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Date: Wed, 18 Nov 1998 10:02:35 +0900
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From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 821] from FACTIVE > 防衛庁汚職>調達不正請求汚職事件(2)
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*341   SDI00872  山崎 久隆        防衛庁汚職>[98-10-14]証拠隠滅疑惑報告
(13)   98/10/18 18:07  338へのコメント

         4社事案関連文書の管理実態に関する中間報告

                              10.10.14
                              防衛庁
 
1.前言
 調達実施本部(以下「調本」という。)の元幹部ほかの背任事件に関連して防衛庁
が組織的に東洋通信機(株)関連資料を大量に焼却処分し、証拠隠しを行っていると
の疑惑が報道されたことに伴い、防衛庁長官の指示により発足した「4社事案関連文
書の管理実態に関する調査委員会」(以下「調査委員会」という。)は、調本等関係
部局の職員等から聞き取り調査を行うなど、事実関係の解明のため厳正な調査を実施
してきた。これまでの聞き取り調査の累計は約200人にのぼり、本「中間報告」は、
10月13日までの調査結果を取りまとめたものである。
 これまでに聞き取りを行った事実関係の中には、防衛庁への強制捜査直前に文書類
を自宅に持ち帰る等、国民の疑惑を招いたものがあり、防衛庁職員は自らの問題とし
て襟を正し、 徹底した綱紀の粛正を図っていかなければならない。 また、いわゆる
「4社事案」が報道されて以来約1年を経過しながら、これが刑事事件として立件さ
れるまで防衛庁自らの手で問題事案の解決ができなかったことは、防衛庁の行政の在
り方を間われていることであり厳しく反省しなければならないと受け止めている。
 こうした事案の再発を防止するため、今後防衛庁は、調達システムのみならず調本
の解体をも視野に入れた組織の抜本的見直しを行うとともに、その実効性を確保する
ための職員の意識面を含めた出直し的改革を行い、国民の信頼を取り戻すことに全力
を注いでいく決意である。
 防衛庁は引き続き調査を進め、できるだけ早く事実関係の全体を解明してまいる所
存である。
 
2.昨年9月以降の経緯
 
 (1)調本は、昨年9月、新聞報道直後に「原価差異事案対策特別委員会」(以下
   「対策委員会」という。)を設置、当初は平成5年〜7年に生起したいわゆる
   「原価差異事案」について、どのような経過で過払い額を計算し確定したかと
   いう事実関係に調査の重点を置いた。この一環として、対策委員会は、当時の
   担当者及び会社側の関係者からの聞き取りを行った。更に、再発防止対策につ
   いても検討を進め、本事案反省事項と併せ本年2月にこれを発表し、各種措置
   を実施に移した。その後対策委員会は、再発防止対策のフォローアップを行う
   とともに、原価差異事案処理基準の策定に取り組み、現在に至っている。
 
 (2)これらの動きと並行して、 昨年10月頃から、 東京地方検察庁(以下「地
   検」という。)に対する関係資料の任意提出が行われるとともに、地検による
   調本職員の事情聴取が始まり、多くの職員が出頭を求められた。これら職員や
   その家族の間には不安感が広がり、課長等の上司に相談する者も少なくなく、
   一部の課長は事情聴取の内容を記したメモ等を保管していたところ、調本とし
   ても事実関係調査の一環としてその内容を把握するようになった。これら事情
   聴取の聞き取り結果及び従来から行われていた当時の関係者(会社関係者を含
   む。)からの聞き取り結果などは、原価差異事案の一連の処理経過等をまとめ
   た資料(以下「事案処理経過表」という、)として整理されたほか、その基と
   なった東洋通信機(株)に係る聞き取り結果等は本年夏に至り、一冊のファイ
   ル(以下「ヒアリング・ファイル」という。)としでまとめられ、事実関係認
   識のべースとして国会、報道機関等への対応に使われた。また、強制捜査が行
   われた場合の対応要領なども、逐次作成された。
 
 (3)4社特に東洋通信機(株)の返還額については、対策委員会を中心に各種検
   討が行われた。一部職員の中には当時の計算結果に疑問を持つ者もあったが、
   返還額を決定した当時の調本長、同副本部長から十分な真相の説明が得られず、
   また、関係会社役員等に対する聞き取りによっても同様に適切かつ十分な説明
   が得られなかったことから、結局調本としては、過去に決裁を経た返還額に誤
   りがあったと判断するには至らなかった。
 
