S53.10.20 第二小法廷・判決 昭和49(オ)419 国家賠償

◆ S53.10.20 第二小法廷・判決 昭和49(オ)419 国家賠償


判例 S53.10.20 第二小法廷・判決 昭和49(オ)419 国家賠償(第32巻7号1367頁)

判示事項:
  一 無罪判決の確定と捜査及び訴追の違法性

  二 国家賠償法一条と公務員個人の賠償責任

要旨:
  一 無罪の刑事判決が確定したというだけで直ちに当該刑事事件についてされた逮捕、勾留及び公訴の提起・追行が違法となるものではない。

  二 公権力の行使に当たる国の公務員がその職務を行うにつき故意又は過失によつて違法に他人に損害を与えた場合には、国がその被害者に対して賠償の責に任じ、公務員個人はその責を負わない。

参照・法条:
  国家賠償法1条,民法709条

内容:
 件名  国家賠償 (最高裁判所 昭和49(オ)419 第二小法廷・判決 棄却)
 原審  S48.08.10 札幌高等裁判所

主    文

     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         
理    由

 一 上告代理人杉之原舜一外一七六名の上告理由第一、第二について
 (一) 無罪判決の確定と捜査訴追の違法性に関する主張について
   所論は、無罪判決が確定した場合には、判決時と捜査、公訴の提起・追行時で特に事情を異にする特別の場合を除き、捜査、訴追は違法であつたと判定されるべきである、というのである。
   しかし、刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となるということはない。けだし、逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりは適法であり、公訴の提起は、検察官が裁判所に対して犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示にほかならないのであるから、起訴時あるいは公訴追行時における検察官の心証は、その性質上、判決時における裁判官の心証と異なり、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当であるからである。
    所論の点に関する原審の判断は、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、独自の見解であつて採用することができない。
 (二) その余の主張について
   所論は、上告理由第三ないし第一二についての総括的主張であるところ、二以下において判断するとおり、原判決に所論の違法はない。右違法があることを前提とする所論違憲の主張は失当である。論旨は採用することができない。
 二 同第三について
 (一) 証二一号発破器が昭和二七年六月中旬頃大興商事株式会社(以下、大興商事という。)の六坑、三坑に存在していなかつたとの主張について
   所論は、捜査官は、証二一号発破器の番号は八七五〇号であり、油谷鉱業株式会社油谷芦別炭鉱(以下、油谷鉱業所という。)の所有であつたが、昭和二六年一一月頃C1が窃取しC2を通じて亜東組C3に売却されたものであることを昭和二八年八月には知悉しており、大興商事の六坑、三坑で使用され昭和二七年六月中旬頃紛失した発破器は一五三五九号(証一二九号)であることを昭和二八年八、九月には知悉していながら、昭和二七年六月頃大興商事の六坑、三抗で使用されていた証二一号発破器がA1らによつて窃取されたものと想定して強引に捜査を進め、その方向に添う供述を引き出し、右の想定の妨げとなる証一二九号発破器を三年間も隠匿し続けたのは、捜査官の故意であるにも拘らず、原判決が、証二一号発破器が昭和二七年六月当時大興商事に存在したものとし、ひいては捜査官の判断は合理的であつたとしたのは、経験則、論理則、採証法則、弁論主義に違反し、釈明権不行使、審理不尽の違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
