Date: Mon, 12 Jul 1999 00:11:54 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1675] 日の丸・君が代公聴会
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 法制化を強行する政府のたくらみが、ますますはっきりしてきた感はあるけれど、無
関心層がいぜんとして多いのも実情。政府の歴史認識もアジア全体から見れば「少数意
見」ではあるが、決めるのは日本国民。

 今、この国には、日の丸・君が代・天皇を教えられすぎた世代と、教えられなさすぎ
た世代が混在している。私は後者。教えられすぎる恐さを実感できない部分がある。元
号法(1979年制定)もそうだった。できてから不便さが分かった。正直言って、こ
の問題を考えるのはややこしくてつかれちゃう。だからといって法制化の有無でけりを
つけて逃げたいとは思わないし、再び「天皇の治世」を教えられすぎる世代をつくるこ
とは許せない。

 小渕首相は「(日の丸・君が代を、子どもの頃)教わった記憶はないね。ごく自然に
国旗が掲揚され、国歌を歌っとったからね。ごく自然でしたね」と語ったとのこと。
 国が望むようには「定着」しなかったにしても、その間にいろんな人にいろんな日の
丸・君が代像がつくられた。政府見解は、それらの国民と日の丸・君が代の関係を無視
し、切り捨てた。
 私たちには、日の丸・君が代をこのまま慣習として「定着」させてもいいのかという
ことへの責任もある。あいまいにしてきた怠慢も否めない。

 今まで、指導要領で「強要」してきたが、法制化で「強制」できるようになる。

 広島県では、職務命令を出しただけで国旗・国歌斉唱率が一挙に18%から88%ま
でアップしたのだから、法案に「義務規定」がなくても、指導要領に日の丸・君が代条
項があれば、強制効果にさしたる影響はない。今すぐ国民にもとなるとそれほどの「共
通認識」ではないから、子どもが育つのを待とうと。すでに長く待つほどでもないだろ
う。

 これから、教師は個人的には「思想信条の自由」は認められるが、子どもたちにその
保証はない。

民衆もそんなにやわでないけどね。なんせ、鍛えられてるから、国家にも仲間にも。や
やお人好しのところはあるが。
 

 各紙、3日から10日まで

政府は公聴会の前にすでに成立の段取り。

 自民党・古賀誠国会対策委員長は2日午前の党役員連絡会で、日の丸・君が代を国旗
・国歌とする法案について、21日に衆院内閣委で可決、22日の衆院本会議で可決、
参院に送付することをめざす方針を示した。
 野党は、参考人質疑、内閣、文教両委員会の合同審議をと「民主的手続」を要求する
方針。

 6日の札幌、那覇、7日の広島、金沢での公聴会、8日の国会での中央公聴会で計2
6人が議論(内女性は賛否各1)。
 国旗・国歌の必要性の有無と日の丸・君が代問題がごっちゃの感。物事を考えたり決
めるのには順序ってものがありそうなもんだが、政府の動機が不純で無理するからこう
なる。

公聴会での陳述人発言要旨(「毎日」)のダイジェスト
( )は推薦党

賛成の方向

・同一社会、文化に帰属する自己意識を高揚させることが大切。(自民)

・自国の主権を象徴する国旗・国歌に敬意を表するのは当然であり、重要。法制化によ
り、学校教育の現場でも自信を持って指導にあたれると思う。(自民)

・国旗・国歌は私たちの国を代表しており、一定しないようであれば、国民に対しても
諸外国に対しても失礼だ。戦争を知らない世代が増えていることを考え、いつまでも平
行線をたどる議論に終止符を打ってほしい。(自民)

・象徴天皇をいただく日本の永続を願うのは、まともな一つの解釈だ。国民の代表であ
る国会で有権解釈を定めればいい。旗とか歌に責任転嫁することの危険性を感じる。公
務員は法に忠誠を誓って採用されており、法令に基づく命令に背く権限はない。いやな
らやめればいい、あるいは抵抗して処分される。これは強制とは言わない。(法制化さ
れれば)これからは、私どものような静かな多数派が儀式に参加して異様な光景に我慢
しないですむ。むしろ多数の国民の良心が開放される。(自民)

・自国の国旗・国歌を大切にする指導を通じて他国の国旗・国歌を尊重できる国際社会
に通用する日本人が育てられるのではないか。(自民・自由)

・子どもたちが成長した暁に自分の考えを持つのは結構だが、未成熟の子どもたちに教
育の現場で先生方が「賛成だ」「反対だ」と言って混乱が起こるようでは親としては困
る。法制化されなければ教育の場はきっとまた大混乱になる。(自民・自由)

