Date: Tue, 01 Dec 1998 02:37:26 +0900
From: Masahiko Aoki <btree@pop11.odn.ne.jp>
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Subject: [keystone 868] 米軍弾薬輸送で呉市議会への請願
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 日本では半世紀以上前の戦争の不発弾が発見されても、その処理のために周
りの住民が避難するのが普通です。一方現在の戦争で使われる「生の」弾薬が
自分の家の前を猛スピードで駆け抜けても全く平然と生活している。その弾薬
には、米陸軍自ら「荷役を行うべきでない」としている危険標識[1]の代物が
あるというのですから、知らぬが仏とは言え、仏になってから知るのは口惜し
いことです。
 自衛隊や米軍の弾薬が生活道路を使って輸送されているらしいことは分かっ
ても、我々は通常そのwhen.whereを知らされません。珍しいことに呉市では、
大きな米軍弾薬庫があるのですが、米軍は普通、弾薬輸送の「通知」を市に対
して行っています。これはベトナム反戦運動の成果として勝ち取られた慣例の
ようですが、これが最近、新ガイドラインで米軍が増長したのか、守られなく
なっているようです。
 この問題について、「通知」を徹底させることや、市民の安全を守るための
措置を講ずるよう、呉市議会に対して請願文が出されました。ここではそれを
転載します。

 以下の議会への請願文の中で触れられている米軍の3弾薬庫は、呉市にある
米陸軍秋月弾薬廠(司令部)、同じく広弾薬庫、東広島市の川上弾薬庫で湾岸
戦争の時も活用されましたが、米軍のものとしてはアジア・太平洋地域で最大
の弾薬庫群です。
 米軍(自衛隊もだが)の弾薬輸送の実態については、報告が慣例となってい
る呉市などは別として、正確なところはわからない。新しい資料としては、
「基地の読み方・歩き方」(「いのくら」基地部会編、明石書店98年、2000
円)の160ページ以降に「危ない!!弾薬輸送」の章があり、その中に「弾薬
輸送ルート」の地図が載っています。
 広島県の弾薬庫から、九州(佐世保)や横須賀・横田、さらに三沢へと陸路
幹線ルートを通って、日本の民間の運送会社を使って輸送が行われているよう
です。枕許を危険標識[1]の弾薬が夜中に駆け抜けているのを知らずに、小林
よしのり絵『戦争論』とかを見て「そうだ、日本人はサヨクに洗脳されて軍事
を不当に遠ざけてきているんだ!」と納得してしまっている青少年もいるでし
ょう。遠ざけるなんてとんでもない!あまりに「身近に」置き過ぎているんで
す。君が知らないだけなんだ。知らせる努力を怠っているマスコミや自治体の
責任は重大ですが。

----------以下転載---------------------------------------
呉市議会議長
                                                    1998年11月27日

  浜下積様                          
  アメリカ陸軍広弾薬庫の弾薬輸送・海面荷役に関する請願
                                            紹介議員:
 
                                            請願代表者

                                             名前: 湯 浅 一 郎
 
請願の趣旨:
  呉市民の安全と生活のために、日々ご尽力いただき感謝いたします。
さて、『中国新聞』8月29日付けに掲載されたごとく、8月24日にトラッ
クによる弾薬輸送が行われたにもかかわらず、自治体への通知がなされなかっ
たことなど広弾薬庫における弾薬の荷役作業に関連して重大な問題が明らかに
なりましたので改めて議会に請願をさせていただくものです。
  ことの経緯は次のようなものです。まず、私たちの監視活動から以下のこと
  が明らかになっています。8月23日、広によく来ている弾薬輸送船マース
  クコンステレーションが広湾に停泊。広弾薬庫の桟橋には、青色のシートを
  つけた弾薬輸送用のコンテナが海面に停泊したまま。多分、前日に輸送船か
  ら運び出された弾薬を積んだまま、広弾薬庫に停泊させていたものと見られ、
  ある意味では弾薬が海上に放置されていた。
  24日の朝、弾薬庫の桟橋で弾薬の荷上げが行われていた。周辺には、15
  台の大型トラックが待機し、順次、弾薬を積み込んで、広から出ていった。
  荷役作業中の場所には、危険度を表す標識がたち、番号は[1]であった。
  危険度標識[1]を確認するのは、今年初めてです。弾薬輸送船は27日の
  夜までいたが、28日の朝には姿を消していた。
  27日の昼間、洞穴前の広場で、おそらく危険度[2]の弾薬を積み込む作
  業が行われ、約10台のトラックが弾薬庫を出た。28,29日にもトラック
  15台ほどによるトラック輸送が続いた。この間の呉市に届けられた通知に
  は8月24日はなかった。

   以上より、いくつかの問題点が浮かび上がってきます。
(1)私たちの監視からは、まぎれもなく8月24日には、15台ものトラッ
クによる弾薬輸送が行われたはずなのに、通知がない。
(2)しかも、その日の輸送は、弾薬の種類が危険度[1]で、89年の米陸
軍の調査報告書(「世界規模の弾薬港湾研究」)で、広弾薬庫に関連して、
「将来に於いてはいかなる要請があっても、危険度分類1.1の弾薬の荷役は
行うべきではない」との勧告を無視して、現在もなお危険度分類[1]の弾薬
が扱われている事実が再確認された。
(3)危険度[1]弾薬は、弾薬庫内だけでなく、トラックに乗せて、市中を
通過し、川上まで運ばれていた。弾薬庫の中でも扱うべきでないとしている爆
弾が、一般市民が生活し、通行している道路を走りさることが相変わらず続い
ていることは重大である。
  呉市からの問い合わせに対し、アメリカ軍は「作業の変更があり、担当者が
  連絡しそこねた」と説明し、呉市は文書で「通知の徹底」を申し入れました
  が、私たちには納得がいきません。

