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Date: Fri, 04 Sep 1998 23:47:34 +0900
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From: Masahiko Aoki <btree@pop1.osk.3web.ne.jp>
Subject: [keystone 604]  米軍弾薬輸送に関して申し入れ
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X-Sequence: keystone 604
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 もちろん北朝鮮の「人工衛星」の破片が日本本土にたまたま落下する危険も皆無で
はなく、そういう「国威発揚」はご遠慮いただきたいのですが、もっと身近で危険性
の高い軍事行動でありながら全く報道されないことがたくさんあることを忘れてはな
らないでしょう。
 例えば、弾薬輸送。みなさんは最寄りの自衛隊や米軍基地の弾薬が、いつどのよう
にして運ばれているかご存じでしょうか。ほとんど秘密になっている理由は、当局に
よると「テロが怖いから」というのですが、・・・枕元を爆弾が走っている方が怖い
のでは?
 米軍の巨大な弾薬庫がある呉市では、例外的にこれまで弾薬輸送の日時を米軍から
の通告をうけて公表してきました。ところが地元の市民運動の監視活動で、この公表
は結構恣意的であることがわかってきました。その件での申し入れ文を転載します。

−−−−−−−−−−−以下転載−−−−−−−−−−−−
呉市長
                              1998年9月2日
  小笠原臣也様
                               要 請 書 
             アメリカ陸軍広弾薬庫の弾薬輸送・海面荷役に関して

  呉市民の安全と生活のために、日々ご尽力いただき感謝いたします。
さて、『中国新聞』8月29日付けに掲載されて周知のごとく、8月下旬の広弾薬庫
における弾薬の荷役作業に関連して重大な問題が明らかになりました。記事では、8
月24日にトラックによる弾薬輸送が行われたにもかかわらず、自治体への通知がな
されなかった点だけに限って問題になっていますが、この間の経緯は、いくつかの重
要な問題を提起していると考え、改めて申し入れをさせていただくものです。

  ことの経緯は次のようなものです。
 まず、私たちの監視活動から以下のことが明らかになっています。8月23日、こ
のところ広によく来ている弾薬輸送船マースクコンステレーションが広湾に停泊。こ
の時、広弾薬庫の桟橋には、青色のシートをつけた弾薬輸送用のコンテナが海面に停
泊したまま。多分、前日に輸送船から運び出された弾薬を積んだまま、広弾薬庫に停
泊させていたものと見られ、ある意味では弾薬が海上に放置されていた。
  24日の朝、弾薬庫の桟橋で弾薬の荷上げが行われていた。周辺には、15台の大
型トラックが待機し、順次、弾薬を積み込んで、広から出ていった。荷役作業中の場
所には、危険度を表す標識がたち、番号は[1]であった。危険度標識[1]を確認
するのは、今年初めてです。弾薬輸送船は27日の夜までいたが、28日の朝には姿
を消していた。
  27日の昼間、洞穴108前の広場で、おそらく危険度[2]の弾薬を積み込む作
業が行われ、約10台のトラックが弾薬庫を出た。28,29日にもトラック15台ほ
どによるトラック輸送が続いた。
  この間の貴職に届けられた通知は、下記の通りと言われている。
                   トラック輸送         広湾の海面制限
     8/5          川上→広
                       8/11
                     8/15−22
    8/18−22 広→川上      8/24−29
                                        8/31−9/3
    8/25      川上→広
    8/26−29 広→川上

   以上より、いくつかの問題点が浮かび上がってきます。
(1)私たちの監視からは、まぎれもなく8月24日には、15台ものトラックによ
る弾薬輸送が行われたはずなのに、通知がない。
(2)しかも、その日の輸送に限って、弾薬の種類が危険度[1]であり、89年の
米陸軍の調査報告書(「世界規模の弾薬港湾研究」)で、広弾薬庫に関連して、「将
来に於いてはいかなる要請があっても、危険度分類1.1の弾薬の荷役は行うべきで
はない」との勧告を無視して、現在もなお危険度分類[1]の弾薬が扱われている事
実が確認された。
(3)しかも、危険度[1]弾薬は、弾薬庫内だけでなく、トラックに乗せて、市中
を通過し、川上まで運ばれていた。弾薬庫の中でも扱うべきでないとしている爆弾が
、一般市民が生活し、通行している道路を走りさったことは、重大である。

  記事によると、中国新聞の記者からの問い合わせに対して、アメリカ軍は「作業の
変更があり、担当者が連絡しそこねた」と説明し、貴職は文書で「通知の徹底」を申
し入れたとのことですが、私たちには納得がいきません。
 貴職が即座にアメリカ軍に申し入れを行い、迅速に対応されたことには感謝します
が、それで終わりなのでしょうか。今回のようなことが起こった背景には、貴職自身
が、市民の安全を守るために行政として行うべき努力を怠ってきているという現実が
あるのではないでしょうか。記事にもありますように、90年の丁度今頃にも、同様
のことがありました。この時は、三沢に向けての弾薬輸送が、4回にもわたって無通
知で行われ、当初しらを切っていたアメリカ軍も、私たちが写真を提示して、何度も
申し入れを行った中で、とうとう「通知を怠っていた」ことを認めましたが、やはり
同じように「担当者が忘れていた」と原因を担当者の責任になすりつけてしまいまし
た。

  この2回とも、私たちピースリンクが独自に監視活動を行う中で、実態と通知が食
い違うことを突き止めたことで、事実が浮かび上がったわけです。もし、私たちが監
視をしていなければ、2回とも何もなかった事になっていたことは必定です。90年
の時は始めての経験と言うことで許されるとしても、今回も90年の時と何も変わっ
ていないわけです。
  貴職は、アメリカ軍が地位協定上は義務でもない「通知」を続けている背景には、
ベトナム戦争当時の多くの市民や議会などの運動の力があることを改めて再認識し、
その成果を生かすことを具体的に考えるべきです。「通知」は、事前に市民に知らさ
れない限り、行政が知っていても何の意味もありません。同時に、今回のような事態
をくり返さないためには、何らかの方法で、貴職自身が輸送の実態を調査するべきで
す。折しも、新ガイドラインの下で、アメリカ軍の運用や基地の存在そのものがより
正当化されかねない状況を考えると、このような事態を黙認していくことは極めて危
険です。自治体が厳しい目で基地を見ていく姿勢を示すためにも、貴職の積極的な対
応を強く求めるものです。
  そこで以下要請します。

(1)  通知内容が実態とどう対応しているかをチェックするために、広市民などへ
の委託などを通じて、貴職として実態を調査する体制をつくること。
(2)  過去の運動の一つの成果として有る「通知」を市民の安全を守るためにどう
活用できるのかを検討し、それを具体的にかつ積極的に実行すること。
(3)  何よりも、「通知」を事前に市民に知らせることが必要であり、以前(19
80年代中頃まで)中国新聞の呉版に小さいが必ず通知内容を掲載していたことを復
活してもらう方向で、マスコミ関係者に働きかけること。
(4)  大爆発を起こしうる危険度の高い弾薬の荷役が、米軍自身の勧告をも無視し
て行われている問題について、再度日本政府やアメリカ軍と交渉をすること。

          入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!
                        ピースリンク広島・呉・岩国(30団体)
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      青木雅彦
      Masahiko Aoki
      btree@osk.3web.ne.jp
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