Date: Sat, 23 Oct 1999 22:53:49 +0900
From: 加賀谷いそみ <QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 1998] 「日本アイソトープ協会」が再び秋田へ
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 東海村で起きた「臨界」という名の核爆発で、政府は「国家の安全管理」のために、
住民に足止めを強制し、「死の灰」を浴びせ、被曝させました。
 関係自治体では、「原発安全」PRを住民感情に「配慮」してしばらく自粛している
ようです。

 その中で、当秋田県では10月上旬、「第39回日本核医学会総会」なるものが開か
れ、座談会という形の全面広告が、10月18日付け地方紙「秋田さきがけ」に掲載さ
れました。あわせて、同紙後援・「日本アイソト−プ協会」主催による「私たちの暮ら
しの中のアイソト−プ・放射線展」が秋田市の「秋田県総合生活文化会館−アトリオ
ン」で10月18日から20日まで開催されました。

 秋田県では岩城町に「日本アイソト−プ協会」(中尾喜久会長)が放射性廃棄物施設
設置を計画し、住民の反対によって阻止された経緯があります。にもかかわらず、この
ような企画が同協会の「立地計画推進事業部」によって秋田県でなされたということで
住民は再び警戒を強めています。
 また、放射性物質の「安全性」を誇示する内容の企画に、県内で7割弱の購読者を誇
る地元紙が全面的に「協力」した姿勢は倫理的に許し難いとして批判があがっていま
す。
 
 新聞社屋内と思われる一室で、東北大学サイクロトロン・ラジオアオソト−プセンタ
−教授、岩手医科大学脳神経外科学講座教授兼サイクロトロンセンタ−長、秋田県立脳
血管研究センタ−所長、ニッショ−大館工場品質保証部長ら4氏の対談の様子の写真を
掲載。

 広告の内容は、−放射線を活用した技術が私たちの身近なところでその威力を発揮
し、これを利用した「核医学」によってガンや心臓疾患、脳などの診断・治療の成績が
飛躍的に向上し、核医学による「遺伝子診断」も注目されている。来世紀には「予防的
医療」へ「革命的に」貢献するだろう。利用に関して、必要最小限しか使わない、寿命
の短い核種を使うなど、安全確保には十分配慮しており、事故の大半はハ−ド的なトラ
ブルよりも人的なトラブルによるものが多く、今後はモラルを大切にしていきたい。−
など。
 

 「アイソト−プ・放射線展」は、主婦や子どもたちを対象とした催しとのことで、パ
ネルや最新機器の展示、放射線を使ってつくられたゴルフボ−ルや注射器などの工業用
品を陳列。
同協会梅澤弘一・立地計画室主幹「放射線は『怖い』というイメ−ジがあるだろうが、
身近なところで様々な用途に使われている。どのような利用価値があるのかを展示会で
知ってほしい」(さきがけ19日)

 東海村の事故の報道の折には、岩城町への放射性廃棄物処理施設の設置が頓挫したこ
とに改めて「安どした」というメッセ−ジが寄せられました。今回再び「アイソト−プ
協会」が姿をあらわしたことで、いまだ進出が白紙撤回されていないのではないかとい
う疑念がうまれるのは当然で、さらに鉱物残土のチタン廃棄物に放射性物質が含まれて
いる可能性の疑義についてもまだ明らかにされていない現状も加わって岩城町近隣の秋
田市住民などへも不安が広まっています。

 アイソト−プ(放射性同位元素)は研究機関や医療機関で一部取り扱っていますが、
集中的に利用しているほどではない秋田県でなぜ「核医学会総会」が開かれたのか。
 「産学官」のおつきあいの複雑怪奇な構図の程については我々庶民が知るべくもあり
ませんが、「アイソト−プ協会」の進出を確実視した上での企画だったということで
しょう。そしてこれにお供をする形で「アイソト−プ協会」が展示会を開いたのは、数
年前からの進出計画にすでにかなりの「投資」がされていたであろうことを示し、また
行き場のない核のゴミの捨て場さがしが急務になっており、なりふり構ってはいられな
い実情をも物語っています。

 同協会では、同位元素の搬出入や放射線取り扱い者の養成などと同時に、「クリアラ
ンスレベル」にかかわる六ヵ所村原子燃料サイクル施設の見学会を企画するなど、核廃
棄物関連とも深くかかわっています。核爆発の怖さとともに、「クリアランスレベル」
の「低レベル」放射性物質が今後一般廃棄物となり、「リサイクル」され、近い将来私
たちが合法的に常時被曝させられるであろう怖さもここに提起したいと思います。

 放射性廃棄物問題にかかわった市民は、「アイソト−プ協会」の安全PRとこれに追
随した新聞社の姿勢に抗議するとともに、2000年問題の周知を展示会が開かれた会
館の広場で行いました。

  以下秋田県内市民のアピ−ル
 

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                                 アピール 

