Date: Sat, 04 Dec 1999 13:53:50 +0900
From: Aoki Masahiko <btree@pop06.odn.ne.jp>
To: aml <aml@jca.ax.apc.org>, keystone M <keystone@jca.ax.apc.org>
Subject: [keystone 2153] 「日本の港湾都市が米原潜に不安」
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 先に、[aml 15046] ,[keystone 2140]で紹介した、原潜事故対策を伝える
Stars & Stripes記事の翻訳を送ってもらったので、転載します。この問題で日本
語で読める報道が少ないのでいくらか参考になるかと思います。

 米原子力艦船の事故について聞かれ、中曾根科学技術庁長官は「万万万が一、
異常が発生したときの対応も、日ごろから自治体関係者と話をしていく必要があ
る」(11月25日参院文教・科学委員会)と答えているので、政府はこの種の
事故の確率を1兆分の1と見積もっている?ことが分かります。外務省の対応は
まだ分かりません。

 横須賀市だけでなく、佐世保でも「米海軍佐世保基地は30日、長崎新聞社の取
材に対し「佐世保市側から要請があれば合同で防災会議を開く用意がある」との
見解を示した。」(長崎新聞12月1日)ことで、同様の動きがあります。沖縄
ホワイトビーチでの協議は伝えられていないようです。

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「星条旗新聞」99年11月30日

日本の港湾都市が米原潜に不安を表明

リチャード・レスラー/マユミ・ヤマモト
星条旗東京支局

<東京>東海村における原子力事故以来、佐世保及び横須賀の自治体当局がこれ
らの港に入港する米原子力潜水艦に対する懸念の声を上げている。
 横須賀市は、米海軍に対して原潜に関する情報提供を求めている。同市当局の
エサシ・ナガトシ氏によれば、同市は、海軍の原子力事故を想定した危機対策計
画の策定を検討している。エサシ氏は「米原潜は、一年のうち約200日横須賀海軍
基地に滞在している。市は四月に、原潜事故を含めた事故対策マニュアル作成に
着手した。海軍も市のマニュアル作成に協力することに同意している」と語った。
さらにエサシ氏は「来年三月までにはマニュアルを完成させたい。そのために12
月には会合を持つ」と語った。
 一方、いずれも大規模な軍港都市である佐世保、横須賀、呉そして舞鶴の当局
は先頃佐世保で会合を持ち、日本政府に対する要望書をまとめた。彼らは政府に
対して、寄港するすべての米原潜から放出される放射能を測定するよう求めた。

 このような懸念の声に対して、海軍は心配する理由は何もないと述べている。
 横須賀海軍基地のスポークスマン、ジョン・ナイランダーは「米原潜はきわだ
って高い安全記録を保持している。43年間に及ぶ海軍の原子力プログラムにおい
て、核事故はただの一度も起きてはいない。年間約30隻の原潜が日本の港に入港
している」と語った。
 海軍は文書インタビューに答えて、最初の原潜が就航して以来、50カ国以上の
港に数千回の入港を経験しているとし、外国の港に入港する原潜は本国内と同様
の事故防止対策に従っていると説明した。

 それでも、9月 30日に東海村の商業用原子炉及び研究向け核燃料処理工場で起
こった事故以来、日本では核事故に対する懸念がなおも広がる傾向にある。この
事故は、労働者の不適切な作業手順によってステンレス容器に過剰な核物質が投
入され、その結果臨界条件となって核反応が開始された。69人が高レベルの放射
能被曝を受け、約 30万人が家にひきこもらなければならなかった。

 佐世保・横須賀両市長は先月、原子力産業を監督する科学技術庁に対して原子
力事故対策法の対象に米原潜を加えるよう要請した。要請文の中で両市長は、
「原潜が入港する市の市長として、国の現在の計画は不十分と言わなければなら
ない」と述べている。これに対して、科学技術庁は新しい立法に原潜の問題を含
める考えはないと答えた。

 原爆被害を経験した唯一の国である日本は、外国の核技術に対しては過剰なほ
ど敏感に反応する。しかし、資源の乏しい日本は、同時に世界でも有数の原子力
発電依存国でもある。日本の電力の1/3以上は、51基の原発によって賄われている。

 一方、横須賀市長の姿勢は一部の活動家を勇気づけてもいる。横須賀の市民運
動のメンバーである村上由美さんは、「放射能漏洩事故に対応するマニュアルを
横須賀市が作成しようとしていることを評価したい。放射能事故は起きてはなら
ないことだが、不幸にも起こることはありうるのだから」と話した。市民グルー
プは、横須賀への原子力空母の母港に反対する署名をこれまでに約 29,000人分集
めている。
 横須賀にはこれまで三隻の空母が母港を置いてきた。ミッドウェー、インディ
ペンデンスそして現在のキティホークである。これら海軍の通常動力型空母は減
少の傾向にあることから、村上さんは「横須賀に原子力空母が配備される日がや
ってくるのを恐れている。横須賀市が事故対策マニュアルに熱心なのも、それに
備えてのことなのではないか」と懸念している。 最近では1997年9月にニミッツ、
1996年6月にカールビンソンと2隻の原子力空母が横須賀に入港している。
(訳:田巻一彦)                    ◆◆

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   青木雅彦
  Aoki Masahiko
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