 しかし、原判決は、捜査の過程において、甲第四六一号証(C4の裁判官に対する供述調書。以下、裁判官、検察官、司法警察員に対する供述調書を、裁供、検供、員供という。)、同第四八五号証(C5・裁供)、同第四八九号証(C5・検供)、同第四九三号証(A1・員供。A1が提革付きで提革の止め金がボタン式と見られる発破器を書いた略図が添付されている。)、甲第六〇一号証(C6・検供)、乙第三号証(C7・検供)、同第九号証(C8・検供)、同第二五号証(C9・検供)、同第三五号証(C10・検供)、同第一三四号証(C11・検供)、同第二七八号証(C6・員供)等、証二一号発破器の外形的特徴を有する発破器が昭和二七年六月当時油谷鉱業所の下請作業をしていた大興商事の六坑、三坑に存在して使用されていたことを肯定する趣旨の証拠が得られたこと、甲第五五二号証(C1・検供)、甲第五五三号証(C12・検供)等、油谷鉱業所においては証二一号発破器のほかにも盗難にかかつた発破器があり、発破器二台(新高式発破器と鳥居式発破器A二八号)が修理のために油谷鉱業所に持ち込まれたところ、被害品であるとして取り上げられた旨の供述が得られたこと(原判決理由第八)を確定し、また、刑事の公判においても、甲第一一三号証(C13・公判調書)、同第二一四号証(C5・公判調書)、同第二二一号証(C14・公判調書)、同第二二六号証(C13・公判調書)、同第二二七号証(C7・公判調書)、同第二三二号証(C15・公判調書)等、大興商事に証二一号発破器が存在し六抗、三坑で使用されていたことを裏付ける趣旨の証言がなされたことを確定しているのであつて、右の事実関係のもとにおいては、「遺留品の証二一号発破器が、大興商事に存在し、これが六抗、三坑で使用されていたと判断しても合理的な資料が数々あつたのである。八七五〇号発破器が大興商事に流入した経路がわからなくても、流入の可能性が全く否定されているわけではないから、証二一号発破器が大興商事の六坑、三坑に存在し、これが使用されていたと判断することの支障となるものではない。」とし、A1及び上告人A2が本件証二一号発破器を窃取したとして公訴を提起・追行した検察官の判断は合理的である、とした原審の認定判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 (二) 証一二九号発破器の隠匿、証二一号発破器についてのC1らの関係書類の不提出、論告の誤りに関する主張について
 (1) 所論は、検察官は遺留品の証二一号発破器が昭和二七年六月中旬頃三坑で紛失した発破器であるとの想定を証一二九号発破器が発見された後においても維持するため、昭和三一年五月に刑事一審の公判廷に提出するまで証一二九号発破器を故意に隠匿し、証二一号発破器についてのC1らの関係書類(甲第五三九ないし第五五九号証)を刑事二審の最終段階まで隠匿していたものであるにも拘らず、原判決が、検察官が故意に隠匿したものではないとしたのは、経験則、論理則に違反し、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
   所論は証二一号発破器が昭和二七年六月当時大興商事に存在しなかつたことを前提とするものであるところ、発破器の外形的特徴に関する供述に依拠し、これに信用性がおけるとして証二一号発破器が昭和二七年六月頃大興商事の三坑、六抗に存在していたところ紛失したものと判断した検察官の判断に合理性があることは前記(一)のとおりであるから、右のような検察官の立場からすると、証一二九号発破器の存在と証二一号発破器に関するC1らの記録とは、いずれも直接本件に関係がないこととなるので、その不提出をもつて隠匿行為とは認められないとした原審の判断は正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の認定に沿わない事項を主張して原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
 (2) 所論は、(イ) 刑事一審における検察官の論告は、「証拠品である発破品が大興商事の使用物であることが解明されていた」「ナンバー入発破器(一五三五九号)は本件発破器と別の機会に本件発生の相当以前に紛失した」と虚偽の論告をした点について、原判決が何らの判断をしていないのは、審理不尽、判断遺脱の違法がある、(ロ) 右検察官の論告の「C1らが窃取した発破器はその処分先から発見されて明瞭となり、本件との関連は全然認められなかつたものである」とした点は、単なる過失ではなく故意によるものであるとの上告人らの主張に対し、被上告人らは昭和四二年一月二七日付準備書面(九)の一(八)2において検察官の論告の誤りを認めて悪意を争つているにすぎないのに、原判決が右論告は虚偽のものではなかつたと判断したのは、弁論主義違反である、というのである。
  しかし、(イ)については、前記(一)で説示したとおり証二一号発破器が大興商事で使用されていたと検察官が判断することは合理的であるとすることのできる証拠が存在し、また、証一二九号発破器が三坑向堀に至る坑道に置き忘れられたのは、おそくとも昭和二七年六月初旬と推測することのできる証拠(乙第一号証・C7・検供、甲第四八七号証・C5・検供)も存在することを原判決は判示しているのであるから、原判決は右の論告を虚偽の論告とは認めていないことは明白であり、原判決に所論の違法はない。
