Date: Fri, 10 Sep 1999 19:01:58 +0900
From: 加賀谷いそみ <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1864] ティモ−ル島の惨事
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 インドネシアに軍事支援して国内からも批判されてきたアメリカではどのように報道
されているのか。
 日本はかつては侵略国であり、今は最大の経済援助国。その結果に責任を負うつもり
はない。むしろこれも利用して日本軍派兵の道を開きたい。
 政府はトルコ大震災者救援に、輸送艦・補給艦・掃海母艦の3隻体制で仮設住宅を輸
送して陸上自衛隊も300〜600人規模で派遣するつもりだったが、トルコ側から断
られて、民間から専門家を派遣して、自衛隊は海上輸送だけすることになった。だれも
もあんまり「日の丸」を背負った軍隊にうろうろしてほしくないと思うよ。
地震がきっかけで仲良くなった所もあるというが。

「平和維持」「人道的」というまやかしで武力を武力で制し、経済制裁した結果、今ま
でどれほどの女・こども・老人・病人・「障害者」などが恐怖の極致に追い込まれてき
たか。

PKO参加5原則(毎日9日)

1992年6月成立
@紛争当事者間で停戦合意が成立していること
APKO活動に受け入れ国が同意する
B紛争当事者の一方に加担するような行為は慎み、中立に撤する
C以上3条件が満たされない場合は日本は業務を中断し、短期間に解決しない場合は撤
収する
D武器の携行は自衛のためのみとし、紛争当事国には使用しない

1993年3月宮沢4原則(参加のガイドライン)
@憲法、PKO協力法の枠内で行う
A国内の支持とともに国際社会の評価を得る
B要員派遣は安全かつ効果的に行う
C医療、輸送、通信などわが国が適切な対応ができる分野であること

日本政府の無責任(9月7〜10日各紙)

6日 
「危険度5」として在留邦人に退去を勧告。政府が用意した民間機で23人がインドネ
シア・ウジュンパンダンへ退避(ほか他の手段で4人)。民間人3人が在留している時
点で日本政府の連絡事務所を閉鎖。

小渕首相「銃弾で混乱させるということは民主主義に対する挑戦であり、破壊だ。ぜひ
平和に立ち戻って投票結果を尊重し、その方向で統治が行われることを期待している」

野中長官が同日夕の記者会見で
海上保安庁の巡視船「みずほ」(5、317トン)を9月4日から東ティモ−ルの中心都市

ィリ沖に派遣し当面待機させることを表明。同船は第四管区海上保安部(名古屋市)所
属、ヘリ2機搭載。8月31日に外務省が運輸省に派遣を要請。「緊急時に迅速に邦人
を移送できるよう空路、船舶などさまざまな方法で事態に備えたいと考えた」「(公表
を控えたのは)チャ−タ−機以外の輸送手段を日本政府が準備していることが在留邦人
に伝わると、退避の動きが遅れる可能性があるため」
 5月の自衛隊法改正で、新たに自衛隊の艦船と艦載ヘリによる邦人輸送が可能になっ
たが「(在留邦人数が少なく)民間チャ−タ−機で対応できる」(川島裕・外務事務次
官)ので見送り。
 巡視船派遣の任務規定「関係行政庁との間における協力、共助及び連絡に関すること
」(海上保安庁法第5条17項)

国連が地元警察を要請する教官役の文民警察官の派遣を日本に打診
日本政府は文民警官・政務官の再派遣は現地調査団を送り安全確認調査後に最終判断。

政府は国連がPKFを決定した場合は、PKOの枠内で自衛隊員による人的貢献を行う
方向で検討入り。「ゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)で自衛隊が行
っている輸送業務などは可能」(外務省筋)「インドネシアの安定は東南アジアの安定
に死活的に重要」(川島裕・外務事務次官)「これまでで最も危険なケ−ス」(関係筋

