Date: Tue, 17 Nov 1998 22:54:56 +0900 (JST)
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Subject: [keystone 817] 環境政策についての申し入れ書
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 知事選では稲嶺恵一氏が選ばれましたが、「沖縄環境ネットワーク」が知事候補に
送った環境政策についての提言を転載します。

 復帰後、5兆円余の沖縄振興策によって潤ったのは本土企業がほとんど。一方、沖
縄の豊かな自然は破壊されました。不況脱出の名のもとにさらなる自然破壊が引き起
こされないことを祈るばかりです。本島の20%をしめる米軍基地を撤去しない限り
、自立した沖縄経済を営むのは不可能だと思うのですが……。

 まあ、めげずにきちんと監視していきましょう。
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                        1998年10月29日
 大田昌秀殿
 稲嶺恵一殿

                       沖縄環境ネットワーク
                       世話人  宇 井 純

 環境政策についての申し入れ書

1 住民に開かれた環境行政について
 環境行政は住民との接点の持ち方が重要だと考えます。情報の開示、各種委員会や
審議会の公開と、それらの人選については沖縄環境ネットワークの推薦する人物を加
えることを要請します。

2 復帰後の振興策に対する環境の面からの評価について
 復帰後の26年余り、これまでの沖縄振興策を環境の面から振り返ると、どの様に評
価しているのでしょうか。私達は沖縄の環境問題の現状を見るとプラスの評価をくだ
せません。今後の県土づくりにおいては、これまでの反省点を熟慮して諸計画に生か
していくことを求めます。

3 「いのちの循環」の回復構想について
 自然界は複雑なつながりで安定した生態系を形づくっています。それが環境と私達
の生活の安定につながっていると考えます。ところが今日では、沖縄の海、海浜、川
、丘、畑、森のあらゆるところに人工物が構築され、「いのちの循環」が妨げられて
います。21世紀の環境政策と県土づくりの上で、この「いのちの循環」を回復するた
めに、林道、砂防ダム、河川改修、流域下水道、海岸護岸、干潟の埋立て等の計画を
自然生態系の営みを壊さない観点から見直すよう求めます。

4 軍用地の環境浄化について
 嘉手納基地内でのPCB投棄や機体洗浄液などの汚染が懸念されています。米軍基地
、自衛隊基地への立ち入り調査、汚染物質除去(返還軍用地を含む)、危険物質の取
り扱いおよび保管状況の把握など、基地が及ぼす環境汚染問題に対して計画的かつ迅
速に取り組むことを求めます。

5 米軍北部訓練場返還後の構想について
 約7,800haの北部訓練場は、1957年以来、樹木伐採などの開発の手が入らず、天然
林に近い状態が保たれています。返還後は、森林生態系保全地域指定など国内法の網
をかぶせ、世界自然遺産登録の核になる施策を講じるよう求めます。

6 代替へり基地問題について
 代替ヘリ基地は、30年前の老朽ヘリに代わるMV一22オスプレイを配備するために、
米軍の事情で建設されるものと考えます。従って、建設を容認することは、基地の固
定化と新たな環境汚染源を作ることになり、海上、陸上を問わず、新たな基地建設を
容認することはできません。

7 赤土流出防止策について
 赤土等防止条例の制定によって、一定の効果が出ているように報告されています。
しかし、条例が既存農地には適用されないため、赤土の流出は続いています。土地改
良事業のありようの見直しを含め、既存農地からの流出防止策として溜め池を築造す
るなどの行政としての支援を求めます。

8 新石垣空港の建設予定地について
 自然環境への影響を最小限にするには、現空港の改良、拡張を再検討するよう求め
ます。

9 ジュゴン調査について
 辺野古海域ではジュゴンがたびたび観察されています。ジュゴンはワシントン条約
で国際保護動物に指定され、日本の文化庁も1972年に天然記念物に指定した、絶滅危
慎種ランクで最も高い超A級の国際保護動物です。ジュゴンの生息域、生態など詳細
な調査をし、保護策を立てるよう求めます。

10 環境容量について
 現在、沖縄県は観光入域者を数百万人にしようと計画しており、また人口の増加も
歯止めを知りません。このような中、果たして沖縄の自然・文化環境は破壊を免れる
のでしょうか。環境容量という観点から、沖縄の持つ自然等のキャパシティーを十分
理解する必要があります。そこで沖縄の現状把握(観光や人口増加が自然環境等に与
えているダメージ)やその対応策の検討を早急にしてトさい。

11 環境管理・監査システムの国際規格「ISO14000」の認証取得について
 天然資源の枯渇、地球規模の環境破壊、増え続ける廃棄物などを背景に、省エネ、
資源循環型の地域社会づくりに取り組む地方自治体が増えており、これらの自治体は
、省エネ、資源循環型の地域づくりを進めるためのガイドラインとして、ISO14000シ
リーズに注目しています。沖縄県においてもISOl4000の認証取得と普及並びに、環境
保全型の県土づくりに取り組むよう求めます。

12 ローカルアジェンダ21の策定について
 国際的に、地方自治体によるアジェンダ21の策定が奨励されており、沖縄県におい
ても、沖縄の環境問題を含めて地球的観点から対応し、そのための行動計画を策定す
るよう早急に取り組むことを要望します。

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 MARUYAMA K.  kaymaru@jca.ax.apc.org
    2GO GREEN
  http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html


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