From: "nakada" <nakada_h@jca.apc.org>
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Subject: [keystone 1871] 周辺事態安全確保法第9条の解説2
Date: Mon, 13 Sep 1999 22:43:52 +0900
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仲田です。

8月24日に行われた「周辺事態安全確保法第9条の解説(案)」に対する
質疑応答です。質疑は、神奈川県基地関係県市連絡協議会および県下の自治
体から出されたもの。
29KBと大きいファイルですが、まとめて流します。
変換ミスに気づかれた方はご連絡を。

お願い
あと、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会の質問書があるのですが、OCR
変換が難しく入力をしなければなりません。どなたか手伝ってもらえませんか。
A4判で29ページ、実質は2/3程度です。

先着3人限りで受け付けています。個人メールでFAX番号をお願いします。
 

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                       解説(案)に対する疑問点内訳一覧

                                                                      質問数 
1 周辺事態安全確保法第9条について
(1)法律における規定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1(1)
(2)規定の基本的な趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1(2)−1問
(3)第9条第1項の解説(地方公共団体の長に対する協力の求め)・1(3)−6問
(4)第9条第2項の解説(国以外の者に対する協力の依頼)・・・・1(4)−1問
(5)第9条第3項の解説(協力による損失に関する財政上の措置)・1(5)

2 要請される協力の具体的種類・内容
(1)地方公共団体の長に対して求める協力項目例(第9条第1項)
  ○地方公共団体の管理する港湾の施設の使用・・・・・・・2(1)港湾
  ○地方公共団体の管理する空港の施設の使用・・・・・・・2(1)空港
  ○建物、施設等の安全を確保するための許認可・・・・・・2(1)許認可−8問
  ○消防法上の救急搬送 ・・・・・・・・・・・・・・・・2(1)救急 −4問
(2)国以外の者に対して依頼する協力項目例(第9条第2項)
 @民間に対して依頼する項目の例
  ○人員及び物資の輸送に関する民間運送事業者の協力・・2(2)@輸送 −1問
  ○廃棄物の処理に関する関係事業者の協力・・・・・・・2(2)@廃棄物−1問
  ○民間医療機関への患者の受入 ・・・・・・・・・・・2(2)@医療 −1問
  ○民間企業の有する物品、施設の貸与等・・・・・・・・2(2)@貸与
  ○地方公共団体の管理する港湾・空港の施設の使用・・・2(2)@民間船
   に関する民間船社・民間航空会社の協力
 A地方公共団体に対して依頼する項目の例
  ○人員及び物資の輸送に関する地方公共団体の協力・・・2(2)A輸送
  ○地方公共団体による給水・・・・・・・・・・・・・・2(2)A給水 −4問
  ○公立医療機関への患者の受入・・・・・・・・・・・・2(2)A医療 −1問
  ○地方公共団体の有する物品、施設の貸与等・・・・・・2(2)A貸与 −1問

3 協力要請のプロセス
(1)基本計画について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3(1)一3問
(2)協力要請について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3(2)−4問

4 協力要請をされた場合の対応
(1)第9条第1項に基づき協力を求められた場合 ・・・・・・・・4(1)−1問
(2)第9条第2項に基づき協力を依頼された場合 ・・・・・・・・4(2)−2問
(3)その他(第1項・第2項共通) ・・・・・・・・・・・・・・4(3)−4問

5 損失に関する財政上の措置 ・‥・・・・・・・・・・・・・・・・・5 −2問
                                                                    計45問 
                   「周辺事態安全確保法第9条の解説(案)」
                       質疑応答(平成11年8月24日)

T 神奈川県内市町村より集約した疑問点等対する回答
 

1 周辺事態安全確保放題9条について

(3)第9条第1項の解説(地方公共団体の長に対する協力の求め)

(問−1)
 国は、第9条第1項にある地方公共団体の長に対する協力要請について、全国3,3
00ある地方自治体に対し、事前に想定できる個々具体な協力要請項目を列挙して、周
辺事態を想定したシミュレーションを実施する考えはあるのか。
 そのことによって、該当する地方公共団体の具体的な役割や協力要請の実効性が担保
されると考えるが、具体的にそのような案があるのか伺いたい。

