとして議論できるのではないか。

▽ 申立てと提訴が重複しないと言うことが難しいのだから、「取り上げない」と単純明快に判断を下すべき。提訴中の事案であっても放送倫理に限定して審理するということになると、『裁判で係争中の問題は取り扱わない』との規定が空文化してしまう。

▽ 審理を拒否するのではなく、「裁判との同時審理はできないが、提訴を取り下げたり、裁判が決着した段階で、BRC審理に入ることはやぶさかでない」という判断は不都合だろうか。

 以上のような議論の後、委員長から、「慎重に審議した結果、委員会としては、『本件は係争中の事案であるので、審理に入らない』ことと決定したい。ただしこれは、審理を拒否するものではなく、係争中の状態が解消されれば審理する、という意味である旨を申立人に文書で回答することにしたい」との提案があり、全員これを了承。同文案の起草委員一人を選任した。

2. BRCの審理と裁判との関係について

 委員長原案を基に検討した結果、内容について異議なく採択するとともに、上記議題1の委員会決定の根拠(委員会の考え方)として提示することを了解した。

(出典) BROホームページ http://www.bro.gr.jp/giji/g056.html