 (4)本年夏には、事案の調達行政への影響及び事案そのものについての防衛庁と
   しての考え方を改めて整理し、それまでの調査を前提にその時点における考え
   方、評価等を取りまとめた「東通事案に対する現時点での評価について」(同
   補足を含め、以下「評価書」という。)を作成し、地検に提出した。
    本「評価書」については、今般元調本長ほかが逮捕、起訴されるに至り、起
   訴事実及び当時の一部関係者からの見解の提示により従来の見解の前提は覆っ
   たと考えられるため、この見解は撤回し、過払い額は返還を求めることとなっ
   た。
 
3.4社事案関連資料の管理状況等
 
(1)平成9年9月から10月の時期
 
  昨年9月の新聞報道以降、捜査当局から4社事案関連資料の提出を求められる可
 能性があったことから、調本の契約・原価計算各課の担当係が同年9月から10月
 にかけて、原資料を提出しても支障のないよう、業務遂行上必要な資料をコピーし
 た。この作業は、相当な量になったため、当該担当係では休日出勤した者も少なく
 なかった。しかし、この時期に4社事案関連資料を大量に焼却した事実は、現在ま
 での調査では確認されていない。
  なお、昨年10月末には調本東京支部が檜町駐屯地の調本庁舎から十条駐屯地に
 移転しており、同年9月から10月にかけ、ダンボール箱50箱程度の文書を焼却
 した。
 
 (2)平成10年5月頃の時期
 
  例年、年度替わりの5月連休前後には、保存期限を経過した大量の文書が焼却さ
 れており、本年4月から5月にかけても同様であった。その中で4社事案関連資料
 が大量に焼却されたということは、これまでの聞き取り結果からは得られていない
 が、次のような例があった。すなわち、本年5月に強制捜査の噂を耳にした一部職
 員が、上司から書類を整理整頓するよう指示を受け、藤倉航装(株)の現地調査報
 告書については返還額算定には不要であり、また、総利益率計算書のコピー等につ
 いては他課で原本を保存しているため必要ではない等と考えて焼却した、あるいは
 前任者から引き継いだ藤倉航装(株)関係の資料をその内容を確認しないまま焼却
 したとの聞き取り結果がある。
 
 (3)平成10年8月から9月の時期
 
 ア 強制捜査が噂された本年8月から9月の時期に、4社事案関連資料を含む各
  種の資料を自己の執務室外に移転していた事例が、相当数確認された。その際、
  最も多く見られた事例は自宅への移転であり、その他は、建物内の会議室、他機
  関の知人の執務室、車の中、部下の自宅等への移転であった。
   また、その理由については、自宅における勉強のため、休日・夜間における上
 司等の照会などに対応するため、当面の業務遂行上必要な資料であったため、など
 様々な聞き取り結果がある。
  聞き取り結果によれば、移転された4社事案に関する主な資料はヒアリング・フ
 ァイル、事案処理経過表であり、その他評価書、想定問答案等であった。しかしな
 がら、これら資料のほとんどが地検により押収又は任意提出されているため、現在
 のところ資料内容の詳細は、把握できていない。
 
 イ 不要文書の処分については常日頃から行われているが、この時期において、一
 部のヒアリング・ファイルが処分された例を除き、4社事案関連資料の処分を行っ
 たとの聞き取り結果は、得られていない。
 
 ウ また、この時期に、調木内では、強制捜査が入った場合の心構え、対応振りな
 どに関する説明、注意があった。現在までのところ、4社事案関連資料の移転、破
 棄又は焼却に関する組織的な指示が行われたとの聞き取り結果は、得られていない。
 
 エ 具体的事例についてみれば、以下のようなものがあった。
 
  (ア)自宅等への資料の移転及び処分
    強制捜査直前の8月下旬から9月上旬に、数名が自宅又は車内に自己の保有
   するヒアリング・ファイル、事案処理経過表等を移転していた。これらは、自
   宅での勉強等それぞれの理由があるとは言え、押収を避けたいとの意識も働い
   ていたものと思われる。また、自宅に持ち帰り目を通した後不要と判断して破
   棄した例があった。これら資料の大半は、9月14日の強制捜査の前後に任意
   提出された。
    なお、8月上旬に、自己の勉強のためにヒアリング・ファイルを自宅に持ち
   帰った例、あるいは、8月中旬に不要となった同ファイルを破棄した例があっ
   た。
 
  (イ)他機関への資料の移転
    調木内で、強制捜査においてはあらゆる資料が押収されるという話が伝わっ
   たため、9月3日の強制捜査の直前に、4社とは関係ないものの押収されれば
   当面の業務に支障が生じると考えた日本航空電子工業(株)の返還額策定関連
   資料が入ったダンボール箱に事案処理経過表を入れ、かつて勤務したことのあ
   る海上幕僚監部の建物内に移転した例があった。これら資料は、9月14日の
   強制捜査で押収された。
 