(答−1)
 基本的には、具体的な要請内容は、個々の事態に応じて実際に要請をする段階で個別
具体の内容が決まってくるというのが大前提。現在想定される協力要請の例は、解説
(案)にもあるとおり、13項目で網羅していると考えている。
 現在は、日米相互協力計画、調整メカニズムを検討をしている段階。それが固まらな
いと具体的なことも分からないので、今の段階ではシミュレーションしても難しいので
はと考えている。ただ、各自治体が検討されるとき、具体的な内容が分からないと検討
が難しいという事情もあると思うので、中長期的には、シミュレーションというのも各
自治体の理解をいただくためには必要な1つの案であり、検討の対象と考えている。

(問−2)
 第9条第1項の協力は、例示をしただけで、他の事例も今後考えられるということで
あるが、米軍住宅が存在する市とそうでない市では、前者の方がより協力事例が多くな
るということがあるのか。

(答−2)
 事態により、一概にそうであるともそうでないとも言えない。米軍住宅がある市とな
い市で、協力の事例の数が変わるかということは、事態によって個々の自治体にお願い
する内容が変わってくるので、存在する市が多くなる場合もあるし、そうでない場合も
ある。

(問−3)
 地方公共団体の長が協力を拒否するには、正当な理由があることが必要であるとの説
明であるが、この正当な理由の例として、「施設能力を超える等」以外にどのような具
体的な理由が想定できるのか示していただきたい。
(答−3)
 正当な理由というのは、個々の法令に基づいて権限行使にあたって許可の要件を満た
していないかどうかということで判断する。施設の能力を超える場合というのは、拒否
しうる正当な理由になると解説の中で説明している。網羅的には申し上げられない。こ
の問題は国会でも議論し、防衛庁長官が、例えばということで、港が満杯で、新たに入
れない場合というのは正当な理由にあたる、また、施設の設置については、安全上の許
可要件を満たしていない場合など、当然正当な理由にあたる、と答弁している。

(問−4)
 地方公共団体の長に対する協力の求めについて、例示が少ないと思われるが、今後よ
り具体的な内容について示す考えはあるのか。

(答−4)
 事例として解説のなかであげている。現在はほぼこれで網羅していると認識している。
当面例示を新たに増やすことは予定していない。9条の協力項目については、事態が起
こる前の段階では、網羅的に特定し、これで全てとはなかなか言えないということを理
解してほしい。
 

(4)第9条第2項の解説(国以外の者に対する協力の依頼)

(問−5)
 「協力依頼をする地域における医療機関の状況等を加味し、総合的に勘案して決定さ
れる。」とあるが、医療機関の状況について事前に調査があるのか。
 あった場合、その調査が要請となるのか。
 また、その回答が要請に対する回答ととられるのか。

(答−5)
 医療機関での患者の受入は、9条2項の事例なので、民間の病院へのお願いと同じ形
で地方公共団体の医療機関にもお願いすると考えている。契約ベースの性質であるので、
任意の判断で協力いただくかどうか判断いただければいい。
 事前に調査があるかどうかについては、現在、そういう予定はない。平素から情報交
換等をして、共通の認識を持っていくということが、周辺事態が起こった際、的確な対
応をするために重要なことと考えており、医療機関の状況について調査することも一つ
の案とは思うが、今は具体的にどういう形で情報交換するのかを固めたところではない。
 調査があったときに要請となるのかについては、要請は、実際に周辺事態が起きて、
関係行政機関の長が個別の相手方に対し協力を求めることなので、調査自体が要請にな
ることは当然ない。その調査に対する回答が要請に対する回答になるわけでもない。
 

2 要請される協力の具体的種類・内容

(1)地方公共団体の長に対して求める協力項目例(第9条第1項)
  ○建物、設備等の安全を確保するための許認可

(問−6)
 都市公園法第7条各号で定める占用許可ができる施設では、軍事的要素は想定してい
ない。
 しかるに周辺事態安全確保法第9条第1項による使用の協力を求められたとき、その
事態は、都市公園法第7条でいう「必要やむを得ないと認められるもの」にあたるのか。
 協力依頼は、都市公園法第6条(占用許可申請)で来るのか、同法第9条(国の行う
都市公園の占用の特例)で来るのか。
 また、事態が悪化した場合、同法第7条第5号の「非常災害」的な解釈ができるのか。

