Date: Sat, 19 Sep 1998 11:36:00 +0900
From: 加賀谷いそみ <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 651] <おおすみ>北海道庁との交渉
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 「すべての軍艦船を平和の船に!『おおすみ』を廃船にするためのネットワ−ク」(
谷百合子代表)では、17日、北海道庁との交渉を行いました。とくに海兵隊の外出に
まつわる件が、話しあわれたとのことです。
 同会では翌日、この交渉に基づき、下記の質問書および別海町の酪農家のかたがたか
らの訴状を資料をそえて提出しました。
 また交渉のさい、知事は、北海道を軍事化しないために国に対し、「思いをつのらせ
」要請を行ったと、要請5項目を提示したとのことです。(何たるハレンチな言い草)
 同会では、「矢臼別の演習は、沖縄の分散ではなく、県道104号線越え実弾射撃訓
練という名目で基地が固定化している」としています。基地の分散というなまやさしい
ものではなく基地の拡大・固定化です。
 沖縄との分断をはかる向きもあるようですが、北海道民は、だまされないでしょう。

以下、公開質問書、道庁の要請書
 防衛「牧柵」については、
  日本平和委員会発行「平和運動」NO344('98 8・9月号)
   「防衛」牧柵の検証
    演習場周辺「騒音対策」の罪状を告発する(三宅 信一)
を参照。「基地対策費の増大は基地被害を一層深刻なものにする」としています。
 

【公開質問書】
                       1998年9月18日

北海道知事 堀達也様

           公開質問書

 本年6月20日から8月1日にかけての、釧路港、浜大樹海岸、室蘭港、自衛隊千歳
基地、矢臼別演習所をつなぐ、日本陸海軍(陸上自衛隊・海上自衛隊)の大規模な「北
方機動特別演習」につづいて、いま、陸上自衛隊矢臼別演習所(別海町、浜中町、厚岸
町内)でアメリカ合州国海兵隊の実弾射撃訓練がおこなわれています。
 わたしたちは、8月4日の北海道知事にあてた公開質問書のはじめに、
 「アメリカ合州国海兵隊員輸送における港湾・空港の使用をふくむいっさいの協力を
拒否するだけでなく、北海道における日本軍およびアメリカ合州国軍のあらゆる軍事演
習に反対し、いっさい協力しないこと、さらに、『おおすみ』などの攻撃用武器をただ
ちに廃棄することを日本政府に要求すること」
を、北海道知事に求めました。
 このわたしたちの基本要求に北海道知事が誠実に応えることをあらためて求めるとと
もに、つぎのことを質問します。
 また、8月4日のわたしたちの質問にたいし、8月17日に北海道知事から回答があ
りましたが、その回答にたいする再質問も、おこないます。
 1998年9月25日までに、回答してください。

1、1998年8月17日の回答のなかで、「周辺事態法案」などにかかわって、北海
道知事は
  「地方公共団体の協力など・・・国からの十分な説明がないことについては危惧を
感じており・・・」
と述べている。それならば、なぜ、北海道知事は、「地方公共団体の長」として、軍事
協力拒否の意志を、すみやかに明快に日本政府に示さないのか。

2、昨年9月、矢臼別演習所で、アメリカ合州国軍は単独の実弾射撃演習だけでなく、
日本軍との合同訓練(「対抗訓練」)をおこなった。本年の日本軍の「北方機動特別演
習」と日本軍の矢臼別演習所での演習とアメリカ合州国軍の矢臼別演習所での演習は連
続しており、日本・アメリカ合州国軍合同訓練の性格を昨年より、さらに強くもつもの
である。 実弾射撃による騒音ははなはだしく、自然の破壊はすさまじい。日本軍の実
弾射撃演習であろうと、アメリカ合州国軍の実弾射撃演習であろうと、いっさいの実弾
射撃演習に北海道知事は、「地方公共団体の長」として、抗議・反対すべきではないか

