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Subject: [keystone 659] RE: [keystone 647]  鳥島劣化ウラン弾汚染調査報告
Date: Sat, 19 Sep 1998 23:16:25 +0900
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青木さん
情報ありがとうございました。
それにしてもお粗末な報告書ですね。

At 1998/9/18. 20:04 Masahiko Aoki wrote:

> すでに報道されたとおり、結論はあまりにも予想通りの、
>  「昨年の調査結果と同様、鳥島周辺海域及び久米島への劣化ウランの影響は認めら
>れないことが確認された。
>    このことから、久米島の環境や一般公衆の健康への劣化ウランの影響はないと
>考える。」です。何しろこの種の調査には畑違いの「外務省北米局日米安全保障条約
>課地位協定室長補佐」が「同行者」として参加しているのですから。
 

青木さんも言われているように、結果は予想されていたとは言え、作為を感じ
ました。

      別表1.鳥島周辺海域における空間放射線量率(計数率)及び水中放射線量
        率(計数率)測定結果
      別表2.鳥島周辺海域における海水中のウラン分析結果
      別表3.鳥島周辺海域における海産生物中のウラン分析結果
      別表4.久米島における空間放射線量率の測定結果
      別表5.久米島における大気浮遊塵中のウラン分析結果
      別表6.久米島における土壌中のウラン分析結果
      別表7.久米島における海水中のウラン分析結果
      別表8.久米島における海産生物中のウラン分析結果

本文はもちろん、別表にも肝腎な鳥島の土壌分析結果が欠けていますが、なぜ、
それを省いているのか、「専門家」とも思えません。理解に苦しみます。

それらしきものは、本文に

 4 劣化ウラン含有弾の誤使用問題に係る米側による鳥島陸域調査の結果
  (1)米軍による鳥島射爆撃場における環境調査等は、平成10年5月2日午
      後0時15分に開始し、午後4時45分に終了した。調査団一行は午後
      5時52分に全員普天間飛行場に帰還した。
   (2)米軍は、劣化ウラン含有弾の回収のために、放射線測定器により鳥島全
      体土壌表面の調査を実施した。調査の結果、6カ所で6個の劣化ウラン
      含有弾等を、また、3カ所で劣化ウラン含有弾の破片等を回収した。
   (3)日本側同行団は、昨年の当該問題に関するデータ評価検討会報告書の主
      旨を踏まえ、この間、米側の作業を観察した。

とありますが、鳥島陸域における調査団の主な仕事は、「米側の作業を観察し
た」ことであり、その陸域の土壌の調査結果については、どういうものか一言
もありません。土壌の表面調査は米軍が実施したとありますが、日本側は行な
っていません。「米側の作業を観察」するだけなら、「外務省北米局日米安全
保障条約課地位協定室長補佐」がわざわざ同行しなくても、私でも間に合いま
す。おのずと、彼の任務が分かってきました。また、今回のケースの場合、表
面調査がさほど意味のないことは明らかです。

直後ならともかく、周りを海に囲まれた小さな島で、海水中や大気中の放射線
量の測定がどれほどの意味を持つのか、素人の私たちでも予測のたつものです。
久米島のサンプルもそれなりに重要であるが、ウラン238の放射線種はアル
ファ線であることを考えると、空間や海中に浮遊しているのならともかく、鳥
島の土壌に含まれた(と考えられる)ウラン238の影響は、他の地域はおろ
か、鳥島の空間でも測定できるものではありません。
あくまでも、ウラン弾を直接打ち込まれた鳥島の土壌をこそ調べなければなら
ないものと思います。
ただし、米軍が既に土壌を掘り返し、処分をしたのならほとんど放射能の影響
はないものだと思われます。
それにしても、よくこのような子供騙しの報告書を発表したものだ。

このような報告書を目にするとき、科学性を装ったデータで真実を覆い隠そう
とする人々に非科学性と非人間性を感じ、憤りを禁じ得ません。
スリーマイル島原発事故の影響を調べたデータもそうでした。事故の影響によ
る白血病の増加は認められないとする公の機関が調べた結果と、明らかに白血
病が増加しているという市民団体の調査結果、相矛盾する二つのデータがあり
ました。どのデータも偽りは認められませんでした。調査方法に根本的な違い
があったのです。公式機関は事故原発を中心に、ある半径の地域を調べ、市民
グループは原発風下の地域を調べたのです。どちらが事故の影響を調べるため
の科学的手法であるか、一目瞭然ではありませんか。

仲田博康
nakada_@jca.ax.apc.org
 


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