(答−6)
 都市公園法第7条占用許可の規定により、周辺事態において占用することは、今現在
想定していない。法律上の解釈となるが、もし仮に占用が必要な場合は、公園管理者側
で個別具体の事例ごとに施設の占用の形態を勘案して判断いただく。必要やむを得ない
ものかどうかについては、設置の際の状況をふまえて判断していただく。
 第6条か第9条かということは、9条は、国と公園管理者の協議を持ってその許可に
代えるという規定になっているが、都市公園法の規定に従って、9条か6条かは個々具
体の事例で判断していくしかない。
 また、周辺事態が起こったことが直ちに非常災害にあたるというものではないが、非
常災害として扱うか否かはケースバイケースで判断する。

(問−7)
 「現行法令」に従うことは、当然であるが、本市の「開発指導要綱」を適用して取り
扱うこととしてよいか。

(答−7)
 現行法令に基づいて地方公共団体の長の有する権限を適切に行使することが9条1項
の趣旨なので、当然現行法令を越えた対応を求めることはない。開発許可が必要な行為
は、都市計画法などで定める基準に適合する限り許可するということ。都市計画法など
の基準が法令上の権限行使にあたっての要件である。そういう意味では、「開発指導要
綱」に適合しないということのみをもって許可をしないということはできない。「開発
指導要綱」はあくまで地方公共団体が独自に定める行政指導の方針であるので、法的な
拘束力が生じるということにはならない。
 開発許可について協力を求めるという事例はあまり想定されないと思うが、その場合、
指導要綱に基づいて現在も行っている行政指導を行うことは差し支えないが、そのこと
を持って法令上の基準に代えることはできない。

(問−8)
 建築の許認可について、協力の求めがあった場合、そのことが建築基準法第48条
(用途地域)における例外許可等の理由となり得るのか。
 用途地域が適合しない場合、基準法第48条の許可にあたって、建築審査会の同意が
必要となるが、同意無き場合不許可として良いか。

(答−8)
 建築基準法第48条に用途制限の規定があるが、これは都市計画の手続きを経て地方
公共団体が定める社会的なルールである。この例外許可を特定の行政庁が行う場合は、
近隣との関係で公聴会によって周辺住民の意見を聞くとともに、第三者機関の委員会で
ある建築審査会の同意を得るという手続きが設けられている。
 周辺事態に基づく協力要請があるということをもって当然例外許可等の理由にはあた
らないので、通常通り同意等の手続きが必要。あくまでも建築基準法の通常の手続きに
則って許可していただく。

(問−9)
 住居系用途地域への危険物貯蔵施設の建設が想定されないか。

(答−9)
 住居系の用途地域であってもガソリンスタンドなどはある。今住居系地域に施設を設
置することは想定していない。しかし法律上は排除されていない。もしあった場合も建
築基準法第48条による例外許可の手続きは必要。地域の状況、危険物の種類などを総
合的に勘案して判断する。

(問−10)
 建築確認など知事から特定行政庁の長である市長に権限を委譲している場合、誰に対
して協力要請がされるものか。

(答−10)
 当該権限を実際に行使する市長に対して協力の要請がされる。ただ、本来的な許可権
者である県とも密接に連携を保って協力をお願いしていくことになると思う。

(問−11)
 開発行為に該当する物件に係る許認可等で、指導権がある場合の交渉は、要請した関
係行政機関の長と行うのか。直接米軍と行うのか。

(答−11)
 開発行為に該当するような協力の要請があり得るのかどうかについては、今現在具体
的に検討していないので、確定的には申し上げられない。
 仮に開発許可が必要な開発行為にあたるという場合は、開発許可権者が実際に法令に
適合させるために指導を行う権限、指導権を行使することができる。その際、実際の交
渉はその許可申請者と行うことになる。申請者が米軍であれば、米軍と行うということ
が基本的な考え方である。

