Date: Sun, 15 Aug 1999 00:15:59 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1785] <三沢> 98年度年間離陸回数調査報告
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 防衛庁が2000年度予算の概算要求で手に入れたい「重装備」3点セットの空中空
輸機、支援戦闘機F2、T3(富士重工)後続機のT7。自自公連立で「安定」すれば
、アジア内外の批判など些細なこと。「有事法制」の重要性を強調する政府のためにも
「働く自衛隊」にふさわしい「装備」がなくては。2000年には是非と。
 自民党では7月14日、池田行彦政調会長が部会長会議で「有事法制」の立法化に向
けて準備を始めるよう指示。

三沢関係など
 
 7月8日〜23日  アラスカでの多国籍空軍共同演習(コ−プサンダ−)に航空自
衛隊の輸送機、基地防空隊とともに、三沢米空軍F16が8機、150人も参加。

 7月20日〜23日 米空軍三沢基地第35戦闘航空団(F16戦闘機部隊)が作戦
態勢運用演習(シ−リ−)。本州北部から北海道地域での広範囲な低空飛行訓練。多い
日で1日約30回飛行運用、夜間飛行訓練(午後10時から午前6時までを除く)。8
月10日〜13日も。
 
 28、29日 岩手県雫石町、沢内村、湯田町でF16と思われる低空飛行目撃。

 29日 秋田県秋田市内北東の住宅密集地域(保戸野・広面・千秋中島町・手形山・
将軍野など)で低空飛行
     県環境保全課によると、県庁、市役所、秋田空港管理事務所などに5件の通
報・苦情。同課は仙台防衛施設局にたいし、稲川町4件、湯沢市1件の通報とあわせて
計10件の苦情通報があったことを伝えた。
施設庁「米軍機か自衛隊機か分からないが、自治体からの苦情があればその都度、米軍
側にその旨を伝えている」低空飛行による騒音で窓ガラスが割れたなどの被害がない限
り、ジェット戦闘機の所属は確認しない」
(同課によると、今年度の苦情は28日までに23件でほとんど県南中心。秋田市では
97年度に1件)
 青森県三沢市航空自衛隊第3航空団「問い合わせの時間帯に、自衛隊機は騒音があっ
たという地域を飛んでいない」
 陸上自衛隊秋田駐屯地「(「秋田市土崎上空で突然宙返りをした」という目撃情報に
関し)人口密集地域で低空で宙返りをするなどの飛行は航空法で禁止されている。自衛
隊機ではない」
 目撃証言やコ−スからこの戦闘機が電波灯台・秋田DME(VHF前方位距離観測装
置)を通過した可能性が高く、「米空母コンステレ−ションのF14トムキャット戦闘
機ではないか」

 同日午後3時20分頃、「鳥海山に墜落」の110番通報が入り、県警ヘリ「やまど
り」が出動、矢島署が署員を派遣。飛行機の爆音の時間帯に稲川町の木工会社の煙突か
ら木くず燃やす煙が大量に出ていたことがわかり捜査打ち切りのハプニングも。(朝日
・さきがけ30日、赤旗31日)

なお、秋田県内の98年度の苦情は36件で過去5年間で最大。(県環境保全課5月6
日)
F16のイラク展開のため激しい訓練が行われているらしい。

7月31日 空中空輸機導入(4機分、800億円) 来年度概算要求見送りを政府筋
が表明
 現行の中期防衛計画整備計画(1996〜2000年度)では「空中給油機能に関す
る検討を行い、結論を得て対処する」と明記。防衛庁では来年度予算の概算要求に計上
をめざし官邸と折衝。@空中での長時間の警戒待機(CAP)で滞空時間が延びて防空
能力が高まるA訓練の際に離着陸の回数が減って燃料を節約し、騒音対策として有効B
弾道ミサイル発射に対応する防空システムを整備できる−と利点を説明。
 野中官房長官は、公明党への配慮やガイドライン関連法の成立に中国などが警戒観を
強めている点を踏まえ「性急に予算化すべきではない」
 防衛庁は自自公連立政権の発足を優先させて見送り。(河北8月1日、朝日4日)

