Date: Fri, 10 Dec 1999 01:05:02 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 2168] 航空法改ざん
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これが主権国家の空の実態。制空権は米軍にあり。
河野さんの安請け合いで終わるんでないでしょうね。
 

 那覇空港に発着する航空機を管制している米軍嘉手納基地の管制所(嘉手納ラ
プコン)のレーダーシステムが故障して民間機の運航が大幅に乱れたことを受け
て、政府は18日、日米安保に関する局長級の日米合同委員会で、嘉手納ラプコ
ンの管制権の返還を検討するよう米側に正式に申し入れた。同委員会で提起した
のは初めて。河野洋平外相「米側も検討してくれると考えている」

民主党のネクストキャビネットの「外交・安保担当大臣」の伊藤英成代議士は1
8日、河野外相に「27年が経過しても米軍が空域を制限していることは、主権
国家としての地位さえ疑われる」として、早期返還に取り組むよう要請。

「(日本側から)暫定期間としてはあまりにも長過ぎる。この問題について話し
合っていきたい(として、米側に返還の検討を申し入れた)」(外相)

     ◇ <嘉手納ラプコン>
 米軍嘉手納基地で行っているレーダーによる進入管制業務。嘉手納、普天間両
飛行場に発着する米軍機の管制とともに、嘉手納基地上空の半径90キロ、高度
6000メートルの空域、久米島上空の高度1500メートルの空域を管轄して
いる。その結果、那覇空港を発着する民間機は、高度約300メートル以下の低
空飛行を強いられ、安全に問題があるとパイロットらから指摘されている。日米
合同委員会では沖縄が返還された1972年、「安全確保のためには、単一の施
設によって進入管制を行う必要がある」として、「日本政府が管制業務を行うこ
とができるまでの暫定期間」との限定つきで、民間機もこの空域では米軍の管制
を受けることが合意されている。

                      (朝日新聞11月19日)

十一月十一日午後、米軍嘉手納基地の進入管制レーダーシステム(嘉手納ラプコ
ン)が「建設工事中の業者が誤ってケーブルを切断し停電したため」故障し、十
五日午前九時一分まで使用できないことがわかり、嘉手納空港の民間機ほぼ全便
に遅れが出た。(沖縄タイムス11月12日)

11月16日の参院国土・環境委員会では
運輸省の岩村敬航空局長「安全、円滑な運航の確保に問題はないと考えている」
同省管制課「山口県の岩国、東京の横田の米軍管制と同じく、日本側に移管を求
める姿勢は変わらない。ただ現実に米軍管制が存在する以上、安全対策に万全を
期すのは当然だ」「(ラプコンに関して)日本の管制当局と同様に国際民間航空条
約に準拠しており、また那覇航空交通管制部とコンピューターシステムの連接を
近々行う計画だ」「(今回の故障については)工事従業員が誤ってケーブルを切断
したものだが、類似の事案が再発しないよう近日中に米側に強く申し入れたい」

 外務省の藤崎一郎北米局長は、復帰時に「暫定措置」とされた管制が存続して
いることについて、「相当の期間がたったのは事実だが、これまでの日米間の協
議では(移管は)困難だと、まだ見通しが立っていない」と苦しい答弁。

 嘉手納ラプコン(進入管制レーダー)の故障事故を受けて、社民党県連の新垣
善春委員長、平良長政書記長らは16日、外務省沖縄事務所に野村一成大使を訪
ね(1)事故の原因究明と公表、再発防止(2)嘉手納ラプコンの解除、レーダー進入
管制権の日本への移管
の早急な実施―を求めた。これに対し野村大使は「事故の再発防止のため最大限
努力したい」と答えた。
                (琉球新報11月17日)
 

そして日本政府の方は、航空法を改竄して、周辺事態法でも気兼ねなく民間に軍
事協力を要請できるようにしました。「利用者の利便の増進を図」り、「公共の
福祉を増進する」んだそうです。
 航空会社にはもう、乗客の安全を守る責務は期待薄のようです。そのつもりで
ご搭乗ください。