 ○消防法上の救急搬送

(問−12)
 消防法上の救急搬送を実施する場合、国が第9条第1項及び第2項に基づいて協力を
要請した医療機関以外の医療機関に患者を搬送することは可能か。また、消防本部の判
断で受け入れ機関の選択は可能か。

(答−12)
 消防が受入機関の選定を行い、適切と判断した医療機関に搬送するのが今のシステム
である。9条2項に基づいて医療機関に依頼している場合、そこへ搬送してほしいとい
うお願いをする場合もあると思うが、実際に緊急の必要が生じ、より適切な医療機関に
急遽運ばなければならない場合、消防本部に判断してもらって搬送していただくという
選択は可能と考えている。

(問−13)
 消防法に基づく救急搬送を行うことについての協力要請について、傷病者の到着地の
自治体に限らず、その近隣の自治体へも要請があるのか。
 また、救急搬送は、救急車に限られるのか。

(答−13)
 どの自治体に要請をするのかについては、現時点で確定的には申し上げられないが、
いずれにしても救急搬送について適切であると判断された自治体にお願いすることにな
ると思う。例えば港のある自治体に限られるとは考えていない。ケースバイケースであ
る。
 適切であると判断される場合には、救急車以外の手段も排除されない。救急車の搬送
が基本とは思うが、限定するわけではない。

(問−14)
 消防法上の救急搬送に関し、国はどの様な搬送業務まで想定しているのか。
 例えば、横浜港に傷病者を多数抱えた船舶が入港した場合、近隣自治体に対し、救急
車両等の割り当てをして対応するようなことも可能性としてあるのか。
 この場合、本市の救急出動件数は、年間1万件程度ずつ増加しており、救急隊の拡充
に努めてはいるが、なおその対応に追われている現状であり、この事は、市長が要請を
拒むことができる正当な理由になるのか。

(答−14)
 大量の傷病者が船で入ってきた場合、救急車が地元の自治体だけでは足りない場合の
割り当てについて、自治体から他の市町村へお願いしてもらうことは考えていない。個
々の要請は国からそれぞれの自治体へ行う。地域の実状が分からない場合もあるので、
その情報を国へ教えてもらうことはあると思う。
 また、協力要請が通常業務に支障を来すなど、能力を超えたような量をお願いするこ
とはないようにしたいので、対応に追われている状況での協力要請はあまり想定されな
いが、拒否の正当な理由になりうる。

(問−15)
 救急搬送について、搬送ルートの指定がなされるのか。また、指定された場合は、別
のルートを選択する余地はないのか。

(答−15)
 現場を一番よく知っている消防がルートを選択することになる。国からルートまで指
定することは考えていない。
 

(2)国以外の者に対して依頼する協力項目例(第9条第2項)
 @民間に対して依頼する項目例
  ○人員及び物資の輸送に関する民間運送事業者の協力

(問−16)
 物資輸送等に伴い、警察などによる事前の対応などは考えられているのか。また、警
察などの配備等がある場合、関係自治体に対して周知されるのか。

(答−16)
 警察による警備は輸送の具体的内容によって判断していく。全ての輸送に警備がつく
とは限らず、ケースバイケース。自治体には、警察との関係で現在行われている周知は
行われると思う。具体的な警備の内容を全て知らせるのは、警備上の秘密もあり、難し
いと思う。

  ○廃棄物の処理に関する関係事業者の協力

(問−17)
 廃棄物処理を民間に依頼した場合、当該民間事業者の許可権者に対しては情報提供さ
れるのか。
 また、当該民間事業者が処理すると環境保全上支障があると判断した場合は、許可権
者として法的措置を講じても良いのか。

(答−17)
 民間の事業者に協力依頼した場合、全てを自治体に情報提供するかどうかは、まだ考
えていない。
 また、許可権者としての法的措置が必要になる場合は、現行法令に基づいて権限を行
使してもらう。

  ○民間医療機関への患者の受入

(問−18)
 受け入れた医療機関の医療費の算定方法及び請求方法はどうするのか。

(答−18)
 現在の医療保険の制度などで給付の対象となる患者を受け入れた場合は、それぞれの
制度での算定方法が適用される。ここでは避難民とか米兵とかが念頭になっていると思
うが、現段階では、患者と医療機関との契約で決めると考えている。自由診療が必要と
される患者の算定方法が全くの任意でよいかということは、今後、さらに検討する余地
があると思っている。