野中長官「今後、国連の討議などを経ながら独立の手続きが、治安が確保された上で進
んでいくような方向が検討されると思う。わが国としてもそういう検討状況を見定めて
対応していきたい」「一義的にはインドネシア政府当局が治安に当たるべきだ。国連安
保理も治安の維持を要請している」

日英定期外相協議で日英外相会談後協同記者会見
高村外相「治安の責任はインドネシアにある」
クック外相「インドネシア政府が治安を回復できないなら、国際的支援を受け入れるべ
きだ」
 同協議(1963年より25回目)の行動計画は@英国は日本の国連安全保障理事会
常任理事国入り早期実現への支持を再確認する、A格不拡散・核軍縮分野での協力、な

 首相との会談
クック外相「国連を通じて日英両国が緊密に連携し、秩序ある独立の過程を支えること
が大切」
小渕首相「国連安保理事会での役割が大きい英国とともに働いていきたい」
 

7日 
インドネシア国軍ハビビ大統領が軍事非常事態を宣言(日本時間午前2時)したと発表
。事実上の戒厳令
 厳しい順に@非常事態(戒厳令)A戦時非常事態B軍事非常事態(治安維持の全権限
を軍が掌握)C一般非常事態

小渕首相(午前)
「治安が確保されて、選挙結果に対して1日も早く正常な形でガバナンス(統治)が確
保されることを望む。インドネシア軍、国連、その他の対応が必要で、わが国は慎重か
つ積極的に対応する必要がある」
   
海保の巡視船撤収

政府首脳 PKF派遣の可能性について
「そういう話はまだ出ていない。まずインドネシア政府が対応する問題だ。事実上の戒
厳令まで敷いているのだから、(自国で治安維持が)できなかったら国際世論に反する

 

8日 
外務省が邦人全員が脱出と発表

国連安保理事会代表団がアラタス外相と会談。独立を正式承認する10月の国民協議会
までは多国籍軍は受け入れないとの立場を表明したもよう。会談内容は非公開。

国連のアナン事務総長がハビビ大統領と電話で直接協議。多国籍派遣の同意を説得。大
統領は拒否したもよう。

クリントン大統領とアナン事務総長電話協議。アナン氏、多国籍軍をインドネシアに受
け入れさせるための外交努力を強調。
 
高村外相がニュ−ジ−ランド・マッキノン外相と会談。マ外相がインドネシアの治安維
持への努力をうながしたいとしたのに対し「結構な事だ。(APEC)議長国として、
ぜひリ−ダ−シプを発揮してもらいたい」
高村外相(ロイタ−テレビインタビュ−)「インドネシア政府が治安維持の責任を果た
すことが重要で、果たさなかったらどうなるか議論する段階ではない」

米・コ−エン国防長官「米国は世界の警察官ではない。死活的な国益がからみ、効果も
期待できれば別だが、東ティモ−ルは、インドネシア政府が責任を負うべきだ。どこに
米軍を出すかは、線引しないといけない」
 
軍事作戦には、オ−ストラリア・ニュ−ジ−ランド・カナダ・英国・タイ・マレ−シア
・フィリピンが参加する見通し、米国は後方支援することをオ−ストラリア・ハワ−ド
首相が表明。

小渕首相「日本としては国連中心主義の精神を踏まえ責任を果たすべく努力していきた
い」(政府はPKFが派遣された場合、派遣費用の一部を負担する方針)

9日 
国連安保理事会代表団、ハビビ代表と会談。大統領は国連の国際部隊の即時受け入れ拒
否。継続協議。

クリントン大統領がインドネシアと米国との軍事交流の全面停止を表明。中身としては
合同訓練、人道援助支援、連絡士官の交換など
米軍の東ティモ−ル派遣は「未決定」
クリントン氏「経済援助を停止すべきだとの圧倒的な世論がある」「経済協力面でどう
対応するかについて明白なシグナルを送る」

