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■ <声明>                        ■

■ 国連ボン会議で京都議定書ルール包括合意!        ■

■ 地球環境を守るための小さな、しかし重要な一歩を踏み出す ■

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地球の友ジャパン

2001年7月27日ボン発

 7月23日月曜、米政権の反対にも拘わらず、世界からボンに集まった178ヶ国の閣僚級代表は数十時間のマラソン交渉の後、京都議定書運用ルールの主要項目に合意した。京都議定書は先進国に温室効果ガス排出削減を義務付けている。

 この運用ルールにおける合意は地球環境を救うための環境面ではささやかな、しかし非常に重要な意味を持つ一歩である。日本及びその他の国々は速やかに運用ルールの細部を詰めるとともに国内制度を整備し、議定書の批准を進め、公約の来年2002年までの京都議定書発効を達成しなくてはならない。

合意した内容は?

 環境面の実効性は京都会議以降交渉されてきた内容から一層後退したものとなった。政府の実効ある議定書発効を目指すという度重なる表明にもかかわらず、ボンでの国連交渉の始まりから、日本は幾つかの主要な項目でカナダ、オーストリアとともに強硬な要求を欧州及び途上国諸国に突きつけ妥協を迫った。会議開始までに議定書批准に消極的もしくはすでに批准せずと表明していた同二ヶ国と日本が、会議を通じて行動をともにしたことは明記されるべきである。日本の批准が議定書発効に不可欠なため欧州他諸国は妥協を強いられ、この結果、京都議定書の環境実効性は大きく損なわれることになった。

 合意内容から悪影響を受ける最たるものは世界に残された貴重な森林である。科学者達は排出量削減の遅れにともなう気候変動と生態系への影響に警鐘を鳴らしている。日加豪露4ヶ国は交渉第一週の始めに議定書削減目標達成のため森林の利用を大幅に拡大した提案を交渉のテーブルに載せ、欧州及び途上国に妥協を迫り、京都議定書の削減目標をさらに弱める結果となった。科学者達は森林及び農地の二酸化炭素吸収効果が一時的にすぎないことも明らかにしており、NGOや欧州諸国はその利用を議定書の内容に沿い狭い範囲に限定するよう求めていた。目標達成にカウントできる林業活動を拡大することで、これら三(4ヶ)国は議定書下での化石燃料からの温室効果ガス排出枠を増やすことができるようになる。これに加えこれら追加される林業活動が海外での大規模産業用植林やプランテーションを促進させることが強く懸念されている。これらの産業用プランテーションは残された自然を置き換える形で植林が進められるケースが多く、中南米や東南アジア、オーストラリアなどに残された原生林減少の主要な原因の一つとなっている。

 日本、カナダ、オーストラリアは議定書を弱めるため以下の幾つかの点でも譲歩を迫ったが、これらはプロンク議長、欧州及び途上国諸国により拒絶された。

 今回ボンで最終的に採択された合意文書の最も重要な点は、京都議定書の下で目標を達成できなかった国は法的帰結の対象になるという法的拘束力のある条約となることである。環境のみならずその国の政策全般に影響を与えうる温室効果ガス排出管理の国際制度という内容で、しかも目標達成に必要であれば法的効力のある措置を政府に課すことのできる環境条約が誕生するのである。日本は最後の瞬間までただ一国になってでも京都議定書の削減目標を自主目標化に近い形で弱めることに固執した。世界の大勢の国がこのようなより強い実効性のある条約の必要性を認知しつつある。この日本の姿勢が環境問題への政府の認識の甘さを如実に示す一方、今回ボンで成された国際合意は、近年まれにみる環境保護史上最も重要な達成のひとつに数えられよう。

 さらにこの合意により、これまで曖昧なままにされてきた環境と貿易の交渉・条約間の整合性を図ることが可能となるだろう。京都議定書は、環境条約の下でなされる炭素税導入など国内政策がWTOなどの貿易自由化交渉の場で輸入障壁と見なされないことに道を開く前例となる可能性を秘めている。

 この包括合意のもう一つの意味深い結果は、原子力が議定書下での活動から除外されることが明記されたことである。「先進国は原子力施設の削減量を議定書目標達成に使うことはできない」と記されている。これは国内での原子力による発電自体を制限するものではないが、世界のほとんどの政府が原子力技術の危険と環境への悪影響を公式に認め明記した意義は計り知れないものがある。