 A地方公共団体に対して依頼する項目の例
  ○地方公共団体による給水

(問−19)
 特定施設に難民等を収容し、急激に人員が増加した場合など、給水の対応が法第9条
第2項に例示されているが、一般ごみ、し尿等については、国の方が責任を持って行い、
地方自治体に対し、法第9条第2項に基づいて依頼されないと理解してよろしいか。

(答−19)
 協力依頼の内容はあらかじめ確定できない。一般ごみ、し尿等について、全く協力依
頼の対象にならないとは言えない。ケースバイケースであるが、あまり想定していない。

(問−20)
 給水協力は、県が水道事業者の場合、市には何ら協力依頼が来ないということでよい
か。

(答−20)
 実際の水道事業者に依頼するので、県の方へお願いする。

(問−21)
 給水について、本市の周辺はすべて県営水道の給水区域となっているが、給水依頼に
ついては、給水場所、給水量が指定されるのか。本市を含めた給水については、県に一
本化して依頼されるのか伺いたい。
 また仮に、本市営水道に給水依頼があった場合、タンク車での給水は料金区分上にな
く、特別な給水契約になると思うが、料金については、本市が算定した額か、それとも
国の定めた額になるのか伺いたい。

(答−21)
 県営水道は県へ依頼へ行く。タンク車の料金区分を今具体的に定めたものはない。個
々の契約の調整によって決まる。

(問−22)
 本県は、県営水道であるが、災害時の住民への給水業務は各市町村で対応してもらう
こととしており、県としては給水車を殆ど所有していない。
 このような状況の中で、水道事業者である県に対して給水依頼が来た場合、給水車が
無いことを理由として依頼を断るか、または給水区域内の各市町村と調整し要請に対応
するかについては、独自に判断してよろしいのか。

(答−22)
 給水車がないところに給水車の依頼をすることはあり得ない。そういう情報は要請を
する前に情報交換や調整をしていく。調整の過程で給水区域内の各市町村が給水車を持
っていて、対応できる場合情報提供をいただくことはある。
 9条2項は任意の判断になるので、独自に判断してよい。

  ○公立医療機関への患者の受入

(問−23)
 人道上の見地から医療面での協力は必要と考えますが、市立病院のベッドの稼働率が
高く、満床に近い状態の場合には、患者の受け入れが困難です。
 また、市立病院内の災害時用簡易ベッドを使用し、患者を受け入れる場合には、他病
院からの医師及び看護婦等の応援体制や医療機器の補充等が必要となるため、必要人員
及び器材の確保等について、国の支援を要望いたします。

(答−23)
 受入するかどうかの判断は病院が行う。一般患者の診療に欠けることのないよう、入
院患者の状況や、医療従事者、医薬品等の状況を勘案し、配慮して依頼する。依頼の前
に状況の把握が基本と考えている。
 簡易ベッドや、医師の応援等は、国としても適切に協力、支援をすることは当然と考
えている。

○地方公共団体の有する物品、施設の貸与等

(問−24)
 小中学校の空き教室の一時的な目的外使用の依頼は想定されるのか。

(答−24)
 法律上排除されないが、あまり想定していない。

3 協力要請のプロセス

(1)基本計画について

(問−25)
「基本計画の策定段階においても・・・できる限り関係者の意向を聞き、調整をはかっ
て行くつもりである。」とされているが、関係行政機関の長からの協力要請が行われる
までの間に情報交換など、何らかのプロセスがあると理解してよいか。

(答−25)
 基本計画策定時に、できる限りお願いする予定のある自治体等と、状況を把握するた
め具体的な調整をするのが基本。策定後にも必要な場合は、お願いする前に情報交換し、
実際の協力要請をするというプロセスになる。協力要請をしたがだめということのない
よう、事情等を聞いて調整していくことが、的確な対応をするために重要と考えている。

