プレスリリース
2001年6月29日
小泉首相の訪米へ向けたコメント
浅岡 美恵
気候ネットワーク代表
米国の不支持宣言以降、京都議定書は危機に直面しています。今や、京都議定書の運命は、日本自身の批准意思の表明にかかっています。
再開COP6まであと2週間余しかありません。ボンでの最後の準備会合でも、日本などの強硬姿勢によって合意に向かって実質的に動きませんでした。6月30日の小泉・ブッシュ会談は、日本が京都議定書を生かしていく最後の機会といってもよいものです。
小泉首相は会談前日にも、日米関係の構築が重要との態度を変えていません。6月30日に予定されている日米首相会談でも、明確に拒否をしている米国をなお説得し続け、その上京都議定書の根幹となる数値目標や目標年を変えるような提案を行うようなことをするならば、再開会合での京都議定書発効のため合意づくりに向けての各国の意欲を大きく後退させ、京都議定書の2002年発効はおろか、京都議定書を日本が葬り去ることになりかねません。また、日本の批准を武器として京都議定書を骨抜きにしようとして再開COP6を決裂させてしまうならば、同じく京都議定書を自ら葬り去ることになるものです。
これは、京都会議の議長国としての責務を放棄したものと言わざるをえず、将来にわたり国際的信頼を大きく失わせることになってしまいます。小泉首相が掲げる環境重視政策とは何だったのかと、内外に深い失望をもたらすことは明白です。
世界各地の1万3千人を超える人々から小泉首相へ決断を求める手紙が送られています。環境問題を重視する小泉首相は、京都議定書を守るために大きく貢献し、日本の国民に誇りと勇気をもたらすことができます。日本の環境外交において回復困難な重大な汚点を残すことを回避し、温暖化防止の国内対策をより加速推進するために、今こそ、独自の決断をしなければなりません。世界中の人々を失望させぬ、小泉首相の積極姿勢が、自立した日本の証となるものです。
小泉首相は、明日30日のブッシュ米大統領との日米首脳会談において、
@地球温暖化防止のために、日本として京都議定書を批准する意思を表明し、京都議定書を守るという姿勢を明示し、
A京都議定書を守っていく日本の立場に対して、アメリカがこれを尊重することを確認させるべきです。
世界中の目が今、環境問題で日本が国際的なリーダーシップを取り、歴史的な決断ができるかどうかに注がれています。
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(参考資料)
●6月16,17日に開催されたEU首脳会談の議長結論文章(Presidency Council)において、
「欧州議会(注:ではなくて欧州理事会)はアメリカが、京都議定書の交渉を妨害しないと約束したことを歓迎する…(European Council welcomes the commitment by the US not to block the Kyoto Process and …)」
と記されており、京都議定書に反対するアメリカも、京都議定書の発効へ向けたプロセスは妨げない旨が確認されている。
●川口大臣は、5月25日の記者会見で、アメリカの提案の期限を6月下旬と示し、米国を京都議定書の基本的枠組み内に戻すことを働きかけると発言しています。そして、これを妥協したら京都議定書でなくなるという基本的な枠組みとは、「法的拘束力があること、目標や達成年度があること」などであることと明らかにしています。また6月15日に数字にはこだわる、と話しています。
(5月25日の川口環境大臣記者会見要旨から関連部分を抜粋)
(大臣)私は米国に対し、結論を出すタイミングが重要であることと、京都議定書の枠組み内で戻ってくる事が重要であるということを申し上げています。
米国は25%の排出量を持っているので、米国抜きでの発効となると実効性に乏しいものになってしまいます。また、これは米国一国の問題ではなく、米国が入らないということになると途上国の参加も難しくなるわけです。2010年には途上国の排出量が全体の半分に達し、これに加えて世界一の排出国である米国が入らないとすれば、望ましくない結果になります。ですから米国を枠組みに戻す働きかけを行っているわけです。
(質問)そうしますと、6月下旬が米国の代替案の期限ということになりますか。
(大臣)そうですね。それ以上遅れますと実効性のある議論はできなくなると思います。ですから、今後一ヶ月働きかけを続けていくことになると思います。
(質問)京都議定書の枠組みというのは細かい数値目標を含めてのことでしょうか。
(大臣)厳密な意味での枠組みといっている訳ではありません。これを妥協してしまったら京都議定書ではなくなるという最低限の基本的枠組みのことです。
国際的な場において何が京都議定書かということについての議論はされていませんが、目標や発効時期、京都メカニズムは重要だと思います。
プロンク議長がニューヨークの記者会見で述べたことによりますと、法的拘束力があること、目標や達成年度があること、フレキシビリティメカニズムがあること、途上国に対しての異なる扱いがあること、環境十全性があることというのが京都議定書の基本的骨格であると言っていたと思います。
(6月15日の記者会見大臣発言要旨からの抜粋)
(質問)大臣のこれまでのご発言では、削減率と目標年次を含まなければ京都議定書ではないとおっしゃっていますが。
(大臣)削減率と目標年次を含まなければ京都議定書ではありません。
(質問)その2つは動かせないということですか。
(大臣)京都議定書というのは削減率と目標年次を含んでいるということです。
(質問)今までの数字にもこだわらないということですか。
(大臣)当然私はこだわります。