Mime-Version: 1.0
X-Sender: kaymaru@mail.jca.apc.org
Date: Fri, 27 Aug 1999 02:53:51 +0900
To: aml@jca.apc.org
From: "MARUYAMA K." <kaymaru@jca.apc.org>
Subject: [keystone 1829] 国旗「日の丸」の〈もう一つの効用〉(井上澄夫)
Cc: keystone@jca.apc.org, pmn@jca.apc.org
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X-Sequence: keystone 1829
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

 井上澄夫さんから届いた“〔報告的エッセイ〕「日の丸・君が代」をめぐる状況に
ついて”を転載します。(aml、keystone、pmnに同報)

 なお、28日(土)には、井上さんも問題提起者として参加するシンポジウムがあ
りますので、是非ご参加ください。

■8月28日(土)

   戦争協力を許さないつどい シンポジウム
     戦争体制づくりへ いま何が起きているか?
       13:30〜16:30、700円
       文京区民センター2A(都営三田線春日駅すぐ)
       問題提起:古関彰一(獨協大学教員)
            井上澄夫(沖縄一坪反戦地主)
            木元茂夫(すべての基地にNO!を ファイト神奈川)
       呼びかけ:戦争協力を許さないつどい事務局
       連絡先:沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック(090-3910-4140)
           憲法をいかす会(03-3226-8765)
         97ガイドライン安保・有事法に反対する全国FAX通信(03-5275-5989)

======================= 転載ここから ================================

〔報告的エッセイ〕「日の丸・君が代」をめぐる状況について

    発信者=井上澄夫(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの一員)
    発信時=1999年8月21日
 

国旗「日の丸」の〈もう一つの効用〉について

                井上澄夫
 

  あれは確か、八〇年代の初め、沖縄で開催された反核の国際会議に参加したときの
ことであった。その会議には、海外からのゲストのほか、私のような市民運動グルー
プのメンバーも少数参加していたが、大勢で乗り込んできたのは、原水禁(原水爆禁
止日本国民会議、社会党〔当時〕系)と原水協(原水爆禁止日本協議会、共産党系)
であった。
  レセプションのパーティーでのこと。挨拶に立った原水禁事務局の女性が、「本国
際会議参加の記念品として、みなさんにキーホールダーを差し上げる」と英語で語っ
た。そして彼女は「これは、ゲンスイキンからのプレゼントです」とのべたのだが、
その際、ゲンスイキンの「キン」を異常に強く発音した。ゲ・ン・ス・イ、キン!

 彼女は、対立関係がつづいてきたゲンスイ「キョウ」ではなく、ゲンスイ「キン」
が提供するのだ、そこをまちがえるなと言いたかったのである。その女性は私の知人
であったから、大声で笑うわけにもいかず、私は笑いを噛み殺すのにえらく苦労した

 配布されたキーホールダーには「GENSUIKIN」と大きく刻印されていたこ
とをつけ加えておく。

  そんなことを思い出したのは、図書館で、自民党機関紙『自由民主』の最近号を読
んで、これまた思わず吹き出しそうになったからである。
 本年八月一〇日付同紙は、自民党コソボ難民支援対策本部NGO支援小委員長、新
藤義孝・衆院議員の「主張」を掲載している。以下、その内容を要約する。
  《かつて湾岸戦争時、百三十億ドルもの拠出をしながら、何もしない日本と言われ
たので、その轍をふまぬよう、今年五月と六月の二度にわたり、コソボ難民キャンプ
を視察したが、残念ながら、日本の支援は現地難民にほとんど伝わっていなかった。

 テントや配給缶詰には米・英の国旗が入り、仏や独の医療テントが並ぶ中、日本の
テントや缶詰は無印であった。
 外交上の成果は国益に大きく結びついているのだから、私は帰国後、コソボ支援の
キーワードを〈日本の顔の見える支援〉とし、日本の物的援助には必ず『日の丸』を
つけることにした。さらに今わが党は、コソボ支援Tシャツ募金を全国に展開中だか
ら、「日の丸」と自民党のマーク付きのTシャツを、日本人のボランティアとともに
、コソボで配ることにした。》