 今回の背景には、市民の安全を守るために行政が努力を怠ってきているとい
う現実があります。1990年8月にも同様のことがありました。この時は、三沢
に向けての弾薬輸送が、4回にわたって無通知で行われ、当初しらを切ってい
たアメリカ軍も、私たちが写真を提示して、何度も申し入れを行った中で、と
うとう「通知を怠っていた」ことを認めましたが、やはり同じように「担当者
が忘れていた」と原因を担当者の責任になすりつけてしまいました。
  この2回とも、私たちピースリンクが独自に監視活動を行う中で、実態と通
  知が食い違うことを突き止めたことで、事実が浮かび上がったわけです。9
  0年の時は始めての経験と言うことで許されるとしても、今回も90年の時
  と何も変わっていないわけで、これは行政の怠慢以外の何者でもありません。
  呉市は、アメリカ軍が地位協定上は義務でもない「通知」を続けている背景
  には、ベトナム戦争当時の多くの市民や議会などの運動の力があることを改
  めて再認識し、その成果を生かすことを具体的に考えるべきです。「通知」
  は、事前に市民に知らされない限り、行政が知っていても何の意味もありま
  せん。同時に、今回のような事態をくり返さないためには、何らかの方法で、
  市自身が輸送の実態を調査するべきです。

  さらに、近年、「秋月から川上」という新たな輸送ルートが出てきています
  が、これらの実態についても十分確認すべきです。海面での荷役についても、
  広での「海面制限の期間」が通知されるだけで、弾薬輸送船の出入港の有無
  ・船の名称、扱う弾薬の種類などは一切明らかにされていません。この際、
  これらのことも含め、弾薬のトラック輸送・海面荷役などに関する情報の公
  開を柱として現状を見直すべき時ではないでしょうか。
 折しも、新ガイドラインの下で、アメリカ軍の運用や基地の存在そのものが
より正当化されかねない状況を考えると、このような事態を黙認していくこと
は極めて危険です。これまでに、呉市議会は6度にもわたって広弾薬庫の返還
決議を上げていますが、その意志を根強く持っていることを示すためにも、自
治体が厳しい目で基地を見ている姿勢を示すことは不可欠であり、貴職の積極
的な対応を強く求めるものです。

請願項目:
(1)  議会を初め過去の運動の一つの成果として有る「通知」を市民の安全
を守るためにどう活用できるのかを検討し、それを具体的にかつ積極的に実行
すること。
(2)  何よりも、「通知」を事前に市民に知らせることが必要であり、以前
(1980年代中頃まで)中国新聞の呉版に小さいが必ず通知内容を掲載して
いたことを復活してもらう方向で、マスコミ関係者に働きかけることや、市の
掲示板などに掲示することを具体化する。
(3)  通知内容が実態とどう対応しているかをチェックするために、市民な
どへの委託などを通じて、呉市として実態を調査する体制をつくるよう市当局
に求めること。
(4)  大爆発を起こしうる危険度の高い弾薬の荷役が、米軍自身の勧告をも
無視して行われている問題について、再度日本政府やアメリカ軍と交渉をする
こと。
(5)  近年、「秋月から川上」という輸送通知が見られるが、これは、音戸
町から呉を経由すると言うことで、従来とは異なるコースでのトラック輸送が
行われていることについての確認と問題点の指摘を行うこと。

請願団体:入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!ピースリンク広島・呉・岩国
(30団体)
連絡先:トマホークの配備を許すな!呉市民の会    世話人 湯浅一郎
     呉市幸町3−1 呉YWCA気付   0823−21−2414
                                            世話人  三木のりこ
      広島市中区大手町4−3−10 広島YWCA気付      
     
    岩国市職労平和研究所          代表  田村順玄
     岩国市今津町1−14−51     岩国22−1611
アジアに学ぶ会            岩国市職労平和研究所           カトリック正
義と平和広島協議会    共育・共生を進める広島連絡会議  呉教育労働者研究
会          呉YWCA79女たちから        8.5広島集会世話人会    芸南火電
阻止連絡協議会      原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁)原発はごめん
だ!ヒロシマ市民の会     公害をなくす三原市民連絡会   在日韓国青年同盟
広島県本部 更紗の会   市民運動交流センター福山    従軍慰安婦問題を考え
る会・広島    ストップ・ザ・戦争への道!ひろしま講座 性差別は許さん!私
たちは行動する会  全国水平運動研究会  電磁波問題を考える会   トマホー
クの配備を許すな!呉市民の会   東チモール問題を考える会       広島キリ
スト者平和の会          広島地区連帯労働組合         広島平和と生活を
結ぶ会   デルタ女の会    日本キリスト教団西分区牧師会   ピースサイクル
広島ネットワーク    除虫菊の会     広島YWCA             憲法九条の会ヒ
ロシマ

--------ここまで----------------------------------------------------

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     Masahiko Aoki
     青木雅彦
     btree@pop11.odn.ne.jp
メールアドレスが変わりました
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