Date: Thu, 21 Oct 1999 23:34:26 +0900
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Subject: [keystone 1992] 米艦船入港と周辺事態法
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[aml 14442][keystone 1980]  鳥取県境港に米艦船「クッシング」初入港 で

>日本海側に米艦船の泊まり地として、境港が「候補」として入っているのがわ
>かったのが7月、周辺事態法が成立したのが8月、そして10月、日本海
>の民間港へ米駆逐艦が入港を強行。

周辺事態法が5月に成立、日本海側に米艦船の泊まり地として、境港が「候補」として
入っているのがわかったのが7月、周辺事態法の施行が8月、そして10月、日本海の
民間港へ米駆逐艦が入港を強行。

でした。失礼しました。
中国の「泉州」という地名は「広州」が正しいとの指摘を受けましたので訂正します。

(朝日19・20日、毎日18・19日、中国新聞19日、秋田さきがけ19日、赤旗
20日)

 鳥取県の境港の入港した米海軍第7艦隊所属駆逐艦「クッシング」(9250トン、
乗組員約350人、巡行ミサイル「トマホ−ク」や魚雷発射管などを搭載)に市民から
激しい抗議の声があがっています。朝鮮半島の有事に備えた「地ならし」と指摘。約5
00人が「境港の軍港化につながる」と抗議。
 その一方で普段は木材やコンテナが行き交う昭和南一号岸壁が、同艦の見学でにぎわ
い、接岸半日にして見物人が岸壁沿いの道路に約三百メ−トルの列をつくり、19日か
ら予定していた一般公開を1日早めたとのこと。

 報道関係者約二十人に艦内が公開されたが、船首の格納庫に収容されている核を搭載
できる巡航ミサイル「トマホ−ク」の内部は非公開。
 マ−ティン・S・サイモン艦長「第七艦隊がカバ−する寄港地の一つとして選んだに
すぎず、特別な意味はない」と入港とガイドライン関連法との関係を否定。
 

 黒見哲夫・境港市長は、「四日間の入港中、市職員の動員を求められても断る」

 境港は島根、鳥取両県が港湾管理組合をつくって共同管理。同組合の理事長は片山善
博鳥取県知事、福理事は今岡義治島根県副知事。「協力」の要請先は県ではなく、「港
湾管理組合」です。直接自治体職員を動員しなくても、「外廓団体」を使えば自治体協
力「拒否」の体裁は簡単につくれます。民間協力については行政は管轄外という姿勢。

 市民団体「反ガイドライン県民の会」(鬼頭宏一代表)が澄田信義・島根県知事に、
「境港は商業と漁業の港。いかなる理由であれ、軍隊による活用を認めることはできな
い」「このたび入港を許可したことは管理者として住民の立場にたっていない」と抗議
したのに対し、「施設の能力も接岸可能であり、『平時』の通常の入港なので許可し
た」(県港湾空港課」

 「クッシング」は今年八月、舞鶴西港への入港の際、「商業港であり、米艦が入るの
は不適当」と拒否されています。
 境港も「北朝鮮」との漁業取引も盛んな全国有数の水揚げを誇る漁港です。鳥取県で
は、それらアジアの国々と自治体レベルでの文化的交流も積極的に推進していますが、
今回の軍艦の入港でどんな「効果」を及ぼすか戸惑う市民も少なくありません。
 「日米地位協定もガイドライン関連法も勉強していたが、実感がなかった」(境港管
理組合事務局長)とはあまりにもおそまつ。

 「境港は漁港、貿易港として対岸の朝鮮半島も含めた環日本海交流の拠点として整備
を進めている。軍艦入港はマイナスになってもプラスにはならない」(幡野義行・境港
市議会議長)

 外務省によると米艦船が日本の民間港を利用するケ−スは今年、境港を含めて延べ1
7回。米艦船は管理者の入港届の求めに応じず、入港を強行。しかも岩国では、県の港
湾条例に沿った報告があったものが、九八年七月から、米軍の輸送船が県への積み荷内
容の報告を拒否。

 「米軍岩国基地報道部から『軍の方針で、積み荷の公表の期待にはそえない』と伝え
てきた」(山口県港湾課)
 在日米海軍司令部報道部(神奈川県横須賀市)「米軍艦船の入港は日米地位協定の下
でなされる。届け出る必要があるとは認識していない」

