★COP6再開会合での米国の態度
★6/11ブッシュ政権の発表内容
ブッシュ政権は、欧州訪問の直前、京都議定書の代替となる提案を発表しました。
「・・・同日の声明でブッシュ大統領は、発展途上国に削減義務を課していないなど「議定書には致命的な欠陥がある」と言明した。「地球温暖化は事実だが、それにどれだけ人間活動が関与しているかは未解明だ」として、温暖化の研究や対策技術の研究開発に新たな資金を拠出する計画を打ち出した。排出削減の具体的な方策に関しては明確にしなかった。・・・」【ワシントン11日共同=井田徹治】
→この、科学的な研究が必要である、という方針は気候変動枠組み条約ができる以前の、1980年代の問題意識に逆戻りしたものです。
西洋にも、東洋にも「累卵の危うき(すべての卵を一つのバスケットに入れてはならない)」ということわざがあります。仮にブッシュ政権の言うように温暖化の不確実さを減らすために、対策のために研究開発が必要なのだとしても、それに他の国が歩調を合わせるのはまさに「累卵の危機」であり、地球環境という卵は割れてしまうでしょう。
議定書交渉に復帰するよう米国を説得する努力が失敗に終わった今、米国には気の済むまで研究開発を任せておく(そうさせない力は日本にはありません)にせよ、日本を初めとする他の国々は京都議定書を生きのびさせるために発効へと一歩前へ進むことが自らの責任を果たす道です。
→米国は今後、COP6再開会合までに交渉方針を変えるか?・・・No
→これまで日本政府はどんな有効な説得と譲歩提案を米国に行ってきたのか?・・・Nothing、説明すらなにもできない
→今後米国に、議定書への復帰を求めようとするのか?・・・次期政権まで待つべき
→米国向けの有効な反論材料は何か?・・・米国の決定の結果、日本が米国とは違う道を進むことが必然だと伝えること。議定書を発効させた後ならば、不参加国に不利益を課す改訂を行うことができる。 議定書にそのようなムチがないかったのは欠陥であった、ということが今回の騒動で明確になった。
★ブッシュ政権の新たな提案の類型
6/10現在、マスコミ報道で漏れ伝えられている中身では5種類の提案が検討されているとのこと。
- ・法的拘束力の無い自主的目標
- ・研究開発への投資計画の提案
- ・各先進国が2012年までに、新設の設備や機器、自動車などからのCO2排出をゼロに(または吸収源で相殺)する、という提案(=CO2の安定化目標を2013年に先送り)
- ・業界別排出枠をとの提案
- ・クリントン政権と同じ(京都議定書を生かす)
→法的拘束力は必須であるとするワシントンポスト紙社説(英文6/10)
→結果として、ブッシュ氏は一番時代錯誤の案を選んだことになります
★5/17 ブッシュ政権、新しい国家エネルギー戦略を発表
5月17日、ブッシュ政権は発電所を1900基ほど(その大半は火力発電所)を新設するなどエネルギー供給拡大を目指す新たなエネルギー政策を発表しました。ブッシュ政権が京都議定書に復帰することはほぼ不可能と見られます。
★4/20 ブッシュ政権は「いかなる条件でも」京都議定書に反対だった
- 「EUや途上国を厳しく批判 温暖化問題で米国内文書」
- 【ニューヨーク22日共同通信=井田徹治】
4/1付けの指示が米政権内を回っていたことが暴露されました。米国は、無条件での京都議定書からの離脱の意思を表明していたこと、議定書を評価もせずに棄てさり代替案を提案する気もない、という内容です。
日本政府は米国を引き戻せると信じてこれまで交渉していたつもりのはずですが、一体、どんな交渉をしてきたのでしょうか。
★3/28フライシャー報道官の記者会見
米国は京都議定書に参加しない。そもそも議定書は批准する国もおらず、はなから機能していない。...
途上国の参加問題、米国の経済への悪影響、特にカリフォルニア州を初めとするエネルギー危機の状況にあるという3点を理由に挙げています。
★3/29ブッシュ大統領の(シュレーダー独首相との会談前の)記者会見
- ...For example, circumstances have changed since the campaign. We're now in an energy crisis. And that's why I decided to not have mandatory caps on CO2, because in order to meet those caps, our nation would have had to have had a lot of natural gas immediately flow into the system, which is impossible. We don't have the infrastructure able to move natural gas....
...In terms of the CO2 issue, I will explain as clearly as I can, today and every other chance I get, that we will not do anything that harms our economy. Because, first things first, are the people who live in America.
That's my priority. And I'm worried about the economy. I'm worried about the lack of an energy policy. I'm worried about rolling blackouts in California....
→3/28の公式発表前のブッシュ新政権の温暖化政策解説に続く
3/13の手紙から28日の公式発表までの間、各国から深刻な懸念の声が出されていました。これらの声に全く耳を傾けず、他の国のことに無頓着に発表したことに対する、孤立(モンロー)主義的な動きへの外交問題の面からの批判の声もあります。
★6/21 最新の世論調査
ニューヨーク・タイムズ/CBSの世論調査では、ブッシュ大統領の支持率は53%と7%低下した。回答者の6割以上が、アメリカの「エネルギー危機」は石油会社を儲けさせるための口実だと考えている。すぐさま温暖化対策をする必要があるとするのが72%、そして回答者の5割以上が、中国やインドなど途上国が同じ基準で参加していなくても、京都議定書に留まるべきであると考えている。
★6/12 NYpostの世論調査
環境政策とエネルギー政策はブッシュ政権の支持率低下(63%→55%)の二つの要因である。環境問題を最優先に考える層はブッシュ政権成立時の3%から10%へと増加した。 過去の教訓に従えば2002年の中間選挙と2004年の大統領選挙はブッシュの負けだろう。
★5/24 共和党ジェフォーズ議員が離党を表明し、共和党は少数党に転落し、上院の委員会委員長はすべて野党の民主党が握ることとなった。
★5/17 ブッシュ政権、新国家エネルギー政策を提示
★温暖化対策予算を進める法案(ワシントンポスト4/7)
★4/19 米国のNGO102団体連名の署名 英語の原文
国連持続可能な開発委員会(CSD)出席の各国からの環境大臣を含む代表団に対し、米国の102団体が連名で署名を提出しました。ブッシュ米大統領の京都議定書離脱に反対し、必要であれば米国抜きでも議定書を発効させるよう他国に求める趣旨です。