Date: Fri, 20 Aug 1999 10:40:11 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1800] <靖国>無駄死に者の利用
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天皇の名において無駄死にさせられた者を追悼し国家の安寧を祈念する日に
小渕首相は「(「君が代」の斉唱は)大変よかった。斉唱しないとしても陛下が席にお
着きになった時に吹奏すべきものだと私はかねてから申し上げてきた。今回は斉唱され
て改めてよかった」と「国民とともに」天皇に忠誠を誓えたことがかなりご満悦だった
らしい。

秋田県知事なんか「今の平和があるのは、多くのみたまの尊い犠牲があったから。次の
世代に語り継がなければなりません」と式辞。まるで怪談。県内戦没者3万1541人

 

「日の丸」の旗には人格がないから数の暴力でどうにかなったが、「靖国」気球はあげ
たものの、天皇教の国家神道化に議員はもてあまし気味。しかし「戦後の総決算」もこ
れなくしては「画竜点晴を欠く」
  【特殊法人】特別法により設置される場合の法人。国策上あるいは公共の利益のた
めに設置される。

(各紙「靖国」関連記事より)

1869年    明治維新の際の戊辰戦争で死んだ官軍戦没者の慰霊のため、明治天
皇が「東京招魂社」を創建
  79年    「靖国神社」と改称(陸軍省と海軍省の共管)
1945年12月 GHQが国家と神社神道の分離を命じる「神道指令」(国家神道廃
止)を出す
  46年 9月 宗教法人靖国神社の登記完了
  48年11月 極東国際軍事裁判所(東京裁判)判決(「平和に対する罪」で28
人起訴)
  51年10月 戦後初の秋季例大祭に吉田茂首相が参拝
  53年 3月 日本遺族会結成
  56年    社会党(現社民党)が「靖国平和堂」構想をまとめる
  59年 3月 非宗教の慰霊施設として国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑(無名戦没者らの
墓)が完成
  61年 9月 日本遺族会が靖国神社の国家護持を求める請願を国会に提出
  69年 6月 自民党が靖国神社の国家管理をもりこんだ靖国神社法案を国会に提
出         公明党は「明治憲法下の国家神道のように、靖国神社の国家護持
を目指す法案」と反対。
         現天皇が皇太子時代創立百年の際参拝(で最後)
  74年 6月 5度目の提出となった同法案が廃案に(衆院法制局見解「特殊法人
になれば、宗教色のある儀式や行事が違憲になる」)

  75年 8月 三木武夫首相が現職首相として初めて終戦記念日に参拝。私的参拝
として@公用車を使わないA玉串料を国庫から出さないB記帳に肩書きを書かないC公
職者を随行させない−の4つの条件をあげた
         昭和天皇が秋の例大祭に出席(これ以来途絶える)

  77年 7月 津地鎮祭訴訟で最高裁大法廷が合憲判決

  78年10月 靖国神社が東条英機元首相らA級戦犯14人を「昭和殉難者」とし
て合祀

  80年11月 鈴木内閣の宮沢官房長官が「公式参拝は違憲の疑いをなお否定でき
ない」との政府統一見解を発表
  81年 3月 「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」結成
  82年 4月 8月15日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」と閣議決定

