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Date: Sat, 19 Sep 1998 19:58:54 +0900
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Subject: [keystone 658] from FACTIVE > ミサイル>北朝鮮実験の報道 (2)
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*243  SDI00872  山崎 久隆        ミサイル>98/09/12-13北朝鮮実験の報道
(13)   98/09/17 13:41  192へのコメント

 9月12日と13日の報道です。記事本数が少ないので2日分をまとめます。

時事通信 09/12 09:47 ◎合意文の履行確約を歓迎=北朝鮮、米との高官協議で論評
時事通信 09/12 10:06 ◎脅迫相次ぎ、北朝鮮食糧支援コンサート中止=ミサイル発射
時事通信 09/12 10:26 ◎安保理大使らに協力要請=北朝鮮ミサイルの警告声明採択で
共同通信 09/12 10:53 ミサイル発射で対応要請  自民党代表団が国連訪問
共同通信 09/12 11:23 米の合意履行確約を歓迎  北朝鮮
毎日新聞 09/12 11:34 <日米首脳会談>「最大の課題は日本の経済問題」会談前に米
読売新聞 09/12 11:44 米国務省高官、日本の偵察衛星導入容認
時事通信 09/12 11:58 ◎米韓外相が会談、ミサイル問題協議
読売新聞 09/12 12:15 自民党代表団、安保理議長と会談
NHK   09/12 12:19 北朝鮮救援の音楽会 嫌がらせ電話相次ぎ中止 東京
NHK   09/12 13:18 中国、ミサイル発射問題は日朝2国間で協議を
読売新聞 09/12 13:33 日本の偵察衛星導入論容認
共同通信 09/12 13:35 合意が北朝鮮占う試金石  米韓外相会談
時事通信 09/12 14:20 ◎発射探知、それとも基地画像=狙いあいまいな衛星論議、熱
朝日新聞 09/12 14:46 ◇北朝鮮「人工衛星打ち上げに失敗」、米国務省が結論◇
朝日新聞 09/12 16:48 ◇米韓外相会談、北朝鮮への対応を協議◇
共同通信 09/12 17:45 日朝ミサイル協議論も  日米韓三カ国の局長級協議
朝日新聞 09/12 18:00 ◇中国、北朝鮮ミサイル問題の国連安保理協議に難色◇
毎日新聞 09/12 18:05 <KEDO>北朝鮮軽水炉供与への署名凍結早期解除か
毎日新聞 09/12 18:45 <北朝鮮ミサイル>「安保理声明採択を」訪米の自民議員団が
毎日新聞 09/12 18:58 <北朝鮮拉致疑惑>元中大生の救援求めシンポ 学生やOBら
時事通信 09/12 21:17 ◎人工衛星説を否定―首相
毎日新聞 09/12 22:18 <北朝鮮ミサイル>ミサイル説との判断に変更なし 小渕首相
毎日新聞 09/13 00:44 <ニュースの言葉>「多目的衛星」
共同通信 09/13 10:04 政府、人工衛星情報入手 北朝鮮も成功未確認か 米は失敗示
時事通信 09/13 14:32 ◎北朝鮮のミサイル技術は予想以上=外交・防衛局長級会議で
朝日新聞 09/13 14:44 ◇北朝鮮のミサイル技術予想以上、外交・防衛局長級会議で◇
共同通信 09/13 15:42 偵察衛星導入決めれば協力  日米安保協議で米政府
共同通信 09/13 15:43 朝鮮総連が建国50周年祝典
共同通信 09/13 18:57 韓国も衛星失敗と暫定結論
時事通信 09/13 19:48 ◎北朝鮮は衛星打ち上げに失敗−韓国高官
朝日新聞 09/13 21:42 ◇北朝鮮は衛星打ち上げに失敗と韓国高官が見解◇
 