  (ウ)部下職員宅への資料の移転
    8月31日夜、執務室内のヒアリング・ファイル等4社事案関連資料及びそ
   の他の当面の業務に不可欠な資料のほか、用済後焼却待ち資料等相当量の資料
   を部下をして、部下の自宅に移転させ、さらに、後日他の部下の実家等に保管
   されるという例があった。これらの資料は、9月14日の強制捜査前後に、大
   半は地検に任意提出され、一部は押収された。
 
  (エ)調本内の会議における指示
    8月31日夜、調本幹部の指示を受けて関係課の課長及び全課の主要職員に
   対し、翌9月1日朝8時に出勤するよう電話連絡がなされた。9月1日8時頃、
   集まった職員に対し幹部より強制捜査を受ける際の注意事項が説明された。そ
   の内容は、@必要な書類の適切な管理、A混乱の防止、B各課室における書類
   の押収に当たっての留意事項((a)入室目的、入室根拠及び相手方の身分を
   確認すること、(b)秘文書については、刑事訴訟法第103条に定める手続
   があること、(c)当面の業務に支障を生じる資料が押収される際には、その
   旨申し出てコピーをとらせてもらうこと、(d)私物でも捜索の対象となるこ
   と等)であった。同日は強制捜査が無かったが、その後、招集されなかった課
   長から、関係課の課長のみでなく全課の課長に心構えを伝えるべきとの意見も
   あったので、その後9月3日9時に改めて調本の全課長を集めて、捜査令状に
   ついての説明等が行われた。
    この両日とも、書類の移転及び処分に関する指示はなかったという点で説明
   者、参集者からの聞き取り結果は一致している。また、参集者から伝達を受け
   た職員からの聞き取り結果も同様である。
 
 (4)原価元帳、伝票類、経費率算定資料の存在と処分
 ア 原価元帳
   東洋通信機(株)については、平成6年3月頃、調本の原価計算第1課が、原
  価元帳のコピーを提出するよう指示し、タンボール箱2〜3箱の資料が提出され
  た。4月になり、原価元帳等を使用しての個別契約ごとの返還額の算定は行わな
  いとの方針が示されたので、原価元帳のコピーは6月頃そのまま返還された。
   日本工機(株)については、原価元帳の一部のコピーを調本の原価計算第2課
  において保有していたが、地検に任意提出された。
   藤倉航装(株)については、会社自身原価元帳は作成していない。
   ニコー電子(株)については、調本の原価計算第1課において原価元帳を随時
  閲覧したが、コピーの提供は得られなかった。
   以上のことから、昨年9月以降、原価元帳のコピーが、調本において処分され
  たとは考え難い。
   なお、上記とは時期を異にするが、昨年秋に原価管理課の担当者によって、東
  洋通信機(株)の過払い額についての再計算が試みられた。その際、聞き取りに
  よれば、同社から原価元帳のコピーを一部入手しているが、そのコピーは返還さ
  れた。
 
イ 伝票類
   東洋通信機(株)については、伝票類を調本内で見たことがあるという聞き取
  り結果は得られなかったことから、同社の伝票類は調本に存在していなかったと
  考えられる。
   日本工機(株)については、調本の原価計算第2課において一部の伝票類のコ
  ピーをサンブルとして保有していたが、地検に任意提出された。
   藤倉航装(株)については、調本の原価計算第2課において一部の伝票類のコ
  ピーをサンプルとして保有していたが、8年1月に不要と判断して焼却したもの
  を除き、地検に任意提出された。
   ニコー電子(株)については、調本の原価計算第1課において伝票類を随時閲
  覧したが、コピーの提供は得られなかった。
   以上のことから、昨年9月以降、伝票類のコピーが、調本において処分された
  とは考え難い。
 
 ウ 経費率算定資料
   4社に係る経費率算定資料(貸借対照表、損益計算書、細部内訳資料(防需と
  民需の内訳資料等)等)は、調本の原価管理課等において保有していたが、これ
  までの聞き取り結果によれば、これらは、昨年10月以降地検に任意提出された。
 
4.総括
 
  以上の調査結果のとおり、現時点では、4社事案関連資料を組織的かっ大量に焼
 却した事実及び焼却するよう指示した事実は確認できていないが、ヒアリング・フ
 ァイル、事案処理経過表、評価書、想定間答集その他日常業務関係資料等を自己の
 執務室外に移転した事例(移転後破棄の例もある)があったことは事実である。こ
 れらの行為が、調本元幹部ほかの背任事件の証拠隠滅に該当するかどうかは、地検
 の判断に待つべきところであるが、不適切あるいは非難されてもやむを得ないもの
 も含まれていた。関係者のみならず、防衛庁としても深く反省しているところであ
 る。
  調査委員会としては、これまでに判明し、ここに報告した以外に問題となる事実
 があるかどうか、なお調査を続ける。
 
