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Date: Tue, 15 Sep 1998 23:24:47 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 643] from FACTIVE > ミサイル>98/09/08北朝鮮実験の報道
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*- FACTIVE  MES(13):●分科会 戦争 平和 基地問題  
*231   SDI00872  山崎 久隆        ミサイル>98/09/08北朝鮮実験の報道
(13)   98/09/14 17:19  192へのコメント

 9月8日の報道です。

共同通信 09/08 08:02 北朝鮮の実験は人工衛星か  米が韓国に通報と韓国紙
共同通信 09/08 08:36 国防相に金次官  北朝鮮
時事通信 09/08 08:39 ◎B2など6爆撃機、グアムに緊急展開=飛行訓練で北朝鮮を
共同通信 09/08 09:54 人民武力相に金次官  北朝鮮軍部の再編終了
共同通信 09/08 10:23 北朝鮮、軍指導部の世代交代進む  海・空軍出身者を重用
共同通信 09/08 10:24 北朝鮮代表団が米から急きょ帰国
時事通信 09/08 10:27 ◎北朝鮮ミサイル2発目の兆候、確認していない―防衛庁長官
時事通信 09/08 10:28 ◎ミサイル発射は日本脅かす重大事態=小渕首相、韓国紙に強
NHK   09/08 10:34 自民党中心に偵察衛星導入の意見強まる 予算編成へ本格的検
共同通信 09/08 10:45 対北で14日に日米韓協議
時事通信 09/08 10:48 ◎多目的偵察衛星導入に前向き―官房長官
時事通信 09/08 10:50 ◎「自力更生のみが勝利の道」=金総書記、「衛星」打ち上げ
共同通信 09/08 10:51 人工衛星で金総書記が科学者らに感謝
NHK   09/08 11:06 北朝鮮のミサイル発射問題で日米事務レベル協議へ
NHK   09/08 11:06 北朝鮮、空席の人民武力相にキム・イルチョル氏
毎日新聞 09/08 11:36 <北朝鮮情勢>人民武力相に金鎰チョル第1人民武力次官が昇
共同通信 09/08 11:42 多目的衛星を積極検討  科技庁長官
共同通信 09/08 11:48 政府に危機管理体制求める  岡山県議会
NHK   09/08 11:49 高村外相、情報収集で多目的衛星の導入を検討
時事通信 09/08 11:54 ◎多目的衛星導入、本格検討=国会決議、アジア諸国に配慮―
共同通信 09/08 11:58 北朝鮮に「厳重な抗議」  小渕首相、韓国紙と会見
NHK   09/08 12:05 額賀防衛庁長官「弾道ミサイルの可能性強い」
共同通信 09/08 12:08 多目的偵察衛星を検討へ  北ミサイル受け野中長官
朝日新聞 09/08 12:17 ◇人民武力相に金鎰テツ氏、軍の再編終了◇
共同通信 09/08 12:25 外相、衛星でも北朝鮮に制裁続ける
朝日新聞 09/08 12:30 ◇衛星への偵察機能付加検討へ、科技庁長官が表明◇
共同通信 09/08 12:35 数分後には日本上空を通過  北朝鮮ミサイルで額賀長官
共同通信 09/08 12:35 金正日氏の元首就任祝う  朝鮮総連が祝賀大会
毎日新聞 09/08 12:48 <北朝鮮ミサイル>多目的衛星は国会決議抵触せず−−科技庁
毎日新聞 09/08 12:48 <北朝鮮ミサイル>多目的衛星導入の検討進める−−野中官房