国連東ティモ−ル派遣団(UNAMET)が全員撤収予定を延期。要員の一部残留し、
住民保護。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)メンバ−が緊急外相会議で東ティモ−ル問題協
議。インドネシア欠席。東ティモ−ル問題をAPECの枠外として臨時閣僚会議設置。
解決手段に相違。

高村外相が、米・オルブライト国務長官、オ−ストラリア・ダウナ−外相と個別会談。
ダウナ−外相との会談で「まずインドネシアが治安維持に責任を持つのが当然」「(効
果が出ない場合は)治安維持のため、国際的な部隊派遣も真剣に検討していかなければ
ならない」
 

以下を首相、外相へ要請
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 ティモ−ル島で武器を持った者による、すさまじい虐殺・掠奪が行われていることが
、メディアを通じて公式・非公式にわたしたちに伝わっています。

 かつては当地へ侵略者として関わり、そして今はインドネシア政府への最大の経済援
助国として大きな影響とリスクを与える関係がある国が、米国の「国益」に照らした判
断に追従し、インドネシア政府に責任を押しつけるだけで傍観しているふがいなさにア
ジアの民衆の一人として怒りを感じています。

 今、軍隊を持つ国々は、武力に対して武力で制するという手法での解決を探っている
ようですが、それが武器を持たない者たちの人権をさらにおびやかす結果になっている
ことは最近の歴史からもすでに明らかです。また経済制裁で生存権を奪われるのも武器
を持たない人々です。

 インドネシア政府の人権侵害に対して、早くから多くのNGOが警告を発し、各国に
訴えてきました。しかし日本政府をはじめ多くの国は国家の利潤追求のみを優先し、住
民の安全に配慮する事を怠ってきました。そこには軍隊を持つ国にありがちな、いざと
なったら軍事で解決すればいいという安易な考えが底流にあったのではないかと思いま
す。いまティモ−ル島で起きている惨事は、武力による「平和維持」の矛盾を日本が容
認きたことにも原因があります。

 日本政府はその不正義を恥じ、非暴力に撤し、ただちにティモ−ル島で起きている人
権侵害の事実を調査し、世界に正確に告発し、一日も早くティモ−ル島の人々が虐殺・
凌辱・掠奪から免れるあらゆる手段を講じてください。

 武器を持った人々のなかには、貧困ゆえに武器を持たされた人もいるという悲しい話
も聞きます。そして武器を持ち、あるいは持たされた人々が、人権無き軍隊や武装集団
に組み込まれ、武器を持たない同胞の人権を侵しています。その武器がどこから持ち込
まれたのでしょうか。

 日本も中曽根内閣の「戦後政治の総決算」策によって、83年にアメリカに対して武
器技術の輸出を解禁してしまいましたが、この国が戦争を放棄した数少ない平和的国家
であることには変わりありません。日本政府は世界の人々に、アジアの一国としてその
平和憲法の理念に基づき、ティモ−ル島の人々が恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生
存する権利を確保できるよう、武器を提供しあるいは利用して利益をむさぼった所に対
してその責任を追求する責務があります。そして経済的影響力を持つ国として、武器を
買い取って破棄し、ティモ−ル島の人々が主権を持って生活権を自由に選択できるよう
努力するべきです。

 ティモ−ル島はかつて植民地として分割され、その歴史的流れの中で今度はひとつの
島で複数の国がつくられようとしています。共に生きてきた人々が政治的に分断されて
きました。歴史には避けられない悲劇もありますが、努力することで避けられる悲劇も
少なくありません。そしてどんな政治体制になろうと、人間らしく生きる権利はすべて
の人々が持っており、決して侵されてはならないものです。

 日本政府がアジアで起きている暴挙を派兵や戦時立法成立の材料とするようなケチな
考えは起こさず、わたしたちが深く関わるアジアの人々との友好と信頼関係を恒久に維
持するために努力されることを切に願います。

1999年9月10日
                 秋田県男鹿市
                      加賀谷いそみ



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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