日本政府は直ちに京都議定書批准の表明を!

2001年6月12日

地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)

アメリカ提案は世界の市民、将来の世代に対する重大な背信行為

 6月11日、ブッシュ米大統領は、京都議定書には致命的な欠陥があるとして、自主的な排出削減対策を中心とする議定書に変わる新たな提案を発表した。しかし、このアメリカ政府の提案は、京都議定書の基本的な枠組みを崩し、1991年以来、10年余に渡る地球温暖化問題に関する国際交渉を否定するもので、交渉に参加してきた締約国だけでなく、世界の市民、将来の世代に対する重大な背信行為で、大きな怒りと失望を禁じえない。

公平性を欠くプロンク議長の新テキスト

 また、同日、プロンクCOP6議長は、COP6再開会合に向けた新たな交渉テキストを発表した。

 今回提案された「新テキスト」は、基本的な枠組みはハーグで提案された11月23日付け「プロンク議長ノート」や、4月9日付けの提案と変わらない。即ち、今回のテキストでも、京都議定書は「削減議定書」ではなく、温室効果ガスの排出増加を許す議定書になりかねないものとなっている。

 それだけでなく、今回の新テキストは、日本だけを特別扱いする著しく公平性を欠くものとなっており、今後の交渉にとって重大な問題を残している。即ち、今回のテキストでは、@エネルギー効率、A森林面積、B人口密度などの3条件を満たせば1300万tを上限として森林管理の割引をしなくてよいことになっており、その結果、日本は1990年比で3.0%のシンクによる吸収量を見込めることになった。この新たな計算方法は日本のために考案されたものであると報道されている。こうした日本だけを特別扱いする提案が、締約国の合意を得られるとは思えない。

 

 

日本政府は新テキストの優遇提案の返上を!

 日本政府は、COP3の時から大幅な吸収量の算入を主張し、議定書交渉を妨害してきた。昨年11月のCOP6でも、日米加が削減目標を大きく上回る吸収量が算入可能な提案をしたことが合意を阻む主要な原因となった。

 日本政府は、日本だけを優遇するこの提案を返上すべきである。COP3の議長国であり、先進工業国としては世界第2位の温室効果ガスの排出国である日本政府が、この著しく公平性を欠く新提案を受け入れるとすれば、日本の外交に拭いがたい汚点を残すことになる。

今こそ、日本政府は議定書批准の表明を!

 今回のブッシュ大統領の新提案で、アメリカ政府が少なくともCOP6再開会合までに議定書交渉に戻る可能性はなくなった。

 もし、日本政府がこうしたアメリカ政府の提案に理解を示したり、これを交渉に対象とすることに同意するとすれば、それはまさに日本政府自らが京都議定書を葬り去ることになる。

 様々な問題はあるとしても、プロンク議長新テキストが交渉のテーブルにのった唯一の調整案である。日本政府をはじめ各締約国は、このプロンク議長新提案をベースに交渉を進め、COP6再開会合において、京都議定書の制度と運用ルールについて合意し、2002年の京都議定書の発効を確実にすべきである。

 日本政府は、日本だけを優遇するシンクの新提案を返上し、アメリカ政府の対応を待たずに、今こそ自らの議定書の批准を表明すべきである。

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