【米朝協議】
 
 朝鮮中央通信は米朝高官協議について「米国は『地下構造物建設』や『弾道ミサイ
ル実験』説を持ち出し、協議を遅延させた。「ミサイル発射」は衛星の打ち上げで、
地下核施設も民需用地下構造物にすぎない。米国はこのようなことに神経を使わず、
合意の履行に力を入れるべきだ」と批判しつつも、さらに「米国側は、軽水炉建設と
重油納入日程が遅れた過ちを認め、米朝基本合意文に対する自らの義務を履行するこ
とを確約した。米国が遅ればせながら合意文の履行意思を確約したのは、実に幸いな
ことである」と論評。
 中山太郎元外相を団長とする自民党議員団が国連に行っていますが、目的は北朝鮮
非難の国連議長声明を出してもらうこと。アメリカ、イギリス、中国、ロシアの安保
理常任理事国国連大使と会談し、 協力を要請。 その中で中国の沈国放・次席大使は
「人工衛星の打ち上げと考えており、二国間で話し合うべき問題だ」と反論したこと
から、自民党として中国に代表を派遣して日本の主張に理解を求める方針を伝えたそ
うです。
 中国が難色を示したことで、安保理議長声明として北朝鮮を非難することは難しい
情勢となりました。
 
 二国間で話し合って解決すべき問題ということであればまさにそのとおりなわけで。
それができない国(両方とも)であることに大きな問題があるんですが。
 
【日本の衛星保有論】
 
 アメリカ国務省高官は日本の偵察衛星の保有に関し「日本が決める問題だ。(衛星
保有が)日米の防衛協力が効果的で、情報を十分共有していることとは矛盾しないと
思う」と述べたそうです。一方国防総省当局者は「日本が冷静になって考えた時、日
米安保条約が最良の保険との結論に達するはずだ」と、否定的な見方を示しています。
 なお同じ国務省高官が、韓国で北朝鮮に対抗するため、射程300キロ程度の弾道
ミサイルの導入論が出ていることについて「韓国民の感情は分かるが、良い考えでは
ない。射程がより長距離のミサイル開発は軍拡につながり、朝鮮半島の安定に寄与し
ない」と述べたそうです。
 さて、アメリカは当初の「衛星保有に難色」から大きく軌道修正を行っているよう
です。13日に行われた日米安全保障高級事務レベル協議(出席者は、アメリカがス
ローコム国防次官、ロス国務次官補、日本が竹内行夫外務省北米局長、佐藤謙防衛庁
防衛局長)では、「この問題は日本が決めるべきもので、日本が保持を決めれば協力
する」と述べるとともに独自に衛星を保有しても今後も情報提供は続けると語ったよ
うです。
 
 これは同じ会談で日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)の実施に関する関
連法案について早期成立を求めていることから、それとのからみが大きかろうと思い
ます。また、TMD共同開発につながるとすればアメリカ側にも利益があることから、
衛星保有に反対する必要も無いという判断であろうと思われます。
 
【衛星かミサイルか】
 
 まだまだ続くよ衛星ミサイル論争と。(=^_^;=)
 意固地なのは小渕恵三首相。12日夜にすでにアメリカ国務省当局者が「朝鮮民主
主義人民共和国は人工衛星打ち上げに失敗した」と述べたとの報道について「そうい
う情報は入っていない。(弾道ミサイルの可能性が高いとの日本政府の判断は)日米
が情報を収集、分析した結果だ。日本の調査だけではない。あらゆる角度から総合的
に判断している」と述べたそうで。ところがこの談話が記事配信されているのは午後
9時18分から10時17分あたりなんですが、13日午前10時4分の共同通信の
「政府、人工衛星情報入手 北朝鮮も成功未確認か 米は失敗示(唆)」というニュ
ースでは「政府が十二日までに、先月三十一日に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
が行ったミサイル発射が、人工衛星の打ち上げを目的としたものだった可能性がある、
との米国防総省情報を入手していたことが明らかになった。」とあるんですね。首相
は「情報は入っていない」といってますが、いったいどういう情報だと思ったのでし
ょうか。
 アメリカの情報は「今回の弾道ミサイルの発射が、人工衛星の打ち上げを目的とし
た可能性がある。二段式ロケットの第一段目、第二段目の切り離し、第二段目の点火、
誘導など中距離弾道ミサイルに重要な技術を成功させた。衛星部分の切り離しは弾道
ミサイルの弾頭切り離しとほぼ同様の意義付けをもつことから、ミサイル発射が衛星
打ち上げ目的だったとしても、北朝鮮が中距離弾道弾の弾頭部分を作製する能力があ
ることは疑いない」というような内容だったそうです。
 
