最高裁判所第一小法廷 御中

 

  高嶋教科書訴訟[平成14年(オ)1615号]について

  東京高裁判決の破棄を要請します

 

 私たちは日本国における民主的な法の支配の最後の砦としての、貴裁判所の役割を高く評価し、
期待しております。
 さて、文部科学省の1992年度の教科書検定において、高嶋伸欣(当時筑波大附属高校教諭・現
琉球大学教育学部教授)さんは、高校公民科「現代社会」教科書(一橋出版)の執筆担当部分に

ついて修正指示の検定意見を受け、修正案も拒否されたため執筆を断念せざるを得なくなり、精
神的苦痛を受けたとして、1993年6月に提訴しました。
 法廷では主要な検定意見4点について、その適否が検討されました。
 その4点とは、@福沢諭吉の「脱亜論」と勝海舟の「氷川清話」とによるアジア観の比較
        A湾岸戦争時の掃海艇派遣に関するアジア諸国への配慮の必要性
        B昭和天皇死去報道の扱い方
        C湾岸戦争時の米軍による情報操作の有無
に関するもので、検定ではこれらの記述の変更を要求されました。 
 第一審の横浜地方裁判所では@とAにおいて、検定意見は誤りであり、記述の修正を指示したの
は違法であると認定しました。
 ところが第二審の東京高等裁判所では、それらについても違法性はないと認定しました。
 @は、法廷で検定官自身が関係資料を読み誤って、間違った修正指示をしたと明白に認めていた

  ものです。なぜ何も問題ないと言えるのでしょうか。
 Aは、同様に検定官自身が「個人的意見」を検定意見に紛れ込ませてしまったことを法廷で明白

に認めていたものです。それがなぜ何も問題ないと言えるのでしょうか。
 しかも二審の法廷で裁判長は新たな証拠調べをほとんどしないまま、一審の文書記録を見ただけ

で、一審とは逆の認定をしたのです。私たちは日本の未来を担う若者が学ぶ教科書をめぐる議論が、

このような不合理なものであることに危惧の念を持ちます。
 私たちは、高嶋さんが長年の東南アジアでの聞き取り調査結果や、それを利用した授業体験にも

とづいて、東・東南アジア、さらには環太平洋地域の国々と日本との和解と友好親善をめざして作

成した教科書原稿はきわめて適切なものだったと考えます。
 私たちは国内外から、日本の民主主義が司法の場で守られるかどうか、強い関心をもって注目し

ています。
 ここに改めてこの趣旨に賛同する人たちの署名をもって、上記東京高裁判決を破棄されるよう、

最高裁判所第一小法廷に要請いたします。

                                        2003年  月

 

氏   名

住          所 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ◇署名簿・届け先

    231-0012 横浜市中区相生町1−18 光南ビル5F

      高嶋教科書訴訟を支援する会

            揩O45−671−9282

 

 


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