  9月30日に起きた茨城県東海村のウラン核燃料加工工場臨界事故は私達に大変な恐
怖を与えました。
 まさか核燃料を扱う施設でバケツを使って作業を行い、じょうろのようなものでタン
クに何回かに分けて入れるという信じられないような原始的な行為にはショックを受け
ました。入社間もない従業員に十分に作業工程を理解させず、高濃度での臨界作用の危
険性を示唆せず、納期が近づいているから急いででかすように指示するような工場が核
関連の施設に存在したという事実には暗澹たるものをもたざるを得ません。このような
臨界爆発事故は日本の核施設としてははじめてで最悪の事態です。大事故を起こした
J・C・Oはもとより監督官庁である科学技術庁の責任は極めて重大です。

 私達は昨年12月の秋田県岩城町定例議会で社団法人日本アイソトープ協会から「新
アイソトープ研究所」の建設申し入れを町長が表明して以来、「アイソトープとは何
か?」という素朴な疑問から学習会をかさね、次第に日本の原子力産業全体ののっぴき
ならない状況を理解するようになりました。
●あふれかえる核のゴミ放射性廃棄物が各原発で貯蔵容量をオーバーし、行く当てのな
い状態であること
●プルトニウムがたくさんできて核拡散防止条約に触れるほどになってきたので「もん
じゅ」をつくってリサイクルしようとしたら事故を起こしてダメになって、MOX加工
してプルサーマル計画を立てていること
●来年には原発以外の場所でも放射性廃棄物を貯蔵できるように「中間貯蔵施設」をつ
くることが法律で決まること
 →この中間貯蔵施設が「新アイソトープ研究所」建設の背後に計画的にあること

 アイソトープとは放射能のことで、いろいろな医療に利用されていますが、危険性が
高く取り扱いが困難でだんだん使用量が減ってきています。医療従事者が責任をもって
処理せず、商業的にアイソトープ協会が廃棄処理及び管理をしていますが、採算が次第
にとれなくなってきているようです。

 東海村の事故は、原子力産業が行き場を失い追い詰められた結果として起こった事故
であり、日本の原子力産業を根幹から揺さぶる出来事です。地元住民、自治体への通報
の遅れ、事業者・科学技術庁の危機管理の甘さ、緊急事態への国の対応不備があらわに
なりました。事故報告の遅れで被曝した住民の数はいまだに把握されておらず、事故現
場の換気設備がずっと動いたままになっていて、放射性物質が環境中に放出されないよ
うにすることを怠ってしまった責任は極めて重大です。事故現場の完全密封は、まださ
れておらず今尚放射放出は続いています。科学技術庁は、放射能測定のやり方や内容を
教え、データを公開し、J・C・Oを事業取り消しにし、核燃料加工施設の事故対策の
徹底、安全審査の見直しをし、さらには原子力政策の全面的撤退をしなければなりませ
ん。これまでの科学技術庁・原子力安全委員会のとってきた原発事故に対する数々の防
止策はすべて無為でありその責任は重大です。
 レベル5にいたる事故(アメリカのスリーマイル島事故と同じ)を起こした以上、地
球環境に負荷を与えないエネルギー政策への本格的な転換の機会にするべきです。

 また、西暦2000年を迎えるに当たって今問題になっているコンピュータ問題が懸
念されます。原発に使用されている多数のコンピュータ及びマイコンチップがどのよう
なトラブルを引き起こすかわかりません。各電力会社の発表は、一律同じ内容で安全宣
言をしていますが、逆にさまざまな違った内容での安全宣言でないと不安です。日本で
は51機の原発が稼働しています。どこかで万一、2000年問題を原因とした事故が
起こった場合、今のままの危機管理体制では望みがありません。世界中に433機の原
発が稼働しています。2000年問題に取り組むのが遅かったロシアや中国・台湾、さ
らにはパキスタン・インドなどの核関連の施設も心配です。

 今、冷静な目で世界を見なければなりません。今できることをしなければまた事故
が、それも取り返しのつかない事故が起こる可能性が目前に迫っています。東海村の事
故は極めて象徴的な事故です。技術的に確立していないプルサーマル計画は、これ以上
進めてはいけません。2000年問題で原発が事故を起こさないように前もって発電停
止の作業に入り、多の火力・水力発電で対応するように国を挙げて対処する時期です。
さらに世界に向けて日本から「2000年世界核安全休暇Y2KWASH」の声を発信
していきましょう!
 私達は安全で暮らしやすい平和な生活を誰でもしてゆく権利があります。かけがえの
ない命をそしてふるさとを守りましょう!

        放射能汚染から未来の子供たちを守る会 
        未来に命をつなぐ会
        Vivaれでぃ・ごー
        岩城町の放射性廃棄物処理場計画に反対する由利本荘の会
        護憲・平和の会
        秋田市ピースサイクル
        Y2K市民ネット本荘

1999年10月18日     



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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