 アメリカ側が「衛星の打ち上げと見られる」という情報を日本に伝えたにも関わら
ず首相が「ミサイルだ」と主張し続けるのはなぜなのでしょうか。単純に情報が首相
に伝わっていないだけというずさんな理由である可能性が高いのですが(=^_^;=)それ
以外にと思うと、衛星であるという判断に同調してしまうと日本の現在の制裁措置が
突出していることがあからさまになることを恐れているんじゃないかと思います。か
といって自民党などは振り上げた拳のおろしどころを見失っていますし、外務省まで
自民党の感情路線に引きずられています。政府にいたっては、もっともつながりの強
いはずの野中官房長官自らが感情的に怒りを顕にしてしまって、もう交渉どころでは
ないありさまなので、持っていき場がなくなってしまっているというのが実状では無
かろうか。
 これではまともな政策などはできそうもないわけで、  そうだったらいっそのこと
「あれはミサイルだ」と言ったままにしておけばいいという対応をしているのじゃな
いかと疑われます。
 いつもはアメリカ情報にほいほい追随するのに、これに関してだけは、ろくな根拠
もないくせにミサイル説に固執するのは醜悪です。
 なお、こういう敵対政策は相手側にも過剰反応を呼び起こす可能性があり、極めて
危険なこと。成算もなく、先読みもできない国の取る手法ではありません。
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)

*245   SDI00872  山崎 久隆        ミサイル>98/09/14-15北朝鮮実験の報道
(13)   98/09/18 21:04  192へのコメント

