Date: Sun, 11 Apr 1999 17:59:42 +0900
From: Masahiko Aoki <btree@pop11.odn.ne.jp>
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Subject: [keystone 1306] 自衛隊の土地収用について
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X-Sequence: keystone 1306
Precedence: bulk
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  Re:ですが、標題を変えました。

At Sun, 11 Apr 1999 08:56:22 +0900
[aml 11783]
丸山さんwrote:

> 以下もう少し詳しく施設庁の話した内容をまとめますと、
>
>==========================================
> 1953年(昭和28年)、当時の保安庁(自衛隊の前身)の事務次官
(に相当す
>る人間)が法制局と建設省に対し、「土地収用法の対象か否か」について文
書で照会
>を行った。それに対し、「そこ(土地収用法3条31)に該当する」との回
答を得た
>。そして、国会答弁等でも政府見解として出している。
>==========================================
>
 53年と言えば、自衛隊法(54年)の前です。当時こんなことが公然と言
えたわけはありませんから、「国会答弁」というのはずっと後でしょう。しか
しいくら何でも全員が居眠りしていたとも思えないし、きちんと追求なり質問
がなかったのか。

At Sun, 11 Apr 1999 06:31:23 +0900
[keystone 1301]
森さんwrote:

>> > 防衛施設庁の見解(内閣法制局の見解でもあると言っていた)では、土
地収用
>>法第
>> >3条31(下記)により自衛隊基地としての収用・使用が可能だとのこと。
自衛隊は
>>「
>> >軍隊」ではないから。
>
>と、
>
>> 【自衛隊法】
>> (防衛出動時における物資の収用等)
>>  第103条
>(以下、省略)
>
>の違いは、手続きに違いがありそうだと言うことと、前者が土地の収用を認
>めているのに対して、後者は土地・家屋・施設の使用や管理しか認めていな
>い点であるように私には読めるのですが、そういう理解では違うのでしょう
>か?それとも、「収用」と「使用」「管理」の間には法律的には違いは無
い?
>
[keystone 1302]
森さんwrote:
>すみません、先程の話しの続きです。
>
>要は、平時においては土地収用法で軍事施設を作り、「非常時」においては
>自衛隊法によって土地・建物等を使うぞということなのではないでしょうか。

 確かに自衛隊法の規定は当然「一時使用」ということで、恒久的な収用では
ありません。しかも現在のところ103条は「必要な政令」が定められていな
いためまだ発動できません。と言うことは、有事の際に「オタクのあそこの高
台を高射砲を設置するために使わせてくれ」というのはできないが、「ここに
デカイ自衛隊基地を作るから、オマエ等みんなここを出ていけ」というのはい
つでも可能という変な法体系です。例えば自衛隊百里基地とか、土地の明け渡
しを拒んでいる人がいるため自衛隊が「不便」を強いられている基地が幾つか
ありますが、それも一気に「解決」となるはずです。
 しかもいったん自衛隊基地になると、地位協定2ー4ーbを適用してそれは
米軍基地に変身することも可能なのだから、あえて特措法を作ることもなかっ
たのでは。

 つまりいったん憲法を超越するような「法的」措置が、政府の解釈だけで可
能になるような先例を作ってしまうと、これはもうスターリン主義国家です。
これでは「解釈」だけで特定の人を強制収容所に送り込むことだってできてし
まいます。
 権利義務に関することは政令や解釈で定めてはいけないというのは法治主義
の根本ですが、日本の役人は法の規範意識が全く異なるのかもしれません。つ
まり彼らの意識では、反対さえなければ(または弱ければ)何を決めてもいい、
と。この新解釈?も、テポドンや不審船事件で、世論の風向きが変わったと見
た防衛施設庁が一気に中央突破を狙って出してきたのではないでしょうか(メ
モまで用意してたとこを見ると)。昔から日本の権力者はすぐ悪乗りしますか
ら。

 ニューヨークタイムスの4月8日付けに Japan Is Flexing Its Military
Muscleと題した記事があり、
http://www.nytimes.com/library/world/asia/040899japan-defense.html
「不審船」砲撃を、「この律義なまでの平和主義国家がとうとう手袋を投げた
というこれまでの最も明確なサイン」として、日本の「かつてはタブーだった
軍事的可能性を公然と論じる」ようになった豹変ぶりをレポートしています。
 まあ確かに一晩で軍国主義から「民主主義」に変わった国ですから、一晩で
その逆になっても不思議はない。日本の場合自分の意見を持つべき政治家やイ
ンテリが、新聞の見出しで「周辺事態法賛成6割」と見つけると、「こりゃ賛
成にまわらんとまずいな」と意見を変えてしまうため、いったん流れができて
しまうと怒濤のように転向してしまう。施設庁もこの流れに棹差したというこ
となのでしょうが、怖い国です。
 今の流れをファシズムとは呼べない(上記NYT記事にも30年代とのアナロ
ジー言及があります)にしても暴走には違いない。暴走が暴発しないためには
30年代の人民戦線的なものが必要かと考えたりもします。

 証拠のビデオもあるということなので、これはガイドライン特別委員会でも
取り上げて追求してもらいたいところです。解釈だけでなんでもできるんだっ
たら国会なんていらないということですから、ここはひとつ国会議員に政治的
配慮でなくプライドをかけて訊いてもらいたい。

 ある日突然一片の書類を見せられて、ここから出ていけと通告されたり、い
つのまにかできていた秘密警察(「解釈」で作ることは可能)が夜中の3時に
ドアを叩いてどこか分からないところに連行される、・・・そんなことが「合
法的」にできる国家になろうとしているのですから。

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     Masahiko Aoki
     青木雅彦
     btree@pop11.odn.ne.jp
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