 北海道知事は、「北方機動特別演習」と矢臼別演習所での実弾射撃演習にかかわる諸
問題の全体をどのように認識しているか。

3、釧路市内をふくむ矢臼別演習所周辺市街地へアメリカ合州国軍兵士の「自由外出」
、「福祉ボランティア」活動という名目の軍事行動にたいし、北海道知事は、アメリカ
合州国軍および日本政府に、反対の意志を明示したか。
 昨年12月から矢臼別演習所の周辺で牧柵設置工事がはじめられたが、その費用は、
いかなる機関がいかなる名目で支出しているのか。牧柵設置の目的はなにか。
 矢臼別演習所の周辺に、農道を横断する軍用道路が建設されているが、その総延長と
建設費はいくらか。
 (イ)柴田任官(札幌防衛施設局現地対策本部)が「慰安も含めて地域の文化歴史を
学ぶのは訓練のひとつである」と発言したが、慰安とは何をさすのか。
 (ロ)ボランティア活動、慰安について道の見方を示せ。

4、昨年につづき本年も、アメリカ合州国海兵隊員および兵器・車両の輸送に釧路空港
や花咲港などの民間港が使われた。北海道知事は、アメリカ合州国軍の軍事演習のため
の民間港・民間空港使用常習化に抗議したか。
 昨日(9月17日)、矢臼別演習場でのアメリカ合州国軍は実弾砲撃演習を開始し、
初日から夜間砲撃演習をおこなった。アメリカ合州国軍の北海道における軍事演習の規
模拡大、固定化を北海道知事は、どのように阻止するのか。

5、矢臼別演習所附近の農家が、離農せざるをえなくされたことにかんして、北海道知
事は、8月17日の回答のなかで、
  「移転措置につきましては、農家の希望を聞いた上で実施しているものと承知して
おります」
と述べているが、これは、実弾射撃演習の被害のおおきさと日本政府および北海道庁の
農政失敗の事実をおおいかくす説明ではないか。

6、「『北方機動特別演習』に要する経費とされていた3億4千6百万円は、具体的に
どのように使用されたのか」、という質問にたいし、8月17日に、北海道知事がわた
したちにおこなった回答の全文は、
  「北部方面総監部に照会したところ、『北部方面総監部においても承知していない
。』旨の回答がありました」
という無内容・無責任なものである。わたしたちは、北部方面総監部への問い合わせを
、北海道知事に依頼したのではない。文官である北海道知事は、軍官の秘密主義に追随
することなく、「地方公共団体の長」としてなすべき調査を周到におこなって、回答し
ていただきたい。

7、沖縄県知事を団長とする「米軍基地問題の解決を求める訪米団」は、本年5月に7
回目の「訪米」をおこない、その行動内容を沖縄県の『広報』などで県民に伝えた。
また、沖縄県総務部知事公室のなかにおかれている基地対策室は、統計資料集『沖縄の
米軍及び自衛隊基地』などを発行し、沖縄におけるアメリカ合州国軍と日本軍の実体を
広く伝達している。
 @、北海道知事は、アメリカ合州国軍が北海道の大地を、軍事演習につかい、北海道
内にアメリカ合州国軍の基地を設営することのないよう、アメリカ合州国の政府および
関係諸機関に、「地方自治体の長」として、直接、積極的に働きかける用意はあるか。
 A、北海道知事は、基地対策室を設置する意志はあるか。北海道におけるアメリカ合
州国軍と日本軍の実体を伝達する冊子を作成し、ひろく住民に配布する用意はあるか。

8、総じて、北海道知事は、北海道からいっさいの軍事基地を撤去する努力を、こんご
具体的にどのようにおこなっていくのか。そのためのアクションプログラムを提示して
いただきたい。