・教育現場の混乱を一日も早く解消し、教育の正常化を図るためには速やかに法制化す
る必要がある。政府が率先して法制化を唱えた以上、万一、法制化できなかった場合に
は反対運動はさらに激化する。犠牲となるのは子供たちだ。国民一人ひとりが思想・信
条の自由を理由に国旗や国歌を否定したならば、国家秩序が成り立たない。教育の性質
上、学校内である種の強制が働くには当然。国民主権に立ち、国民が制定した憲法が天
皇を日本国と日本国民統合の象徴としたわけであり、君が代こそ国歌にふさわしい。(
自由)

・過去に忌まわしい問題を抱えていても、将来、努力していけば、必ず世界から信頼さ
れるはずだ。(自由)

・日の丸は、日本民族の歴史を通して太陽を仰ぐ心の象徴。日の丸・君が代は日本の歴
史と伝統の中からはぐくまれてきたものであり国旗・国歌として大変大切。今後青少年
が立派な国際人となるよう指導できるよう立法化を切に願う(自由)

・日本人の誇り、責任と自覚の下、日本国のさらなる平和と繁栄を願うのは全国民の願
いであり、国旗・国歌の法制化を願うのは当然だ。(自由)

・国旗・国歌は、使う側の都合でどうにでもなる存在。国旗には、国を識別する機能と
、国民統合を象徴する機能がある。肝心なのは二つの機能を明確に区別すること。義務
規定のない法制化には賛成だが、押しつけには反対。諸悪の根源は、文部省が学習指導
要領で押しつけを進めた結果。(公明)

・多様な国民感情をまっすぐ見て、議論を進めるべき。国民に理解を得られるよう、政
府の責任で説明しなければならない。旧態依然とした議論では民主主義を混乱させる。
(公明)

・(法制化によって)日の丸、君が代に直接かかわっている皆さんはこれからは踏ん切
りをつけて自信を持ってかかわることができると思う。戦後の日本の国旗・国歌に日常
性が無くなって残念。国旗が法制化されれば、日本の国旗に対してきちんと処罰規程、
取り扱い規程が必要だと考える。戦争はどの国でも国旗を前面に出して戦うのは当然の
ことだ。国旗のせいにするのは理解できない。(公明)

・われわれは共通項としての国旗や国歌を法制化することによって、国旗、国歌問題に
決着をつけ、日本国民としての確かなアイデンティ−の下に世界で活躍できるようにし
た方がいい。法制化したからといって、特定個人にそれらを強要することは避けるべき
で、個人の自由は尊重されるべきだ。(民主)
 

反対の方向

・君が代の「君」は象徴天皇を意味することになり、国民主権の原理と矛盾するのでは
ないか。(民主)

・「長年の慣行による」とするなら、法制化の必要はない。意図は学校行事などでの日
の丸・君が代の強制にある。平和憲法を尊重し、国民合意を絶対条件とする慎重審議を
要望する。(民主)

・今国会の法案の提出は唐突で性急すぎる。政府は1974年以降、国旗・国歌につい
て世論調査をしておらず、早急に実施すべき。法制化が教育現場で強制力につながらな
いか心配だ。(民主)

・日の丸は韓国、朝鮮の人にとって植民地支配の象徴であった。若い世代は負のイメ−
ジを持っている日の丸を掲げる日本という負担を背負い込むことになる。君が代は憲法
違反の疑義が濃厚。きちんとした議論が必要。法的裏付けがされれば飛躍的な強制力と
して作用してしまう。(民主)

・君が代は、明らかに天皇が支配する国家の永遠の繁栄をうたった歌。政府の君が代に
ついての新解釈は、何としても天皇を軸とした体制を維持せんがための苦肉の策に過ぎ
ない。「定着している」と言えるのかきわめて疑問。場合によっては国民投票もすべき
ではないか。(社民)

・日の丸・君が代は軍国主義思想と共に戦後きっぱり処断すべきだった。政府は日の丸
、君が代のような侵略戦争時代の落ち穂拾いに似た国民論争を起こすのではなく、戦後
史の原点に立ち、アジアと世界の中で連帯して生きる平和の道を論じてほしい。(社民

・(戦中)学校で、模型に日本が占領したところに日の丸をさした。わたしの心をもて
あそんだ日の丸を再び子供たちに振らせたくない。日の丸・君が代が本当に慣習化した
のなら、法制化の必要はない。文部省が実施率が上がったといっても、心から実施して
いるのではないと分かっているからこそ、強制しようとしているのではないか。(社民

・負の現実を考えると、法制化しない態度を持ち続けることで、日本が戦争を反省して
いるあかしとすべきだ。(共産)