 9月14日と15日の報道です。記事本数が少ないので2日分をまとめます。

共同通信 09/14 11:01 臨時事務所で合意と報道  米朝高官協議
毎日新聞 09/14 11:06 <北朝鮮>ミサイル疑惑問題 人工衛星の打ち上げ失敗と韓国
朝日新聞 09/14 11:25 ◇韓国も人工衛星発射に失敗の見方、韓国政府高官◇
読売新聞 09/14 11:26 北朝鮮ミサイル、発射衛星は墜落か
共同通信 09/14 11:51 「現場を見て理解を」
読売新聞 09/14 12:03 米、日本の偵察衛星導入を容認
時事通信 09/14 19:04 ◎人工衛星発射は未確認−外務事務次官
共同通信 09/14 20:04 衛星でも軍事転用の可能性  北朝鮮ミサイルで外務次官
共同通信 09/14 20:36 3日以内に最終結論  韓国国防相
毎日新聞 09/14 21:43 <偵察衛星>米国 日米高級事務レベル協議で協力を表明
読売新聞 09/14 22:21 「多目的衛星」導入、課題が山積
時事通信 09/15 00:58 ◎北朝鮮ミサイル問題、日米の緊密な協力必要=自民党調査団
毎日新聞 09/15 01:28 <北朝鮮ミサイル>人工衛星失敗の証拠はない 野中官房長官
毎日新聞 09/15 01:29 <北朝鮮ミサイル>日本にKEDOへの資金拠出要請 米国防
時事通信 09/15 06:09 ○北朝鮮は衛星打ち上げに失敗=兵器の運搬能力保有−米が結
読売新聞 09/15 06:15 北朝鮮ミサイルは3段式ロケット
時事通信 09/15 06:19 ○北朝鮮ミサイル問題で首相親書渡す=自民調査団が米国務長
読売新聞 09/15 06:31 人工衛星打ち上げ失敗か
共同通信 09/15 10:21 首相が米国務長官へ親書
共同通信 09/15 10:53 人工衛星の打ち上げに失敗  北朝鮮の実験で米が結論
共同通信 09/15 10:57 日本の北朝鮮対応に理解  日米韓が局長級協議
朝日新聞 09/15 11:12 ◇北朝鮮は衛星打ち上げに失敗、ミサイル発射で米が結論◇
時事通信 09/15 11:18 ◎日米、軽水炉支援で対応にずれ=日米韓の局長級協議
時事通信 09/15 11:24 ◎北朝鮮ミサイルはアラスカ到達可能=射程5300キロ以上
時事通信 09/15 11:25 ◎日本の多目的衛星導入を容認=米国防長官
時事通信 09/15 11:33 ◎弾道解析で衛星打ち上げと判断=米専門家
共同通信 09/15 12:54 代議員が高学歴化、高齢化  北朝鮮の第10期最高人民会議
時事通信 09/15 13:02 ◎米の「衛星打ち上げ」判断で北朝鮮制裁見直しも=政府
朝日新聞 09/15 13:11 ◇日米韓が局長級協議、日米間で軽水炉支援にずれ◇
共同通信 09/15 15:14 包括的軍縮推進を訴え 国連安全基金に拠出 首相演説の骨格
共同通信 09/15 15:51 着手直前、深夜の搬出  証拠隠しぎりぎりまで  防衛庁
共同通信 09/15 18:27 金正日氏は人民と目で対話  平壌放送が論説
共同通信 09/15 18:57 「人工衛星」なお究明  額賀防衛庁長官が沖縄訪問
朝日新聞 09/15 19:24 ◇北朝鮮「ミサイル問題」、安保理での決着、微妙に◇
毎日新聞 09/15 19:29 <北朝鮮>ミサイル疑惑 日本の国連への提起、米韓が支持表
毎日新聞 09/15 19:29 <北朝鮮>衛星搭載と米国結論 対日批判の強まり必至か  
朝日新聞 09/15 19:30 ◇日本政府、北朝鮮への対応を当分は変更せず◇
毎日新聞 09/15 19:30 <北朝鮮>ミサイル疑惑 米国、衛星搭載と結論 軌道乗らず
毎日新聞 09/15 19:33 <北朝鮮>ミサイル疑惑 日本、技術拡散防止を国連安保理提
毎日新聞 09/15 19:37 <北朝鮮>ミサイル疑惑 正確な結論は今週末にと−−韓国
毎日新聞 09/15 20:19 <北朝鮮>衛星搭載と米国結論 抗議措置見直しなしと日本
毎日新聞 09/15 20:38 <北朝鮮>米、衛星打上げ説追認 米朝協議配慮などの気配も
読売新聞 09/15 20:50 衛星打ち上げ失敗と米が見解表明
毎日新聞 09/15 22:06 <北朝鮮>ミサイル疑惑 衛星軌道は未確認とロシア専門家発
時事通信 09/15 22:35 ◎北朝鮮、対日国交正常化を拒否=ミサイル問題で「対応措置
読売新聞 09/15 23:02 日米韓、北朝鮮問題で共同歩調を確認
読売新聞 09/15 23:02 自民訪米団、首相親書を国務長官に渡す
毎日新聞 09/15 23:12 <北朝鮮>衛星搭載と米結論 抗議措置見直しなしと日本政府
読売新聞 09/15 23:28 日本政府、北朝鮮への対抗措置は継続
読売新聞 09/16 06:18 米、よど号犯の日本送還要求へ
 
【沖縄】
 
 在日米軍基地の集中で、いざとなったら攻撃目標になるのではないか。これは米ソ
冷戦時代から、基地をかかえる沖縄などの自治体の現実的脅威の一つでした。
 沖縄県の大田知事は「行政の責任者として考えるのは、何よりも県民の生命の安全
確保。沖縄がターゲットにされないように考えることが大事だ」と定例記者会見で語
り、基地の集中が持つ危険性を指摘しています。
 