  すべての軍艦船を平和の船に!「おおすみ」を廃船にするためのネットワ−ク

【酪農家(別海町)の訴状】

@『酪農ヘルパ−利用促進対策事業助成金』について
 資料(1)にあるように、『酪農ヘルパ−利用促進対策事業助成金』との名目で、米
軍による矢臼別演習場への実弾射撃訓練移転に伴う「迷惑料」としてヘルパ−利用組合
員への助成金の支給がされたが、『酪農ヘルパ−利用促進対策事業助成金』と米軍によ
る矢臼別演習場への実弾射撃訓練移転に伴う「迷惑料」の関連がまったく無く、なぜこ
の様な助成金がでるのか。また同じ農家どうしで隣はヘルパ−組合に加入していないの
で交付されない矛盾がある。
またこの様な『酪農ヘルパ−利用促進対策事業助成金』が全道、あるいは全国的に交付
されているのか伺いたい。

A矢臼別演習場への米海兵隊の実弾射撃移転訓練中における
       外出について
 資料(2)にあるように、昨年二月防衛施設庁と別海町と取り決めた、国からの回答
要旨では、公務以外では職員同行なくしては外出出来ないようになっているが、最近の
報道では今月11日釧路市内の繁華街の視察(飲食店やカラオケ店)をしている、また
14日の記者会見では在沖縄米海兵隊第12海兵連隊第3大隊のデ−ビット・A・ケリ
−中佐も隊員の外出を明言している。
15日、矢臼別演習場内の札幌防衛施設局現地対策本部柴田係官に電話にてこのことを
問い合せてみると「慰安も含め地域の文化歴史を学ぶのは訓練のひとつである」と明言
した。
さらに16日には、別海町佐野町長も外出を容認の発言である。

 米海兵隊は軍事訓練に来ているのであって慰安目的での外出など以てのほか、矢臼別
の沖縄化につながるものであると考えられる。

Bスク−ルバスや周辺道路の安全対策について

 昨年は登下校には各家庭の庭先までのスク−ルバスでの送迎だったのが安全性が確認
されたとして取りやめになったが、地元PTAの何度もの交渉で1路線のみ復活。しか
しながら、なにを根拠に安全性を確認したのか不明。
 また、矢臼別演習場に戦車や大砲を運び込んだ大型トレ−ラ−(車幅3.2メ−トル
)は幅員6メ−トルの周辺道路(町道)を迂回して走るのは非常に危険である。即刻走
行を中止して頂きたい。

《資料(1)》
       様
                  別海酪農ヘルパ−利用組合
                  組合長理事 西條甚一郎
                  別海農業共同組合
                  代表理事組合長 丹波忠文

    酪農ヘルパ−利用促進対策事業助成金の振込みについて

 このことについては、米軍による矢臼別演習場への実弾射撃訓練移動に伴う「迷惑料
」として、ヘルパ−利用に対する利用料金の助成金が支給されましたことから、下記の
通り振込みいたします。
 尚、受領印が必要となることから、6月30日まで印鑑を持参の上、事務局までご足
労頂きますようお願いいたします。
              記

  助成目的      矢臼別演習場への実弾射撃訓練移転
  助成基準       7、000円
  利用日数(7日限度)     5日
  助成金額      35、000円
  振込口座      普通クミカンロ
  振込月日        6月12日

                   (事務局:生乳生産課)

《資料(2)》
沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施に係る別海町受入れ条件及び回答
(R=条件事項 A=回答要旨)

1 規律維持等
1−1
R=演習場の安全及び服務の管理・規律に万全を期すこと。
A=米軍は演習場を使用するに当たっては、責任をもって安全管理に万全を期す。
  また、訓練は安全上の観点から採られている措置に従い、演習場管理者である陸上
自衛隊の協力も得て実施。
1−2
R=演習期間中は、米海兵隊員の公務及び団体での移動以外は演習場外への外出を禁止
すること。
A=米軍は、訓練部隊の司令官が責任をもって自己の部隊の秩序と規律に維持を確保し
、その際、最高度の規律を確保すると約束。
  防衛施設庁としても、米軍の外出時には職員が同行するなど責任をもって対応。
1−3
R=苦情処理や、万が一事故が発生した場合の連絡体制及び迅速な対応を図ること。
A=苦情の対応窓口及び事故発生時の連絡体制を整え必ず札幌防衛施設局職員が対応。
  また、被害者が適正な補償を受けられるよう、誠意をもって対応。