(問−26)
 国以外の者による協力等については、法令及び基本計画に従うとのことだが、基本計
画自体も、法令の範囲内において策定されるのか。

(答−26)
 当然である。

(問−27)
 周辺事態と判断され基本計画が策定される場合、基本的に策定から閣議決定を経て地
方公共団体の長等への協力要請までどの程度の期間で想定しているか。

(答−27)
 何週間とか具体的に今答えることはできない。ケースバイケースである。事前に兆候
が高まって、事態が起こる前に時間的な余裕がある場合もあるし、突発的に起こって、
直ちに対応しなければならない場合もある。
 

(2)協力要請について

(問−28)
 周辺事態の際、第9条解説(案)にあるような手順を踏んでいくことに時間がかかる
となった場合、手続きや協力要請の内容が、なし崩し的に進められれることが懸念され
る。
 国は、9条解説書(案)にあるような内容と実際の段になったときの狭間の部分をど
うとらえているのか。つまり両者の間をどう埋めて機敏な対応を図る考えでいるのか具
体的に何か案があれば伺いたい。

(答−28)
 事態に応じて時間的な余裕は長短様々と思うが、非常に短い時間で対応しなければな
らないとき、的確な対応をするため、普段から継続的に情報交換を行うことが大切と考
えている。

(問−29)
 給水や廃棄物、患者の受入などは、要請の具体的内容が明らかにならないと判断しよ
うがないと思われるが、今後、あるシナリオを作成して協力要請のシミュレーションを
行うとか、開係行政機関を含めて、協力要請についてのより具体的な情報提供を行うな
どの方策をとる予定はあるのか。

(答−29)
 今の段階では、シミュレーションを行うまでは想定していない。関係行政機関から各
部局への情報提供は、今は特に予定はないが、中長期的には考えていかなければならな
いと認識している。

(問−30)
 民間に対する依頼に関連して、当該民間の所在する自治体(県・市)に対して依頼内
容が周知されるのか。また、当該自治体が調整を要する事態は想定しなくてよいか。

(答−30)
 民間への依頼の全てを自治体に対し連絡するかどうかについては、必ずするとは言え
ない。必要な場合に連絡をする。
 調整までをお願いするかどうかは、まだ想定していない。国のレベルでどういう事業
者があるかという情報が不足している場合、地元自治体に教えてもらうことはあると考
えている。

(問−31)
 地方公共団体に対して依頼される各項目について、県の調整機能がどうあるべきか想
定されているか。また、今後在り方について協議していく考えはあるか。

(答−31)
 個別の依頼項目について必ず県の調整があるわけではない。具体的なところまではま
だ想定していない。引き続きいろいろな形で自治体の意見を聞く必要はあると考えてい
る。

4 協力要請をされた場合の対応
(1)第9条第1項に基づき協力を求められた場合

(問−32)
 施設の使用が長期にわたる場合は、共同使用の対象になるとのことだが、短期使用が
繰り返される可能性があると考えられる。この場合の判断基準は、国としてあるのか。

(答−32)
 施設の使用が長期にわたる場合は、地位協定に基づく施設区域の提供が手続きの基本
と考えている。9条での協力の求めは、そういう意味での長期使用は想定していない。
どのくらいの期間であれば施設区域の提供の仕組みになるかは、ケースバイケースで判
断するしかない。

(2)第9条第2項に基づき協力を依頼された場合

(問−33)
 解説書17ページの問2、18ページの問3、問4の「公共施設の使用」とは、地方
自治法第238条の4第4項の目的外の使用のことを指すのか。その場合、11ページ
の最下段の項目との関係はどうなるのか。(1項と2項の区別が曖昧ではないか。)

(答−33)
 解説書17、18ページでいう公共施設とは、空港とか港湾とかを想定している。こ
れらは地方自治法上の目的外の使用ではないと考えている。11ページは体育館、公民
館等に避難民を収容する場合であり、目的外使用となる。

(問一34)
 公立医療機関・民間医療機関への患者受け入れ要請によって患者を受け入れた後、入
院を必要とする患者(市民)が発生した場合、市民最優先を前提に9条2項により受け
入れた患者を排除してまで市民の入院必要患者を受け入れることは道義上難しいが国と
してその対応について何か考えているか。

(答−34)
 入院を必要とする患者が発生したとき対応できないような状態になるような形でお願
いすることは基本的にないと考える。もし実際そういうことが起こった場合は、医療法
施行規則等臨時に患者を収容できる仕組みもあるので、これらを活用することもあり得
ると思う。

