Date: Fri, 19 Feb 1999 17:51:40 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1113] 練馬区長へ質問書提出
To: aml@jca.ax.apc.org, keystone@jca.ax.apc.org
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X-Sequence: keystone 1113
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Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

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   「つくろう平和!練馬ネットワーク」が、東京都練馬区に対し
   「周辺事態法案」への態度を明確にするよう求める質問書を提出
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 ◇発信者 「つくろう平和!練馬ネットワーク」
  ◇連絡先 FAX=03・3978・0403
 ◇発信日  1999年2月19日

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 ■ 全国の仲間のみなさん ■

  私たち「つくろう平和!練馬ネットワーク」は、本年1月21日から31日まで強
行された日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ35」の本質を暴き、同演習の中止
を求める活動を、2月10日に終えました。

  その活動につづいて、私たちは、東京都練馬区が、日本政府に対して「周辺事態法
案」の撤回を要求する意思表示を行なうことを求める質問書を、本日2月19日、区
長に提出しました。それは、政府が「周辺事態」の際、自治体と民間に「求め、また
は依頼する協力の内容」10項目を策定・公表したことに対応するものです。

  練馬区には、空港や港湾はありませんが、陸上自衛隊の駐屯地(基地)が二つもあ
ります。本区にはかつて、キャンプ朝霞とグラントハイツという二つの米軍基地があ
り、両基地の撤去のために、区と区民が奮闘したといういきさつがあります。そして
米軍基地はなくなりました。

  そのようなわけで、区と東京都は、「ヤマサクラ35」を契機に、朝霞駐屯地内東
部方面総監部の部屋を米軍に提供しようとする政府の動きに反対しました。それは、
同演習そのものについては反対の意思表示をせず、同駐屯地の埼玉県側施設・区域を
米軍が使用することには目をつぶるという、実に身勝手な要求でありました。しかし
そのために政府は、今のところ米軍への部屋の新規提供を控えています。

 2月17日の練馬区議会で岩波三郎区長は、榎本史子議員(練馬・生活者ネットワ
ーク)の質問に対し、今後も提供に反対していくと答弁しました。(ただし「新ガイ
ドライン」や「周辺事態法案」については、「あらかじめ質問書が出ていないし、国
会で審議中だから、答えられない。高知県のことは高知県のこと」とつっぱねました
。議会筋の情報によれば、総務課長が答弁を用意していたのに、それを区長が握りつ
ぶしたといういきさつのようです。)

  私たちの質問書は、そのような地域の事情を踏まえたものです。同時にそれは、昨
年11月に区から得た「回答」に依拠しており、私たちは今後、区と粘り強く交渉し
ていきます。また私たちは、東京都に対し「周辺事態法案」への姿勢を明確にするこ
とを求める動きにも参加しています。
 

  全国の仲間のみなさん、同様の動きがすでに各地で始まっていると思いますが、
それぞれの地域の仲間たちがさらに、居住地の自治体に、その地の事情に基づいて問
いかけを発し、自治体が政府の戦争協力強要を拒否するうねりを創り出していくこと
を呼びかけます。またお互いに活動の情報を交換して協力関係を強化し、
「新ガイドライン」関連法案を廃案に追い込む力を蓄えようではありませんか。以下
に質問書を掲載します。
 (文責・井上澄夫)

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練馬区長・岩波三郎様

               質 問 書

                             提出者: つくろう平和!練馬ネットワーク
                             提出日: 1999年2月19日

  私たちは練馬区から、昨年11月25日、回答(「『再質問書』について」、以下
においては、回答とします)を得ました。以下は、新たな情勢に直面して、平和を切
実に希求する私たち「つくろう平和!練馬ネットワーク」が、区の回答に基づきつつ
区に対して行なう質問です。

  本年1月に始まった国会では、すでに「新しい日米防衛協力のための指針(以下、
新ガイドラインと略します)」関連法案が、大きな争点になっています。2月16日
には、衆議院に「日米防衛協力のための特別委員会」が設置されました。
 とりわけ注目すべきことに、日本政府は、「新ガイドライン」関連法案の審議を前
に、法案に規定されている「周辺事態」の際、地方自治体や民間に「求める」米軍へ
の協力例10項目を、2月3日付で策定し、公表しました。(同文書を以下において
、政府文書とし、全文をこの質問書の末尾に添付します。)

  さて区の回答は、「周辺事態法案」について、次のように明言しています。

 《しかしながら、一方では、同法第9条の規定がきわめて概括的であり、具体的な
協力内容が明確でないことや、実際には政府の協力要請を断りきれない懸念があるな
ど、種々の疑問が指摘されていることも承知しております。
  したがいまして、区としては、こうした論点を念頭に置きながら、国会における論
議を見守ってまいります。今後、同法案等に対する疑義が生じた場合には、他の自治
体と協力しながら、国に対し意見を述べるなどの対応を図ってまいります。》