  (ロ)については、所論指摘の準備書面において被上告人らは、「諭告の誤りも……悪意でなされたものではなく、……仮にこれを過失ととらえるとしても……三上告人ら主張の損害との間の因果関係は存在しない」旨主張していることは記録上明白であるから、被上告人らの主張は、右論告の誤りをもつて国家賠償法一条所定の故意・過失を認めた趣旨とは解されない。そして、故意に虚偽の論告をなしたとみることはできないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
    ところで、右論告は捜査段階で捜査官らが推定していた事実並びに発破器窃盗事件の起訴にあたつて起訴検察官が推定していた事実に反する陳述である旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係によつて正当として是認することができるところであつて、たとえ、右論告の過誤に過失があつたとしても、これによつて上告人らがその主張のような損害を蒙つた点については、原審において主張がなされていないのであるから、所論が論告の過失を認めなかつた原審の法令違背をも主張する趣旨であるとしても、右法令違背は原判決の結論に影響を及ぼすものではなく、適法な上告理由とはならない。
   論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の認定に沿わない事項若しくは判決の結論に影響のない事項を主張して原判決を非難するものにすぎず、いずれも採用することができない。
 三 同第四について
 (一) 遺留品雷管と犯行物件との同一性について
   所論は、発見直後の遺留品雷管の状況について緑青はふいておらず鈍い赤銅色で新しい感じのものであつたとしたうえ、証一〇号の雷管は二四時間程度ダイナマイトに挿入されていたものである旨のC16の鑑定及び証言(甲第三四六、第三五六号証)を排斥することにより、遺留品は犯行に供した物件と同一である、とした原審の認定は、論理法則、経験則に違反した明白な事実の誤認であり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、遺留品発見時における雷管の状態については、「緑青はふいておらず、鈍い赤銅色で新しい感じのもので、管体に刻み込まれた『5』の数字が肉眼で見えていた」旨の証拠と「錆のようなものがついていた」旨の証拠とがあり、前者の証拠に信用性を認めた原審の認定判断は、右の原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
  また、C16の鑑定の基礎となつた同人の実験結果には不正確な要因が含まれているとしてこれを排斥して遺留品と犯行物件との同一性を肯定した原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認しえないものではなく、その過程に所論の違法はない。
 (二) 証拠として提出された雷管と遺留品雷管との同一性について
  所論は、C17の鑑定(甲第一四一号証)及びC16の鑑定と証言(甲第一三一、第三四六、第三五六号証)を排斥して、証一〇号の一ないし四の雷管の管頭部が短かくなつているのは人為的に切断されたものではなく、腐蝕による欠落であるとし、C18の証言(甲第一〇四号証)、火薬類保管証(甲第四一一号証)、火工品保管証(甲第五七六号証)等を排斥して、C20巡査が右雷管をC18に保管させたことはない、とし、ひいては、証一〇号の雷管と遺留品雷管とは同一である、とした原審の認定は、採証法則、論理法則、経験則に違反し、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、人為的切断ではなく腐蝕による欠落と認めた原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係、殊に右認定に沿う甲第一二〇号証(C19・公判調書)に照らし、正当として是認しえないものではなく、その過程に所論の違法はない。
   また、甲第六五号証(C20・公判準備調書)、同第二九八号証(C20・公判調書)、同第五九〇号証(C21・公判準備調書)等を採り、甲第一〇四号証(C18・公判調書)を排斥し、前記二通の保管証の記載には措辞に不適切なところがありこれをもつてC20の供述の信用性を覆えすに足りるものではないとし、遺留品雷管はC18が保管中滅失したものとは認められないとした原審の認定判断は、右の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
 (三) その他、証一〇号の雷管と遺留品と犯行物件との同一性を否定する所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