2 騒音対策
R=従来から要望している演習場周辺の騒音対策として、住宅防音、牧柵の設置、移転
措置を平成9年度から実施すること。
A=地元の要望を踏まえ、誠意をもって対応。

3 地域振興対策
3−1
R=民生安定施設の範囲拡大及び補助予算の増額並びに特定防衛施設周辺整備調整交付
金の予算増額に配慮すること。
A=地元からの具体的な要望等を踏まえ、誠意をもって対応。
3−2
R=地方交付税・国有提供施設等所在市町村助成交付金等の財政支援について特別の配
慮をすること。
A=要望の趣旨については、政府として誠意をもって対応。

【要請書】

矢臼別演習場における県道104号線越え実弾射撃訓練に関する
         要請書

札幌防衛施設局長 早川 千勝 様

(平成10年8月19日)
 昨年9月に実施された在沖縄米軍による矢臼別演習場における県道104号線越え実
弾射撃訓練につきましては、夜間の実弾訓練など、いくつかの事項に課題が残ったもの
と考えており、本年2月に訓練の分散・実施のあり方など5項目について要請したとこ
ろであります。
 本年度の射撃訓練につきましては、9月16日から29日までの日程で実施するとの
通知を受けたところであります。
 つきましては、矢臼別演習場の周辺地域が全国有数の酪農地帯であることなどを踏ま
え、次の事項について、地元の意向を十分反映し万全な対策を確実に履行されるよう、
再度、要請いたします。
          矢臼別演習場関係機関連絡会議
            座長 北海道副知事 真田 俊一
              委員 厚岸町長 澤田 昭夫
              委員 浜中町長 小林  章
              委員 別海町長 佐野 力三
              委員 標茶町長 千葉  健

(平成10年9月17日)
 矢臼別演習場における県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施にあたりまして
、道、厚岸町、浜中町、別海町及び標茶町で構成する矢臼別演習場関係機関連絡会議と
して、夜間の実弾射撃訓練は行わないことなど5項目について要請してきたところであ
ります。また、本年の訓練にあたりましても、去る8月19日に同様の要請をしたとこ
ろでありますが、本日、夜間の実弾射撃訓練を実施する旨の通知を受けました。
 私としては、先に要請いたしました矢臼別演習場関係機関連絡会議の要請の趣旨が生
かされなかったことは残念に思います。
 つきましては、矢臼別演習場の周辺地域が全国有数の酪農地帯であることなども踏ま
え、地域住民の生活の安寧を図るうえからも、これまでの地元の意向が十分尊重されま
すよう、要請いたします。
              北海道知事 堀 達也

           (記)
1 分散・実施のあり方について
(1) 将来にわたって、在沖縄米軍による矢臼別演習場での射撃訓練が固定化されな
いよう、在日米軍基地全体の整理、縮小に向けて、国において最大限の努力を払うこと

(2) 特定の演習場に集中することなく、5ヵ所の持ち回り計画に基づき、分散実施
すること。

2 夜間の実弾射撃訓練等について
 当地域では、早朝から採草・搾乳作業等の営農活動を行っており、夜間の実弾射撃訓
練は、地域住民の就寝等の妨げになっているので行わないこと。
 強いて実施する場合は、短日数・短時間とすること。
 また、住民の休息日である日曜・祝日の実弾射撃訓練は自粛すること。

3 情報の事前通知等について
 住民の不安や懸念を解消するためには、訓練に伴う様々な情報をできるだけ遠く周知
する必要があり、訓練の規模、時間など住民生活に関連する詳細な訓練情報を早期に通
知すること。

4、規律維持等について
 規律維持等については、安全管理に万全を期すよう最大限の対応をすること。

5 騒音対策等について
(1)住宅防音・移転措置事業の区域を早期に設定すること。
(2)騒音による乳牛等の暴走に伴う事故を防ぐため、地元の要望を十分踏まえ、牧柵
設置事業を推進するとともに、その一環として育成牛等一時管理施設の設置を早期に行
うこと。
 


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