  84年 8月 中曽根内閣の藤波官房長官の私的諮問機関「閣僚の靖国神社参拝問
題に関する懇談会」(靖国懇)発足
  85年 8月 靖国懇が公式参拝の在り方を答申「憲法の政教分離の原則に抵触し
ない形で公式参拝を実施する方法を検討すべき−手水は使わない、祓いは受けない、正
式の二礼二拍手はやらない、玉串はささげない」(委員の一人曽野綾子氏は「無宗教の
記念廟」主張)
         中曽根康弘首相が終戦記念日に初めて公式参拝。「内閣総理大臣中
曽根康弘」と記載し、3万円の供花料を公費支出。靖国伝統の「二礼二拍手一礼」では
なく「一礼」とすることで、宗教色を薄めたと見解。
         藤波官房長官談話「(今回のような形の公式参拝なら)社会通念上
、憲法が禁止する宗教的活動に該当しないと判断した」
         靖国神社は「非礼」と反発。
         「誰が御霊を汚したのか。あの総理大臣の無礼な公式参拝は忘れら
れない」「靖国の御祭神は手足四散して亡くなられた方が大部分。その聖域で御身大切
、後生大事と、天皇様もなさらない警備つき(ボディ−ガ−ド4人)とはなにごとか」
(1993年靖国神社刊「靖国神社をより良くしるために」より 松平永芳宮司が宮司
職を去るに際しての講演録)
         公明党「靖国神社が宗教団体である以上、首相、閣僚の公式参拝は
憲法の『信教の自由』に抵触する」
         (秋、中国が首相の公式参拝に懸念を示す)
         10月 自民党幹部が非公式に靖国神社にA級戦犯の合祀とりやめ
要請、神社側は拒否
         板垣正参院議員が@首相の靖国公式参拝を継続A遺族の総意でまと
める−を条件にA級戦犯遺族の集まり「白菊遺族会」などにA級戦犯の分祀を打診。遺
族会会長(当時・長谷川峻衆院議員)が「墓暴きのようなことは駄目だ」などで反対。

  86年 8月 中曽根首相が「外交上の配慮」から終戦記念日の参拝を断念
         後藤田官房長官談話「85年の政府見解に変更はない」が「公式参
拝は、近隣諸国の国民の間に、A級戦犯に対して礼拝したのではないかとの批判を生ん
だ」
  88年 6月 自衛官合祀訴訟で最高裁大法廷が合憲判決
  91年 9月 公式参拝に初の違憲判断を下した岩手県靖国訴訟の仙台高裁判決が
確定。玉串料の公費支出も「違憲」とした

  92年  秋 宮沢首相が私的参拝
  96年 7月 橋本龍太郎首相が自分の誕生日に参拝(アジアから批判の声)

  97年 4月 愛媛玉串料訴訟で最高裁が靖国神社への県費支出を違憲と判断
  98年11月 「靖国神社を考える会」(座長・小堀桂一郎明星大教授)発足

  99年 6月 野中広務長官が「靖国神社のA級戦犯分祀をぜひ実現したい」と中
曽根康弘元首相に協力を要請。中曽根氏「現役(政治家)世代の責任でおやりなさい。
お手伝いする」「中国には事前に話をしておくよう」。綿貫元幹事長、古賀誠国体委員
長(日本遺族会副会長)らにも非公式に打診。小渕首相「何とか日本でも国賓、公賓の
方が参拝する施設ができないものか」とゴ−サイン。

      7月 3日、自民党の森幹事長と綿貫民輔元幹事長(自民党神道政治連盟
議員懇談会会長、幹事長は村上参院議員会長)が神社本庁を訪れ、靖国問題に関する有
識者懇談会の設置を合意。早ければ総裁選後の10月に幹事長のもとに設置。
         神社本庁「政治に関わる皆さんが、靖国問題を避けて通っているの
はよくないのではないか」
         森・綿貫両氏「なんらかの解決を見いだせないか検討してみたい」

      8月 6日、野中広務官房長長官が記者会見で「靖国神社からA級戦犯を
分祀し、純粋な特殊法人とするのが望ましい」と発言。中国の唐家セン外相から聞いた
話として中国の故トウ小平氏(1978年10月と79年2月来日)が生前『もし日本
がA級戦犯を分祀されるなら、私も献花する』と話していた「秘話」を披露。@A級戦
犯の方々に戦争責任を負ってもらって靖国神社から分祀するA靖国神社の宗教法人格を
外し、特殊法人化するB宗教を問わず国民全体が慰霊できるよう国家の責任で、国立墓
地などの形で犠牲者をまつる−など具体的検討課題を(個人的見解として)提起。「今
世紀に起きた問題は今世紀に解決する」(小渕首相)との判断から。

         10日、野中長官「私個人としての思いを述べた。政府は憲法の定
めにより、宗教法人のあり方について考える立場にない。政府がこの問題で何らかの措
置を考えることは一切ない」