  論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、いずれも採用することができない。
 四 同第五について
 (一) 参考人の逮捕・勾留について
   所論は、本件の捜査においては、異常に多くの参考人を、異常なほどに繰り返して、理由も必要もないのに逮捕・勾留して、本件鉄道爆破事件についての取調がなされたのであつて、右のような逮捕・勾留はいわゆる別件逮捕よりも権限の濫用が一そうひどい違法なものであるにも拘らず、原判決が、本件捜査において逮捕・勾留の濫用は認められないし、右捜査による参考人の各供述についても捜査官がそれを信用しても不合理ではない、としたのは、憲法三三条、三四条、刑訴法一条、一九九条、二〇四条の解釈を誤り、かつ、証拠判断において経験則、論理則を著しく無視したものであり、しかも釈明権不行使、審理不尽であつて、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背に該当する、というのである。
  まず、各参考人について逮捕・勾留の理由及び必要性があつたものと判断した原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及び説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
  そして、捜査官において、逮捕状・勾留状記載の被疑事実について取調を行うのではなく、もつぱら他の者の被疑事実について参考人としての供述を求めるために逮捕・勾留することは違法であるが、逮捕状・勾留状記載の彼疑事実についての取調がなされ、その被疑者について他の者の被疑事実についても任意の供述がなされた場合には、この供述を聴取することは違法ではないと解するのが相当である。これを本件についてみるに、本件鉄道爆破事件に関する供述を得る目的のみで各参考人を逮捕・勾留したものと認めるに足りる証拠は存しないのであり、右参考人らの各供述を捜査官において信用しても不合理ではない、とした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は失当である。論旨は、ひつぎよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 (二) A1の逮捕・勾留について
  所論は、A1は違法な逮捕・勾留の繰り返しにより逮捕後一四〇日以上も経てから自供したが、その後も否認と自供を繰り返したうえ、否認するに至つたものであり、その自供は証拠能力、証拠価値のないものであるにも拘らず、原判決がA1の逮捕・勾留は違法ではなく、同人の自供は不当に長い抑留又は拘禁後の自白には当らないのであり、捜査官が自供部分を信用したのは相当である、としたのは、経験則、採証法則に違背する、というのである。
  しかし、甲事実について逮捕・勾留の理由と必要があり、甲事実と乙事実とが社会的事実として一連の密接な関連がある場合、甲事実について逮捕・勾留中の被疑者を同事実について取調べるとともに、これに付随して乙事実について取調べても違法とはいえないのであり、しかも、甲事実と乙事実とが、社会的事実としては一連の密接な関連があるとはいえ、両者が併合罪の関係にある場合には各事件ごとに身柄拘束の理由と必要性について司法審査を受けるべきものであるから、一般に各別の事件として逮捕・勾留の請求が許される(最高裁判所昭和四九年(あ)第二四七〇号同五二年八月九日第二小法廷決定・刑集三一巻五号八二一頁参照)。A1及び上告人A2の火薬類取締法違反の罪による逮捕・勾留中にこれと社会的事実として一連の密接な関連のある窃盗罪(発破器の窃取)及び列車往来危険罪等についても取調べた後に、窃盗罪及び列車往来危険罪等の被疑事実について逮捕・勾留したとしても違法ではない(なお、原判決二三六頁は「三月一三日には、C4も、A3も逮捕されていないことが明らかである。」と判示するが、記録によれば、C4は昭和二八年二月一八日に逮捕され、三月一一日に釈放されていることが認められる。しかし、右の誤認はあるけれども、C14の公判廷における証言の信用性を否定し、A1、上告人A2の逮捕の基礎となつた被疑事実の資料であるC14の司法警察員の供述調書の信用性を肯定した原審の判断は正当として、是認することができる。)。また、本件は事案複雑で関係人の供述も錯綜しているので、一四〇日以上も経てからなされたA1の自白は不当に長い抑留又は拘禁後の自白とはいえないとし、右自白は真実性を備えているものと検察官が判断したことは誤りがあつたとはいえないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は失当である。
 (三) 捜査の違法性の判断基準に関する主張について