  このように回答は、米軍への「具体的な協力内容が明確でないことや、実際には政
府の協力要請を断りきれない懸念があるなど、種々の疑問が指摘されていることも承
知しております」とはっきりのべていますが、政府は、きわめて具体的に、10項目
の米軍への協力内容を明らかにしました。しかも政府文書は、協力の内容は、それら
に「限られない」で「事態ごとに異なる」とまでのべています。
 また「実際には政府の協力要請を断りきれない懸念」については、これもすでに野
呂田芳成防衛庁長官が、国会答弁において「一般的な協力義務としては協力するのが
当然で、常識」とのべており、先の懸念が現実のものであることが明らかになってい
ます。
 米軍への「後方支援」という名の戦争協力は、誰の目にも明らかな形で、自治体と
民間に提示され、それを強要する意志を、政府はもはや隠そうとしていません。政府
が挙げた10項目に限っても、それらの戦争協力が、自治体と住民の生活を圧迫する
ことは明瞭です。ことは、私たち住民の生存や人権に深くかかわっており、このよう
な戦争協力は断じてなされるべきではありません。
  私たちは、日本政府に対する強い怒りと事態への深い危機感をもって、区に質問し
ます。

1、
 政府文書は「1 地方公共団体の長に対して求める協力項目例」として、「建物、
設備などの安全を確保するための許認可」を挙げていますが、「周辺事態法案」の目
的とするところを踏まえれば、これは米軍を「後方支援」するために必要な「建物、
設備など」の新設にかかわる許認可であることは明白です。区は、ここでいう「建物
、設備など」が、本区において具体的に何を指すと考えていますか。またこの質問に
対し、明確な回答ができない場合、区は早急に政府に問い合わせるべきであると私た
ちは考えますが、いかがでしょうか。

2、
 質問1との関連ですが、「建物、設備など」が具体的に何を意味するにせよ、それ
らが米軍の「後方支援」のためという目的を持つ以上、「軍縮の推進に積極的な役割
を果たす」ことを誓った『非核都市練馬区宣言』に則り、区はどのような許認可も行
なわないのが当然と思います。この点をどうお考えですか。明確にお答え下さい。

3、
 政府文書2のうち「(2)地方公共団体に対して依頼する協力項目例」は、「人員
及び物資の輸送に関する協力」と「公立病院への患者の受け入れ」を含んでいます。

  この「人員及び物資」には、武装した米兵や武器・弾薬が含まれることを、政府は
すでに国会答弁で明らかにしています。またどの病院も患者数に見合う病床が不足し
ている医療の現状を踏まえれば、「公立病院への患者(=米軍兵士)の受け入れ」が
、すでに入院している患者を追い出して行なわれることは明白です。
  これらの項目の依頼についても、区は当然拒否すると私たちは考えますが、この点
について、区の見解を明らかにして下さい。

4、
 練馬区は現在、陸上自衛隊朝霞駐屯地の練馬区部分にある、東部方面総監部の24
平方メートルの部屋を、政府が米軍に「連絡調整業務のための事務室」として提供す
ることに、東京都とともに反対しています。そのような姿勢からすれば、政府文書が
明らかにしている、米軍への協力をいっさい拒否するのは理の当然と私たちは考えま
すが、政府文書を総じてどのように受け止めているのか、区の態度を明確にしてくだ
さい。

5、
 「周辺事態法案」が自治体と民間に戦争協力を強要することは、政府文書によって
明らかになりました。同法案を撤回するよう政府に求めることは、「地方公共の秩序
を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」に責任を負う地方
自治体(地方自治法第2条・第3項・1)としてあまりにも当然のことです。私たち
は、回答にあるように区が「国に対し意見を述べる」ことを実践し、鮮明な同法案の
撤回要求を行なうことを求めます。この点について、区の意志を明確にしてください。

                                                                     
      以上

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《資料》 政府文書(文中の法案は「周辺事態法案」)

  国が国以外の者に対して求め、または依頼する協力の内容については、事態ごとに
異なるものであり、あらかじめ具体的に確定される性格のものではなく、以下のもの
に限られないが、例えば次のような例が想定される。

1 地方公共団体の長に対して求める協力項目例(法案第9条第1項)

  ○地方公共団体の管理する港湾の施設の使用
  ○地方公共団体の管理する空港の施設の使用
  ○建物、設備などの安全を確保するための許認可

2 国以外の者に対して依頼する協力項目例(法案第9条第2項)

  (1)民間に対して依頼する協力項目例
  ○人員及び物資の輸送に関する民間運送事業者の協力
  ○廃棄物の処理に関する関係事業者の協力
  ○民間病院への患者の受け入れ
  ○民間企業の有する物品、施設の貸与

  (2)地方公共団体に対して依頼する協力項目例
  ○人員及び物資の輸送に関する地方公共団体の協力
  ○地方公共団体による給水
  ○公立病院への患者の受け入れ



 
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