(3)その他(第1項・第2項共通)

(問−35)
 協力の期間は、どの程度の期間になるのか定かではないが、長期の要請をされても、
短期のみの対応しかできない場合、市で対応できる期間だけでよいのか。

(答−35)
 お願いできる範囲でやっていただくことが基本的な考え方である。

(問−36)
 国は、解説(案)20ページ問1において、協力内容によっては、公開を差し控える
よう依頼する場合もある、としている。
 しかし、このような依頼は、地方公共団体に対し、(自治体が)地元住民との間で板
挟みになる状況を強いるものである。
 一時的にせよ、情報の公開を控えるような依頼がある場合は、住民の情報公開を拒否
できる根拠のための措置及び依頼は文書に明示願いたい。

(答−36)
 基本計画はオープンになるもの。基本計画に基づいて行う協力要請もオープンしてか
まわないというのが基本的な考え方。
 公開を控えてもらうものは、例えば物資を輸送する場合、事前にルートまでオープン
してしまうと治安上の問題が生じることも考えられるので、輸送が終わるまで公開を控
えてほしいということを考えている。何でも情報公開を控えることを依頼することはな
い。
 また、9条の依頼については文書で行うことが基本なので、当然公開を控えてほしい
という依頼も理由とともに文書に明示する。

(問一37)
 例えば、非常に好ましくない事態ではあるが、相模総合補給廠に民間業者が武器・弾
薬を搬入するとして、住民の安全確保の観点から大きな問題であり、基地所在市にはそ
の種類、数量等必要な情報は事前に提供願いたい。

(答−37)
 現在も物資の搬入等はあると思うが、周辺事態の時も現在と同様の対応になると思う。

(問−38)
 周辺事態に際し、大量の物資が短時間に基地等に搬入され、これが交通規制の原因と
ならぬよう、万全の配慮・対応を願いたい。

(答−38)
 物資の移動がどの程度になるかは今は想定できないので、交通規制が全くないとは言
えない。地域の住環境への配慮をしながら対応していく。

5 損失に関する財政上の措置

(問−39)
 現在、周辺事態安全確保法以外で、通常国が行う契約において、第9条3項のような
損失の補償は行われているのか。
 行われていないとするのなら、新たに規定した意味は何か。

(答−39)
 同様の形で措置しているという事例は承知していない。9条3項にあたるケースはあ
まりないと考えるが、損失が生じないよう国として財政上の措置を講ずることを明示し
て、実効性のある協力を確保するという意味である。

(問−40)
 協力の求めに応じて、休日・祝日などの勤務が必要となった場合の時間外勤務手当は、
支払われるのか。

(答−40)
 基本的に人件費についても損失補償の対象からは排除されないが、許認可等について
の人件費は手数料で回収される仕組みと考えている。許認可事務の増加についての人件
費は想定しがたい。
 

                                                                    〔追加分〕
1 周辺事態安全確保法第9条について
(2)規定の基本的な趣旨

(問−41)
 基本計画策定段階あるいは協力要請を行うに際して地方公共団体、民間企業等の状況、
意見等を反映するため、できる限り関係者の意向を聞き、調整を図るとされていますが
具体的な聴取方法はどのように考えているのか。

(答−41)
 解説案に対し、今日のような説明会などで意見等を聞いているので、今後も引き続き
聞いていく。また、個々の内閣官房内閣安全保障・危機管理重などへの質問等でも対応
をしていく。

(3)第9条第1項の解説(地方公共団体の長に対する協力の求め)

(問−42)
 情報公開の関連で国から非公開の協力要請があっても、周辺事態の推移によっては自
治体の判断で公開した場合は制裁措置はとられないと解してよいか。

(答−42)
 周辺事態安全確保法による制裁措置はない。

(問−43)
 複数の市町村が協力要請の実施主体になる場合において、効率的な協力が期待される
といったケースには、国が都道府県に調整を依頼すると聞いていますが、具体的にがど
のような権限で、どのような方法で調製するのか。