5.再発防止と国民の信頼回復
 
(1)昨年9月以降今日までの防衛庁の動きが、国民の目に分かりにくくかつ不透明
  なものと映り、結果として、国民の信頼を大きく損う事態を招いたことは厳粛に
  受け止めている。今回の問題は立件された背仕事件が根本にあるとしても、これ
  を防衛庁に対する国民の信頼を失墜させる事態にまで至らせた原因には、現状追
  認や職員一人一人の意識、あるいは関係する組織全体のモラルの問題があること
  に我々は目を向ける必要がある。そして、今日、防衛庁・自衛隊の行政の在り方
  や組織としての体質そのものが間われていると認識している。
 
(2)21世紀に向け、国民に信頼され、魅力ある防衛庁・自衛隊を確立するため、
  事件の徹底糾明に努めるとともに組織の現状を真壁に反省し、更に、今回の一連
  の事件の背景にまで踏み込んだ改善策を国民に示さなければならないと考えてい
  る。そのためにはまず、今回の事件の背景となった防衛調達制度、自衛隊員の再
  就職の在り方及び調本の組織がどうあるべきかについて改めて検討する必要があ
  る。
 ア 自衛隊の任務遂行に必要な装備品等を調達する防衛調達は、防衛力の整備を図
  る上で重要な役割を果たしておりその業務の公正性、透明性が厳に求められると
  ころである。
   4社事案に関連しては、防衛庁としても、従来より、制度調査体制の整備強化
  を図る等の再発防止対策を取りまとめるなどの対応を採ってきたところであるが、
  現在間われている防衛調達制度を巡る基本的事項については、内外の幅広い観点
  からの検討が必要である。現時点における主な検討課題には、次のようなものが
  ある。
 (ア)調達業務の公正性・透明性を確保するため、防衛庁の調達業務を外部から監
   視、チェックする仕組みとして、部外有識者からなる装備品調達契約及び履行
   に関する監視制度を導入すべきではないか。
 (イ)過払い事案の発生を防止するためには、市場価格に基づく契約を締結するこ
   とが望ましいが、そのために供給ソースの多様化を追求すべきではないか。
 (ウ)現在、信義則に委ねられている企業側提出資料の信頼性を確保し、また、契
   約終了後においても、事後的に契約価格の適正性を検証し得るよう、契約締結
   の際、上記事項を義務化し、違反した場合のペナルティについて定めた契約条
   項を盛り込むべきではないか。
 (エ)限られた人員でデータを審査し得るようCALSを活用した審査体制の整備
   はできないか。
 
  防衛庁は、これら調達制度を巡る基本的問題について討議し、その抜本的改善を
 行うため、部外有識者からなる「防衛調達制度調査検討会」(座長 川井 健 元
 一橋大学学長)において議論を始めたところであり、当面の主要な課題については
 年内にも結論を得たいと考えている。
 
 イ また、自衛隊員が安んじてその職務に精励し得るため必要と考えられる退職後
  の再就職の仕組みに関しては、防衛産業との癒着構造等の問題点を指摘されてい
  ることに鑑み、自衛隊員の再就職に関する透明性確保、自衛隊員の再就職規制の
  在り方等の問題について検討を行う必要がある。防衛庁は、この問題に関し、部
  外有識者からなる「自衛隊員の再就職の在り方に関する検討会」(座長 南 博
  方成城大学学長)において議論を始めたところであり、政府全体で行われている
  「公務員制度調査会」の「退職の在り方に関する検討グループ」の検討状況を見
  つつ、できるだけ早く結論を得たいと考えている。
 ウ 更に、調本の組織そのものについても、その在り方の基本に立ち返って、解体
  をも視野に入れた抜本的見直しを行う必要がある。すなわち、現在の我が国の防
  衛調達制度発足の経緯、海外における防衛調達制度の例を参考として、より適切
  かつ効率的な調達行政推進のための調木組織の在り方、あるいは、内局、調本、
  各幕の役割分担ないしこれらの関係について抜本的な見直しをする必要がある。
   防衛庁は、先に述べた「防衛調達制度調査検討会」での議論も参考にしつつ、
  この問題にも積極的に取り組んでいく考えである。
 


  • 1998年
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