【ミサイルか衛星か】
 
 ええともう論争ということではなくなりつつあります。既にアメリカは公式に「北
朝鮮が打ち上げたのは人工衛星。 失敗したけど」と語っています。 韓国政府高官も
「多段階ロケットの三段目に、人工衛星の軌道投入に必要な秒速9キロに達する推進
力がなく、発射27秒後に墜落した。これが米韓両国の共通認識だ」として、米韓は
共通認識にあることを明らかにしています。
 アメリカ国務省のルービン報道官ば、北朝鮮はごく小さな衛星をミサイルに乗せて
打ち上げようとしたが、軌道に乗らず、北朝鮮が主張する軌道上には人工衛星は存在
せず、電波の発信もなかったという内容の記者会見を行い、これがアメリカの公式見
解としました。
 衛星である根拠をアメリカ側は明らかにしていないのですが、毎日新聞の瀬川至朗
記者は「米情報筋」の取材で判断根拠を記事にしています。
 まず、単純な2段式ミサイルであるはずのテポドンであれば観測されないはずの第
3段エンジンの噴射を示唆するデータを、北米早期警報システムの一環で配備された
高度約3万6000キロの静止軌道を回る赤外線センサー衛星の一つが捉えていたこ
とと、ミサイルの弾頭とは、形や弾道が異なっていることが理由と見られています。
しかし直径10センチ程度の物体をも識別可能と言われているNORAD(北米航空
宇宙防衛司令部)の監視システムでも北朝鮮の衛星らしき物体や第3段エンジンの残
骸などが地球周回軌道上に発見できないことが、結論を出すのに手間取った理由だそ
うです。さらにアメリカは単純なミサイル実験と最初は決めつけていたことも、3段
目のロケットの追跡が十分できなかった理由とも考えられるとしています。
 日本側はというと、柳井俊二外務事務次官は「特に防衛庁などで各種情報を分析し
ている。現段階も米国はいろんなデータを解析しており、最終的に確認したという情
報には接していない」としながら「仮にそうであったとしても北朝鮮が人工衛星打ち
上げ能力を、軍事転用する可能性がある」と語ったそうです。
 野中官房長官にいたっては「それでは衛星であったのかという確たる証拠を持ち合
わせていないし、米国も現在、まだ分析中だと言っている。仮に衛星だったとしても、
ミサイル以上に危険なものだという認識を持っている。長距離の射程が可能であると
いう裏付けを示すものだ」
 額賀防衛庁長官は「何の事前通報もなしにわが国を飛び越えて落下したことは事実
で、日本の安全保障上の問題としては厳しく受け止めていかなければならない。(衛
星であるという)その情報を加味して真実はどこにあるのか究明する必要はある。今
後日米の専門家に分析してもらうことが大事だ」人工衛星なんてあり得ないと大見得
切っていたためもう引っ込みもつかないらしい。
 
 アメリカのコーエン長官は「ミサイルであれ、 人工衛星であれ、 大きな違いはな
い」との見方を示しているのに、日本政府はさらに重大問題という姿勢になってきて
います。んなもん日本を飛び越えてしまう射程距離であればテポドンであれICBM
であれ日本にとってはさしたる違いはないはず。むしろ「届くかも知れない」アメリ
カ側が「大きな違いはない」と言っているのに、ここんところは奇異です。韓国など
はスカッドでもう届いてしまうので、今回の実験には静観を決め込んでいるんですが、
このあたり日本の側の対応は韓国からしてもわけがわからないと見られるのではない
でしょうか。
 それからアメリカが日本の防衛庁情報もあわせて「衛星である」との解析結果を出
しているのに、日本の防衛庁は「米軍や自衛隊が収集したデータから、人工衛星の可
能性は極めて小さい」と言ってきたことも問題として残ります。つまり、アメリカ情
報を加えても正確な情報分析が出来ていなかったことになり、これでは人工衛星を持
とうが何を持とうが正確なことはわからないんじゃないかという疑問にもつながるわ
け。
 ま、当の防衛庁は、31日の発車直後には、調達本部の疑惑隠しのために証拠隠滅
作業に忙しくて情報分析どころではなかったのかも知れないけれども。(=^_^;=)国を
守るどころか自分たちの利益を守るために汲々としている機関に何が出来るというの
だろう。
 