こうなると「移転先」の「軍民両用」の話もどこから出てきたかあやしいもんで
す。元々ウソにウソを重ねてこうなったんではありますが。

航空法の「改正」(一部)
−−−−−−−−−−−−
(この法律の目的)
第1条  この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採
択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行
に起因する障害の防止を図るための方法を定め、並びに航空機を運航して営む事
業の適正かつ合理的な運営を確保してその利用者の利便の増進を図ることによ
り、航空の発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。
  (「秩序を確立し、もつて航空の発達を図る」を「適正かつ合理的な運営を
確保してその利用者の利便の増進を図ることにより、航空の発達を図り、もつて
公共の福祉を増進する」に改めた。)
 
(航空交通管制区等における航行を行なうための装置)の
第61条 航空機は、運輸省令で定めるところにより無線電話航空交通管制用自動
応答装置その他の航空交通の安全を確保するための装置を装備しなければ、航空
交通管制区又は航空交通管制圏において航行してはならない。ただし、運輸大臣
の許可を受けた場合は、この限りでない。

を削除

 (爆発物等の輸送禁止)
第86条  爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件
を損傷するおそれのある物件で運輸省令で定めるものは、航空機で輸送してはな
らない。
 2   何人も、前項の物件を航空機内に持ち込んではならない。

 「届け出」が「許可」に

第100条の見出し(免許)を(許可)に改定
第100条  航空運送事業を経営しようとする者は、運輸大臣の許可を受けなけれ
ばならない。

第101条の見出しを (免許基準)から「(許可基準)」に改め、
 
1.当該事業の開始が公衆の利用に適応するものであること。
2.当該事業の開始によつて当該路線における航空輸送力が航空輸送需要に対し、
著しく供給過剰にならないこと。

1.当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること。
2.前号に掲げるもののほか、当該事業の遂行上適切な計画を有するものである
こと。
に改定。

第3号(3.事業計画が経営上及び航空保安上適切なものであること)を削除
−−−−−−−−−−−−−−            

 日本航空は、国際民間航空条約、航空法に違反して定期便である旅客機で武
器・弾薬を輸送しても問題はない、との考えを示した。横山善太経営企画室長・
専務が日航機長組合との交渉の中でのべたもの。

 横山経営企画室長は十一日におこなわれた団体交渉の席上、組合側が周辺事態
法にかんし、「日本航空は旅客便の貨物室で武器・弾薬を運ぶのか」との問いに
「そうだ」と明言。ただし、「航空法にもとづいて安全上問題があると機長が判
断し、定められた手続きをすれば拒否しても問題はない」とも答えた。

 横山室長はさらに、国や米軍から輸送の協力依頼があった場合、「会社が安全
を確保できると判断すれば(機長に)協力を依頼する」とのべ、同席していた湯
浅康司運航本部長が「(その際には)業務指示や依頼がありうる」と補足した。

 組合側が機長以外の乗員や地上職が断った場合はどうなるのか、と問いただし
たところ、「安全確認ができれば運航してくれということだ。(断れば)業務指
示に従わないということで、何らかのことがあるだろう」と、業務命令違反とし
ての処分を示唆。
日本航空機長組合「私たちは五月の臨時組合大会で安全運航と乗客・乗員の生
命・財産を脅かす(周辺事態法にもとづく)武器・弾薬・兵員等の輸送はおこな
わない、との決議をしています。チャーター便、旅客便を問わず、戦争とのかか
わりを持つ軍事物資を輸送することに反対であり、日航はじめ航空経営者に軍事
物資輸送の依頼を拒否するよう強く求めていきたい」

 国際民間航空条約(シカゴ条約)の前文、第三条(民間航空機及び国の航空
機)aは「この条約は、民間航空機のみに適用するものとし、国の航空機には適
用しない」とし、bで「軍、税関及び警察業務に用いる航空機は、国の航空機と
みなす」、同四条(民間航空の乱用)では「条約の目的と両立しない目的のため
に民間航空を使用しないことに同意する」
としている。