  所論は、捜査当時の実務の実情に応じ官憲の法遵守義務の水準の緩和を図るべきでなく、本件捜査・訴追における官憲の行為の違法性を否定した原判決は法令の解釈を誤つたものである、というのである。
  しかし、参考人については逮捕・勾留の理由及び必要性はあつたものと推認され、本件鉄道爆破事件に関する供述を得る目的のみで逮捕・勾留したものと認めるに足りる資料はない旨の原審の判断を正当として是認することができることは前記(一)で説示したとおりであるから、昭和二八年当時の実務の慣行に照らし、捜査官らの逮捕状請求、検察官の勾留請求をあながち不当とはいえない旨の原審の判示は、判決の結論に影響のない説示である。論旨は、判決に影響のない点を非難するものにすぎず、採用することができない。
 五 同第六について
  所論は、C14、C4の供述には共犯者としてA1、上告人A2のほか、C22、C19、C23、C24ことC25が特定明示されているのに、C22、C19、C23、C24ことC25らが起訴されなかつたことに徴しても、C14、C4供述の虚偽架空性は明白であるにも拘らず、原判決が本件鉄道爆破事件はA1、上告人A2外数名の共謀による共同犯行であるとするC14、C4の供述を信用して検察官が訴追したことに過失がないとしたのは、論理則、経験則に違背するものであり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、C14、C4供述において共犯者とされる者のうち、C19についてはアリバイが成立したが、そのアリバイの成立が明確になつたのはA1、上告人A2を本件鉄道爆破事件について起訴した後のことであり、A1、上告人A2、C24ことC25についてはアリバイが成立せず、C22、C23のアリバイについてはそれが成立するとの客観的資料はなく、供述に出てくる共犯者のアリバイについて捜査をし、アリバイが成り立つていないことを確認し、かつ、他の諸般の証拠とも総合勘案したうえで検察官がC14、C4のA1及び上告人A2の犯行に関する各供述の信用性に疑念を抱かなかつたことに過誤はなかつた旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。諭旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 六 同第七について
  所論は、昭和二七年六月二〇日午後二時半頃井尻飯場で、A1、その妻C26、上告人A2、C22、C24ことC25が集まり、火薬入手の相談をするのを目撃した旨のC14の供述は、C27、C28、C22の供述等に対比して、信用性が疑わしいにも拘らず、C14の右供述に慢然信を置き一層の捜査を尽くさなかつた検察官には重大な過失があるにも拘らず、原判決が右C14供述は信用できるものであり、検察官がこれを信用したとしても不合理ではなく、また、不当でもない、としたのは、経験則、論理則、採証法則違反であり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、C14の供述以外にも、井尻飯場の仕切工事がされたのは昭和二七年六月二〇日以前である旨の証拠、C14がC27方を完全に引き払つたのは七月一〇日であるがそれ以前にもC14は井尻飯場に泊つたことがあつたとする証拠、C29が現場までA1を迎えに行つた旨の証拠の存在すること、また、C22の供述とC14の供述との間には若干の相異点があるが、その大綱において一致していること等、原判決挙示の証拠関係に照らし、所論の点に関する原審の認定判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 七 同第八について
  所論は、A1が上告人A2に火薬・発破器・母線・ハンドルを渡したことに関するC14、A1、C4の各供述は捜査官の強制と誘導によるものではなく、任意性、信用性があるとし、この点においても警察官、検察官の捜査、公訴の提起・追行につき故意、過失はなかつたとする原判決には、経験則、採証法則違反及び審理不尽の違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、A1が上告人A2に火薬等を渡した日について「七月七日」から「七月一九日」に訂正したC14の供述は具体性に富み、日時や細かい点で相違する点があるもののA1の供述とも概ね合致していること、C4の供述には一部に思い違いがあり、また、一旦はC5が火薬を運んだことを同人から聞いた旨の供述を撤回したこともあるが、右内容の話を聞いたとする点では基本的には一貫していること等、原判決挙示の証拠関係に照らし、所論の点に関する原審の認定判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 八 同第九について