 田村順玄・岩国市議「米軍の輸送船が地位協定を理由に入港したのは今年に入って7
回にのぼる」として「呉管理の野積み場を使ったかと思うと、次は入港前日から歩哨が
たつなど、港の使い方が次第に露骨になっている。荷役作業についても、ガイドライン
関連法の運用を想定した様々な訓練をしているのではないか」

 「ピ−スリンク広島・呉・岩国」湯浅一郎世話人「米軍は2年ほど前から、寄港地の
反応を見るために意識的に各地の民間港を回っている。境港は、朝鮮半島に近く、空港
(航空自衛隊美保基地)がすぐ近くにあるなど、米軍にとって利用価値は大きく、軍港
化が懸念される」

 社民党鳥取県連合・山本悟己幹事長「周辺事態法が施行され、今回は米艦船が民間港
へスム−ズに入るための調査と受けとめている。今後、なし崩しに入港する恐れがあ
り、断固反対する」
 

【99年 米艦船の民間港入港状況(外務省まとめ)】<朝日10月19日>

 寄港地      入港期間・艦船名      艦船の種類

北海道・小樽港   2月4〜9日      
          ジョン・S・マッケイン   駆逐艦
広島県・呉港    2月13〜3月1日   
          パトリオット、ガ−ディアン いずれも掃海艇
福岡県・博多港   2月27日〜3月3日
          ジョン・S・マッケイン   駆逐艦
広島県・呉港    4月21日〜25日
          サッチ           フリゲ−ト艦
静岡県・下田港   5月13〜17日
          サッチ、オブライエン    フリゲ−ト艦、駆逐艦
香川県・高松港   5月17日〜20日
          パトリオット         掃海艇
徳島県・小松島港 5月17〜20日
         ガ−ディアン         掃海艇
広島県・呉港   7月10日〜11日
         ビンセンス          巡洋艦
広島県・呉港   7月11日〜13日
         フォ−ト・マッケンリ−   揚陸艦
北海道・函館港  7月31〜8月6日
         サムナ−          海洋調査船
京都府・舞鶴港  8月2日〜6日
         クッシング         駆逐艦
北海道・函館港  8月18〜22日
         ボ−ディッチ        海洋調査船
北海道・室蘭港  9月9〜12日
         ブル−リッジ        揚陸指揮艦
長崎県・長崎港  9月17〜20日
         セ−フガ−ド        救難艦
鳥取県・境港   10月18〜21日 
         クッシング         駆逐艦

なお、
 核・非核両用の巡航ミサイルが搭載可能とされる米海軍のイージス巡洋艦「モービル
ベイ」(9700トン、全長172・9メートル、幅16・8メートル、横須賀基地配
備、湾岸戦争に参戦)が28日、鹿児島市の鹿児島港谷山1区1号岸壁に入港する予
定。入港は28日午前10時で、31日午後2時半に出港予定。港湾を管理する鹿児島
県が、日米安保に基づき核搭載の有無を外務省に確認したところ、「搭載はない」と回
答。鹿児島港への米艦船の入港は、98年11月の揚陸輸送艦「ダビューク」以来。
 県鹿児島港湾事務所に同日、代理店の荷役業者が係留施設使用許可を申請。
                                     (南日本21日)

 政府は米軍と「協力」して、自治体の出具合をうかがいながら「協力要請」項目の解
説をする腹らしい。国と自治体との「協力関係」にあわせてインフラを整備すればいい
わけだし。

 
 政府は周辺事態法施行に先立ち七月、協力項目を自治体に示した(周辺事態法九条解
説案・A4判23頁)。
 首長への協力要請については「権限を適切に行使することが法的に期待される立場に
おかれる」「(協力要請の中身が)施設の能力を超える場合等、正当な理由があるとき
は協力を拒否できる」等

 八月中に解説の最終案を出す予定だったが、「自治体からの疑問を受けて補足事項な
どを検討しており、もうしばらくかかる」

政府は十月十八日までに、渉外関係主要都道県知事連絡協議会(米軍基地がある14都
道県)が照会していた、九条に定めた自治体・民間への「必要な協力を求めることがで
きる」規定に関する七十七項目に回答。
 しかし、具体例は示さず、国会答弁での抽象的な表現にとどまった。