 民間機がオリンピックの際などに使用するライフルや弾丸を輸送する場合も、
こん包などについても厳しい安全対策を課した上での、いわば公益性や文化交流
の範囲内という限定つきの例外規定。

 日本の航空法は、このシカゴ条約にもとづき、安全と秩序の維持を目的に制定
された。同法第八六条(爆発物等の輸送禁止)、同施行規則第一九四条(輸送禁
止の物件)の条項があり、武器・弾薬などの輸送はしてはならないと解釈されて
きた。
            (しんぶん赤旗11月18日)

第2次大戦後の国際民間航空を支えてきたのが、「シカゴ体制」(国際民間航空
条約−シカゴ条約−を締結した国には、自国領域の完全な主権を認め、その国の
航空産業を保護)。しかし1980年代後半からアメリカは二国間協定をベースに国
際航空市場の自由化(路線参入や運賃などの経済的規制を自由化)を強力に進め
てきた(「オープンスカイ政策」日米航空条約は1998年3月15日署名)。
また同時に飛行技術の発達に伴い、路線を合理化しなければ航空産業が成り立た
なくなり、主要国が「空の商業圏」確保に血道をあげる中で出てきたのが「ハブ
空港」。
ハブ空港によって世界の人流・物流のネットワークを形成し「空の一流国」たら
んとするもの。日本ではその熱も今は冷めつつあり。
シンガポールのチャンギ国際空港、韓国の新ソウルメトロポリタン空港、香港の
チエク・ラップ・コク国際空港、マレーシアのクアラルンプールスパン国際空
港、中国の北京首都空港、浦東新国際空港、日本では関西国際空港など。
 

業者が斡旋した「慰安婦」がそうだったように、会社の職務命令に従って殺され
ても、民間人を国は補償しません。
以下は  防衛庁人事課局 人事課第一課長が「PKO隊員に十分な支援を」と
いう投書に答えたもの(産経12月9日)

PKO隊員が「高度の危険が予測される状況下で」死亡又は障害の状態になった
場合、通常の公務災害の5割増の特別公務災害補償を適用。
金額は事例により異なるが、ゴラン高原派遣隊員(30代後半、年収750万
円、妻、子供2人)の場合、約2千万円の一時金と約740万円の年金を支給。
また、賞じゅつ金(最高6千万円)、内閣総理大臣の特別ほう償金(最高1千万
円)、防衛庁共済組合から一時金約七〇万円、年金約二〇〇万円を支給。
紛争地域では通常の損害保険では補償が受けられない可能性があるため、政府か
ら損害業界に新保険商品の開発を「お願い」してPKO保険を導入。
 

「最高額で」この程度の「補償」で済むんですから、戦闘機を造るのにも「隊員
の身の安全」のために金をかける必要はないですね。

 その武器がまともならまだしも
これで3回目
曲芸飛行なんぞできそうにありません。

日米共同開発の次期支援戦闘機F2の飛行試験で試験機の垂直尾翼に予測を越え
る荷重が掛かっていることが判明。
防衛庁は垂直尾翼の強度不足の可能性があると見て、年末の来年度予算編成まで
に原因を調べ、改善措置を検討。
F2は1機当たりの平均単価が約117億円で「史上最高額の戦闘機」とされ
る。
同庁装備局航空機課「現時点では何とも言えないが(設計変更などの)大工事に
はならないと思う」
同課によると、今年10月に行った数回の飛行試験で、音速の前後で試験機の機
体をロール(回転)させ、背面飛行に移行するテストを行ったところ、垂直尾翼
に掛かる荷重が、コンピューターで計算した予測値を数%上回った。
              (河北新報12月4日)

燃料がないとただの鉄のかたまりではありますが、
防衛庁自ら汗水垂らして稼いだ金を使うわけではないので、簡単に億を口にしま
す。

自自公暴走の成果で、長年の懸案が解消。「導入が決まれば、日本の防衛政策上
の大きな転換点となりそうだ。」とのこと。
不審船対策の方は防衛庁と海上保安庁との反目もあって、もたついているようで
す。