読売新聞 09/08 13:09 多目的衛星検討、神崎代表も支持
読売新聞 09/08 14:01 米朝、来月ミサイル協議再開へ
NHK   09/08 14:05 玉沢氏らあさって訪米 偵察衛星導入で米側の意向探る考え
時事通信 09/08 14:11 ◎「衛星」打ち上げ経緯を紹介=発射実験略図も―北朝鮮紙
朝日新聞 09/08 14:12 ◇弾道ミサイルの疑い、ロシア軍事筋がタス報道と逆の指摘◇
共同通信 09/08 16:05 衛星は現在も軌道を周回  北朝鮮
時事通信 09/08 16:20 ◎ミサイル発射で北朝鮮側に懸念表明=国際海事機関事務局長
共同通信 09/08 16:23 ミサイルの発信情報を傍受  発射直後に海自のEP3機
共同通信 09/08 16:37 日韓の連携強化で一致  小渕恵三首相
時事通信 09/08 16:59 ◎北朝鮮、ミサイル重点に軍事力強化=緊張の早期緩和ない−
時事通信 09/08 17:31 ◎北朝鮮、新たなミサイル発射の可能性も=実験海域に漁船配
共同通信 09/08 18:30 9日、安保理に問題提起  北朝鮮ミサイルで政府
NHK   09/08 18:35 中国 北朝鮮との首脳会談に意欲示す
NHK   09/08 18:35 韓国統一相会見、南北間の軍事的緊張続く
共同通信 09/08 18:37 南北関係は労働党主導か  韓国統一相
共同通信 09/08 18:43 建国50周年を前に厳戒体制  北朝鮮、ミサイル再発射か
時事通信 09/08 18:46 ◎偵察衛星、民主、平和に容認論=反対論も根強く調整には時
共同通信 09/08 18:48 偵察衛星導入に賛否両論  野党、立場の違い鮮明に
NHK   09/08 18:49 偵察衛星で来年度予算に調査費計上を検討 政府首脳
毎日新聞 09/08 19:27 <多目的衛星>導入問題 政府、各省庁に具体的な検討を指示
時事通信 09/08 19:33 ◎多目的衛星の導入目指す=小渕首相
読売新聞 09/08 19:34 北朝鮮の人工衛星は失敗…米CNN
朝日新聞 09/08 19:36 ◇北朝鮮のミサイル、韓国統一相が開発強化の可能性指摘◇
時事通信 09/08 20:10 ◎北朝鮮建国50周年で金正日氏に祝電=江主席、関係修復に
共同通信 09/08 20:41 多目的衛星導入に難問山積  国産技術に自信示すが
毎日新聞 09/08 20:44 <多目的衛星>導入問題 政府、各省庁に具体的な検討を指示
毎日新聞 09/08 20:44 <多目的衛星>安保体制の在り方をめぐる議論にも発展か
時事通信 09/08 20:46 ◎衛星打ち上げルート、津軽海峡上空を選択=90年代初め準
毎日新聞 09/08 21:21 <小渕首相>韓国国会副議長とミサイル問題協議
朝日新聞 09/08 21:22 ◇朝鮮総連が金正日氏の国防委員長就任祝賀◇
朝日新聞 09/08 21:25 ◇外務報道官、「人工衛星でもシカゴ条約違反」の認識◇
毎日新聞 09/08 21:40 <北朝鮮ミサイル>「沖縄・グアム攻撃が可能に」−−韓国統
毎日新聞 09/08 22:00 <朝鮮総連>許宗萬・責任副議長も弾道ミサイル説を否定
毎日新聞 09/08 22:00 <北朝鮮>建国50周年に中国が熱烈祝電
毎日新聞 09/08 23:05 <論説ノート>北朝鮮ミサイル 国際世論には落差がある
毎日新聞 09/08 23:58 <権力継承>北朝鮮の行方 「開放」導入はねつけ いら立つ
時事通信 09/09 01:08 ◎朝鮮半島の安定化に期待―ロ外務省
朝日新聞 09/09 02:58 ◇米朝高官協議、四者会談の来月再開などで合意◇
 