神奈川県(同協議会会長:岡崎洋知事)「回答は評価するが、抽象的な内容が多く、具
体的なものがもっとあってよかった」(基地対策課)

・自治体の協力を「一般的な協力義務」としているが、「協力を強制する印象を与え
る」
政府:法令に基づき(自治体が)権限を適切に行使することが期待されるとの意味

・国が自治体に「必要な協力を求めることができる」が「正当な理由があれば協力を拒
むことができる」とした「正当な理由」の具体例について
政府:あらかじめ網羅的に示すことは困難。

・周辺事態の際、どこの港湾や空港を使用するか
政府:個別の事例に即して判断されるので、あらかじめ網羅的に示すことは困難だ。

*米原子力艦船の入港先について、放射能測定調査による安全確保ができない
政府:周辺事態の際の米軍の原子力艦船の寄港地は、平時でも入港している横須賀、佐
世保、ホワイトビ−チを予定
   
*一般の米艦船が漁港に入港する可能性は
政府:法律上排除されないが、自治体の協力を求めることは想定していない

*米軍が非公式に要望した成田空港の使用について
政府:空港建設にかかわる地元の方々との経緯や過去の国会答弁の重みを踏まえ、慎重
に検討し対応する

*病院が米負傷兵や避難民を国の依頼で治療した場合の費用負担
政府:国において適切な対処方法を検討していく
 

*漁港施設の使用や食料の確保
政府:協力の内容はあらかじめ具体的に確定される性格のものではない。

*負傷兵らの救急搬送での自治体協力で「特別体制を組んで対応すべきか」
政府:特別体制の要請は想定していないが、さまざまなケ−スを想定して対応を検討す
ることは意義がある

・米軍への「協力要請」の内容についての扱い
政府:必要な期間、公開を差し控えていただくよう依頼する
(輸送の際、対象物資や輸送経路を公開すると安全上の問題がある。非公開の理由を自
治体に明かすかどうかは必要に応じて示す)

 ◇7月下旬、自治体の実務者に、周辺事態法の自治体協力の内容などを説明した際、
政府側は米軍の作戦計画がわかる可能性があるなどとして、議会の本会議、非公開で審
議される特別委員会などでも要請内容を一切明かさないよう求めていた。
 自治体側「非公開とされれば、議会で賛否の議論さえできない状況になる」

・軍事物資の輸送など自治体が協力依頼された内容の情報公開について、公文書公開条
例等により、公開せざるを得ない場合も想定される
政府:情報公開条例においては、例外規定が設けられているものと承知している
   
・民間船と米艦船の入港申請が競合した場合、自治体や国が「調整」に乗り出すことも
あり得るとしているが、この「調整」は民間船舶の使用を変更させ、米艦船に優先的に
港湾施設を使用させることは「私企業への不干与」及び「不平等な取り扱いの禁止」を
規定している港湾法第十三条の精神に反するのではないか
政府:民間船を強制的に使用変更させ、米艦船が優先使用することはなく、十三条に反
するものではない。
 

自治体の協力について

京都市長「政府は、協力要請するときは自治体と調整すると説明している。市の意見は
反映されると考える」
大阪府知事「どんな要請が来るのか想定できない」
徳島市長「実際に周辺事態が起こって要請されないと何が問題かも分からない」
広島県知事「県民の安全と人道的見地を考慮して対応を決める」

周辺事態への協力
奈良県市長「有事に日本だけが攻撃を免れるわけにいかず、米軍との相互協力も不可
欠」
「協力」を拒否できる「正当な理由」
高知県知事「事態ごとに要請も異なるので、拒否理由の正当性も様々だ」
鳥取市長「空港などを輸送基地にして物資を運べば軍事協力であり、市民の安全がおび
やかされる。そういった場合は拒否するよう県に進言したい」
和歌山市長「断りたくてもどうにもならないのではないか」「心情的には断りたい」
大阪市長「危機管理のル−ルづくりが必要」「だが国の命令にそのまま従うのではな
く、我々が主体的に判断する」
神戸市長「現段階では判断できない。国の動向を見守って、情報収集したい」



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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