■イラクに対する一方的攻撃を止めるための緊急提起■
<「復興支援」を名目とする戦争協力を許すな>
 

2003年3月30日
国賠ネットワーク事務局

 イラクに対する米英軍による大量破壊兵器を駆使した一方的攻撃は、人間と環境に対する最悪の犯罪行為であり、速やかに止めなければならない。国権による人権侵害に抗し、国家の責任を追及する裁判をたたかう者が集う国賠ネットワークは、反戦行動の一環として「復興支援・人道支援」の名による戦争協力に対抗する取り組みを訴えたい。

 この戦争を止めるには、抗議行動に加えて「復興支援」の名のもとに進められようとしている戦争継続・拡大に通ずる費用負担を私たち一人ひとりが拒否していく必要がある。不当な戦争による甚大な被害の復旧や難民に対する救援などについて、加害国が賠償責任を負うのは当然であるが、その復興は、攻撃=破壊を行っている勢力の関与を排除した国際的な枠組みのもとで行われるべきであろう。攻撃参戦国とそれを支持する日本政府による「復興支援」を名目とする戦費負担を認めることは、必ず戦争継続・拡大につながる。そのような経済的負担を広範な市民が拒否する姿勢を明らかにし、あるいは選挙を控えた政党等に問いかけることによって、戦争継続の道をふさぐ一助としていきたい。

(1)米英両国政府が、自ら国連安保理事会に提出した決議案を取り下げたうえで、イラクの現政権打倒を最大の目的として一方的に展開している最新鋭の大量破壊兵器による攻撃は、恐怖と欠乏からの解放をうたった世界人権宣言、国際連合憲章の基本原則に反し、イラク市民の民族自決権と基本的人権を直接的に侵害している。「衝撃と恐怖」作戦と称する威嚇のもとに、大規模に実行されている先制攻撃は、「自由」「解放」を唱えつつイラク市民の生活と生命そのものを破壊する行為にほかならない。 この攻撃に対する全面的支持を明らかにした日本政府の行動は、上記に加えて、当然、日本国憲法に違反する。

(2)この攻撃を一刻も早く停止させ、イラク市民はもとより双方の兵士の死傷をくいとめるために、以下の要求について論議し、反戦行動のなかで取り上げていただきたい。

 a)戦争継続・拡大につながる立法、政策、支出をすべて認めない。とくに、イラク戦争支援につながる新規立法や法の拡大解釈を認めることは、現在行われている武力行使への直接的加担を意味するので到底認められない。公費の支出も同様である。

 b)日本政府は、戦費を負担せず戦後復興にのみ協力するというが、湾岸戦争の例からみても、戦費と戦後復興等の費用に明確な区別があるわけではない。そもそも、勝手に破壊するだけ破壊して、復興に費用がかかるから負担せよという話は市民社会の常識では通用しない。いかなる形であれ、復興支援の名のもとに破壊をつづけ、後始末をするための費用を負わされることを、私たちは心の底から拒否する。
 どうしても戦争を支持したい者は、自己責任の原則に立って、反対する者に依存するのではなく、進んで私財を投ずるのが筋である。

 c)湾岸戦争時に実施した法人税増税のような対応は、現在の経済状況から不可能とされる。同様に消費税等の増税や、将来世代に負担を負わせるこれ以上の国債発行は、現実の経済状況からしても無謀である。ODA(円借款等)や予備費からの流用なども、本来の目的からはずれるものであって認めるわけにはいかない。

 d)戦争被害の復旧や難民に対する救援、経済再生については、イラク市民の意思を尊重し、戦争=破壊を行っている米英およびそれを支持した諸国の権益とする可能性を排除して、国連難民高等弁務官事務所・世界食糧計画・ユニセフその他の国連専門機関や、実績のあるNGOによる枠組みをつくったうえで、それに対する拠出の仕組みを考えていく必要があるだろう。基本的に、加害国は賠償責任を負わなければならない。そうでなければ、復興利権のためのイラク破壊行動がより拡大するおそれがある。

 e)いわゆる「人道支援」についても、現実に活動している前記諸機関・組織などへの直接的な協力に限られるべきであって、攻撃とセットになった「人道支援」などというものを認めることはできない。資金・物資を国連中心に各国が拠出し、攻撃軍が「人道」の仮面をかぶってその配分を取り仕切るなどということが許されてはならない。

 ◆国連憲章・世界人権宣言に反するイラク破壊戦争を止めよう。
 ◆日本国憲法に反する小泉政権の戦争支持政策を止めよう。
 ◆「戦後復興・人道支援」の名目で戦争継続・拡大につながる戦費負担=増税・国債増発・公費の流用を許すな。
 ◆イラクにおける戦争被害復旧・市民救援・経済再生を参戦国の利権にするな。