 この日のトピックスはアメリカが韓国に衛星実験の可能性を伝える情報が報道され
たことでした。アメリカは「ロケットは三段式だった可能性がある」と通告し、ソウ
ル新聞が外交通商省当局者の話として「北朝鮮のロケットは人工衛星実験だった」可
能性を考えて、国連安全保障理事会に北朝鮮への制裁を求める方針を再検討すること
にしたという話を伝えています。聯合通信もまた、韓国政府高官の話として「米国は
(北朝鮮の実験は)人工衛星であったことを念頭に分析を進めている」と報じていま
す。
 
 ところが日本側は依然として衛星論を否定。額賀防衛庁長官は「弾道ミサイルだっ
たのか、人工衛星の打ち上げだったのか、われわれは百%そうだったと判断する材料
を確認していないが、防衛庁としては弾道ミサイルだった可能性が強いという認識を
変えていない」同じ情報が日本には来ていないのか来ていても当面無視しているのか。
小渕首相も「北朝鮮は人工衛星だと言っているが、今まで発見されていない。衛星で
あれミサイルであれ、長射程の運搬手段を北朝鮮が有していることに強い懸念を持っ
ている」
 
 情報もとのアメリカではこういう報道が。CNNテレビが7日に報じたところでは
「テポドン1号の発射実験が主目的であり、それに合わせて人工衛星を打ち上げた可
能性はあるが、その試みは失敗したようだ」これは複数の米政府当局者の見解だとか。
 
 高村外務大臣は「参院外交・防衛委員会で「先端が弾頭であろうと衛星であろうと
評価は変わらない。仮に北朝鮮の主張通りに人工衛星だったとしても、国交正常化交
渉の見合わせなど北朝鮮への制裁措置を継続する。ブースターが日本の上を飛び越え
た事実に変わりなく、事前通告もなかった。核開発の疑惑が持たれる北朝鮮が長距離
ロケットを持っていること自体、日本にとって脅威だ。」
 
 みているとわかりますが、日本政府も軌道修正をはじめていて、衛星であろうとミ
サイルであろうと「頭に何が乗っているかだけの違い」としています。無通告発射と
いう問題から軍事的脅威に対応が飛躍してしまった軌道は修正しないで、解釈の修正
をはじめたってことですね。民間航空機の航行の安全を定めた国際民間航空条約(シ
カゴ条約)の規定では、締約国が民間航空機の航行に危険を及ぼす可能性がある行動
をする場合、事前に関係国の航空当局と調整をしなければならないとされていますが、
これを怠ったのは北朝鮮側の問題です。しかし衛星である以上は日本への攻撃の意図
があるとは言えないわけで、その当たりの対応のずれを修正する気もさらさらないと
いうのは恐い話です。
 94年の核疑惑当時、アメリカは在日米軍基地を拠点にした対北攻撃を計画してい
ました。そういう関係を考えれば、日本の突出した反応は危険なものになります。
 
 
 ラジオプレスが聞く朝鮮中央放送によると、金正日労働党総書記・国防委委員長は
人工衛星「光明星1号」の打ち上げに貢献した科学者、技術者、労働者に感謝文を送
り、衛星打ち上げは「われわれの科学技術、社会主義朝鮮の威力を世界に誇示した、
自力更生だけがわれわれが勝利する道であるということを改めて証明した。経済力と
国防力を一層強化するための科学技術発展で勝利の成果を収め、世界の先進隊列に堂
々と入っていることは実に誇らしいことである」と語ったと伝えています。また、人
工衛星は現在も軌道上を周回していて、推進ロケットの一段目と二段目は液体燃料、
三段目が「高性能」固体燃料を使っていたことを明らかにしたそうです。
 
 
 ロケット発射当時、日本海や太平洋には日米両国の電子偵察部隊が展開していまし
た。その収集状況が一部明らかになっています。
 海上自衛隊のEP3電子戦データ収集機1機が日本海を飛行していましたが、ロケ
ットの弾頭部に付けられ、速度や飛行角度、位置などの情報を発信、北朝鮮軍当局が
受信していたとみられる電波情報発信装置(テレメーター)の発信情報の一部をキャ
ッチしていたことが明らかになりました。
 また、日本海に展開していたイージス艦「みょうこう」は広範囲をカバーする最新
レーダー(フェーズド・アレー・レーダー)で発射時から日本上空を過ぎるまで捕ら
えていたそうです。
 アメリカ軍は偵察衛星フェレットD、RC135Sコブラ・ボール弾道ミサイル観
測機、弾道ミサイル追跡艦「オブザベーション・アイランド」(コブラ・ジュディ・
レーダー搭載)が追跡していて、防衛庁は自衛隊情報と米軍情報を総合して発射速度
や弾道を計算したのだそうです。
 なおその後も海上自衛隊はイージス艦などの護衛艦2隻とEP3電子戦データ収集
機、航空自衛隊もE2C早期警戒機、YS11EB電子測定機などを日本海側に展開
していてアメリカ軍と共同で再度の発射を監視しているそうです。
 