         15日の閣僚参拝は8人(他1人は10日に参拝)、「みんなで靖
国神社に参拝する国会議員の会」(会長・綿貫民輔自民党小渕派会長、小渕首相は元会
長)のメンバ−54人(衆院38人、参院16人)、代理の議員秘書ら109人参拝

         戦争での性暴力を追求している「戦争と女性への暴力」日本ネット
ワ−ク(VAWW-NET JAPAN、松井やより代表、2000年12月に市民による「戦犯法廷
」開催計画)メンバ−26人が15日、靖国神社で元兵士らに「慰安婦体験」聞き取り
調査。有効回答53人。34人が強姦所(『慰安所』)の存在を認め、35人が必要性
を主張。「必要悪だった」「きちんとカネを払っているから今さら、謝罪も補償もいら
ない」
(自らの人権の回復もなし得ない貧しさが、他者の人権をおとしめるのかね)
 

靖国神社(今年6月29日で創立130周年)
「直接の打診が来ていない以上何も申し上げられない」

靖国神社の主神は英霊「国(天皇)のために命をささげた人たち」
現在の総数246万柱。内8割以上がアジア・太平洋戦争の犠牲者。「ひめゆり部隊」
「白梅部隊」「鉄血勤皇隊」や対馬丸沈没で犠牲になった児童らも含む。
春季例大祭と秋季例大祭が最大の式典。天皇が勅使を差し向ける。7月にはみたま祭り

A級戦犯の供養を続けてきた品川(ほんせん)寺住職・仲田順和さん
「戦犯と言われる方々の遺族は、靖国神社を支えに親兄弟の供養をしながら、静かに戦
後社会の片隅で生きてきた。国が人の心に土足で踏み込んではいけない」
「靖国神社はそのままの形で残すべきです。後世の人たちも、靖国神社が国体とつなが
り、戦いの象徴だった時代を思い返すことで、心のたたずまいを正すことができるでし
ょう」
「だいたい、国が宗教に介入するなんて、オウム真理教と同じになってしまう」
 

日本遺族会
末廣榮顧問
「国は分祀しろという立場にはないはずだ。それは言ってはいけない。合祀したのは靖
国神社なのだから、今後どうするかも靖国自身が判断すべきだ」
「参拝問題が外国から批判されることがあったとしても、そもそも国内問題なのではな
いか。どこの国でも、国に尊い命をささげた人たちに手厚いの当然だ。靖国は靖国とし
て、日本がほかの手段で平和を追求する道はあるだろう」

水落敏栄事務局長
「(個人的見解)どんな形であれ、国には首相や外国の賓客が靖国神社にお参りできる
環境整備をお願いしたい」
 

平和遺族会全国連絡会代表・小川武満さん
「A級戦犯を除けばいいというのは解決でもなんでもない」
「このままでは、若い人が戦場にかり出される事態は、一瞬にして起こりうる。今回の
動きは、そのための政府による準備です」
「戦犯でも、靖国にまつられて『英霊』になることを拒否した人がたくさんいる。再び
戦争をするなという彼らの願いを、一部の遺族だけでなく全国民の問題にしたい」
 

「自衛官合祀訴訟」原告・中谷康子さん
「いずれは来ると思っていましたが、まさかこんなに急ぎ足とは・・」
「死は個人的なもの。国が死を管理するのは『国のための死』を考えるからでしょう。
靖国神社が戦争のためにできた神社だったことを、若い人たちに知っていただきたい」
 

宮内庁
「たとえ神社のあり方が変わったとしても、その時の状況を考えて検討するとしか言い
ようがない」(宮内庁幹部)
靖国神社創立130年を迎える今年も神社側から天皇参拝の要望が非公式にあったが見
送り
「国民統合の象徴として、国民の議論が割れるような問題に触れるようなことは差し控
えるということでしょう」(宮内庁幹部)
「おいでいただけないのは誠に残念ですが、まず首相の公式参拝が実現しないと難しい
でしょう」(靖国神社関係者)
 

