Date: Tue, 27 Oct 1998 19:02:00 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 765] 防衛庁舎移転計画
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住民を人質に軍事施設をつくったという、おっそろしい! お話。
いまさらではありますが。

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『全国商工新聞』(10/19)のレポート記事より

東京都・新宿区に巨大な通信鉄塔が出現
 電波傷害を見越して各戸に有線テレビ工事

新宿駅から2キロ余りの市谷本町の自衛隊駐屯地の敷地内に突如220メ−トルもの巨
大な鉄塔が現われました(都庁の高さが約243メ−トル)。
 鉄塔が完成するとテレビにケ−ブル会社が現れ、各家庭を訪れて無料で有線ケ−ブル
を接続するという工事を開始しました。ほとんどの住民はなぜこのような工事が無料で
進められるのか知らないままでした。元々受信状態がよくない地域であったっため住民
の多くはこの工事に感謝したくらいです。

 ところがこの鉄塔の建設工事は、防衛庁舎の市谷本村町(陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地)
への移転にともなう工事だったのです。ケ−ブル接続は鉄塔から出る強力な電波による
テレビの受信傷害を除去するためのものでした。防衛庁によれば、現在、電波障害が認
められ有線放送を使用しているのは4291戸ということです。

 防衛庁は移転時期の明言は避けていますが、施設建設工事は2000年完成の予定で
すすめているといいます。この新防衛庁舎の建設は、単なる移転にとどまらず大幅な施
設の増設が図られています。それは陸・海・空自衛隊の統合運用をはかるために通信衛
星を利用した防衛統合デジタル通信網を構築し、自衛隊の中枢・指揮機能を強化するこ
とにあります。この通信網を利用してアメリカ軍との軍事通信の一体化がはかられるこ
とになります。
 新宿区の人口は約27万人、昼間人口は約80万人。新宿駅には一日平均74万人の
乗降客があります。そのような副都心・新宿が軍事拠点にされようとしているのです。
                       (レポート記事 引用 ここまで)

【参考】

IDDN(防衛統合デジタル通信網)概要

 防衛庁は99年3月までに六本木に新庁舎を建設し、その中にある中央指揮所に新た
な「中央指揮システム」を導入、同時に従来あった内局および3自衛隊の情報収集部隊
および陸自野戦通信システム、海自艦隊指揮支援システム、空自バッジシステム、その
他を統合して「情報本部(1200人)」を新設、これを「中央指揮システム」と連結
し、更に在日米軍作戦センタ−と一体化した日米統合指揮通信・情報システムを目指し
て建設が進めらている。IDDMはこれらのシステムのかなめとなる重要な通信ネット
ワ−クである。

建設計画:1987年から11年計画、800億円、用地獲得等で遅れている。

建設内容:太平洋ル−トのデジタル化、日本海ル−トのデジタル・マイクロ回線の新設
(40〜50キロごとの中継所の建設)衛星通信地上局(千歳、三沢、仙台、市ヶ谷、
伊丹、呉、福岡、那覇)
     可搬型地上局(陸自、久里浜、中央野外通信群101搬送通信大隊・他4局

特徴:デジタル化−秘匿性向上、通信速度、通信量の増大
   複線化−抗堪性の向上
   統合化−指揮・統制・通信機能の飛躍的強化

  <抗堪性>(こうたんせい):「脆弱性」に対応して使われる自衛隊用語
       
【参照】周辺事態の備えた情報分野でのアメリカの狙いと目に余る横暴

 今秋田県内でも、IDDN(防衛統合デジタル通信網)の建設がすすみ、すでに五城
目、岩城、仁賀保に中継所の敷地が確保され、土台やフェンスの整備も終わり、来年春
にはいっせいにアンテナなどの建設が始まると思われます。
 IDDNは、自衛隊の陸海空の通信を統合するだけでなく、米軍も利用する可能性が
あります。

 アメリカは、ソ連崩壊後、思い切った軍縮を行い、十年をかけて217万人の兵力を
142万人に、実に35%、75万人を削減し、また国防費も92年度に比し、98年
度は11%約四兆円を削減、内外の基地も321箇所を閉鎖しました。
 これらの戦力削減を補うものとしてアメリカの21世紀の世界戦略「ジョイント・ヴ
ィジョン2010」では、情報と諸システムの一体化によって戦略・戦術の効率化を図
り無駄な動きを省くという新戦略をあみだし、そのための今後の情報システム革命を最
大課題の一つとしています。

 第七艦隊が10月24日から11月2日まで行う日本海と韓国で行う米韓合同演習で
は、横須賀のドッグの中の指揮揚陸艦ブル−リッジが、衛星やコンピュ−タ−を使って
指揮し迅速な攻撃や攻撃精度を高めるという「艦隊戦闘実験」を行いますが、これも、
在韓司令部にかわって在日基地で指揮をするというもので、ジョイント・ヴィジョンに
基づく演習です。
 今後の地球的規模の周辺事態でも同じようなことが行われる可能性があります。

 また、九月十九日の毎日新聞(東京版)のトップ記事では「アメリカの情報機関、国
家安全保障局(NSA)と米中央情報局(CIA)が、軍事用情報収集施設を使って、
企業情報を入手、アメリカの企業に有利な情報を提供しており、日本の企業も盗聴作戦
の対象になっている事などが、欧州議会(EU)に提出された報告書で明らかになった
」と報道しています。
 昨年、朝日の編集委員氏が、三沢のピンポン玉群(十四個のパラボラアンテナ)の内
いくつかは日本政府や企業の衛星通信を解読しているらしいと、拙宅まで相談にきたこ
とがあります。

 三沢にある陸・海・空・海兵四軍共同の諜報作戦センタ−は情報収集と暗号解読を任
務としていますが、もし自国の利益のためにこのような運用をしているとするならば許
すことができません。国会で追求すべき大問題です。
 周辺事態法案がもし通過するようなことになれば、このようなアメリカの勝手気まま
な経済的覇権主義が一層大手をふるうことになるかもしれません。
                                 (Y・S)


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