 
 韓国の今後の対応ですが、南北問題を担当する康仁徳・統一相は、この間の経緯に
ついての見解を記者会見で語っています。
 まず北朝鮮の動向については「推挙演説にも出てきたが、新体制は『強盛大国』と
いうスローガンを使うようになっている。これが軍事力強化を意味するならば、南北
の軍事的緊張緩和は簡単には実現しないだろう。米朝枠組み合意があるので、核開発
については放棄させるよう引っ張っていけるが、ミサイルや化学兵器などでは増強を
図ると見ている。軍事力強化の方向に向かうのではないかと憂慮する。最高人民会議
にあった統一政策委員会などが廃止になったことなどを見ると、韓国との南北問題は
党主導で行うとみられる。」ロケットの評価については「韓(朝鮮)半島有事の際、
強力な後方支援基地となる沖縄、グアムへの攻撃が可能になったとの意味を持つ。」
と語っていました。
 韓国側の対抗策としては「我々は米国との合意で射程180キロ以上のミサイル開
発をしない。北の中長距離ミサイルは韓米防衛協力体制で、十分に対応できる」と、
特に新たな対応を考えていないことを明らかにすると共に、 経済関係については、
「中国ほどの改革は期待できないが、経済難克服のために、初歩的な市場原理を導入
するだろう。南北経済交流、特に民間レベルの経済協力を拡大させていくのではない
か」と語ったとのこと。
 一方日本の対応については「日本の驚きと怒りはよく分かる。しかし、日本もKE
DO事業の重要性を理解しており事業が中断なく進行できるよう、関連諸国間で虚心
坦懐(きょしんたんかい)に論議する時期が来るだろう。現時点で日本に署名してく
れと要求はしていない。」としています。
 
 
 その日本側の対応ですが、自民党の安全保障調査会・玉沢徳一郎会長は、「今回の
北朝鮮のミサイル発射で日本の情報収集能力が十分でないことが改めてわかり、自民
党内では、自前の偵察衛星を保有して、情報収集能力を強化すべきだという意見が強
まっている。しかし、アメリカや日本の近隣諸国には強い警戒感があり、国際世論に
も配慮しながら、理解を求めていく必要がある。」として、アメリカを訪問して、意
向調査を行うことにしたそうです。
 
 衛星導入についてですが多目的衛星の導入を検討するために各省庁に対して、衛星
を利用した事業について具体的な検討を指示しとのこと。古川貞二郎官房副長官を中
心にまとめるとしていて、衛星が行う事業としては、軍事情報収集、資源探知、災害
対策などがとりだたされていて、内閣官房は各省庁案をもとに衛星の運用形態や予算
規模、実現時期などを検討、来年度予算に調査費計上を目指すそうです。
 
 しかしまったくもってどういう衛星なのかがわからない。(=^_^;=)小渕首相は「政
府としても重大な関心を持っている。こういう事態になったからということではなく、
天候、農作物の収穫の度合い、風水害など多目的に調査できるようなものが国民的な
利益になると思う」と、なんだかさっぱりわからないことをいっているのですが。
 
 野中官房長官は「北朝鮮のミサイル発射に伴う情報収集をみると、日本も総合的な
情報収集の方途を早急に考えなければならないと思う。閣僚の中にも情報収集のため
の衛星の研究を進めるべきだという意見が出ているので検討を進めたい。ただ、宇宙
の利用は平和目的に限るとした国会決議を十分踏まえていきたい」と語っています。
 
 高村外務大臣も「そういうものがあった方がいいと思っている。関係省庁とどうい
う形のものがいいか検討していくが、おそらく(環境保護や資源探査も目的とした)
多目的の衛星がいいだろうと思うので、そういう方向で検討していきたい」
 
 竹山科学技術庁長官は「観測探査を基本使命とし、民間でも活用している範疇(は
んちゅう)なら問題ない」とし、2002年にH2Aロケットで打ち上げる予定の陸
域観測技術衛星(ALOS)の活用を検討するとしています。
 
 平和・改革の神崎代表は「個人的な考えだが、偵察衛星を持つことは防衛論からい
って必要ではないか。そのために(宇宙の開発・利用を平和目的に限定した)国会決
議を変えるべきだ」と自民党よりも踏み込むことを言っています。しかし党内では賛
否両論となり、会派としての結論は持ち越したとのこと。
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)
 


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