【KEDO署名をアメリカが要求】
 
 日本が制裁の一環として、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の軽水炉建設
費負担の署名を当面見合わせる方針をとっていることについて、アメリカのコーエン
国防長官は「ミサイル発射で受けた日本国民の衝撃は理解できる」が「米朝間の核合
意に基く協議の進展を図るためKEDOの問題は前向きに努力したい。日本側にもそ
のことを要請する」と述べたそうで、いよいよ日本の制裁の一部解除を要求してきま
した。
 アメリカでは米朝合意内容が議会の支持を得られる見通しはないため、大統領権限
(拒否権行使)で合意履行を行う可能性が高くなっていますが、  それにともなって
「外の阻害要因」である日本の制裁も解除させねばならなくなります。
 14日現在、アメリカでは日米韓局長級会議(出席している主な局長は、阿南惟茂
外務省アジア局長、カートマン朝鮮半島和平担当大使、権鍾洛外交通商省北米局長)
が行われていますが、これにも「北朝鮮実験は衛星」とのアメリカの結論を提示して
おり、そのうえKEDO合意の実施の重要性を強調していることから、日本側に譲歩
を迫ることになりそうです。
 
【国連】
 
 日本はまだ国連安保理議長声明を追求しているようです。 日本の国連代表部は、
「ミサイルであっても人工衛星であっても、日本を攻撃する能力があることに変わり
ない」などと言っているらしい。んなこといってもスカッドでもノドンでも十分日本
に届くんだが。それともなにか、日本というのは東京の事を言っているのか?実に全
くあほらしい発言である。
 人工衛星の打ち上げというアメリカの公式発表で、議長声明はまず不可能となりま
した。中国が「衛星であれば二国間問題」との立場をとっており、無通告発射や大量
破壊兵器拡散問題で声明を出そうとしても、相手がミサイルではない以上、非難する
法的根拠としては航空安全の順守や軍事演習の事前通告などを取り決めた国際民間航
空条約(シカゴ条約)と、事前の通告がなくロケットのブースターなどが着水するこ
とにより、船舶に重大な事故を引き起こす危険があること、という点ですから、軍事
的脅威を押し出しての議長声明を出すことにはならないわけです。
 「衛星打ち上げならあたかも平和的であるかのように受け止めるのは間違い。衛星
打ち上げ技術は大陸間弾道弾を持ち得ることになる」(自衛隊幹部)としても、それ
であれば日本も衛星打ち上げ技術を有しているわけで、相手である北朝鮮から見れば
同じ事。しかしながらミサイルではなく衛星であると主張する以上、軍事的脅威を与
える目的であったと言うわけにはいかない(衛星をどんなミサイルで打ち上げようと
勝手と言えば勝手)んですから。
 
【独自衛星導入論】
 
 さて、むしろここで「自衛隊幹部」としか名前が出てこない人物(毎日の記事によ
る)の発言が重要です。外交ごととは相手のある話であって、日本の独り善がりな対
応では済まないわけですが、日本独自の衛星保有というのも全く同一のことで、まさ
しく「衛星打ち上げならあたかも平和的であるかのように受けとめるのは間違い」な
のです。そのあたりのことについて日本政府のみならず野党も大半が間違っているわ
けですね。
 「平和的な対応」ではないことを自覚しながら独自衛星保有を考えるのであれば、
それはそれで一つの考え方ですから、私は反対ではあるが論理的に整合性はあると思
います。しかし「平和目的だから良いではないか」といって独自衛星の保有を論ずる
のは、国民や国際世論を騙す行為なので、それは許しがたい主張です。「平和目的独
自衛星導入論」などという魑魅魍魎はさっさと退治しなければなりません。
 
【北朝鮮の反応】
 
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークスマンが日本政府を非難する声明を
発表したとのこと。「日本当局はいまだに、われわれの衛星打ち上げを弾道ミサイル
発射だと言い張り、朝日国交正常化交渉とわが国に対する食糧支援を中断、高麗航空
機の日本との運航を中止させるなどの『対応措置』を発表し、この問題を国連安保理
に持ち込んで『国際的圧力』をつくり出そうと奔走している。日本が共和国への敵対
行為に執着する限り、日本とは絶対に国交を正常化しない」と非難しているそうです。
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)