  所論は、C30、C31の供述によれば、油谷鉱業所二坑、三坑坑務所から、雷管、ダイナマイト、発破母線が紛失したのは七月七日ないし一〇日と認められるところ、工数簿、操業証によると、その頃A1、C32の両名が同じ番方で働いたことはないこと等の事実に徴すると、昭和二七年七月上旬頃A1、C32の両名が油谷鉱業所二坑、三坑坑務所から雷管、ダイナマイト、発破母線を持ち出したものとは認められないにも拘らず、原判決が右事実を認めたのは重大な事実誤認、経験則、論理則、採証法則違反であり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、原判決挙示の証拠関係に照らすと、ダイナマイト等の紛失時期に関するC31、C30の供述は不正確な火薬日報に基づくものであり、工数簿、操業証は正確なものではなく、C4、C32の供述を信用することができるとした検察官の判断を不合理ではないとした原審の認定判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 九 同第一〇について
  所論は、A1がC14に鉄道爆破計画について話し、仲間入りを勧めたのは七月一二、一三日ではなく、七月一三、一四日であるとした原審の認定は、右日時は七月一二、一三日である旨のC14供述、七月一三日までA1は札幌へ賃金交渉に行つていた旨のC33の手帳の記載、七月一四日にはC14は一番方・二番方に連勤していた旨の工数簿・操業証の記載等を無視するものであつて、原審の判断過程には、経験則、論理則、採証法則違反の違法及び釈明権不行使、審理不尽、弁論主義違反の違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、検察官の冒頭陳述は右日時を「七月一二、一三日頃」としており、七月一二、一三日と確定的に主張しているものではなく、C14供述も必ずしも日時を正確に述べているものではなく、A1は七月一三日の早朝には油谷の井尻飯場に戻つたものとみるべき証拠もあり、工数簿のC14の七月一四日欄の記載も連勤した趣旨とは解されず、七月一四日の午前中及び午後二時過の二番方入坑まではC14は井尻飯場にいたものとみることができ、操業証の記載は信用できないとしたうえ、検察官が、七月一二、一三日頃A1から鉄道爆破の計画を聞かされ、仲間入りの勧誘を受けた旨のC14供述を信用できると判断したことが不合理ではないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 一〇 同第一一について
 (一) 工数簿・操業証の正確性について
   所論は、原判決が、工数簿、操業証は不正確であるとしたのは、論理則、経験則、採証法則違反、理由不備の違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、六月分組夫工数簿(甲第五七八号証の二)は六坑三坑を通しての記載であるのに対し、六月分副斜坑分操業証(甲第五七一号証の二)は六坑副斜坑だけについての記載であるから、工数簿に記載があつて操業証に記載がないものがあることは当然であり、また、七月分工数簿(甲第五七九号証の一、二)には露天、坑外の分の記載はないので、露天七月分操業証(甲第五七四号証の一、二)、坑外操業証(甲第五七三号証の一、二)に記載があつて工数簿に記載のないものがあることも当然である旨の所論はそれ自体としては首肯しえないものではないが、原判決は、右のほかにも、例えばC4については六月二、三日、C14については同月七日は、いずれも操業証に出勤の記載があるのに工数簿に記載かないなど、工数簿と操業証とで合致しない点が少なからずあること、三坑七月分操業証(甲第五七二号証の一)の五二枚には主任・所長・係員らの検印がなく後日一気に記載されたものであること、働かないのに働いたこととすること(いわゆる空票の作成)が行われていたこと、工数簿、操業証の記載と関係人の供述とが合致しない点の多いこと、大興商事の経営状態が悪く坑夫の勤労意欲も低く、勤務状況は乱れていたこと等を総合して工数簿、操業証の記載は信用性かないとしたのであつて、右の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
 (二) 工数簿・操業証の不提出等について
  所論は、警察官、検察官は、油谷鉱業所作成の工数簿(甲第五七八号証の二)、大興商事作成の七月分工数簿(甲第五七九号証の一、二)、七月分三坑操業証(甲第五七二号証の一、二)等の証拠価値に照らし、これらの証拠を遅滞なく押収し、公判廷に証拠として提出すべき義務があるのに右義務に違反し、また、作成者について捜査を怠つたため作成者不明のまま油谷鉱業所作成名義の七月分工数簿(甲第五七八号証の一)を提出した警察官、検察官には、故意又は重大な過失があつたにも拘らず、原判決がこれを否定したのは、論理則、経験則違反、理由不備の違法がある、というのである。