靖国問題に関する有識者懇談会構想について(8月6日)
自民・森幹事長「昨今はイデオロギ−の時代ではない。今世紀もそろそろ終わるので、
正式に協議してもおかしくない」
自由・藤井幹事長「法律問題を整理したうえで、一般の方々がわが国の平和のために命
を落とした方々に敬意を表せる仕組みを作ることが必要だ」
民主・鳩山由紀夫幹事長代理「盗聴法や住民基本台帳法案、国旗国歌法案と一連につな
がるものと考えているなら、国家の管理が厳しくなる方向に誘導するつもりなのかと懸
念を禁じざるを得ない」
公明・冬柴幹事長「国家のために働いた人を無宗教でまつる墓地ができれば、国民も広
くお参りできる」「こういう問題を憲法学者や宗教者なりが議論していけばいい」
 

「靖国」の苦労は「英霊」の再生産がここしばらく絶えているところから

「靖国神社を考える会」(座長・小堀桂一郎明星大教授)
靖国神社の委託を受けた、改革のための諮問組織
98年11月9日の初会合には、小堀桂一郎明星大教授はじめ、明治時代の刑法が専門
の大学教授、演歌のヒット曲をもつ作曲家、民放テレビの役員など6人が議論
「靖国神社をめぐって国論が二分されているのは不幸なことだ。この際、神社という形
にこだわらず、千鳥ヶ淵墓苑といっしょになったらどうか」
「それは絶対にだめだ」
「ジレンマはあるが、変えられない枠もある。天皇家との関係がそうだ」(靖国神社代
表)

 靖国神社にとっての変えられない枠=靖国神社は明治天皇の名において建立され、神
道形式で主に「昭和殉難者」を祭る神社
 「昭和殉難者」=A級・BC級戦犯として死んだ千余人。「連合軍の形ばかりの裁判
によって一方的に『戦争犯罪人』というぬれぎぬを着せられた」(靖国神社社務所刊「
やすくに大百科」)。BC級戦犯は約千人が処刑。

「遺族会内部には、国が祭るというところが大事、国が参拝してくれない状態が続くな
ら、何も靖国にこだわらなくてもいい、宗教色を排除した国立墓地でもいいじゃないか
という議論は少なからずある」(遺族会副会長・尾辻秀久自民党参院議員)

奉納金が減収
「若者にも参拝できるようにしたい」(靖国神社)
軍人恩給年金受給者今年度は151万人、平均年齢79歳(ピ−クは1969年度26
2万人)
97年 インタ−ネットにホ−ムペ−ジ開設
98年から98億円を投資して、戦没者名簿の電算管理化、展示施設「遊就館」改修
 

千鳥ヶ淵戦没者墓苑
5月31日、昨年中に新たに収集された戦没者遺骨の納骨を踏まえ、拝礼式(厚生省主
催、例年「君が代」斉唱)
祭壇の両わきには天皇・皇后の供花
高円宮夫婦と小渕首相も参列(皇族の参列は恒例、95年には皇太子夫婦が参列、歴代
首相もほぼ毎年参列)
 

各地の声(6日の野中発言について)
シンガポ−ル華字紙編集幹部「日本の指導者による靖国参拝は好ましくない」「(シン
バポ−ル国民は)日の丸、君が代の法制化より強く反応しそうだ」
フィリピン元従軍慰安婦支援団体「リラ・ピリピ−ノ」エクストレナドゥラ代表「日本
政府は、旧日本軍がアジアの女性に対して行った暴力、暴行という犯罪を認め、謝罪と
補償を行うべきだ」
英国元日本軍捕虜でつくる日本軍強制収容所生存者会・ティザリントン会長「日本の政
治家は収容所で志望した英連邦の捕虜が葬られている横浜の墓地も公式参拝すべき」「
(野中発言が広島原爆記念日に行われ)日本人は自分を侵略者から犠牲者にすり替えよ
うとしている」
韓国通信社・聯合ニュ−ス「日本の軍国主義を象徴する国旗国歌法案の衆議院通過など
、最近の日本の急激な右傾化に対し憂慮する見方も出ている」



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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