(答−43)
 法律上の権限が必要とは考えていない。調整については引き続き地方公共団体の意見
を聞きながら検討していきたい。

2 要請される協力の具体的種類・内容
(1)地方公共団体の長に対して求める協力項目例(第9条第1項)
  O建物、設備等の安全を確保するための許認可

(問−44)
 公共施設の使用許可等をした場合、市民に対する説明、問い合わせ、抗議行動等は誰
がどのように対応するのか。

(答−44)
 一概には答えられない。現在でも国が公共施設を使用し、市民に対する説明が必要な
場合はあると思うので、それと同様な対応をしていく。国と自治体との連携によって説
明をしていく。

(問−45)
 公共施設の使用について単なる場所の提供か、協力業務内容あるいは夜間の使用等に
よっては、職員の関与(通常業務、勤務時間等)はどのようになるのか。

(答−45)
 一律には言えない。場所の提供をするだけで職員の必要がないというような施設の使
用ばかりではない。職員の関与はあり得る。

U 質疑応答

(問−A)
 国においては、地方公共団体の理解を深めるために、このような説明会を通じて情報
交換しているが、市への協力要請の内容によっては市民の理解を得なければならないこ
とも想定され、市が対応に苦慮することも考えられる。
 行政機関への説明会は行っているからよいが、国民に対しての内容の周知については
どのように考えているか。

(答−A)
 自治体の担当者にはいろいろな形で説明をしているが、一般市民に直接こういう形で
の説明会を行うことまではできないと思う。周辺事態安全確保法やガイドラインについ
ては政府としても広報に努めていて、パンフレットを発行するとか、雑誌に政府公報を
掲載するなどの対応をとってきている。直接一般市民から国に問い合わせもあるが、自
治体にもあると思う。こういう説明会を通じて自治体の理解を得ることも周知の一つの
方法になると思う。

(問−B)
 質問については、個別に聞いたり、また渉外知事会等での意見交換会の会議録をもら
ったりしているが、具体的なことは国の方もまだ分からないということが分かった。
 今までも、自治体が協力を拒否できる正当な理由の具体的な例示をしてほしいと渉外
知事会等で要請しているが、個々の事態により、ということで具体的な例示が避けられ
てしまった。国会では、いくつか例示がされている。もう少し概略的なものでなく、個
別の例示をしてほしい。
 また、本市は過去の経緯もあるので、米軍住宅を抱えているからといって、協力項目
が多くなるということのないよう願っている。
 最後に、防衛庁長官が自治体として協力するのは当然であり常識であるという国会答
弁をしたことがあった。内閣官房内閣安全保障・危機管理室の方もそういう認識を持っ
ているのか伺いたい。

(答−B)
 正当な理由は個別の法令で事態に応じて判断していくことになるので、そういう趣旨
を理解いただきたい。現在網羅的に理由を例示することは難しいと考えている。
 周辺事態の態様によって協力の内容も様々なので、全ての自治体に均等にお願いする
ことにはならないが、特定の自治体に集中することのないようにしていきたい。
 長官の発言は、周辺事態は正に我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態である
ということを勘案して、協力の要請があった場合にできるだけ応じていただくことを期
待しているという意味であると承知している。法律上の義務、強制ではない。

(問−C)
 この法律は我が国の平和と安全を確保するためであり、日本国に多大な影響を与える
事態の中での行動ということになれば、国民もそういう意識で動くと思うが、地方公共
団体としては直接市民の窓口となっているので、住民が納得するような説明をしていく
責務がある。市や周辺でこのような協力をしているという情報は、詳細に示していかな
いと、市民の納得を得られないと思う。住民が理解できるような情報公開の仕方や協力
要請の仕方を検討していただきたい。

(答−C)
 基本的にどういう協力をしているかを市民に公開するのはかまわない。ただ、公開す
ると治安上問題のあるものについてはオープンしないでほしいということである。

(問−D)
 解説(案)の場合は全国知事会などを通して配布されているが、(案)がとれた段階
ではどう配布しようと考えているか。

(答−D)
 どういう配布方法をとるかについて具体的に検討しているわけではない。はっきりし
たことは言えない。いずれにしても周知されるような方法をとりたいと考えている。
 

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仲田博康
nakada_h@jca.apc.org



 
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