   しかし、検察官が工数簿、操業証は信用性がないので証拠とするに足りないと判断してこれを法廷に遅滞なく提出しなかつたことを不合理ではないとし、作成者不明の前記七月分工数簿は、後に提出された油谷鉱業所作成の工数簿(甲第五七九号証)と内容において多少の相違は認められるものの出欠勤については大筋において符合するので、これによつて捜査段階における供述あるいは公判廷における証言を誤らせた節は見出せないので、右証拠の提出をもつて不当ということはできない旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
  論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 一一 同第一二の一ないし四について
  所論は、原判決が、(一) 昭和二七年七月二九日夕方から三〇日早朝までの間のA1のアリバイは成立していないと捜査官が判断したことは相当である、(二) C14は同年六月三〇日A1から依頼され、同年七月四日に三坑現場から井尻飯場までダイナマイトと雷管を運搬したものと認定し、検察官がC14の供述を信用したことは不当ではない、(三) A1は昭和二七年六月一〇日頃C29から鉄製ハンドルを受け取り、これを鉄道爆破に使用したものである、(四) 同年七月頃A1は大興商事三坑現場においてC5と発破母線を交換して新しい発破母線を持ち帰り、これを鉄道爆破に使用した、と認定したのは、いずれも論理則、経験則、採証法則違反であり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、所論(一)(二)の点に関する原審の認定判断及び所論(三)(四)の点についての捜査官の判断が不合理ではないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない(なお、原判決が三一〇頁において、乙第二九六号証の供述録取の日を「一一月二二日」と認定したのは「七月二二日」の読み誤りであるが、原判決挙示の証拠関係に照らし、右の誤りは鉄製ハンドルの存在に関する原審の認定に影響を及ぼすものとは認められない。)。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、いずれも採用することができない。
 一二 同第一二の五について
  所論は、C34、C27、C33、C11、C35の各手帳、井尻飯場の食事伝票及びA1の作業日誌は、A1、上告人A2らの容疑を否定する重要な証拠価値があるにも拘らず、原判決が検察官において右の各手帳は証拠価値がないものと判断してこれを公判廷に提出しなかつたのは不合理ではないとし、また、食事伝票及び作業日誌は領置されたと認めるに足りる証拠がないとして、検察官の手帳等の秘匿を認めなかつたのは、論理則、経験則に違反し、また、憲法三一条、刑訴法の解釈を誤つたものである、というのである。
  しかし、所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、右違法を前提とする所論違憲の主張は失当である。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 一三 同第一二の六について
  所論は、国家賠償法一条は、違法行為が公務員の故意又は重過失による場合は、加害公務員個人に対して損害の賠償を請求することを妨げない趣旨と解すべきであるから、本件において検察官が個人責任を負うべき筋合でないことは国家賠償法の法意に照らし明らかである旨の原判決の判断は同法一条の解釈を誤つたものであり、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背である、というのである。
  しかし、公権力の行使に当たる国の公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を与えた場合には、国がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであつて、公務員個人はその責を負わないものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和二八年(オ)第六二五号同三〇年四月一九日第三小法廷判決・民集九巻五号五三四頁、最高裁判所昭和四六年(オ)第六六五号同四七年三月二一日第三小法廷判決・裁判集民事一〇五号三〇九頁等)。したがつて、右と同旨の見解に立つて上告人らの被上告人B1、同B2、同B3に対する本訴請求を排斥した原審の判断は相当であつて、原判決には、国家賠償法一条の解釈について所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するものであつて、採用することができない。