8月3日 野呂田防衛庁長官、空中空輸機導入先送り正式表明
 「空中空輸機や輸送機、ゲリラ対策費、生物・化学兵器対策費の(8月末の)概算ま
でに決めることは現時点では考えていない」
 12月の予算編成までに方針を決定し、必要があると判断すれば来年度予算に計上す
る考えを示唆。
 「計画は来年度いっぱいある。検討の結果、結論が出なければ、来年でも間に合う」
 政府は主要装備の導入について審議する安全保障会議を今秋に開催、空中空輸機の導
入問題について議論。(河北8月4日)

 *といいながら王城寺原では、日米両政府の合意に基づいた実弾射撃訓練で米海兵隊
が「核兵器や生物・化学兵器」訓練(NBC攻撃)と米軍機関紙「オキナワ・マリン」
に。また陸上自衛隊は、市ヶ谷で対ゲリラ実戦訓練を予定。

AWACS(空中警戒管制機)とセットしてCAP
*空中空輸機については1973年、田中角栄首相(当時)が@空中空輸はしないA空
中空輸機は持たないB空中空輸の訓練・演習もしない−とし、ファントム128機から
空中給油装置を撤去。自社さ時代は「戦闘機の戦闘行動の範囲が拡大し、専守防衛の理
念に反する」として先送り。今も「そんなに脚の長い戦闘機が必要か」との慎重論も官
邸内にあり。

*7月12〜15日に沖縄で行われた日米合同夜間救難訓練(コ−プエンジェル)で使
われたHH60Gヘリをもつ米救難中隊は赤外線を使った暗視装置を装備、敵地で墜落
したパイロットを、夜間遠路出撃し敵と戦闘しながら救出、帰りは空中空輸を受けて帰
還するコンバット・レスキュ−部隊。米軍の「後方支援」にはほしい救難機。沖縄の4
機のうち2機は92年2月に米本土からギャラクシ−で運ばれて三沢にわらじをぬいだ
機種。その後嘉手納へ。

富士重工復活

8月6日 防衛庁は救難飛行艇の開発に絡む富士重工業の汚職事件の再発防止策として
、航空機機種選定に数値基準「総合評価落札制度」を新たに導入。ただし戦闘機など特
別な性能や機密性が重視される作戦機は適用外、救難飛行艇と練習機に対象を限定する
方針。富士重工は次期初等練習機T7の受注内定を取り消され、12月中旬まで取引停
止処分。「(来年の)契約時点では処分が解除されており、選定の対象に含むことは問
題ない」「(現行の航空選定作業には)厳密な基準はなく、総合評価で決める」(防衛
庁関係者)
富士重工はT7を1機約4億円から約2億4千万円に下げて受注が内定していた。(河
北7日)
 7月16日 防衛庁は2000年度予算で機種を特定しないままの異例の概算要求。
T3後続機にT7を99年度から計50機導入する予定で富士重工に内定。概算要求で
2機分6億8千万円を要求。その後内定取り消しで機種選定のやり直しを決めていたが
、有識者による「防衛調達適正化会議」の選定見直し作業で断念。(秋田さきがけ16
日夕)

バンソウコを貼っただけで大丈夫かしらん。浮かばせればいいってんじゃないんだし。

8月10日 野呂田防衛庁長官記者会見
 次期支援戦闘機F2について@三沢基地などへの導入(部隊配備)を当初予定の来年
3月から5月以降に遅らせるA防空の任務を与える実戦配備の時期は計画通り2001
年3月とする−との方針を正式表明。
 長官は「(強度試験での亀裂やはがれは)主翼内部構造の特定部分に大きな力がかか
った。補強で安全を確保できる」とし、素材や技術などの抜本的な見直しではなく、亀
裂部分などを金属で補強するとの対策を表明。
 防衛庁で2日から部隊配備について最終調整していたもの。
 F2は96〜99年度で計36機分を予算化。最終的には三沢(青森)・築城(福岡
)などの基地に配備予定。(河北8月3日、11日)
*1機132億円。中期防で45機。
 

以下 三沢基地監視グル−プの報告(1999年7月)
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98年度(98.4〜99.3) 三沢基地の動き
年間離陸回数 調査報告
        三沢基地監視グル−プ
          代表 伊藤裕希(三沢市議)