合意を阻み続けた日本

 川口環境大臣は数十時間続いた閣僚級交渉の最後の瞬間で決定的な役割を果たしたといわれ、「約束を違えることはなかった」(プロンク議長言)一方、政府自体はこのような包括的な合意を行う準備はほとんどなかったようである。よりによって国連会議前日の日曜テレビ討論で小泉首相は今回は合意にはならないと口にしてしまった。

 世界は即座に強い反応を見せた。日本のNGOの声に応え世界中のNGOが小泉首相の消極的な姿勢と理解の欠如に反発、世論を動かし、シュレーダー独首相は直接首相官邸に電話を入れ真意を質した。後日首相は日本の来年の議定書発効を目指すという公約を再度表明することになった。

 これまでの国連会議に比べ欧州諸国、途上国はより結束ができており、日本とは対照的にこの会議で実質的な合意を得る強い意志を持っていたことも明記されねばならない。会議開始後数日で大きな進展が見られなかったため、環境NGOと独環境大臣はプロンク議長に議長合意案を急遽作成し、イタリア・ジェノアで会談中だったG8首脳へボン代表団を通じ相談しつつ進めるよう提案、折しもジェノアでは朝から京都議定書問題で首脳間で激しい議論が展開されていた。小泉首相が首脳間の埋めようのない意見の相違を最終声明から隠そうとするなか、目前で展開されたやりとりは首相自身のこの問題への認識を高めたことであろう。以後ボンの川口大臣との間で頻繁な電話協議が行われ首相自身がボン交渉に深く関わる形となった。21日から23日までのごく短い時間で合意へ急速な盛り上がりが生み出された。

 交渉を成功へ導いたのは欧州諸国のリーダーシップによるところが大きい。プロンク議長の合意案を多くの点で不満を残すとしつつもいち早く受け入れ、説得を受けた途上国が続き、日曜午後までに合意を受け入れない国は日本、カナダ、オーストラリア三ヶ国のみとなり孤立した。議長が修正を拒否し受け入れるか交渉を打ち切るかを迫ったことにより、大臣を通じ東京側との十数時間の夜を徹した集中的な交渉の後、日本は翌朝、ついに提案を最終合意として受け入れた。

 閣僚級会合直後の記者会見で、日本の批准手続きを説明する際、川口大臣はこれまで政府が繰り返してきた米国の同時批准にほとんど触れず、また東京では福田官房長官が米国に関わらず日本が批准する選択があると述べるなど、日本の議定書批准に向けた一歩に影響を与えた意味ある合意となっている。

非暴力で前向きな環境運動のひとつの金字塔

 ボンでの国連交渉の前及び期間中、世論は政府に議定書批准のための合意を図る盛り上がりを見せてきた。与党の一部を除きほとんどの政党が政府に米抜きでも批准を求め、主要紙も同様の社説を掲載、衆参両院で速やかな批准を求める決議が成されてもいる。

 この会議の成功はしかし、欧州の成熟しつつある環境運動やNGOによりもたらされたものである。彼らが他のNGOをリードし世論形成を図り、日本ほか合意を阻む数ヶ国政府の動向を監視する中、このボン会議で合意を結ぶよう欧州各国政府へ圧力をかけ続けたのである。中日となった21日、市中心部で地球の友(BUND)の呼びかけにより行われた地球を救う「ボート」建設のアクションには約5千人の市民が参加、日本から届けられた約5千の「声」も含め、思い思いのメッセージを込めた板をはめてできあがったボートはボン市内から国連会議の会場前まで参加者が押して約3時間かけ運ばれ、市民の声の象徴として会議終了までそこに留められた。今回ボンでの達成は、力強く前向きな欧州の環境主義が欧州に根付いている証拠でもある。欧州の、そしてすべての地球市民が勝ち取った結果なのである。

(注)

 京都議定書は先進国に温室効果ガス排出削減を義務づける法的拘束力のある条約である。米国は先の3月、議定書への反対を表明した。議定書が正式に法的な効力を持つためには90年度の先進国の二酸化炭素総排出量の55%以上に当たる先進国が批准しなくてはならない。欧州諸国はすでに批准の意思表明をしている。日本のボンでの強硬な要求は実際、日本政府が依然米国の同時批准なしでの批准の意思表明をしていないことに裏打ちされている。世界最大の排出国である米国抜きでは、議定書が発効するためには欧州だけでなく日本とロシアの批准が不可欠なのである。

この声明連絡先:

地球の友ジャパン・小野寺ゆうり
Tel 03-3951-1081
energy@foejapan.org

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