 一四 同第一三について
  所論は、原判決は国家賠償法一条の解釈を誤り、憲法一七条の要請に背いたものである、というのである。
  しかし、所論の点に関する原審の判断は、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、右違法があることを前提とする所論違憲の主張は失当である。論旨は採用することができない。
 一五 上告人A1C26の上告理由について
  所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    本   林       讓
            裁判官    大   怐@  喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    栗   本   一   夫
      上告代理人目録
杉之原 舜 一  谷 村 正太郎  広 谷 陸 男  三津橋   彬
郷 路 征 記  佐 藤 太 勝  鈴 木 紀 男  鎌 形 寛 之
武 子 ロ 文  藤 原 修 身  生 井 重 男  福 井 泰 郎
高 橋 政 雄  柿 内 義 明  青 柳 盛 雄  安 達 十 郎
小見山   繁  椎 名 麻紗枝  菊 池   紘  江 藤 鉄 兵
島 田 隆 英  門 屋 征 郎  福 本 嘉 明  上 田 誠 吉
岡 林 辰 雄  植 木 敬 夫  福 島   等  西 嶋 勝 彦
田 中 富 雄  渡 辺   脩  中 田 直 人  福 地 明 人
西 山 明 行  川 名 照 美  岡 部 保 男  城 口 順 二
荒 井 新 二  白 石 光 征  藤 本   斉  小 川 芙美子
寺 本   勤  佐 藤   勉  橋 本 紀 徳  児 嶋 初 子
篠 原 義 仁  杉 井 嚴 一  根 本 孔 衛  村 野 光 夫
駿 河 哲 夫  佐 藤 義 彌  斉 藤 義 雄  小 沢   茂
大 塚 一 男  稲 見 友 之  安 西 一 三  小 島 成 一
秋 山 信 彦  伊志嶺 善 三  今 村 征 司  岡 田 啓 資
大 森 鋼三郎  上 条 貞 夫  倉 内 節 子  小 林 亮 淳
坂 本   修  白 垣 政 幸  瑞慶山   茂  高 橋   融
田 中 敏 夫  谷 口 優 子  永 盛 敦 郎  西 村   昭
原 田 敬 三  福 地 絵 子  松 井 繁 明  山 本 真 一
柳 沢 尚 武  渡 辺 正 雄  内 田   博  小 田 成 光
今 氷 博 彬  入 倉 卓 志  国 本   明  佐々木 秀 典
高 木 壮八郎  村 井 正 義  松 浦 基 之  小 池 通 雄
市 来 八 郎  亀 井 時 子  大 川 隆 司  坂 井 興 一
船 尾   徹  沢 藤 統一郎  小 林 和 恵  清 水 順 子
村 野 守 義  阪 口 徳 雄  川 上   耕  青 柳 孝 夫
秋 山 昭 一  斉 藤 佳 子  複 本 武 光  島 田 正 雄
田 山 睦 美  真 部   勉  馬 上   融  岡 田 正 之
加 藤 芳 文  風 早 八十二  池 田 眞 規  岩 崎   修
松 井 康 浩  津 田 玄 児  犀 川 季 久  宮 川 光 治
大河原   弘  満 田 繁 和  浜 口 武 人  土 生 照 子
寺 村 恒 郎  安 田   叡  石 野 隆 春  柴 田 五 郎
塙     悟  平 山 知 子  大 国 和 江  我 妻 真 典
熊 谷 悟 郎  飯 田 幸 光  荒 川 晶 彦  木 村 晋 介
永 瀬 精 一  白 井 孝 一  川 村 武 郎  坂 本 福 子
久保田 昭 夫  豊 田   誠  舎 川 昭 三  鈴 木 堯 博
岡 田 克 彦  村 野 信 夫  立 木 豊 地  仲 田   晋
清 水 洋 二  筒 井 信 隆  清 水 恵一郎  徳 住 堅 治
石 島   泰  石 川 憲 彦  金 網 正 己  竹 沢 哲 夫
千 葉 憲 雄  鶴 見 祐 策  向   武 男  陶 山 圭之輔
陶 山 和嘉子  宮 代 洋 一  佐 伯   剛  高 荒 敏 明
関 原   勇  彦 坂 敏 尚  佐 藤 文 彦  五十嵐 義 三
佐 藤 義 雄  後 藤   徹  南 山 富 吉  今 泉 賢 治
渡 辺   弘  菅 沼 文 雄  菅 沼 和歌子  尾 崎   陞
鍛 冶 利 秀  床 井   茂  西 口   徹  藤 谷 正 志
横 田 俊 雄  小 林 幹 治
                            以  上