  いわゆる国旗国歌法は八月九日、自民・自由・公明なる政権亡者三政党によって成
立させられた。同法の制定を急いだ政府のねらいは、主として、この国が「象徴天皇
制国家」であることを全「国民」に強く自覚させることだろう。しかしそれについて
の詳細な考察は、ここでは措く。私は、新藤議員の「主張」が、あまりにグロテスク
に「日の丸」国旗化の〈もう一つの効用〉を示していると感じるので、それを伝えよ
うと思うにすぎない。
  あれは赤塚不二夫の漫画だったか、「ハタ坊」というキャラクターがあった。「ハ
タ坊」はいつも、頭の天辺に「日の丸」の小旗を掲げて(くっつけて)走り回ってい
る。
 新藤議員は、あの「ハタ坊」である。コソボ難民支援という「国際貢献」において
も、「日の丸」マークをそこここに氾濫させて「大国ニッポン」を売り込むことを忘
れない。いやちがう、まさにその売り込みのために、難民を「支援」するのである。

 ここで「日の丸」は、〈「大国ニッポン」が「国際貢献」している〉ことを、米・
英・仏・独に伍して大宣伝するための登録商標である。

 自民党には右から左までいろいろな人がいるから、新藤議員の「ハタ坊」ぶりを、
苦々しく思う向きもあるかもしれない。しかし「そうだ、やれ、やれ、援助物資には
、必ず『日の丸』を」という人びとが、やはり少なくないのだろう。
 この国の支配層は、今ひたすら「経済大国」ぶりにふさわしい「政治大国」化・「
軍事大国」化を進めようとしている。自民党は、こういう活動が日本の国連安保理常
任理事国入りに役立つと考えているのだろう。
  「何もしない日本」と言われるのがイヤだから金を出す、しかし出す以上は十二分
に「大国ニッポン」の宣伝にならねばならないという新藤議員の発想は、いかにも浅
ましい。しかしそう批判するだけではすまないだろう。なぜなら、ある知人が言った
ように「どんなにレベルが低くても、政治は政治」なのであるから。
  先に私は、『自由民主』を目にして「思わず吹き出しそうになった」と書いた。し
かし次の瞬間、鉛を呑んだような苦々しさ、重苦しさが胸にこみあげてきた。それが
いまも心に沈澱して去らない。  (一九九九・八・二一)

======================= 転載ここまで ================================

 参考:

トルコ北西部地震と我が国の対応
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/area/m_e/turkey/taio.html

(中略)

 2. わが国の対応

(1) お見舞い等の伝達
   天皇陛下、小渕総理より、それぞれデミレル大統領、エジェヴィット首相宛
  に、また衆参両議院議長よりお見舞いの電報を発出。また、高村外務大臣は、ジ
  ェム外相宛にお見舞い電を発出し、トルコを訪れた際に、わが国政府、国民を代
  表してお見舞を伝達するとともに、既に派遣を決定していた国際緊急援助隊に加
  え、緊急無償資金協力及び物資協力(以下(ロ)の通り)により総額約100万ドル
  の援助を行うことを発表した。

(中略)

(ロ)
 緊急物資と緊急無償援助で総額約100万ドルの供与
 (i)緊急物資4800万円相当(テント、毛布、発電機、スリーピングマット、プラス
   チックシート、簡易水槽)
 (ii)緊急無償援助60万ドル

(以下略)
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 それにしても、たったの100万ドルと天皇や小渕の電報? 日の丸を付けて?
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 MARUYAMA K.  kaymaru@jca.apc.org
 2GO GREEN (JCA-NET)
 http://www.jca.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html



 
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