・アジア・太平洋の人びとがどういう思いで今の日本の動きを見ているかを冷静に考え
たい。日の丸・君が代を法制化によって押しつけるのは学校教育だけではない。国民体
育大会であれ全国植樹祭であれ大相撲であれ、日の丸、君が代、天皇の出席と、どうし
てそういうことになるのか。(共産)

・最近、新聞の投書欄を見ていて、日の丸、君が代について国民がやっと発言するよう
になってきたと思う。性急な法制化は避け、議論を尽くすべきだ。(共産)

・(「定着」は)何よりも軍隊と学校教育の力によるところが大きい。歴史を振り返り
、過去の反省をしなければアジア諸国ではこの旗は日本による侵略、植民地時代を思い
起させ、アジアの一員として認められない。(共産)
 

・世羅高校の事件は、教育への介入、強制は認めないという憲法や教育基本法の精神に
立ち返るべきだということを私たちに教えている。子どもたちが歌うには意味が理解さ
れなくてはならない。小学校音楽の歌唱曲共通教材から「夏は来ぬ」を外した文部省の
見解は「文語体の歌詞を理解させるのは難しい」だった。この点からも君が代を強制す
る特異性は歴然。(共産)

公聴会で推薦した5人の陳述人の内4人は反対意見だったが
民主党は、何だかんだ言っても法案賛成方針をうちだしたい
「日の丸」は侵略のシンボルとしてアジア・太平洋諸国に「定着」しているのだが

2日午後、鳩山由紀夫幹事長代理は、6日から菅直人代表、羽田孜幹事長が衆参両院全
議院の意見聴取を実施するとした。当選回数ごとに4回に分けて行い、その後に有識者
からヒアリング。この結果を踏まえて党の最終的態度を決める段取り。
政調審議会では賛成方針を決めていたが、プロジェクトチ−ム出席者から「賛成の方向
などという取りまとめはなかった」と異論が出ていた。

鳩山幹事長代理「政調審議会の決定は重いが、一人ひとりの意見を聞く民主主義のプロ
セスが大事だ。代表、幹事長の意向であり、『屋上屋』の議論を重ねるものではない」
同日夜には、都内の講演で「賛成の方向でまとめていかなければいけない」「(党議拘
束については)自由にすることも視野に入れつつある」
 
 今国会での法制化に反対する衆院議院有志は所属衆院議員を対象にアンケ−ト。呼び
かけ人衆院6名。参院では党議拘束反対の署名をすでに取りまとめている。
 @国旗・国歌の拙速な法制化に反対するA採決で党議拘束をはずす−の2点について
「賛同する」か「しない」か回答
金田誠一議員(一呼びかけに人)「法制化に反対するためにアンケ−トを行うことにし
た」

参院では党議拘束反対の署名をすでに取りまとめ。呼びかけ人簗瀬進議員ら7人。「法
制化に反対し、採決では党議拘束をはずすよう要請する」。参院会派の民主党・新緑風
会所属議員(56人)を対象実施。20人弱が署名。先月30日、菅直人代表に提出。

8日の「日の丸・君が代法制化」に反対する討論集会に民主党議員が12人参加。
社民党・辻元清美議員「野党第一党の民主党と連携したい」
民主党・竹村泰子議員「衆院通過を遅らせてほしい。社民党との連携を考えたい」

9日、鳩山由紀夫幹事長代理「日の丸と君が代では国民への定着度が違う。日の丸と君
が代を一つの法案ではなく、分けて解決する方法もあるのではないか」と日の丸だけの
法制化の対案、修正案を検討する考えを示す一方で「法制化に疑問を呈する人たちも法
案に反対を唱えることには逡巡している。法案が出された以上、国民の方向を向いて結
論を出さなければならない」と最終的には政府案に賛成意向。「党の姿勢、党首の求心
力が問われる問題であり、党議拘束をかけるべきだ」
 

2日、明治記念館(東京・元赤坂)で「天皇陛下御即位十年奉祝委員会」(会長・稲葉
興作日本商工会議所会頭)の設立総会。政界、経済界、教育界の代表らが参加。自民党
・森喜朗幹事長、鈴木宗男官房副長官、民主党・羽田孜幹事長らが出席。今年十一月に
行われる政府主催の記念式典などに民間の立場から支援するのが目的。事業計画として
皇室の存在意義を明らかにする出版活動など。政府主催の式典が行われる11月12日
に合わせ、夕刻に皇居前広場で奉祝の提灯を掲げた3万人規模の祝賀式典の開催、若い
世代を対象にした記念論文の募集などの啓発活動を予定。



 
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