国賠ネットワーク 17
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交流集会
さまざまな国賠裁判が各地で進んでいます。国や地方自治体の不法な行いによる被害をうけた人々が国家賠償法に基づいて、その責任を問い、謝罪を求め、賠償を請求する裁判です。幅広い国賠裁判があるということは、不法に対し泣き寝入りしないで人権の確立をめざして立ち上がった人々がいるということです。国賠ネットワーク交流集会はさまざまな国賠裁判を提訴する原告、支援する人々が集まって、互いに報告し、語り合い、知恵を共有する、年に一度の集まりです。今年で17回目になります。今回は在日二世の鄭香均さんをゲストにお迎えしました。
きっと元気のでる集まりになります。ぜひ参加して下さい。
鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さん
鄭さんは保健師として東京都に勤めています。1994年に管理職試験の申込を日本国籍がないとの理由で都が拒否。「管理職選考受験資格確認等請求訴訟」国賠の原告です。一審・東京地裁は請求棄却。二審の東京高裁は97年に「都の管理職には外国人が昇任しても問題ないものがあり昇任の道を閉ざすのは違憲」とする逆転勝利判決。しかし、05年春に最高裁大法廷は「受験拒否は合憲」として請求を棄却しました。
鄭さんは最高裁大法廷で次のように意見を陳述しました
「・・・
憲法で保障された基本的人権が侵害されている時、地方参政権も与えられていず、社会に自分たちの権利と意思を反映させる手段のない、分離された少数者である外国籍住民の人権を回復、保障することができるのは、司法をおいて他にないのです。今この瞬間、この国の憲法が誇り高く掲げた基本的人権の保障という素晴らしい理念が、実質を持つのも空文化するのも、ひとえに憲法の番人と呼ばれる最高裁判所の姿勢ひとつにかかっているのです。」
国賠ネットワーク 第17回
交流集会
■ 2月26日(日)
13:30〜16:45
■ 渋谷・勤労福祉会館 第2洋室
■ 講演:鄭
香均(チョン・ヒャンギュン)さん
「最高裁判決から見えてきたもの」
■ 全国の国賠裁判の現状と報告
■
国賠ネットワーク大賞・最悪賞の決定
■ 参加費:500円
(資料・茶菓子付き)
東京都管理職国籍差別違憲訴訟
(正式な裁判名は、管理職選考受験資格等請求訴訟)
事案の概要
原告鄭香均は1950年岩手県に出生した在日朝鮮人二世で、1991年制定の入管特例法に定める特別永住者である。東京都が1986年に保健師(当時は保健婦)の採用条件から国籍条項を撤廃したことを受けて、原告は1988年4月、初めての外国籍保健師として採用された。1994年3月、原告は東京都人事委員会の「平成6年度管理職選考実施要綱」の受験資格を満たすことから、上司に受験を薦められ、所属長から受験申込書の配布を受け、必要事項を記入し所属長に提出した。一旦受理されたが、総務部人事課から「当然の法理」によって、受験ができない旨の連絡が入る。この時の選考実施要綱には、日本国籍用件の記載はなかったが、翌1995年の「平成7年度管理職選考実施要綱」では受験資格に日本国籍を有することの国籍用件が明記された。
本件訴訟の先行訴訟として、1985年に在日韓国人三世が市職員採用試験の願書の受付を拒否され、神戸市を相手に提訴した国家賠償請求訴訟があるが、残念なことに1991年、訴えが取り下げられた。
このような経緯から本件訴訟は「当然の法理」に関する初めての司法判断がなされることになり、大きな関心が寄せられた。
第1審判決(東京地裁1996年5月16日)
マクリーン判決(最高裁大法廷1978年10月4日)の権利性質説と国民主権原理から、「国民主権原理は、憲法前文及び1条において憲法の基本原理として採用されていることが明らかであり、その理念は、国家権力の正当性の空極の根拠が日本国民の意思に存し、日本国民が国の政治のあり方を最終的に決定することをいうものと理解することができるが、我が国は、国際社会の中で独立した国家でり、憲法及び法律によってつくられた枠組みの中で国民に対して広範な支配を及ぼし、その担い手となる公務員の職務遂行を通じて右の統治作用が日々実現されているものであることを鑑みると、国民主権の原理は、単に公務員の選定罷免を決定する場面のみに日本国民が関与することで足りるものではなく、我が国の統治作用が主権者と同質的な存在である国民によって行われることをも要請していると考えられるから、憲法は、我が国の統治作用に関わる職務に従事する公務員が日本国民すなわち我が国の国籍を有する者によって充足されることを予定しているものというべきである。」