(1)緊急着陸について
 パイロットが火傷して死亡した離陸失敗事故を含めて、年間39件。
 前回発表した時より少なくなったとはいえ、ほぼ毎週1回の割合で発生している。
 この期間中に米軍機の大事故が前記の離陸失敗と、釜石市内墜落の2件(いずれもF
16)起きている。事故の予備軍である緊急着陸がこれだけの頻度で繰り返されている
から、大事故も相次いで発生していると言える。
 単発エンジンで飛行速度が速く、武装しているF16の場合、エンジン停止などの故
障が即大事故に結びつきかねない。
 また、年度内の回数をみると、別紙の機種別の飛行回数と比較して米海軍P3Cの緊
急着陸の回数が多いと考えられる。機体が古いせいもあるが、4発のエンジンのうち一
つにでも異常があればエマ−ジョンを宣言して降りてくるので、この割合の大きさから
だけでは、一番危険ということは出来ない。しかし要注意の機体だ。

(2)自衛隊機と米軍機の飛行回数の割合
 6割を自衛隊機が占める。F1に替わって(F16をベ−スにした)F2が配備され
ることが決まっており、自衛隊機の飛行が減っていく流れにはない。自衛隊機の4分の
3以上をF1、F4、T2、T4などの騒音の大きいジェット機が占めていることも、
三沢基地周辺の騒音が大きい原因の一つだ。

 (3)F16の飛行について
 行き先は、圧倒的に日本海側の訓練空域が多い。自衛隊機が太平洋側の訓練空域に飛
ぶことが多いことを考え合わせると、大まかに自衛隊と米軍で訓練空域を「棲み分け」
ている、という状況に変わりはない。
 しかし、F16の訓練が日本海海上だけにとどまっているというわけだはない。一端
日本海にむかったあと、舞い戻ってきて天ヶ森射爆場で爆撃訓練を行うことはよくある
し、また東北山地での低空飛行訓練に向かうこともある。99年1月21日の墜落事故
は初め日本海方向に飛び、その後対地攻撃訓練のために岩手県内の山岳地域に向かった
(1月6日に宮古市上空を低空飛行して騒音被害をもたらしたF16も、初めは日本海
の向けて飛んでいる)。F16も天ヶ森射爆場に直接向かう回数は前回より減っている
が、このような動きを考えると、爆撃訓練が減ったとは言えないだろう。

 (4)P3Cの飛行について
 前回発表時と比べて、太平洋、オホ−ツク海方面への飛行は少なくなっている。日本
海方面は減っていないので、三沢のP3Cの関心はますます朝鮮民主主義人民共和国(
北朝鮮)に向かっていることを示している。
 三沢周辺の飛行(慣熟飛行などの訓練飛行)が増えている。緊急着陸が多い機体が基
地周辺をウロウロすれば、三沢基地周辺住民の危険は増す。

 (5)空自F1、F4の飛行について
 F1、F4とも、三沢基地周辺を飛ぶ機体を観測に含めてから、機数が激増した。太
平洋側訓練空域に向かう機数も5割以上増えている。天ヶ森射爆場に直接向かう機数も
倍近くになっている。なお、三沢基地周辺を飛ぶ機体の中には、そのまま太平洋側の訓
練空域に向かうものが多く、同空域での訓練回数は、この集計値よりもずっと多くなる
と推定される。
 98年8月25日に2機のF1が夜間低空飛行の最中に空中衝突事故を起こして三陸
沖に墜落、続いて10月9日夜に三沢に帰投途中のF4が三沢沖で墜落した。F16に
比べると緊急着陸が少ないF1、F4だが、機体の整備状況とは別にパイロット側の問
題によっても大事故は起きる。F16の相次ぐ事故と合わせて、本当に大事故の多い年
度だった。

 (6)T2、T4の飛行について
 これらの機体は、天候観測のために何回か基地周辺を飛ぶ。訓練空域の天候観測も出
掛ける。F1、F4と比べて日本海側への飛行割合が多いのは、米軍機の訓練のための
気象デ−タも集める任務も負っているためと思われる。

 (7)E2Cの飛行について
 哨戒定点に向かう機体が一番多いが、98年度では大部分が秋田、新潟沖の日本海に
向かっている。北朝鮮の不審船事件の時も、E2Cは夜中に日本海の定点に向かってい
る。三沢の自衛隊の情報収拾の矛先も、ソ連から北朝鮮に変化していると言えるのでは
ないか。