 防衛庁は十八日、二○○○年度予算案に自衛隊装備の最大焦点だった空中給油
機を導入するための必要経費を盛り込むよう求める方針を固め、与党側との最終
調整に入った。十二月の安全保障会議で導入が正式決定される見通し。
 同日午前の自民党安全保障調査会で防衛庁の佐藤謙防衛局長が「暮れまでに安
保会議にかけて導入を決め、予算要求に入りたい」と表明。年末の予算編成で一
機分約二百億円の計上を実現したい考え。 
防衛庁は当初、八月末の二○○○年度予算案概算要求で経費を盛り込むよう求め
たが、中国など周辺諸国の反発を懸念した首相官邸サイドが「性急に予算化すべ
きでない」(野中広務官房長官=当時)と主張し、概算要求段階での計上は見送
られていた。防衛庁は当面四機体制を目指しており、二○○○年度から順次発注
していく計画。一機目は二○○三年度に導入し訓練を経て二○○五年度以降に実
戦配備したい考え。(11月18日-共同)

防衛庁は6日の与党政策責任者会議の意見聴取で、空中給油機の購入費計上を要
求する方針を表明。自由党の藤井裕久政調会長と浅野勝人国防部会長が賛意を示
したが、公明党の坂口力審議会長は「三党でよく協議してからだ」と慎重姿勢を
示し、三党で調整。
同庁はその他に、不審船対処関連事業で三百十億円、弾道ミサイル防衛(BM
D)システム関連事業で二十一億円などを提示。不審船関連では、高速ミサイル
艇二隻分、約百九十億円が盛り込まれているが、自民党の亀石静香政調会長が必
要性に疑問を示したため、政府、与党で再調整。
その他外務省が、在外公館の危機管理体制強化や海外邦人の安全対策費で四百四
十億円、沖縄サミットの円滑実施費として百八十億円の計上を要望。郵政省は情
報通信網の研究開発費三十七億円など
           (河北新報12月7日)

 公明党では七日、外交安全員会。専守防衛に徹することを対外的に政府が宣言
(官房長長官談話など)するなどの条件を付けたうえで、容認する方向で検討。
空中給油を受け入れられる戦闘機などを対地攻撃が弱い機種などに限るなど。防
衛庁も受け入れられるとしている。
             ( 朝日12月9日)

 まともとは思えませんね。

「住民の財産と安全」が脅かされた事故を「インフラ」の問題にすり替えてしま
い、12月2日付「朝雲寸言」欄にして「この事故を新聞、テレビが重大ニュー
スとして報じたのは、事故機が墜落する際に東京都内や埼玉県下に電気を送る高
圧送電線を切断したため、様々な被害が出たからだろう」といわしめました。恥
をお知りなさい。

 小渕首相「搭乗していた二人はベテランパイロットであり、(機体に)トラブ
ルが起きた中で恐らく住民に迷惑をかけてはいけない、ということで限界まで操
縦し、高圧線を切ったのでは・・・・」

埼玉県に墜ちたT33ジェット練習機は、エンジン系統と操縦系統を重点的に点
検とのこと。相変わらず「操縦士へ安全教育を徹底」と「軍隊の安全」対策も怠
りありません。

新しい軍機をベテランが操縦すれば大丈夫という根拠はもはや消失しましたが

同欄の筆者は自衛隊OB、「今もT33が跳び続けているとは知らなかった。何
しろ空自発足直後、米軍から供与された最初のジェット練習機なので、とっくに
姿を消したものと思っていた。」とのこと。
埼玉県土屋知事も防衛政務次官時代(昭和45年〜46年)に三沢から入間まで
T33に搭乗した経験を振り返り「まだあの航空機を使っていたとは・・・」と
述べた。
                                         (朝雲12月2日)



 
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