*240   SDI00872  山崎 久隆        RE:ミサイル>98/09/07北朝鮮実験の報道
(13)   98/09/16 15:07  238へのコメント  コメント数:1

 #238 南茂樹 さんこんにちわ。

 最初のほうに私は「暴挙」という表現を使って北朝鮮の今回の発射について発言を
していると思いますが、その判断は変わっていませんし、衛星だろうとミサイルだろ
うと無通告で人の国の上を飛ばすのが良いわけがないのも確かで、その部分に関して
は北朝鮮側の釈明や謝罪はあってしかるべきと思います。
 ICAOを通じたりIMOを通じたりしての抗議や批判は当然であろうと思います。
 人工衛星の実験であったのだったら、打ち上げ前に公表し、無用な国際的摩擦を回
避すべきだし、そういう配慮をしなかったことを非難するのは当然であろうと思いま
す。
 しかしながら外交上は人工衛星であるかミサイルであるかは全く異なることだと思
います。軍事的には同じだとしてもです。引用されている文はその点についての論点
でして、最初のほうに既に前段については言及していますので、両方を問題提起して
いるとして捉えてもらいたいと思います。
 
 日本の制裁発動は、拙速な上に行うべきではないチャーター便の許可取り消しや人
道援助までも含んでいることや、送金停止、渡航制限とエスカレートさせようとする
動きもあることを危惧します。そのうえ額賀防衛庁長官のように「相手のミサイル基
地を叩くのも合憲」発言も報じられていますから、そういう動きの一環としての偵察
衛星導入論は、極めて危険であろうと思います。この文脈では明らかに対朝鮮軍事戦
略の一環としての軍事偵察衛星を先制攻撃用に配備すると取られるでしょうし、北朝
鮮がわが軍事傾斜を強めている現在では、新たなエスカレートを呼ぶだけであろうと
思います。
 
 また、偵察衛星という文言にも疑問があります。
 世界で最も進んでいる偵察衛星保有国といえばアメリカをおいて他にありませんが、
アメリカにしても戦術ミサイルの発射探知、追跡が極めて難しいことを立証したのが
先の湾岸戦争でのスカッドミサイル探知・迎撃でした。
 結局のところ発射から数分ないし10分程度で着弾するようなミサイルを発射後に
探知・迎撃するほどの情報を得るのは難しいわけで、そうなるといったい衛星導入論
で語られている衛星というのは何者なのかよくわからないのです。
 アメリカなど軍事偵察衛星先進国が簡単に日本にノウハウを売ってくれるはずもな
いので、日本はそういう技術も含めて国内開発をしなければならないだろうと思いま
すが、アメリカが何十年かけてもうまくいっていないものを日本はどのくらいの期間
と金をかけて開発し実用化するつもりなのだろうか、はなはだ疑問です。
 たぶんTMDとのセットとなっていく議論なのだろうと思いますが、兆を超える莫
大な予算と10年を超える長期間の開発期間を投じて得られるものは日本の安全保障
という観点からも逆行する、新たな軍事対決のエスカレートだとしたら、一体何をし
ているのかわからないというのが現実ではないでしょうか。
 衛星からミサイルを隠す手段などいくらでもあるし、発射台を偽装するなんてのも
難しいことではありません。イラクの取った手法はスカッドミサイルを輸入した大型
トレーラーに積み替えたというものでした。アメリカは戦後「まさかトレーラーから
発射しているとは思わなかった」と愕然としたらしい。
 
 少なくても政治家ともあろう人々は、そのくらいは冷静に判断をしてもらいたいも
のだと思います。
 
 そういうことを考えるくらいであれば、北朝鮮へのミサイル開発を中止するための
外交攻勢をかけるために金や人を動員したほうが、よっぽどましな結果を生むでしょ
う。
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)
 


  • 1998年
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