 (8)全体の動きについて
 例年、5月には航空自衛隊の戦技競技会が行われる。98年は千歳と三沢がその中心
基地となり、全国の航空自衛隊から各機種が集まってきた。5月中旬から6月初旬まで
の自衛隊機の飛行数の多さの原因だ。また11月には日米合同演習が空母も参加して日
本周辺で行われた。キティ−ホ−クが日本海から津軽海峡を抜けて三陸沖に移動したこ
の時期、三沢には米軍、自衛隊双方の軍用機が多数終決した。11月初旬の極端な飛行
回数の増は、その反映である。
三沢は米軍(F16が36機)と自衛隊(F1、F4各24機)の戦闘機が、合計で国
内のどの基地よりも多く配属されている。その他T2、T4、E2Cそして米海軍のP
3Cなども配備され、さらにJAS機まで乗り入れている。JAS機を除く年間飛行機
数(離着陸回数ではない)が、私たちが捕らえただけで2万機近いのは、他の基地と比
べても相当大きな数字だ。これを一本の滑走路でさばいているのだから、危険度も大き
くなる。(滑走路を2本にしろ、という主張ではない。念のため)

                      以上

○同調査報告は、昨年9月10日に初めて公表され、今回が2回目です。
 昨年は97年8月〜98年7月までの1年間の調査結果でしたが、今回改めて、年度
ごとの調査報告を作成しましたので、前回の集計と一部(98.4〜7の4ヵ月間)重
複しています。
 また前回の「年間飛行回数」を「離着陸回数」と混同されないよう「年間離陸回数」
に統一しました。

調査結果(98.4〜99.3)

◎三沢基地 緊急着陸一覧表(98.4〜99.3)

年 月 米軍  空自  不明   計
98. 4   2    1    1   4
  5   1    0    1   2
  6   3    0    0   3
  7   5    0    0   5
  8   0    0    2   2
  9   4    0    0   4
  10   2    0    1   3
  11   2    0    1   3
  12   0    1    0   1
99 1   1    0    2   3
  2   1    0    1   2
  3   3    1    2   6

合 計  24    3   11   38
      (米軍機24の内訳 F16 12回 P3C 10回)
 

◎三沢基地年間離陸回数(98.4〜99.3)

     F16  自衛隊  NAVY  USAF  そのほか  総計
98.4    501    981     85     91      9  1667
  5    292   1264     103     79     24  1762
  6    374   1265     141     79     32  1891
  7    173    913     110     72      8  1276
  8    355    773     122     82     14  1346
  9    375   1159     141     84     111  1870
 10    628    777     130     87     34  1656
 11    448   1228     103     90     181  2050
 12    474    791     95     51     24  1435
99.1    228    807     102     68     22  1227
  2    486    792     84     76     10  1448
  3    615    804     116     90      9  1634
総合計   4949   11554    1332     949     478  19262
割合%   25.7   60.0     6.9     4.9     2.5

F16の行き先(98.4〜99.3)
日本海          3771   76.2%
RIPSAW(天ヶ森)   476   9.6
太平洋           378   7.6
国内基地          153   3.1
三沢周辺          93   1.9
在韓米軍基地        44   0.9
その他           34   0.7
合計           4949

米海軍P3Cの行き先(98.4〜99.3)
日本国内基地        294   29.3% 
三沢周辺          305   30.3
日本海           168   16.7
太平洋側          77    7.7
韓国周辺海域        41    4.1
在韓米軍基地        58    5.8
米国            53    5.3
オホ−ツク海         9    0.9
合計           1005

F1行き先(98.4〜99.3)
太平洋側訓練        1412   34.7%
日本海側訓練        247    6.1
自衛隊基地         134    3.3
RIPSAW        228    5.6
三沢周辺          1947   47.8
その他           103    2.5
合計            4071

F4行き先(98.4〜99.3)
太平洋側訓練        1232   36.1%
日本海側訓練        209   6.1
自衛隊基地         135   4.0
RIPSAW        188   5.5
三沢周辺          1617   47.4
その他            29   0.9
合計            3410

T2、T4行き先(98.4〜99.3)
太平洋側訓練        111    8.8%
日本海側訓練        357   28.4
自衛隊基地         105    8.3
RIPSAW         7    0.6
三沢周辺          679   53.9
合計            1259

E2C行き先(98.4〜99.3)
哨戒定点          339    29.6%
太平洋側          292    25.5
三沢周辺他         275    24.0
日本海側          166    14.5
自衛隊基地          75    6.5
合計            1147



 
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