…直接的に国の統治作用にかかわる場合だけではなく…、公権力の行使あるいは公の意思の形成に参画することによって間接的に国の統治作用にかかわっていると認められる場合にも、憲法は外国人が右の職責を有する公務員に就任することを保障しない。ただし、この間接的に国の統治作用にかかわるにすぎない公務員については、主権者たる日本国民の意思の発動として、法律をもって明示的に、日本国民でない者にもこうした権限を授与することは憲法上禁止されていない。
第2審判決(東京高裁1997年11月26日)
マクリーン判決と国民主権原理の枠組みは同じである。
@ 第1の種類:国の統治作用である立法、行政、司法の権限を直接に行使する公務員(国会の両議院の議員、内閣総理大臣その他の国務大臣、裁判官等)この種の公務員に就任するには日本国民であることを要し、法律をもってしても外国人が就任することは憲法上許されない。
A 第2の種類:公権力を行使し、または公の意思形成に参画することによって間接的に国の統治作用にかかわる公務員。この種の公務員は、これも国の統治作用にかかわる職務に従事するものであるが、そのかかわりの程度は、第1の種類の公務員に比べれば間接的であり、しかもその職務内容は広範多岐にわたり、かかわりの程度も強弱さまざまであるから、憲法が、そのすべての公務員について、これに就任するには日本国民であることを要求していて、外国人がこれに就任することをいっさい認めていないと解するのは相当ではなく、その職務の内容、権限と統治作用とのかかわり方、およびその程度を個々、具体的に検討することによって、国民主権の原理に照らし、外国人に就任を認めることが許されないものと外国人に就任を認めても差し支えないものとを区別する必要がある。
B 第3の種類:第1、第2以外の上司の命を受けて行う補佐的、補助的な事務またはもっぱら学術的・技術的な専門分野の事務に従事する公務員。この種の公務員は、その職務内容に照らし、国の統治作用にかかわる蓋然性およびその程度はきわめて低く、外国人がこれに就任しても国民主権の原理に反するおそれはほとんどない。
以上のとおり、国の公務員にも外国人が就任することのできる職種が存在し、…これへの就任について、憲法22条1項、14条1項の各規定の保障が及ぶ。
最高裁大法廷(2005年1月26日)
「地方公務員のうち、住民の権利義務直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又は、これらに参画することを職務とするもの(以下「公権力行使等地方公務員」という。)…すなわち公権力行使等地方公務員の職務の遂行は、住民の権利義務や法的地位の内容を定め、あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど、住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有するものである。それゆえ、国民主権原理に基づき、…日本国の統治者として国民が最終的な責任を負うべきものである。」そして、「原則として日本の国籍を有する者が…就任することが想定されているとみるべきであり、我が国以外の国家に帰属し、その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が…就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない…。」「そして、普通地方公共団体が、公務員制度を構築するに当たって、公権力行使等地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築して人事の適正な運用を図ることも、その判断により行うことができるものというべきである。そうすると、普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で、日本国民である職員に限って、管理職に昇任することができることとする措置を執ることは、合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり、上記の措置は、労働基準法3条にも、憲法14条1項にも違反するものではないと解するのが相当である。そして、この理は、…特別永住者についても異なるものではない。」